年末調整システムとは? 機能やメリット、選び方を簡単に

年末調整システムでは、各種申告書の配布・回収や計算の自動化、各種帳票の作成など、年末調整の一連業務をシステム上で一貫して行えます。手間のかかる作業を自動化でき、担当者の負担やヒューマンエラーの軽減に有効です。

今回は年末調整システムについて、機能や導入メリット、システムの選び方や導入時の注意点などを詳しくご紹介します。

1.年末調整システムとは?

年末調整システムとは、年末調整の一連の業務を一貫して行えるシステムです。年末調整とは、従業員の1年間の所得を調整する手続きであり、従業員からの申告書を回収や年末調整の計算、源泉徴収票や法定調書の作成など、作業が多岐にわたります。

年末調整システムを使用することで、すべての作業がシステム内で完結し、これにより担当者の業務負担の軽減が可能です。さらに、自動計算機能など細かい作業の自動化によって、ヒューマンエラーの防止にも役立ちます。

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年末調整電子化の義務化とは

2021年1月の申告分から、発行した法定調書が種類ごとにみて100枚以上ある企業を対象に年末調整の電子化が義務化しました。

対象企業は、e-Taxまたは光ディスクなどでの申告が必要です。電子化の義務化対象となる企業は条件があるものの、担当者の負担軽減や業務効率化を考慮すると、対象でなくとも年末調整を電子化することがおすすめです。

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2.年末調整システムの機能・できること

年末調整には、デジタル化できる業務が多くあります。年末調整システムを導入することでさまざまな業務を自動化でき、効率化やミス削減に有効です。ここでは、年末調整システムの代表的な機能・できることをご紹介します。

各種申告書の配布・収集

各種申告書はシステム上で従業員に配布でき、収集まで一貫して対応可能です。印刷・配布・回収する手間が省けるだけでなく、ペーパーレス化にも貢献します。

システムによっては登録データや給与情報から年末調整の対象者を判別してくれるため年末調整の対象者を漏れなく把握でき、書類の配布忘れも防げます。

また、従業員から回収した書類の内容に不備があればシステム上で修正依頼ができ、やり取りの簡略化にも有効です。

提出状況・進捗の一元管理

各種申告書の配布・回収状況や作業の進捗などをシステム上で一元管理します。誰の年末調整をどこまで進めているか、全体の作業はどれくらい進んでいるかなど、業務進捗が可視化されます。

複数人で年末調整業務を進める場合でも、システムで進捗を確認すればどこから対応すればいいかがすぐにわかり、スムーズに業務が進められるでしょう。

入力サポート

申告書は従業員に内容を作成してもらう必要があるものの、紙の書類で配布するとどう作成すればいいかわからないケースも多いでしょう。年末調整システムなら、一問一答形式のアンケートに回答してもらうだけで簡単に申告書が作成可能です。

こうしたサポート機能により、書類作成に関する従業員からの問い合わせ対応への業務負担が削減できます。

過去データの確認・一括出力

システムに登録された情報や前年の申告内容はクラウドに保存されているため、いつでも確認できます。事前に登録された情報に変更があれば、対象項目が自動表示され、変更項目を確認するだけでチェックが完了します。

さらに、年末調整情報はCSVファイルで一括出力でき、表形式でチェックすることも可能です。

給与計算システムとの連携

年末調整システムは多くの場合、CSV・API連携が可能です。給与計算システムのデータを取り込み、かつ自動集計されるため、計算作業の正確性と効率が向上します。給与計算システムと同一サービスの年末調整システムなら、よりスムーズに連携できます。

年末調整の自動計算

年末調整は所得を算出する業務であるため、細かい計算が多いです。しかし、面倒な計算はシステム上で自動化され、正確な数値が算出できます。法令改正内容も自動アップデートされるため、料率の変更などもしっかりと反映されます。

年末調整関連の帳票の出力・提出

源泉徴収票や源泉徴収簿などの年末調整関連帳票の作成を自動化し、その他帳票の作成・回収・管理までもシステムで一貫して対応できます。

また、システムに登録された情報や前年の申告内容は申告画面に自動表示されるため、必要最低限の情報入力だけで各種書類の作成が完成し、そのままシステムから提出することが可能です。

