組織改革は、企業が競争力を維持し、成長を続けるために必要なプロセスです。外部環境の変化や業績の低迷、新たな経営目標の設定など、さまざまな要因で改革が求められます。
しかし、組織改革はかんたんではなく、経営陣のコミットメントや明確なビジョンが欠けると失敗するリスクが高まるでしょう。
この記事では、組織改革の目的や成功に導くためのポイント、役立つフレームワークについて解説します。実際の成功事例も交えながら、企業が直面する課題を乗り越えるためのヒントを紹介するのでぜひ参考にしてみてください。
目次
1.組織改革とは?
組織改革とは、企業や組織がその業務プロセスや構造を見直し、効率化や適応力の向上を図るために変革することです。これは単なる組織図の変更に留まらず、企業文化や業務フロー、さらには従業員の意識改革まで多岐にわたります。
急速に変化する市場や技術の進化に対応するために、柔軟な組織構造を持つことが重要です。つまり、組織改革は目まぐるしく変化する現代で生き残るための戦略として欠かせません。
2.組織改革の目的
組織改革の目的は、企業が持続的な成長を遂げ、競争力を維持および強化するための体制を整えること。そのためには、業務効率の向上、従業員のモチベーション向上、企業文化の変革など、幅広い側面から企業全体を最適化することが必要です。
また、業績改善や市場シェアの拡大を目指し、従業員の能力を最大限に引き出すことも目的の一つ。これにより、企業は外部の変化に対応しやすくなり、長期的な競争優位性を確保できるようになります。
3.組織改革を行うタイミング
組織改革を行う適切なタイミングとして、以下の4つが挙げられます。
- 外部環境が大きく変化したとき
- 経営目標を新たに立てたとき
- 業績が悪化したとき
- 組織に変化があったとき
上記の状況が生じた場合は、組織改革が必要になることが多いです。それぞれのタイミングについて詳しく見てみましょう。
①外部環境が大きく変化したとき
組織改革を行う適切なタイミングとして、外部環境が大きく変化したときが挙げられます。
たとえば、デジタル技術の急速な進歩やグローバル化の進展、新型コロナウイルスのような予期せぬ事態の発生など、企業を取り巻く外部環境は常に変化しています。これらの変化に適応するためには、組織改革が必要です。
外部環境の変化に対応できない組織は、競争力を失い、市場での地位を維持することが困難になります。そのため、新しい技術やビジネスモデルの登場、法規制の変更、消費者ニーズの変化などを敏感に察知し、それに合わせて組織の構造や業務プロセスを見直すことが重要です。
②経営目標を新たに立てたとき
企業が新たな経営目標を設定したときも、組織改革を行うべきタイミングです。なぜなら、新しい目標を達成するためには、それに適した組織体制や業務プロセスが必要となるためです。
たとえば、新規事業への参入や海外展開を目指す場合、従来の組織構造では対応しきれない可能性があります。このような場合、目標達成に最適な組織体制を構築するため、部門の再編成や新たな人材の登用、意思決定プロセスの変更などを行わなければいけません。

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③業績が悪化したとき
業績が悪化したときも、組織変革に踏み切る絶好の機会といえます。業績悪化は、現在の組織体制や業務プロセスに問題があることを示唆している可能性があります。この場合、組織改革を通じて業務の効率化やコスト削減を図り、収益性を向上させることが可能です。
たとえば、不採算部門の整理や業務プロセスの見直し、人員配置の最適化などを行うことで、組織全体の生産性を高められます。ただし、単なる人員削減ではなく、組織の強みを活かしつつ、新たな成長戦略を描くことが重要です。
④組織に変化があったとき
経営陣の交代や大規模な人事異動の実施時、人員の削減など組織に変化があったときも組織改革を行う絶好のタイミングです。
とくに新しい経営者は、これまでとは異なる視点や経営哲学を持っている可能性が高く、従業員も新しいリーダーの下で変化を受け入れやすい心理状態にあるため、組織改革に踏み切りやすいといえます。
