目標設定フレームワーク20選【使い方・コツをわかりやすく】

企業を発展へと導くため、メンバーが同じ方向に進むには目標設定が重要です。しかしただ目標を設定するだけでは意味がありません。しっかりと機能する適切な目標設定が求められます。

今回は目標設定でフレームワークを利用する意味をふまえ、目標設定に活用できるフレームワークや使い方・コツを詳しく解説します。

1.目標設定のフレームワークを利用する意味

目標設定は、業績向上に必要なスキルやモチベーションの向上など、さまざまな効果を生み出す点で重要です。しかし「どう目標設定すればいいかわからない」「適切な目標が設定できるのか不安」など、目標設定に関する悩みも多くみられます。

そこでオススメなのは、目標設定のフレームワークを活用すること。フレームワークを活用すれば、組織やチームの現状や課題を整理できるだけでなく、視野が広がり新たな発想やアイデアも生まれやすくなるのです。

また適切な目標を掲げるために達成までのステップが明確になって、成果や達成感も得られます。その結果、社員のモチベーションも向上するといった組織の活性化にも有効です。

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2.目標設定のフレームワークで迷ったらSMARTの法則

SMARTの法則とは、目標設定の有効度を確認する手法のひとつ。ジョーン・T・ドラン氏が1981年に自身の論文で提唱した考え方で、下記5つの要素にしたがって目標を設定します。

  1. Specific:具体性
  2. Measurable:測定可能
  3. Achievable:実現可能
  4. Relevant:関連性
  5. Time-bound:期限

上記5要素の頭文字を取ってSMARTの法則と呼ばれます。各要素を詳しくみていきましょう。

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①Specific:具体性

「具体的であるか」を基準に目標を設定します。たとえば「商品を1年間で1万個売る」「年間1,000万円の利益を出す」といったような数字による具体性があると、目標として適切に機能するのです。

②Measurable:測定可能

第三者にも判断できるような形で目標を表現します。たとえば、「多く」といった表現は人によってとらえ方が異なるため、共通認識を得るのが難しいでしょう。

こうした目標は進捗が把握できないほか「評価できない」「改善策が出せない」といった問題も発生します。できるだけ「金額」「%」「数量」など数値を用いた定量的な表現で目標を設定しましょう。

③Achievable:実現可能

目標は、努力や工夫によって達成できる内容を設定しましょう。あまりにも現実的でない目標は、モチベーションの低下を招くもの。組織のリソースや従業員の能力を把握したうえで、実現可能な適切な目標を設定しましょう。

④Relevant:関連性

設定した目標が部課や企業全体の目標に関連しているかもポイント。なぜなら、関連性がないと個人が目標を達成しても、その成果は企業にとってプラスにならないからです。結果や評価にもつながらず、目標自体の意味や意義がなくなってしまいます。

⑤Time-bound:期限

目標には、適切な期限設定も欠かせません。期限がないと達成に向けたプランが立てられず、かといって適切ではない期間だと目標が達成できない事態に陥ってしまいます。

期限が長すぎてもダラダラと行動して達成が先延ばしになってしまったり、短すぎても従業員に大きな負担がかかってしまったりします。集中力を高めて効率化を図りながら動けるような、最適な期限の設定が重要です。

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3.目標設定のフレームワーク20個と使い方

ここでは、目標設定に役立つフレームワークをご紹介します。さまざまあるなかから、目標を設定しやすいフレームワークを見つけてみましょう。

  1. HARDゴール
  2. SMARRT
  3. SMARTER
  4. SMARTTA
  5. ベーシック法
  6. 三点セット法
  7. ランクアップ法
  8. ベンチマーク法
  9. 期中設定法
  10. NLP式目標設定法
  11. OKR
  12. MBO
  13. KPIツリー
  14. GROWモデル
  15. マンダラチャート
  16. ロードマップ
  17. 目的・目標の4観点
  18. 3C分析
  19. SWOT分析
  20. PDCAサイクル

①HARDゴール

前述したSMARTの法則より感情面を考慮したフレームワークです。マーク・マーフィーが提唱した比較的新しいフレームワークで近年、注目を集めています。なお、HARDとは下記4つの頭文字を取ったものです。

  • Heartfelt(心の底から)
  • Animated(活気がある)
  • Required(要求する)
  • Difficult(困難)

HARDゴールでは、「心の底から達成したいと思える目標か」「達成した先にどのような結果・キャリアが待っているか」「達成のために必要なスキルや能力は何か」「達成の過程でどのような困難があり、どう対処するか」をふまえて目標を設定します。

②SMARRT

SMARTの法則をもとに派生したフレームワークであり、追加された「R」は「Realistic(現実的か)」を示します。どんなによい目標でも、現実的な内容でないと達成は実現しません。