申告書の保管

提出された申告書はシステムのクラウドに保管され、いつでもデータを引き出すことが可能です。また、源泉徴収票は7年の保管期間が定められています。クラウド保管ならオフィスに保管場所の確保が不要なほか、紛失防止にも有効です。

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3.年末調整システムのメリット

年末調整システムを導入することの最大のメリットは、年末調整の正確性と効率がアップすることです。従業員にとっても、申告書の収集や書類作成がかんたんに行えるなどのメリットがあります。

ここでは、年末調整システムの導入による企業側のメリットをみていきます。

年末調整業務が効率化される

年末調整システムがあれば、年末調整の一連の業務をシステム上で完結できます。従業員への各種申告書の配布や回収もシステム上で行え、差し戻しや修正の依頼、その後の回収も一貫して対応可能です。

煩雑になりがちな書類の提出状況や業務進捗の把握もシステム上で一元管理・見える化するため、いつでもやるべきことがクリアな状態です。

従業員側で作成すべき書類も入力サポート付きでかんたんに作成できるため、回収もスムーズになり、担当者も円滑に作業が進められるようになります。

担当者の負担が軽減される

年末調整業務は計算や書類の回収、各種帳票の作成など細かな作業が多いです。システムなら一連の作業の多くを自動化できるため、担当者の負担を軽減できます。

とくに、従業員側で作成してもらう各種申告書に関しては問い合わせも多く、問い合わせ対応には時間を取られがちです。しかし、システムなら従業員の書類作成時に入力サポートがあるため、工数を取られがちな問い合わせ対応の手間を削減できます。

また、システム上に登録してあるデータは自動的に表示されるため、細かなデータの入力の手間が省け、必要最低限の入力だけで書類が作成可能です。

ヒューマンエラーが減る

システムに登録された情報や前年の申告データ、給与計算システムの内容をもとに自動計算されるため、計算の手間と同時にヒューマンエラーの削減が可能です。

計算ミスや入力内容に誤りがあると書類が差し戻されたり、従業員への所得税の還付額が間違ってしまったりと後々大きな手間がかかります。作業量が多いからこそ、自動化によって基本的なミスを削減することが業務効率化につながります。

コスト削減につながる

紙の申告書が不要になるため、用紙代や印刷代がカットできます。また、業務効率化により最低限の人数で年末調整に対応できるようになることで、人件費の削減にも有効です。さらに、書類の保管場所も不要となり、管理場所・コストの削減にもつながります。

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4.年末調整システムのデメリット

一方で、年末調整システムには以下のようなデメリットもあります。

導入・ランニングコストがかかる

システムの導入には、初期費用や利用料がかかります。利用料は月額・年額制となり、一般的には従業員数によって契約プランや利用料が変動します。

想定以上のコストがかかってしまったということにならないよう事前にある程度の予算を決めておき、それに見合ったシステムを導入しましょう。

導入初期は担当者の負担が増える

新しいシステムを導入して最初のうちは、システムの操作方法を覚えたり、マニュアルを作成したりと一時的に担当者の負担が増加します。

また、年末調整システムは従業員側も申告書の作成や提出などで利用するため、入力サポートがあるといえど、初めは使い方に関する問い合わせ対応も多いかもしれません。

導入準備、導入初期の負担軽減のため、担当者内で役割を決めて対応することがおすすめです。

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5.年末調整システムの種類と特徴

年末調整システムは、年末調整機能に特化したものまたは他機能と一体型となったものの大きく2種類があります。ここでは、年末調整システムの種類と特徴を詳しくみていきます。

年末調整特化型のシステム

年末調整特化型は、年末調整業務に必要な機能に特化したシステムです。各種申告書の配布から回収、各種帳票の作成・出力・提出までの一連の業務を効率化する機能が搭載しています。システムがシンプルで使いやすく、比較的安価に導入できる点が特徴です。

給与計算システムと連携できるシステムも多いため、併用して活用できます。

給与計算一体型のシステム

メイン機能は給与計算となり、そこに年末調整の手続きに必要な機能が搭載されているシステムです。特化型システムのように改めてデータを取り込む必要がなく、給与データをスムーズに反映でき、入力の二度手間やミスの軽減に役立ちます。

