ノー残業デーとは?【意味ない?】導入を成功させる方法

ノー残業デーとは、残業をしない日のことです。ここでは、ノー残業デーについてさまざまなポイントから解説します。

1.ノー残業デーとは?

ノー残業デーとは「仕事を定時で終える日(残業しない日)」を、企業が設ける取り組みのことです。

ノー残業デーは、

  • 会社にとっては人件費の削減などの効果を生み出す
  • 労働者にとってはプライベートな時間を確保できる

など、労使双方にメリットをもたらすものと考えられています。

それに加え、ノー残業デーは、効率的な働き方を目指す「働き方改革」全般に大きく関わる、重要な取り組みであると考えられています。

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2.ノー残業デーの目的

ノー残業デーの目的は、大きく3点あると考えられています。

ここでは、ノー残業デーの目的として、

  1. ワークライフバランスの充実
  2. 長時間労働の削減
  3. 業務の効率化

をあげて、それぞれポイントを解説します。

ワークライフバランスの充実

ノー残業デーの目的のひとつは、ワークライフバランスの充実です。
ワークライフバランスとは、仕事と生活の調和がとれており、バランスのよい状態のことです。

ノー残業デーを実施すれば、いつも残業していた時間が、プライベートな時間になります。

趣味、習い事、家族との時間など、各々が充実した時間を過ごすことができます。

長時間労働の削減

ノー残業デーのふたつ目の目的は、長時間労働をなくしていくことです。

少子高齢化による労働人口の減少で働き手が不足する中、長時間労働の慢性化による過労死などが社会問題になっています。

ノー残業デーを実施することで、労働時間の削減、長時間労働が原因となる、メンタル面への影響等の課題解決ができるようになります。

業務の効率化

ノー残業デーの3点目の目的は、業務の効率化です。

従来の働き方であれば、「仕事が終わるまで残業する」といった発想だったものが、ノー残業デーの取り組みで、「残業しないで仕事を終わらせるにはどうしたらいいのか」という発想に切り替わります。

