多面評価とは? 制度の特徴や目的、メリット・デメリットを解説

多面評価(360度評価)の運用の負担に悩む企業・人事多数。
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人事評価制度のひとつに多面評価があります。通常人事評価というと直属の上司が担当しますが、多面評価は上司以外にも部下や同僚、顧客など複数のチャネルで評価を行います。より多くの人から評価を聞くことで、人事評価の精度を高められるのです。

従来の人事評価は、上司から部下という一方的な考査にすぎませんでしたが、多面評価ではいろいろな人間の評価を総合的にまとめられ、正当な評価が受けやすくなります。

多面評価を導入する企業は日本国内でも増加傾向にあり、一般企業の1割以上が導入しているとされています。今後取り入れるところも増加するでしょう。

多面評価の導入・運用は、人事だけでなく、多くの従業員にその負担を強いることになります。制度が形骸化・破綻する前に人事評価システムの導入を検討しましょう。多面評価テンプレートが使える「カオナビ」の資料無料ダウンロードは⇒ こちらから

1.多面評価とは?

多面評価とは、上司や人事担当者のほか、同僚や部下など、あらゆる立場から評価をする方法です。360度評価と呼ばれることもあります。

自分で自分を評価すると同時に自分にかかわりのあるスタッフの評価によってさまざまな方向からその人を見ることができます。上司や人事担当者だけでは判断しきれなかった部分などが見えるのです。

これまでは見えにくかった特性や行動なども見えるため正当な評価につながり、さらに新たな才能の発見にもつながります。

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2.多面評価の導入が進む事情とは?

これまで、評価は上司だけという企業も多かったなか、多面評価の導入が増えた理由は何でしょうか。

人事評価による処遇の格差が拡大

人事評価は給与やボーナス、昇進などに大きく影響するものです。従業員は、評価によって処遇に格差が生じることへの大きな期待や不安を持っています。しかし、能力や態度といった人事評価は、客観的な評価が難しく、それを決定する上司にも大きな負担となっているのが現状です。

IT化が進み、直接的なコミュニケーションがなくても仕事ができてしまうことで、上司は部下の能力などを把握しにくくなっている近年は、的確な評価が難しい環境ともいえます。

他面評価は、人員削減や組織のフラット化などによって上司が一人ひとりの行動や業務に細かく目を向ける時間もなく十分なコミュニケーションも取れない状況をカバーできるのです。

人材育成における従業員の自律性を育成

自分が成長するには自律が必要で、他人に指摘や指導されてばかりでは成長できません。自己理解には、一人の判断だけではなく、さまざまな視点や立場の人からの評価が効果的です。

周囲からどのように見られているかを知ることは、自己の成長につながります。また一人だけの判断で評価されるより、さまざまな人から評価されたほうが、真摯に受け止めやすい点も、多面評価が注目されている理由のひとつでしょう。

管理職のより慎重な選抜・配置

企業の成長や業績アップのためにも、管理職の選抜は重要です。管理職へ登用された人材によって部下の成長が変わると言っても過言ではありません。管理職の選抜を誤ると、企業の成長の妨げになるだけでなく従業員からの信頼も失われるのです。

一方からの押し付け登用で全体の納得を得ることは不可能でしょう。全員が納得できる昇格や配置、管理職の選抜を行うためにも、多面評価が必要となるのです。

納得できる評価を目指す多面評価ですが、紙やExcelといった負担の大きい方法で制度運用していると、その大きな負担に納得できないと反感を買う可能性があります。 継続的に制度を運用するためにも、人事評価システムの導入がおすすめです。

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3.多面評価のメリット・デメリット

多面評価の導入時には、メリットとデメリットを理解しておく必要があります。メリットとデメリットについて解説しましょう。

メリット

多面評価のメリットについて見ていきましょう。

評価の客観性が向上

一人の評価では一方的な評価になりやすいものです。たとえば、上司から見て当然の意見だったとしても、部下から見ると違和感を覚えることも。違った立場の人間がそれぞれの視点で評価することで、評価に客観性が生まれるのです。

それぞれの評価の違いを確認することも重要でしょう。見る人によって生じる評価の違いを確認することで、評価の客観性は向上します。一人だけの判断には直観や相性なども影響し、客観性を失いがちですが、多面評価はそれをカバーできるのです。

多面評価に基づく自身の現状への「気づき」

一方的に自分を評価されると、少なからず不満や不平が出ます。自分がその人だけに判断されることへのストレスもあるでしょう。

多面評価はさまざまな人から評価を受けるため、自分を客観的に見ることができるのです。自分の現状をさまざまな面から自覚し、それが成長へとつながる点はメリットといえます。