ただし、急激な変化は混乱を招く可能性もあるため、段階的かつ戦略的に改革を進めるようにしましょう。
4.組織改革が失敗する原因例
組織改革は失敗してさらに状況を悪化させる恐れもあります。そんな組織改革を成功させるため、組織改革が失敗する原因例をあらかじめ把握しておきましょう。組織改革が失敗する原因例としては、以下の4つが挙げられます。
- 経営陣のコミットメント不足
- 明確なビジョンと戦略の欠如
- 組織改革の意図の浸透不足
- 短期的な成果への固執
①経営陣のコミットメント不足
組織改革が失敗する原因の一つが、経営者のコミットメント不足。組織改革させるためには、経営陣が本気でコミットメントしなければいけません。経営陣が組織改革の必要性を十分に理解せず、表面的な取り組みに終始したり現場任せにしたりすると、失敗に終わる可能性が高くなります。
そのため、経営陣が率先して取り組み、その姿勢を従業員に示すことが重要です。また、経営陣は改革の進捗状況を定期的に確認し、必要に応じて軌道修正を行うなど、継続的な関与が求められます。
②明確なビジョンと戦略の欠如
組織改革を成功させるためには、明確なビジョンと具体的な戦略が不可欠です。組織改革の目的や達成したい姿が曖昧だと、従業員の間で混乱や不安が生じ、協力が得られにくくなります。
また、具体的な実行計画がないと、組織改革の進捗管理が難しくなり、結果として中途半端な状態で終わってしまう可能性があります。つまり、経営陣は、組織の現状分析を踏まえた上で、明確な目標と具体的な実行計画を策定し、従業員に分かりやすく伝えることが必要です。

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③組織改革の意図の浸透不足
組織改革の過程では、社内のコミュニケーションが極めて重要です。改革の必要性や目的、進捗状況などを適切に伝えないと、従業員の間で不安や抵抗が生まれやすくなります。
とくに、中間管理職が改革の意図を十分に理解していないと、現場への浸透が困難です。定期的な説明会の開催や社内報などを活用した情報発信、双方向のコミュニケーション機会の創出など、様々な手段を用いて社内の理解と協力を得ましょう。
④短期的な成果への固執
組織改革は、短期間で劇的な成果を上げることは難しく、中長期的な視点が必要です。ただし、経営層が変革の指示を出しても組織が動かなかったり、変革プロジェクトが途中で分断されてしまったりすることもあるため、短期的な成果にもこだわりたいところです。
さらに、組織改革には時間がかかることを理解し、継続することが大切といえます。
5.組織改革のポイント
ここからは、組織改革において欠かせない手法や重要なポイントを紹介します。
- 共感を得やすいビジョンを掲げる
- 組織改革の必要性を従業員に共有する
- 経営陣・管理職がリーダーシップを取る
- ハードとソフトの両軸でアプローチする
- 効果を実感しやすいものから段階的に始める
それぞれは、組織改革を成功させるために押さえるべきポイントですので、詳しく解説します。
①共感を得やすいビジョンを掲げる
組織改革を成功させるためには、従業員が共感できるビジョンを掲げることが重要です。このビジョンは、単なる抽象的な理想ではなく、具体的で測定可能な目標を含むべきです。例えば、「業界トップの顧客満足度を達成する」や「5年以内に上場する」といった明確な目標を設定します。
また、このビジョンが従業員一人ひとりの成長や幸福にどうつながるかを示すことで、より強い共感を得ることができます。ビジョンの策定には従業員の意見も取り入れ、全員で作り上げていく姿勢が大切です。
②組織改革の必要性を従業員に共有する
組織改革を円滑に進めるには、その必要性を全従業員に理解してもらうことが不可欠です。現状の課題や市場環境の変化、競合他社の動向などを具体的なデータや事例を用いて説明し、改革の緊急性を認識してもらいましょう。
また、改革によって得られるメリットを個人レベル、部署レベル、会社全体のレベルで明確に示すことで、従業員の協力を得やすくなります。情報共有の手段としては、全体会議やワークショップ、社内報、イントラネットなど、複数のチャネルを活用することが効果的です。
