目標管理ツールとは人事評価手法のひとつ、「目標管理」を効率化するもの。ここでは、目標管理ツールの詳細や活用の注意点などについて見ていきます。
目次
1.目標管理ツールは無料で導入できるのか?
目標管理ツールは、一定の条件下なら無料で導入可能です。たとえば表計算ソフトのGoogleスプレッドシートも無料目標管理ツールの一つ。Googleスプレッドシートを活用する大手企業も少なくありません。
2.無料でも導入可能!目標管理ツールのメリットとは?
目標管理ツールを活用すると、どのようなメリットが得られるのでしょう。ここでは、目標管理ツールの導入によって生じる影響について、解説します。
- 効率的に業務を進められる
- 従業員の自己管理能力を向上させられる
- 従業員の自信につながる
- 従業員に対して明確な評価がしやすくなる
- 従業員のモチベーションをアップできる
- 会社一丸となって大きな目標を達成しやすくなる
- 従業員同士のコミュニケーションの活性化
- 会社のエンゲージメント向上につながる
①効率的に業務を進められる
目標管理ツールを導入すると、目標を共有しやすくなるうえ、従業員の進捗状況が明確になります。それゆえ業務を効率的に進められるのです。
従業員それぞれが目標をしっかり把握するため、求められる業務を能動的に担うようになり、企業全体にも活気が出やすくなります。
②従業員の自己管理能力を向上させられる
社内で共通の目標を掲げるため、「一定期間内でどう業務を進めていくか」「どう工夫しれば目標を達成できるのか」などを、従業員それぞれが意識できます。さらに相乗効果として、業績も向上しやすくなるのです。
③従業員の自信につながる
目標を達成すると、部署のゴール達成に貢献できているという感情が湧き起こりやすくなります。さらに企業の一員としての責任感も向上し、やがて大きな自信に結び付くのです。
先輩や上長が、目標管理ツールでチームメンバーの目標管理や進捗状況をきちんと把握できると、こうしたメリットが得られます。
④従業員に対して明確な評価がしやすくなる
目標管理ツールを導入すると、「掲げた目標を達成するために従業員それぞれがどのように取り組んだか」「どのような結果を収めたか」という経緯が把握しやすくなります。
そのため誰でも客観的な評価を行えるようになりました。公平に従業員を評価できるようになれば、人事配置を行う際にも役立つでしょう。
⑤従業員のモチベーションをアップできる
「周囲の人間に認められたい」「多くの人間の役に立ちたい」という気持ちが満たされるため、従業員のモチベーションも向上します。
目標管理ツールで設定した目標を成し遂げるため、「自分は企業に貢献できている」という自信に結び付くのです。また自主性も高まるでしょう。
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⑥会社一丸となって大きな目標を達成しやすくなる
従業員それぞれが目標を十分に理解していると、規模に関係なく企業は目標を成し遂げやすくなります。たとえ経営側が明確な目標を掲げていてもすべての従業員に浸透していなければ理想的とはいえません。
目標管理ツールを活用して目標を明確にすると、チーム一丸となってゴールを目指せるようになるのです。
⑦従業員同士のコミュニケーションの活性化
近年の目標管理ツールではチャットや進捗報告など、コミュニケーションを取りやすくなる機能が多く登場しています。これにより「従業員がどのような業務を担当しているか」が明確になるため、チームや部署内でのコミュニケーションが活性化するのです。
⑧会社のエンゲージメント向上につながる
ほかメンバーや上司に自分の責任を公表するため目標達成へのモチベーションも高まり、周りからサポートを得やすくなります。それにより、従業員のエンゲージメントと会社全体のエンゲージメントが向上するのです。
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3.【無料トライアル活用も】目標管理ツールを比較するときのポイントは?
近年、有料でなく無料の目標管理ツールも数多くあるため、迷いやすいです。一体どうしたらよいのでしょうか。ここでは目標管理ツールを選ぶ際の重要なポイントについて、見ていきます。
- 自社に合ったツールか
- カスタマイズ性はどうか
- 無料トライアルが利用できるか
①自社に合ったツールか
利用する人数によってリーズナブルになるプランもあれば、割高になるものなど、目標管理ツールの料金設定は各商品さまざまです。企業規模に合わせた機能や料金プランを選ぶと、コスパが大きく変化するでしょう。
「有名だから」「人気だから」という理由ではなく、自社の規模を第一に考えることが肝心です。
②カスタマイズ性はどうか
目標管理ツールは企業目標を全従業員が把握し、進捗状況を共有しあって目標を達成するために使うもの。しかし企業によって規模や形態はさまざまですので、適した目標管理ツールは変わってきます。つまり柔軟にカスタマイズできるかどうかが、大切なのです。
③無料トライアルが利用できるか
目標管理ツールは、導入のメリットが分かりにくいです。そこで正式な導入の前に無料トライアルを体験してみましょう。実際にどのようなメリットをもたらすのかが分かります。
しかし「無料トライアル」がなければ、体験もできません。目標管理ツールを選ぶ際は、無料トライアルがあるものを選びましょう。
4.目標管理ツールの導入で起こりやすい失敗とは?
