内勤とは、基本的に社内で業務を行う人やその仕事のことです。ここでは外勤との違いや内勤のメリット・デメリット、内勤で身に付くスキルなどについて解説します。
目次
1.内勤とは?
内勤とは、企業や官庁など勤務先の建物内部で勤務する仕事や、そうした仕事に従事する人を指す言葉です。一般的にはデスクワークを意味します。暑さ・寒さに影響を受けない快適さやコミュニケーションが取りやすいなどのメリットがあります。内勤の対義語は「外勤」で、文字通り建物外で働く人を指します。
内勤のメリット
内勤のメリットとして挙げられるのが、転職のしやすさ。経理や秘書など専門性の高い事務職には、一定数の需要があります。つまり先の現場で身につけた経験を、次の現場に活用しやすいのです。
また内勤のほとんどはデスクワークですので、体力にあまり自信のない人や、身体が不自由な人でも働けます。
内勤のデメリット
デメリットとして挙げられるのは、残業の多さや運動不足などです。エンジニアやクリエイターなどはその中でも最たるもの。経理や内勤営業の場合、繁忙期に業務が集中する場合もあるでしょう。
内勤では長時間同じ体制で仕事をする場合も多いため、身体を動かす時間が少なくなりやすいです。
内勤に対する意見
さまざまなメリットを持つ内勤ですが、「人間関係が閉鎖的になる」「監視されているように感じる」「気分転換がしにくい」といった意見も挙げられます。
社内でのコミュニケーションが中心となる内勤では、苦手な社員との距離が取りづらく、精神的な負担が大きいといった声がある点もまた事実なのです。
2.内勤の反対となる外勤とは?
外勤とは、内勤と反対の働き方で「営業や集金、配達や警備など社外で勤務する」もしくは「仕事そのもの」のこと。顧客の会社に出向いてセールスを行う営業は、分かりやすい外勤の例でしょう。
外勤のメリット
外勤のメリットは、仕事の裁量が自己管理能力に委ねられている点。「何時にどこへ行くか」「打ち合わせ前にどこで何をするか」「昼食はどこで取るか」など、ある程度自由に決められます。
病院や銀行など、自己責任の範囲で平日にしかできない用事もこなせるのです。またさまざまな顧客に会うため、刺激を受ける機会が多い点もメリットでしょう。
外勤のデメリット
実務の特性上、外勤は内勤に比べて行動範囲が広くなるため、必然的に靴やスーツなどの消耗が激しくなります。顧客の都合もあるため、時間外の労働が増えたり、体力勝負となる場面があったりする点もデメリットでしょう。
営業職の場合、パソコンやパンフレットなどの荷物を抱えて移動しなければなりません。
3.内勤として働くうえで必要なスキル
内勤業務の種類は豊富なため、必要なスキルはそれぞれ異なります。ここでは内勤として働く際に必要なスキルを4つ見ていきましょう。
- コミュニケーションスキル
- PCスキル
- 作業の正確性・スピード
- スケジュール管理能力
①コミュニケーションスキル
数ある内勤業務のなかでも共通して求められるのが、コミュニケーションに関するスキルです。内勤は人対人が基本となる業務。社内対応が中心とはいえ、来客応対や外線電話、メールの対応など外部とのやり取りが発生する場合もあります。
指示された内容や要望の意図を汲み取り、正確に理解したうえで遂行できるコミュニケーション能力が必要です。
②パソコンスキル
内勤のほとんどで、書類作成やデータ入力、メール対応などを行うため、基本的なパソコンスキルは必須といえるでしょう。WordやExcelなどを一定レベルで使いこなせるスキルが必要です。
経理や総務など業務内容によっては、簿記や秘書検定、社会保険労務士や医療事務などの資格が必要になる場合もあります。
③作業の正確性・スピード
コミュニケーションスキルと同じく、どの内勤業務にも等しく求められるのが作業の正確性とスピード。内勤では仕事を正確かつ素早く処理し、ほか社員をサポートする必要があります。
入力ミスや計算ミスがないかを都度確認し、後述するスケジュール能力とあわせて締め切りを管理する能力・スキルが求められるのです。
④スケジュール管理能力
一般事務では営業事務や経理事務、人事事務など複数の仕事を兼任する場合もあります。その際自分だけでなく、周囲の進み具合や進捗を確認しながら進めなければなりません。
そのため内勤には、高いスケジュール管理能力が求められます。業務によっては必要な書類の作成から提出のスケジュールまですべてを把握し、必要に応じてほか社員に催促する場合も出てくるでしょう。
4.内勤で身に付くスキルとは?