そのため、同じ業務量でも短時間で処理する方法を考えていく中で、業務の効率化ができます。

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3.ノー残業デーの現状

ノー残業デーの現状については、中央労働委員会事務局が、

  • 資本金5億円以上
  • 労働者1,000人以上

の企業380社を対象とした「平成28年賃金事情等総合調査」を発表しています。

調査によれば、「ノー残業デー(ウィーク)を設定」していると回答した企業は165社ありました。

ここでは、ノー残業デーに対する何らかの取り組みを実施している企業の事例をあげて解説します。

大和証券グループ

大和証券グループは、ノー残業デーの取り組みとして19時前退社を実施しています。

具体的には、

  • 支店長以下には19時以降の残業は上司への申請を求める
  • 残業時に人事部からアナウンスがくる

といった取り組みが進んでいます。

カルビー株式会社

カルビー株式会社は、必要な仕事を厳選して短時間で取り組むための施策として、

  • 「16時に帰宅」を指示する
  • 座る席を5時間ごとにコンピューターが指定する
  • 会議室の壁をガラス張りにする

など、あえて社員が落ち着いて仕事ができない環境を作っています。

さらに、自身の価値を上げれば出退勤をすべて自由にするなど、大胆な働き方を進めています。

株式会社IHIエスキューブ豊洲事業所

株式会社IHIエスキューブ豊洲事業所では、週1回ノー残業デーの取り組みを実施しています。

もともと、

  • 基本の就業時間は8:30?17:30
  • 完全週休2日制

を採用していました。

そこに、毎週水曜日の18時に事業所全体を消灯してしまうことで、残業できないようにするノー残業デーを設けました。

消灯する前に仕事を終わらせようと、業務の効率化が進んでいます。

富士オフィス&ライフサービス株式会社

富士オフィス&ライフサービス株式会社は、「リフレッシュデー」と呼ばれるノー残業デーを設けています。

「リフレッシュデー」は、

  • 水曜日
  • 金曜日

に設けられており、この日は定時退社が実施されています。

退社したあとは個々のプライベートを充実させる従業員が多くいます。従業員の心身ともにリフレッシュできる制度がうまく機能しています。

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4.ノー残業デーを導入するメリット

ノー残業デーを導入するメリットがあります。

ここでは、ノー残業デーのメリットを4点あげてポイントを解説します。

生産性の向上

ノー残業デーを導入するひとつ目のメリットは、生産性の向上です。

ノー残業デーを導入することで、

  • 従業員の自分自身が労働する時間に対する意識の向上
  • 就労するに値しない無駄、無意味な残業時間の削減

が実現します。

その結果、

  • 業務の効率化が進む
  • 人件費が削減できる

ことによる生産性の向上といった効果が期待できます。

従業員のスキルアップ

ノー残業デーを導入するふたつ目のメリットは、従業員のスキルアップです。

ノー残業デーを導入することで、従業員はプライベートに使える時間を手にできます。

このプライベートな時間を利用して、

  • 語学の勉強
  • 技術の習得
  • 資格取得

といった仕事に役立つスキルを学ぶことで、従業員がスキルアップしていきます。

従業員のモチベーションアップ

ノー残業デーを導入する3番目のメリットは、従業員のモチベーションアップです。

長時間労働は、過労死や心身の病気などさまざまな問題を引き起こします。

ノー残業デーを導入することで、

  • オンとオフといったメリハリをつけた仕事ができる
  • プライベートの時間を楽しむことができる

ため、仕事に対するモチベーションも高くなります。

優秀な人材の確保

ノー残業デーを導入する4番目のメリットは、優秀な人材の確保です。

少子高齢化による人手不足で、企業は優秀な人材を確保することが難しくなっています。

ノー残業デーを導入し、ライフワークバランスの充実した企業であるとアピールすることで、優秀な人材の採用・継続的な雇用がしやすくなるという側面もあります。

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5.ノー残業デーを導入するデメリット

ノー残業デーを導入するデメリットもあります。

ここでは、ノー残業デーのデメリットを4点あげて解説します。

他の曜日へのしわ寄せ

ノー残業デーのひとつ目のデメリットは、他の曜日へのしわ寄せです。

ノー残業デーで定時退社を強制された場合、終わっていない仕事があれば、それを他の曜日にこなさなくてはならなくなります。

  • 総量
  • やり方

が変わらない場合、ノー残業デーは定時で帰宅できたとしても、他の曜日へのしわ寄せが大きくなります。

顧客対応の不備

ノー残業デーのふたつ目のデメリットは、顧客対応の不備です。

ノー残業デーで社員が定時退社したあとに顧客から問い合わせの電話があった場合、

  • 対応に支障をきたす
  • 対応が困難になる

といったケースも考えられます。

自分の会社はノー残業デーであっても、取引先がノー残業デーであるとは限らない点は、ノー残業デーのデメリットです。

部署・業種によっては導入が難しい

ノー残業デーの3点目のデメリットは、部署・・業種によっては導入が難しいことです。

たとえば、

  • 顧客に合わせた対応を求められる営業職
  • 現場の状況に応じた仕事を余儀なくされる職

では、ノー残業デーを導入することが難しくなります。

社内の管理業務などはノー残業デーを導入できても、一部の職種や部署では簡単に導入できないケースが発生します。

従業員から不満が出る可能性がある

ノー残業デーの4点目のデメリットは、従業員から不満が出る可能性があることです。

仕事の内容や責任の範囲などによっては、残業することが前提となっている仕事もあります。

その場合、残業をしないように命じられることは業務遂行と相反する指示になるため、従業員から不満として表面に出てくる可能性もあります。

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6.ノー残業デーに水曜日が多い理由

ノー残業デーに水曜日が多い理由は、週休2日制度で考えた場合、水曜日が週の真ん中に位置するからです。

  • 月曜日と火曜日に仕事をしてみて週間の仕事のめどを立てる
  • 水曜日のノー残業デーでリフレッシュする
  • 木曜日から週末に向けて業務にまい進する

といったサイクルが企業活動に向いていると考えられているからです。

ノー残業デーで人気がある曜日

2017年のマイナビ学生の窓口調べによれば、ノー残業デーで人気がある曜日について以下のような結果が出ています。

  • 第1位「金曜日」110人(44.2%)
  • 第2位「水曜日」66人(26.5%)
  • 第3位「月曜日」57人(22.9%)
  • 第4位「木曜日」11人(4.4%)
  • 第5位「火曜日」5人(2.0%)

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7.ノー残業デーの形骸化を防ぐ方法

ノー残業デーの形骸化を防ぐ方法があります。

ここではその方法をあげて、それぞれ簡単にポイントを解説します。

周知を徹底する

ノー残業デーの形骸化を防ぐひとつ目の方法は、周知徹底することです。

企業は、

  • 制度を導入する目的
  • 実施する制度の内容
  • 従業員にとってのメリット

などを従業員に対して丁寧に説明します。

ノー残業デーへの取り組みを周知徹底させることで、従業員からの協力も得やすくなり、安定的な取り組みにすることができます。

強制力を持たせる

ノー残業デーの形骸化を防ぐふたつ目の方法は、強制力を持たせることです。

ノー残業デーを従業員の自主性に任せると、残業を切り上げないときがあります。

その場合には、

  • 定時になったらオフィスの電気を一斉に消灯する
  • 時間になったらサーバーを強制的にシャットダウンする

といったように、残業ができない状況を強制的に作り出すことが効果的です。

評価の対象とする

ノー残業デーの形骸化を防ぐ3番目の方法は、評価の対象とすることです。

ノー残業デーを評価・インセンティブと結び付ければ、従業員のやる気を引き出すことができます。

あわせて、

  • ノー残業デー達成には特別加算の賞与を支給する
  • No残業手当を支給する

といった具体的な制度を併用すれば、ノー残業デーの形骸化が防げます。

トップダウンで進める

ノー残業デーの形骸化を防ぐ4番目の方法は、トップダウンで進めることです。

経営トップのノー残業デーを強力に推進している気持ちが従業員に伝われば、会社をあげてノー残業デーに取り組むようになります。

現場に任せるだけでなく、トップダウン形式でノー残業デーを進めることも、ノー残業デー形骸化防止の施策です。