OJDとは、上司が部下に対してマンツーマンで行う教育法で、マネジメント能力の習得や知識の取得、人が自律的に育つ職場を構築することを目指します。
今回は、人事が知っておきたいOJDのポイントと計画の立て方を紹介します。
「OJD」とは?
OJDとは、「On the Job Development」の頭文字をとった言葉で、能力開発のためのトレーニングを指します。経営の戦略に沿って、上司が若手社員を日常業務の遂行の中で教育するシステムで、将来的に必要となる能力の開発を行います。
OJTでは、現在の仕事を進める上で必要な能力の取得を目指しますが、OJDでは将来必要になるマネジメント能力などの習得を行います。
つまりOJDはOJTよりも、長期的な目線に立った人材育成計画であり、「将来どんなキャリアを歩みたいか」といった従業員の希望を汲みながら、キャリアを明確にして共有し、上司の適切なサポートのもとで能力の取得を目指します。
OJTからOJDへ
OJTとは職場内で行われる教育のことで、マンツーマンで上司が部下に対し、業務を遂行するために必要なスキルや知識などを教えます。ただし、部下全員に対してマンツーマンで教育を行うには、上司が多忙すぎて難しいこともあり、「OJD」が注目されるようになりました。
OJDでマネジメント教育を行い「しくみづくり」をすることで、チームリーダーにかかる負担を軽減し、円滑な組織運営をすることができます。
またOJDが注目を集める理由のひとつに、部下を「育てる」のではなく、部下が主体性をもって「育つ」環境を構築できることがあげられます。OJDでは人が自主的に育つ職場を構築し、人に教わるのではなく、自立的な成長を引き出すことを目的としています。
人事担当者は、OJTとOJDを必要に応じて使い分け、チームリーダーの負担を軽減するだけではなく、自律的に育つ職場づくりを心がけましょう。
OJDの計画の立て方
OJDではまず、前述のように長期的な目線に立った計画の立案が必要不可欠です。1年・3年など、年単位での目標を明確にし、キャリアプランを決定します。どんなスキルや知識を身に着けることが必要か、どの時期にどんなマネジメント能力を身に着けている必要があるかを考え計画を立てましょう。
OJDを教育・研修に取り入れる際に注意したいのが、OJDもOJT同様、マンツーマンでの指導が基本という点です。
ひとりひとりに合わせたオリジナルの指導を行うことにより、効果的に教育を行うことができるだけではなく、モチベーションの低下も防ぐことができます。そして、単に知識を教えるだけではなく、仕事に対する姿勢などを一体的に教えることができるのもメリットです。
これらの利点を生かすためにも、OJDは経営戦略をもとに長期的な計画を立てることを心がけ、従業員の希望を取り入れた目標を設定するようにしましょう。