給与計算システムの新規導入を検討しており、年末調整業務もあわせて効率化したい、給与計算システムのリプレースも検討している場合におすすめです。

労務管理一体型のシステム

労務管理システムに年末調整の手続きに必要な機能が統合されたシステムです。

給与計算のほか、勤怠管理や税金・保険関連の手続きなど、バックオフィス全体の業務効率化に役立つ機能が備わっており、労務管理のデータは年末調整をはじめとしたあらゆる手続きに反映できます。

多機能な分、導入コストが高くなる傾向にあるものの、年末調整業務だけでなく、バックオフィス全体の業務効率化ができるシステムを導入したいという場合におすすめです。

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6.年末調整システムの選び方と比較ポイント

年末調整システムにはさまざまあり、そのなかから自社に合ったシステムを導入することが大切です。以下ポイントをふまえてシステムを比較検討し、自社に合ったものを導入しましょう。

  1. 必要な機能
  2. 導入・ランニングコスト
  3. 外部システムとの連携性
  4. セキュリティ性
  5. サポート体制
  6. システムの使いやすさ・見やすさ

①必要な機能

年末調整システムは年末調整業務に特化したもの、または他機能と統合しているものの主に2種類があります。既存の給与計算システムなどはそのままに、年末調整業務に関するシステムのみ導入する場合は特化型のシステムがおすすめです。

システムを導入してどういった課題やニーズに対応したいのかを事前に明確にすることで、どんな機能が必要かを明らかにできます。導入目的をふまえて、必要な機能がもれなく搭載されているかをチェックしましょう。

②導入・ランニングコスト

年末調整システムは、サービスによって料金もさまざま。コストオーバーしないよう事前にある程度の予算を決めておき、その範囲で選ぶことがおすすめです。機能が多かったり、他システムに統合されたりしているタイプですと、コストも高額になる傾向にあります。

コストをかけて導入したものの使わない機能が多かった、使いにくくコスト以上の効果を見込めないなど、コストパフォーマンスが悪化しないよう注意しましょう。

③外部システムとの連携性

年末調整特化型のシステムを導入する場合は、利用中の給与計算システムなどとの連携性もチェックすることがポイントです。外部システムと連携できるとデータが反映でき、年末調整業務のさらなる効率化に期待できます。

ただし、連携できるシステムでもCSVデータの加工が必要だったり、連携時にシステム上で調整が必要だったりと手間がかかってしまう場合もあるため、しっかりと確認しましょう。

④セキュリティ性

基本的には強固なセキュリティ対策が施されていますが、外部でデータを扱っている以上セキュリティ問題のリスクは0ではありません。

2段階認証や暗号化、自動バックアップやシステムの監視体制など、どの範囲までセキュリティ対策が講じられているかをしっかりと確認することが大切です。

⑤サポート体制

導入初期は、操作に関してわからない点も多いでしょう。製品ページでのサポートメニューが充実しているか、メールやチャットで質問できるかなど、導入後にスムーズに運用するためのサポート体制が整っているかもチェックすることがポイントです。

システムによっては導入支援サービスや導入完全ガイドを提供していたりと、手厚いサポート体制を整えています。

⑥システムの使いやすさ・見やすさ

管理画面が見やすいか、直感的に操作できるかなど、使いやすさや見やすさも重要なポイントです。見にくい、使いにくいシステムはかえって業務効率を悪化させてしまう恐れがあります。

また、とりあえず機能が多いシステムを導入したものの、使いこなせずにかえって操作しにくいといったケースもあるでしょう。導入時は実際にシステムを運用・管理する担当者の意見も考慮し、使いやすいシステムを導入することが大切です。

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7.年末調整システム導入時の注意点

年末調整システムの導入時は、以下のポイントに注意しましょう。

自社に合ったシステムを導入する

導入目的を明確にし、自社に合ったシステムを導入することが重要です。とりあえず代表的なシステムを導入しておけばよいという考え方では、いざ必要な機能がなかったり、管理画面が見にくかったりと導入後にトラブルが起こる可能性があります。

さまざまなシステムを比較検討し、自社に合ったシステムを導入しましょう。

導入後もサポート体制を整える

導入して終わりではなく、導入後は従業員への周知とフォローが必要です。年末調整は従業員に作成してもらう申告書もあり、システムは担当者以外も利用します。担当者を中心にマニュアル作成などを行い、従業員がスムーズに扱えるようフォローできる体制も整えましょう。