内勤業務をとおして、どのようなスキルが身に付くのでしょうか。ここでは身に付くスキルを4つ紹介します。それぞれのスキルを磨いていくと、一般事務に留まらないキャリアアップも期待できるでしょう。
- 自己学習では取得できない知識やスキル
- 柔軟なコミュニケーションスキル
- プレゼンテーションスキル
- 社会人としてのビジネスマナー
①自己学習では取得できない知識やスキル
たとえば経理は、一般事務のなかでも比較的専門性が高いです。
そうした経理で用いる簿記は、業務遂行のために必要な経営活動を記録・整理し、経営状態や財政状況を明らかにするスキルです。過去に資格を取得しても、実務で使う機会がなければ当然知識は薄れていってしまうでしょう。
内勤では実際に業務を行うため、知識をより深く鮮度の高いものにしていけます。また社内の先輩や上司から、自己学習では取得できないスキルや専門知識を教えてもらえる場合もあるでしょう。
②柔軟なコミュニケーションスキル
内勤は上司や同僚、後輩や新入社員などさまざまな役職、年代の人と接する業務。接する人たちの立場が異なるため、相手に応じた柔軟なコミュニケーションスキルが身に付くといえるのです。
業務によっては顧客との距離が非常に近くなる場合も。内勤では柔軟なコミュニケーションスキルだけでなく、責任感も身に付きます。
③プレゼンテーションスキル
内勤営業の場合、「顧客に対して商品の詳細やプランを細かく紹介する」「他社商品やサービスと比較検討している顧客から問い合わせを受ける」といった状況が考えられます。
それゆえに、自社の商品やサービスを売り込むためのプレゼンテーションスキルが必然的に身に付くのです。もちろん相手に「伝える」ためには、自分自身の知識を増やし、理解を深めなければなりません。
知識だけでなくプレゼンテーション能力も身に付けば、直接的な会社の売上に貢献できるでしょう。
④社会人としてのビジネスマナー
先に述べたとおり、内勤では上司や同僚、後輩や新入社員などさまざまな立場の人と接します。日々の業務ややり取りをとおして、身だしなみや言葉遣い、姿勢や相手に応じた立ち振る舞いなど、社会人としてのビジネスマナーが身に付くのです。
これは内勤に限らずあらゆる業務、あらゆるシーンに必要なスキルといえます。
5.内勤・外勤どちらを選ぶかは性格や自分のスタイル次第
内勤と外勤にはそれぞれ異なる特徴があり、向き不向きが異なります。どちらを選ぶかは自分の性格や特徴を踏まえたうえで選択するとよいでしょう。自身の特性やスタイルを客観的に見直すと、ストレスの少ない仕事が実現します。
内勤に向いている人
どのような人が内勤に向いているのでしょうか。事務職やエンジニアなどに代表される内勤は、オフィスのデスクでパソコンばかりさわる仕事と思われがちです。しかしその実、社内のコミュニケーションや外線対応などのコミュニケーションも多い仕事です。
「相手に細やかな配慮ができる」「相手が求めていることを的確に聴き出せる」スキルを持った人は、内勤に向いているといえるでしょう。
接客・販売・テレアポの経験がある人
内勤では、自社の商品やサービスを積極的に紹介する場合もあります。顧客の要望をヒアリングし、それに適した商品・サービスを提供する能力が求められる仕事ともいえるのでです。
そのため接客や販売、テレアポの経験がある人などは、そこで得た接客能力を内勤に活用できるでしょう。「人の話を聴くのが好き」「聞き上手な人」も内勤に向いているといえます。
マーケティングスキルのある人
内勤営業では主に、集客・マーケティングを行います。さまざまな顧客層を集め、セールスする仕組みを作る仕事です。顧客に直接訪問せず、社内にいながら営業するスタイルを、近年では「インサイドセールス」と呼ぶ場合もあります。
日本では相互の関係性を構築するためのテレアポ、と捉えられがちですが、「アメリカなどではアプローチから契約締結までの営業フローを完結する」と考えられているのです。
細かい作業をコツコツできる人
経理や総務などの内勤では、専門用語や細かい数字を扱う業務が多々あります。時期や業務内容によっては、同じ作業を黙々とこなさなければならない場合もあるでしょう。
そのためミスなく細やかな配慮をもって業務をこなせる人は、内勤に向いているといえます。
また営業活動に100点の答えはありません。「どうすれば顧客が満足できるか」「悩みを解決できるかなど」をコツコツ考えながら努力できる人も内勤に向いているといえるでしょう。
スピーディーな対応ができる人
内勤は外勤のように顧客に直接訪問しないため、電車や車などを使った移動の時間がありません。つまり顧客は営業の到着を待たない分、スピーディーな対応を期待するのです。
「資料請求や情報提供などのインバウンドを受けてから適切な時間内に返信する」「即日中にメールの送る」など、スピード感を持った対応が求められます。
外勤に向いている人