特に、管理者は独断で判断や指導を行う場合も多く、多面評価ではそういった姿勢が浮き彫りになります。また、正しい指導を行っているにもかかわらず、部下から厳しい指導をする管理者、という評価が出る場合もあるでしょう。

管理者は「厳しい指導をする」という評価を認識したうえで、どう厳しくするか、なぜ厳しくする必要があるかなどを考えていけば、自信を持って適切な指導ができます。

業績などの成功に欠かせない管理者の育成は重要ですが、それには上司と部下の関係が良く、互いの間に信頼関係が成り立っていることが大切です。本当に信頼関係が築けているかは、部下からの評価でわかるでしょう。それをもとに、自分の行動などを振り返ることができるのです。

社員に行動方針が浸透

さまざまな人から評価されることは、周囲の人が自分を見ているということと同じです。人から見られている自覚を持って行動すれば、仕事にも良い影響を与えるでしょう。

今まで評価する人の前でだけ頑張って仕事をしていた人も、多面評価になることで、周囲や行動方針を意識できます。

デメリット

多面評価にはデメリットもあります。デメリットを認識しておきましょう。

評価エラーの発生

評価に対する知識や経験などがない人も評価するため、主観が入ることが増えます。主観による評価は、評価を受ける人の性格などに影響を受けるため、評価に格差が出ることも多いのです。こうした評価者の認識の偏りにより適切な評価を行えないことを評価エラーと言います。

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組織内モラルハザードの危険性

お互いに良い評価をつけてもらおうと、取引や談合などが生じる場合もあります。そうなると、適切で客観的な評価とはいえません。

また部下に嫌われたくないため適切な指導ができなくなったり、自分にマイナスの評価をした人物に対して嫌がらせをしたりするケースが生じるといったリスクもあります。

制度を上司との取引材料に悪用するなど

上司も部下に評価されるため、お互いに取引をするという制度の悪用も考えられるのです。

こうしたデメリットがあることから、多面評価の実施には、従業員を対象とした評価者研修が必要になるケースがあります。 しかし人事担当者は評価シーズンに限らず多忙です。

効果的な打ち手としては、負担が大きい評価業務をシステムで効率化。生まれた余裕でより本質的な業務、ここでいう評価者育成研修に取り組みます。導入した人事評価システムは、多面評価の効率化にもつながるため、一石二鳥です。

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4.多面評価を適切に運営するポイント

メリットを活かしつつデメリットを改善しながら多面評価を行うには、次のようなポイントを踏まえることが必要となります。

目的の明確化

まずは目的を明確にすることです。

  • マネジメント能力に関する気づきを管理職に与える
  • 社員のコミュニケーション能力を向上させる
  • 管理職を育成するための情報源

上記のような目的などおすすめでしょう。目的を明確にすると、社内で悪用されるなどのデメリットが改善できます。

悪用につながる可能性を避ける形に

主観的な評価を防ぐ

目的に応じた評価基準や評価者の選定、分析、フィードバックなどを行って、主観的な評価を防ぐのです。

目的に合わせた評価者の構成

人事評価や昇格などの情報源にする場合、評価する人数はそれぞれの立場から複数の人数を選定する必要があります。

方法や頻度、期間、基準を検討

匿名性を確保できる実施方法、回答期間、選定基準などを検討し、悪用につながる可能性を減らしましょう。実施頻度も、目的を踏まえて回数を決めます。

評価結果を給与や待遇に反映させない

評価結果を給与や待遇に反映させないという方法もあります。

給与や待遇などに反映させると、デメリットが増えやすくなるのです。社内の雰囲気などを踏まえ、給与や待遇には評価結果を反映させないという手段を検討するとよいでしょう。処遇に反映させる場合、人事評価の時期と異なる時期に行うなどの工夫が必要です。

社員の自己啓発、能力開発のみに利用する

多面評価を処遇などの評価には反映させず個人の能力や資質などを観察して評価すると、デメリットが生じにくくなります。またそうすることで、お互いを公平に評価でき、多面評価のメリットも生じやすくなるのです。適切な活用は、人材育成や適切な人材配置につながります。

運用ルールの設定と徹底

デメリットを生じさせずうまく活用するには、運用ルールの設定と徹底が重要です。以下のようなポイントをしっかり押さえましょう。

被評価者に対する目的や評価基準などの事前説明

運用ルールを設定・実行するには評価者に対して実施目的や評価基準などの事前説明をしっかり行うことが重要です。

一人ひとりが目的や基準をしっかり把握している状況は公正な評価につながります。特に評価基準に関しては、迷いのない評価ができるよう、十分な説明を行いましょう。評価経験の不足については、人事評価に関する教育などを行いましょう。評価をする側もされる側も安心できます。