③経営陣・管理職がリーダーシップを取る
組織改革の成否を左右する最大の要因は、経営陣と管理職のリーダーシップです。経営陣は組織改革の方向性を明確に示し、自ら率先して行動することで従業員の信頼を得る必要があります。
また、管理職は組織改革の具体的な内容を部下に伝え、実行を促す重要な役割を担っています。そのため、管理職向けの研修を実施し、組織改革の意図や進め方を十分に理解してもらうことが必要です。
④ハードとソフトの両軸でアプローチする
効果的な組織改革を実現するには、組織構造や業務プロセスなどの「ハード面」と、組織文化や従業員の意識などの「ソフト面」の両方にアプローチすることが重要です。
たとえば、組織図の見直しやITシステムの導入などのハード面のみを変えるだけでは、社員の気持ちが追いつかず、期待する効果が得られないことがあります。
そのため、企業文化や意思決定プロセス、コミュニケーションスタイルの改善など、「ソフト面」も同時に変えていくことが重要です。ハードとソフトの両軸のアプローチにより、表面的な変化だけでなく、組織の根本的な変革を実現できます。
⑤効果を実感しやすいものから段階的に始める
大規模な組織改革は一朝一夕には実現できないため、短期的に効果が実感できる小さな改革から始め、段階的に規模を拡大していくアプローチが効果的です。
たとえば、特定の部署や業務プロセスに焦点を当てた改革を先行して実施し、その成功事例を従業員に共有して、改革への理解と協力を得るとよいでしょう。
また、各段階で達成可能な小さな目標を設定し、その達成を社内で共有および称賛することで、組織改革への前向きな姿勢を醸成していけます。段階的なアプローチにより、リスクを最小限に抑えつつ、着実に改革を進めることが可能になります。
6.組織改革で役立つフレームワーク
組織改革で役立つフレームワークは以下の3つです。
- マッキンゼーの7Sモデル
- レヴィンの3段階モデル
- ジョン・P・コッターの8段階のプロセス
それぞれのポイントを押さえることで、円滑に組織改革を進められるため、詳しく解説します。
①マッキンゼーの7Sモデル
マッキンゼーの7Sモデルは、組織の7つの重要な経営資源とそれらの相互関係を示したもので、大手コンサルティング会社マッキンゼーによって提唱されたフレームワークです。以下のとおり、「ハードな側面を示す3S」と「ソフトな側面を示す4S」に分類されます。
ハード面の3S(組織構造に関連する要素) | Strategy(戦略) | 組織の目標達成のための計画や方向性 |
Structure(構造) | 組織の階層構造や部門間の関係 | |
Systems(システム) | 日常業務を支える制度や組織内にある仕組みやルール | |
ソフト面の4S(人材に関連する要素) | Shared Values(共有価値観) | 組織の中核となる信念や価値観。ミッション、ビジョン、バリュー |
Style(スタイル) | 企業や組織の風土 | |
Staff(人材) | 経営者や従業員などの人材の資質や能力 | |
Skills(スキル) | 営業力、技術力、製品開発能力など、自社がもつ強みや専門性 |
戦略が明確でも、構造がそれに合っていなければ、組織はうまく機能しません。7Sは、組織のバランスを保ち、変化に対応するための効果的なツールとして広く利用されています。

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②レヴィンの3段階モデル
クルト・レヴィンの3段階モデルは、組織変革を成功させるための基本的なフレームワークです。このモデルは、以下の3つのフェーズで構成されています。
解凍(Unfreezing) | 既存の組織文化や価値観を壊し、変革の必要性を認識させる段階。従業員に変革の意義を理解させ、変化への準備を促す。 |
変革(Changing) | 新しい方法や価値観を導入し、組織の変化を実行する段階。学習や制度構築を通じて、組織全体が新しい方向に進むことを目指す。 |