達成のため努力や工夫をし、ギリギリで達成できる現実的な目標を設定することがポイントです。ギリギリのラインを攻めると、最大限のパフォーマンスを発揮できます。

③SMARTER

上記と同様、SMARTの法則から派生した法則で、追加された「E」と「R」は、「Evaluated(評価)」「Recognized(認識・承認)」を示します。SMARTERでは、目標が上司に評価・認識されているか、企業や上層部の方針とマッチするかに着目するのです。

目標の関連性を高めるため、組織の方向性に背いていないか、確認する際に役立ちます。

④SMARTTA

こちらもSMARTの法則から派生したフレームワークで、追加された「T」と「A」はそれぞれ「Trackable(追跡できる)」「Agreed(合意がある)」を示します。

目標達成までの行動を追跡できるため行動と結果の因果関係が検証でき、合意に着目することで、目標にどれだけコミットしているかを測れます。

⑤ベーシック法

目標設定の基本であり、初めての目標設定にオススメなのがベーシック法です。ベーシック法では、下記4つの手順で目標設定を行います。

  • 目標項目の設定:何を達成するのか
  • 達成基準の決定:何を基準に達成となるか
  • 期限の設定:いつまでに達成するか
  • 達成計画の立案:どのように達成するか

まずはゴールを明確にし、ゴールに到達するための「What」「When」「How」を決めて達成までの道のりを決めます。ベーシック法を用いると、具体的な目標を設定可能です。

⑥三点セット法

「テーマ」「達成レベル」「達成手段」の三点を具体的にするフレームワークであり、ベーシック法をさらに深堀したもの。まずは「何を達成するか」といったゴールを設定します。このとき、まだ目標の内容は抽象的で問題ありません。

次に達成レベルが定量的に測れる基準を設定します。最後に、具体的にした目標に対して「どう達成していくか」といった手段を明確にします。スムーズに具体的な行動に移すためにも、手段まで掘り下げて目標を設定しましょう。

⑦ランクアップ法

自分を成長させる「ストレッチ目標」を正しく設定するためのフレームワークです。ストレッチ目標とは、スキルや能力を踏まえた上で頑張れば達成できそうな適切な難易度の目標です。ランクアップ法では、下記6つの切り口から目標を設定します。

  • 改善:現状の不足する部分などを改善するための目標項目を設定
  • 代行:自分よりランクが高い人(先輩、上司)の業務を代行できるようになるための目標項目を設定
  • 研究:テーマを自分に取り入れられるか、そのメリットはあるかを研究することそのもの
    を目標項目や達成基準に設定
  • 多能化:異なるジャンルやスキルのノウハウを磨く形で目標項目を設定
  • ノウハウの普及:自分のスキルや経験を第三者が習得できるようノウハウとしてまとめる形で目標項目を設定
  • プロ化:今のスキルやノウハウを専門家レベルになるまで高める形で目標項目を設定

6つの切り口から目標を具体化し、ベーシック法や三点セット法に当てはめると、より質の高い目標を立てられます。

⑧ベンチマーク法

ある対象をベンチマーク(基準)として目標を設定するフレームワーク。ベンチマークの対象は、ライバルや憧れの人などといった「人物」、競合他社などの「企業」です。

ベンチマーク対象を追い越すことを目指し、自分や自社のレベルに合った目標を設定します。なおベンチマーク法による目標設定手順は、下記のとおりです。

  • 適切なベンチマークの設定
  • 対象の情報を収集・分析
  • 目標設定
  • 検証

⑨期中設定法

先の状況がわからないなかでチャレンジ性の高い目標を設定する際に効果的なフレームワーク。おすすめの活用シーンは、新規事業での目標設定です。

まずは抽象的な目標を設定し、達成の過程で目標の具体化に向けて調整していきます。調整するなかで達成基準や進め方、行動を確立でき、変化に応じて軌道修正しやすい点がメリットです。

振り返りの際には「ベーシック法」が活用できます。もし初めから具体的な目標が設定できそうなら、ほかのフレームワークを活用しましょう。

⑩NLP式目標設定法

「Neuro(神経)」「Linguistic(言語)」「Programming(プログラミング)」の3つの視点からアプローチするフレームワークです。目標設定がうまくいかない場合に活用でき、下記6つの条件を満たしているかに着目して目標を設定します。

  • 肯定的な表現:目標は「やりたいこと」か
  • 自分のできる範囲で考える:自分にできる範囲の目標か
  • 達成した証拠を五感で表現する:達成後の自分はどうなっているか
  • 期限や数値を入れた具体的な目標を作る:5W1Hは具体的か
  • メタアウトカムを設定する:目標の達成によって何が変わるか
  • エコロジー的観点:エコロジー的観点

⑪OKR

目標を設定・管理する手法のひとつで、「Objectives and Key Results(目標と主要な成果指標)」の略です。目標達成計画というよりは、明確かつ一定のペースで計画を進めるためのフレームワークといえます。