評価者は非公開

評価者が判明する状態は危険です。誰がどのような評価をするか・したか、などがわかってしまうと社内でコミュニケーションが取りにくくなり、公正な評価もできなくなるでしょう。

評価がもとで関係が険悪になれば、仕事にも支障が出ます。そういったトラブルを避けるためにも、評価者は非公開で行うのが望ましいでしょう。

丁寧なフィードバックで、被評価者のモラルダウンを防止

評価に、良いことばかりの意見があるとは限りません。さまざまな視点から評価されるため、なかには厳しい内容もあるでしょう。評価を受けた人が自信を失った場合、モチベーションは低下しますし、これは多面評価の目的ではありません。

フィードバックは、より丁寧に誤解を招くことのないよう行うことが重要です。

  • 点数を決めた場合に高い低いといった単純な設定は避ける
  • 多面的な自己分析ができる細かい内容を作成
  • 自己評価と他人の評価との差に着目する

などといった点に注意するとよいでしょう。

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評価後のフォローアップ研修制度

フォローアップ研修などを行うと、本人が長所や短所を自覚でき、成長にもつながります。それを活かすための研修制度を設けるとよいでしょう。

このように多面評価を適切に運用するためには、人事担当者やマネージャーによる尽力が欠かせません。だからこそ、まずは彼らの負担を減らし、新しいことに取り組むための余裕をつくる必要があるのです。

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5.適切な質問項目の設定がカギ

多くの人が評価をする多面評価でカギとなるのは、質問項目の設定です。質問項目を適切に設定するためのポイントや内容について説明しましょう。

  1. 評価基準の設定
  2. 被評価者の役職などに応じて質問文をアレンジ
  3. 質問は客観的な行動の有無を問う文面に
  4. 被評価者の能力や人格に触れるような質問は避ける

①評価基準の設定

ひとつめは評価基準です。評価基準を共通認識にすることで、評価に慣れていない人も含め、適切な評価がしやすくなります。

どのようなポイントを評価したいのか

目的を踏まえ、どういったポイントを評価するのかを明確にします。目的に適した評価項目のカテゴリーを設定し、設問数の配分を決めておくことも重要です。

ポイントの重要度で質問項目を絞り込む

評価する質問項目は多すぎないほうがよいでしょう。多くても30項目程度で、回答時間は15分程度が理想です。質問項目はカテゴリーごとに設け、重複するものや重要度が低いものは取り除き、質問項目を絞り込みます。

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②被評価者の役職などに応じて質問文をアレンジ

上司や部下、同僚など被評価者によっては同じ質問で評価できないケースもあります。質問項目は被評価者に応じてアレンジが必要なのです。適切な評価のためにも被評価者の立場によって評価しやすい質問を設定しましょう。

③質問は客観的な行動の有無を問う文面に

質問文は、できるだけ客観的な行動の有無を問うものにします。回答は4~5段階、「わからない」という回答も設け、無理な評価は避けるようにしましょう。

④被評価者の能力や人格に触れるような質問は避ける

フィードバックの際にも配慮が必要な質問文は避けるようにします。被評価者の能力や人格に触れるような質問は、評価がしにくいだけでなく客観的な評価につながりにくいです。


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多面評価のQ&A

上司との対話を主とする一般的な人事評価では、部下の一面しか評価されません。一方、多面評価では、同僚や部下など、上司以外のあらゆる立場の評価者もまじえ、多角的に評価が実施されます。 その手法の特徴から、360度評価とも呼ばれます。一面評価よりも評価の公平性が担保されやすく、正当な評価を実現することにより従業員の評価満足度も高まるでしょう。
多面評価の導入が増えている理由には、ひとつに人事評価制度の限界があります。 評価ミスによる処遇格差の拡大や、人員削減・組織のフラット化などにより、上司が部下のひとりひとりに丁寧に目を向ける時間を取れず、また十分なコミュニケーションも取れないまま評価が行われている現実があります。 多面評価は、現代のビジネス環境に親しみやすい人事評価の手法として、多くの企業によって導入が進められています。
組織内モラルハザードが発生する危険性があります。 互いに良い評価をつけてもらおうと、従業員同士で取引や談合が生じる可能性があります。 また、部下に嫌われたくないからと上司の適切な指導が阻害されたり、マイナス評価をした人物に対して職場内で嫌がらせが発生するなどのリスクもあります。