再凍結(Refreezing) | 新しい方法や価値観を組織に定着させる段階。組織文化や慣行を変更し、変革を持続可能なものにする。 |
③ジョン・P・コッターの8段階のプロセス
ジョン・P・コッターの8段階のプロセスは、組織改革を進める手法として、ハーバード大学ビジネススクールの名誉教授であるジョン・コッター氏が提唱したフレームワークです。8段階のプロセスとは以下のとおりです。
- 危機意識を高める
- 変革推進チームを結成する
- 変革ビジョンを決める
- 従業員にビジョンを共有する
- 従業員のビジョン実現へのサポート
- 短期的目標を設定し成果を上げる
- さらなる変革を推進する
- 変革したアプローチを定着させる
組織改革を円滑に進めるには、メンバー一人ひとりが変化の必要性を理解し、自ら行動を起こすことが重要です。上記の8つのプロセスを順に実施すると、形だけの改革にとどまらず、本質的な組織改革を実現できます。
7.組織改革の進め方
組織改革を成功させるためには、基本のプロセスをしっかり理解することが重要です。ここでは、ジョン・P・コッターの8段階のプロセスを基に、組織開発を効果的に進めるための8つのステップを紹介します。
- 社員に危機意識を高める
- 組織改革をリードするチームをつくる
- 明確なビジョンと戦略を立てる
- 従業員にビジョンと戦略を共有する
- 従業員が行動しやすい環境を整える
- 短期間で成果をあげる
- 成果を基にさらなる改革を推進する
- 変化を企業文化として定着させる
それぞれについて詳しく説明します。
①社員に危機意識を高める
組織改革を成功させるには、まず従業員全員に危機意識を持ってもらうことが重要です。現状のままでは会社の将来が危ういことを、具体的なデータや事例を用いて説明します。
たとえば、業界の動向や競合他社の状況、自社の業績推移などを示し、変革の必要性を理解してもらいましょう。
ただし、過度な不安を煽らないように注意が必要です。危機意識と同時に、組織改革によって得られるメリットや将来の展望も示すことで、従業員のモチベーションを維持しながら組織変革への準備を整えます。
②組織改革をリードするチームをつくる
組織改革を推進するための専門チームを編成しましょう。この専門チームには、組織改革を主導するために必要なスキルだけでなく、人脈があり、周囲からの評判がよかったり求心力があったりする人材を選んでください。
従業員からの反発や抵抗が予想される場合、従業員が正当性を認めやすい人選をすることで、円滑なコミュニケーションを取りながら改革を進められるようにすることが大切です。
また、部門横断的なメンバー構成にすると、組織全体の視点を持った改革が可能になります。
③明確なビジョンと戦略を立てる
組織改革の方向性を示す明確なビジョンと、それを実現するための具体的な戦略を立てましょう。ビジョンは組織が目指す姿を簡潔かつ魅力的に表現したもので、戦略はそのビジョンを達成するための具体的な道筋です。
これらは、経営陣や組織改革の専門チームだけでなく、可能な限り多くの従業員の意見を取り入れて策定することが望ましいでしょう。そうすることで、従業員に共感してもらい、当事者意識を高めて組織改革への理解と協力を得やすくなります。
④従業員にビジョンと戦略を共有する
ビジョンと戦略を立てた後は、それを全従業員に効果的に浸透させましょう。単に文書で周知するだけでなく、経営陣による説明会の開催や社内SNSの活用など、様々な手段を用いて繰り返し伝えることが重要です。
また、組織改革のビジョンと戦略が各部門や個人の業務にどのように関連するかを具体的に示すことで、社員の理解を深めます。質問や意見を積極的に受け付け、双方向のコミュニケーションを心がけることで、社員の参画意識を高められます。
⑤従業員が行動しやすい環境を整える
ビジョンと戦略にもとづいた行動を社員が取りやすくするため、組織構造や業務プロセス、評価制度などの見直しを行います。
たとえば、部門間の壁を低くするための組織再編や意思決定プロセスの簡素化、新しい行動を促進する評価指標の導入などが考えられます。