外勤は社外での業務が中心となり、「きちんと自己管理ができる」「自由な時間を好む」人が多い傾向にあります。
外勤も内勤と同様、もしくはそれ以上にさまざまな人と関わる仕事です。ある種の体力勝負的な側面もありますので、外勤には健康で丈夫な体、また高いコミュニケーションスキルが求められるのです。
たくさんの人に会いたい人
先に少し触れたとおり、外勤が向いている人の特徴に高いコミュニケーションスキルがあります。外勤は日々多くの顧客とコミュニケーションを取る仕事です。「人と会うのが好き」「新しい人脈を作りたい」人は、外勤に向いているといえるでしょう。
一言で顧客といってもさまざまなタイプの人がいるため、タフな精神力も欠かせません。
1人の時間が好きな人
外勤は社外的にたくさんの人と関わる業務である反面、社内の人とかかわる時間が少ない仕事でもあります。業務内容やタイミングによっては1人で過ごす時間が多くなったり、社内の人とのコミュニケーションが不足していると感じたりする場合もあるでしょう。
1人の時間が増える点について気にならない人は、外勤に向いているといえます。
外出好きな人
外勤では自社の周辺だけでなく、さまざまな土地を訪れます。ときには新幹線や飛行機などを使って、これまで行ったことのない土地を訪ねる場合もあるでしょう。
そのため外出が好きな人は、外勤に向いているといえます。各地で話題となった店を知ったり、土地勘に強くなったりするのも可能です。すき間時間を利用して周囲を散策したり、移動の合間にカフェで仕事をしたりと、自由度の高い業務ともいえます。
6.内勤のキャリアアップ
ここでは内勤のキャリアアップについて見ていきましょう。会社によってさまざまとはいえ、内勤の多くは成長に従い、同じ部署内で役職が上がっていきます。さまざまな経験や成長を経て、一般事務からより専門性の高い職種にキャリアアップできるのです。
経理
経理とは、企業におけるお金の流れを管理する仕事です。企業活動を数字で表し、財政状況や企業動向などの分析に役立てます。企業経営を健全に進める上では欠かせない仕事です。
具体的な業務は、日々の入出金管理や伝票の整理、貸借照合表の作成など。専門的な知識やスキルをあらかじめ取得しておく必要はありませんが、業務上専用のソフトを使う機会が多いため、柔軟なPCスキルが求められます。
秘書
秘書の主な役割は、社長や役員などの経営層が行う業務をサポートすること。上司のスケジュール調整や来客対応、社内外の連絡や電話対応、それらに関わる事務作業など、業務内容は多岐にわたります。
具体的な業務内容は、会社やサポートする上司によっても異なります。上司の役職や使用する日本語以外の言語、同業他社の実態や規模など、専門性の高い知識やスキルが求められる場合もあるのです。
必要な知識やマナーを証明する資格もいくつかあります。しかし実務に就くうえで絶対的に必要な資格はありません。
貿易事務
貿易事務とは、海外から商品を輸入したり、国内から海外へ商品を輸出したりする際に必要な事務手続きを行う仕事です。
輸出・輸入の現場を支える仕事として、貿易書類の作成や確認、出荷・納入の管理、外国語でメールや電話のやり取りをするコレポンなどを行います。
貿易事務は内勤のなかでも個人のスキルや適正に関して比較的シビアな業務です。語学力や向上心の有無がはっきりと表れる傾向にあります。
データオペレーション
データオペレーションとは、ExcelやAccessなどを駆使したデータ管理やアウトプットを行う仕事のこと。人材派遣のリーディングカンパニー・パソナが独自に規定した名称で、データ収集から解析、加工・管理など幅広い業務を行います。
また年単位で収集した大規模なデータを扱う場合も。つまり「さまざまなシステムやプログラムを活用しながら、効率よく処理・分析する」ことが求められる仕事なのです。
7.ワンランク上の内勤に必要なスキル
ここまでは内勤に必要なスキルや適性を紹介してきました。ここからは、ワンランク上の内勤に必要なスキルについて見ていきましょう。
先読み力を磨いて、スケジュールをコントロールする
内勤には、上司からの指示やほか社員の依頼を受けて仕事するだけでなく、全体的な流れを見て先々の業務をこなす力も必要です。自身の業務だけでなく周囲の状況を見ながら、前もってスケジュールを管理しましょう。
先読み力を磨けば、ほか社員を助けたり溢れた業務を巻き取ったりしてコントロールできるため、より高い評価を得られます。
会社全体にネットワークを張り巡らせる
一言で一般事務といっても、実務のなかには当然突発的な業務や優先度があります。会社全体にネットワークを張りめぐらせ、ほか社員の状況や全社的な事態を把握できれば、適切なフォローが可能になるでしょう。
継続したフォローができれば、ほか社員から頼りにされ、一目置かれます。それにより会社にとって、「働きやすい職場環境づくり」に欠かせない人材になるのです。