「Objectives」は「覚えやすい目標」を指し、「Key Results」は「進捗度をはかるための細かい指標」を示すのです。

OKRでは企業の目標を設定してから成果指標を設定し、個人レベルでOKRを設定するのが主な流れ。企業の目標との関連性を深め、個々が同じ方向に向かって目標達成に取り組めるようになります。

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⑫MBO

企業と従業員の目指したい方向をすり合わせ、一人ひとりの目標を設定した上で成果までの道のりを管理する手法のことで、「Management by Objectives(目標管理制度)」の略です。MBOは、下記手順で進めていきます。

  • 目標を設定する
  • 目標達成のための手段を決める
  • 手段を行動に移す
  • 評価・振り返り

MBOはOKRと併用すると、目標内容や手段をさらに具体化できるといった相乗効果に期待できます。また、自らが目標達成まで管理できるために具体的な行動に移しやすくなり、生産性や業務効率のアップにも有効になるのです。

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⑬KPIツリー

最終的な目標を達成するための各プロセスが適切に実施されているか、定量的に計測・監視するための指標で「Key Performance Indicator」の略です。

KPIツリーは、KGI(最終目標)達成のために必要な要因であるKPIをロジックツリーで分解したフレームワークです。

まずはKGIを設定し、KGIを構成する要素を可能な限り細分化していきます。これにより、どの指標を追うべきか、優先すべき指標はどれなのかが把握しやすくなるのです。

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⑭GROWモデル

コーチングの基本スキルであり、上司が部下を自発的に考えさせ、行動させる気づきと学びのサイクルを回す手法です。

漠然とした目標から向かうべき目標が明確となり、現状把握から達成のための選択肢が洗い出せます。それによって、自発的な行動を促す効果もあるのです。GROWモデルは、下記手順で設定します。

  • Goal(目標設定)
  • Reality(現状把握)
  • Options(選択肢の検討)
  • Will(意思確認)

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⑮マンダラート

「曼荼羅(マンダラ)」のような表・図を用いた思考法・フレームワークです。マスの中心に達成したい目標を記入し、その周囲のマスに目標を達成するために必要な要素やアイデアを埋めていきます。

目標達成に必要なことが明確になり、具体的な要素や行動が見えてくるので。結果、目標達成のためのモチベーションが向上し、主体的に行動を起こしやすくなります。

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⑯ロードマップ

目標達成までの計画案を意味し、現在地からゴールまでのステップを時系列やステップ、テキストや表、図などでまとめたもの。新規事業レベルから個人の業務レベルの目標設定まで、幅広く活用できます。

目的は目標達成のための行動を明確にし、目標達成までの全体像を把握すること。そのうえで重要なのは、最終目標と手段を明確にすることです。

全体像をとらえるためのGROWモデルやSMART法則など、ほかフレームワークと併用すると目標設定の精度と効果が高まります。

⑰目的・目標の4観点

達成したい目標を設定し、そのための道筋を立てていくフレームワークです。「自分/社会・他者」「有形/無形」というふたつの軸を組み合わせた4つの観点から「目標を達成することで得られるメリット」を考えます。

「他者・無形」の軸を高めると「自分・有形」へのモチベーションが高まり、「自分・有形」に向かう過程で「自分・無形」が高まり「他者・有形」を実現するためのモチベーションが高まりやすくなるのです。

達成したい目標を4観点からとらえ直すため、目標を達成するための価値が明確になります。

⑱3C分析

自社を取り巻く市場や顧客の状況を把握したうえで、そのビジネス環境における成功要因を見つけ出し、より現実的な目標設定に活用するフレームワークです。

「自社=Corporation」「顧客=Customer」「競合=Competitor」の3つの観点から分析し、自社や自身の強み・弱み、課題を効率的に明確化できます。企業戦略はもちろん、事業所や部署単位、企業全体のより細かな目標設定に活用するのも可能です。

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⑲SWOT分析

弱みと強みを抽出して目標設定に活用するフレームワークです。下記4つから、各要素を洗い出します。

  • Strengths(強み)
  • Weaknesses(弱み)
  • Opportunities(機会)
  • Threats(脅威)

目標を設定し、SWOT分析で外部環境・内部環境を分析すると、経営・マーケティング戦略の立案にも活用できます。

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⑳PDCAサイクル

目標達成に向けて下記サイクルを繰り返して、進捗管理を行うフレームワークです。

  • Plan(計画)
  • Do(実行)
  • Check(評価)
  • Action(改善)

PDCAを高速で回せるほど、目標達成へのスピードや確実性が高まり、施策やプロジェクト全体のブラッシュアップが可能になります。PDCAの効果を最大化するには、適切な目標設定と目標をきちんと落とし込んだ計画が重要です。

サイクルを継続的に繰り返せば、目標達成に向けた改善も見つかり、次なる目標も見えてくるでしょう。

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