目標管理ツールの導入によってもたらされるのはメリットだけではありません。デメリットや失敗もあるのです。ここでは目標管理ツールの導入で起こりやすい3つの失敗について、詳しく説明します。
- 目標に対して「成果」のみを意識しがちに
- 導入が目的になってしまう
- 従業員のモチベーションが下がるケースも
①目標に対して「成果」のみを意識しがちに
目標そのものに重点を置くと、成果のみを評価するという傾向が生まれます。たとえば売り上げ目標に達成していなければ「低評価」など、ノルマ管理として運用される場合も珍しくありません。
これによって従業員のモチベーションの向上やスキルアップというメリットが生じにくくなってしまうのです。
②導入が目的になってしまう
一般的に目標管理を進める場合、従業員が掲げた目標への進捗や結果を確認するため、上司と部下で面談を行います。しかし面談の実施そのものが目的となってしまったら、業務よりも評価が優先されてしまうでしょう。
つまり手段であるべきことが目的化してしまい、評価自体が負担になってしまうのです。
③従業員のモチベーションが下がるケースも
目標を達成できない場合、目標管理ツールは単なるノルマ管理になってしまいます。やがて従業員のモチベーションは低下し、企業全体の生産性も落ちてしまうでしょう。
目標管理ツールを活用する際は、目標管理そのものの意義を十分に考慮し、メリットを得られる方法が見つかるようにしましょう。
5.目標管理ツール[OKRとMBO]それぞれの導入までの流れ
目標管理ツールは、どのように導入するのでしょうか。ここでは「OKR(Objectives and Key Results)」と「MBO(Management By Objectives)」それぞれの流れについて見ていきます。
- OKRを導入する
- MBOを導入する
①OKRを導入する
まずは企業全体のOKRを設定します。一つの企業に対して一つのOKR設定が理想的です。しかし事業が複数に分類されている場合、その限りではありません。経営陣が一方的に決めるのではなく、各部門からさまざまなアイデアを取り入れることもポイントです。
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設定したOKRを共有する
企業とチーム、従業員がそれぞれ目標と成果を共有すると、目指す方向性が統一されます。つまり企業が掲げる目標を従業員に共有するとよいのです。
また自分が所属するチームのOKRとほかチームのOKR、企業OKRを共有しましょう。整合性を確保するための適切な修正が可能となります。
高頻度で進捗状況を確認する
目標で掲げた期間が終了するまで、その目標にかかわるメンバー同士が高頻度でコミュニケーションを取るとよいでしょう。定期的にミーティングや会議を開催して、進捗状況をしっかり把握していきます。
理想は1週間に1回程度の進捗確認。何よりもメンバー同士が常にお互いの進捗を十分理解し合っていくことが重要なのです。
②MBOを導入する
続いてMBOの導入について見ていきましょう。まずは目標管理制度に求められる、目標の設定からスタートします。公正な評価や従業員それぞれのスキル向上をしっかりと見据え、最適な目標を掲げていくのです。
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目標設定をする
初めから従業員それぞれに目標を設定させるのではなく、まずは組織単位で目標を設定するとよいでしょう。そして従業員それぞれの目標は、先輩や上司が一方的に決めるのではなく、従業員本人が能動的に設定できるようにするのです。
それによって「組織へ貢献すると自分の成長にもつながる」という意識が生じるため、さらに従業員のモチベーションが高まります。
行動の計画を立てる
続いて、設定した目標に向けて実行します。目標達成までのプロセスは、「PDCAサイクル」による管理が一般的です。
- 計画(Plan)
- 実行(Do)
- 確認(Check)
- 改善(Act)
計画(Plan)に当たるのは、目標に向かって現実的な行動計画を立てるという段階。そこで「目標を成し遂げるためにどのような行動を取るか」という計画を考えていきます。
定期的に進捗を確認する
定期的に進捗を確認していきます。目標の進捗確認や見直しには、従業員が日報を作成したり、定期的に上司と面談を開催したりするとよいでしょう。
この段階は、PDCAサイクルでは確認(Check)に当たります。目標の見直しに関しても、目標設定時と同じく従業員が主体となるように検討しましょう。
評価前後のフォローを行う
毎期ごとに評価前後のフォローを行います。まずは従業員が自己評価を行い、その後で上司が評定を実施するという流れです。
その際、「目標達成度」にもとづいて公平に評価しましょう。目標が成し遂げられなかった際に備えて、「問題点は何か」「目標達成への解決策は何か」をまず従業員が考えてから、上司がサポートするという体制づくりも重要です。