また、必要なスキルを習得するための研修プログラムの提供や、新しい取り組みに対するリスク許容度を高めるなど、社員が安心して組織変革に取り組める環境づくりが必要です。
⑥短期間で成果をあげる
組織改革が失敗に終わる要因の一つとして、「効果が実感できない」というものがあります。組織改革は長期的な取り組みになることが多く、継続的な努力が求められます。
しかし、従業員がその過程で自分たちの努力の成果を実感できなければ、モチベーションの維持が難しくなり、改革への関心や意欲が薄れてしまいかねません。
そのため、短期間で達成できる目標を設定し、成果を上げることが重要です。さらに、成果は社内で広く共有し、称賛することで、改革の意欲を高めます。
⑦成果を基にさらなる改革を推進する
初期の成功体験をもとに、より大規模な改革へと段階的に拡大していくのは効果的です。成功事例から得られた知見や最善の方法を組織全体で共有し、ほかの部門や領域にも適用していきます。
さらに、変革推進に貢献した従業員を積極的に評価し、報酬を与えることも効果的です。定期的に戦略や施策の見直しを行い、従業員からのフィードバックを積極的に取り入れながら改革の方向性を調整することで、より効果的な変革を実現できます。
⑧変化を企業文化として定着させる
最終的には、組織改革を企業文化として定着させることを目指しましょう。そのためには、新しい行動様式や価値観を日常的な業務の中に組み込み、継続的に強化していく必要があります。
たとえば、人事評価制度に新しい価値観を反映させたり、成功事例を定期的に共有する場を設けたりすることが効果的です。また、新入社員の教育プログラムにも新しい企業文化を取り入れ、長期的な視点で組織全体に浸透させていく姿勢を持ちましょう。
8.組織改革における課題
ここでは、組織改革の際に直面する可能性がある課題について説明します。組織改革を実施しても、従業員に浸透しなければ効果が得られません。予測される課題をあらかじめ把握し、しっかりと対策を講じることが重要です。
- 現場の抵抗と変化への恐れ
- 管理職のリーダーシップの欠如
- 業務見直しによる生産性の低下
現場の抵抗と変化への恐れ
組織改革を進める上で最も大きな障害の一つが、現場の抵抗と変化への恐れです。長年慣れ親しんだ業務プロセスや組織構造の変更は、多くの従業員にとって不安や抵抗感を引き起こしやすいとされています。
とくに自分の地位や権限が脅かされると感じた場合や、新しい業務プロセスや技術を導入する場合に顕著に表れやすいため、注意が必要です。
これらの抵抗を軽減するためには、組織改革の必要性と目的を丁寧に説明し、従業員の意見を積極的に聞く機会を設けることが重要です。また、小さな成功体験を積み重ねることで、変化に対する前向きな姿勢を醸成できます。
管理職のリーダーシップの欠如
組織改革の成否を左右する重要な要因の一つが、管理職のリーダーシップです。しかし、多くの組織では管理職が組織改革の意図を十分に理解していなかったり、リーダーシップを発揮できていなかったりするケースが見られます。
管理職が組織改革の必要性や目的を理解し、部下に適切に伝えられなければ、現場レベルでの改革の推進は困難になります。
この課題に対処するためには、管理職向けの研修や勉強会を実施し、改革の意図や進め方を十分に理解させることが必要です。また、管理職の評価基準に改革への取り組みを含めてインセンティブを設けることも効果的といえます。
業務見直しによる生産性の低下
新しいシステムや業務手順を変更する場合は、全従業員が適応するのに時間がかかり、効率が低下することがひんぱんに起こります。この生産性の一時的な低下を最小限に抑えるためには、段階的な改革の実施や、十分な研修期間の確保が重要です。
生産性の一時的な低下は避けられないものとして認識し、長期的な視点で改革の効果を評価する姿勢も持ちましょう。
9.組織改革の成功事例
最後に、組織改革の成功事例を紹介します。組織変革がどのように実現されたのか、どのようなアイデアやアプローチが使われたのか、を知ることで組織改革を進める参考となるはずです。
ユニクロ
ユニクロは、グローバル市場での成功を目指し、2000年代初頭から本格的なグローバル展開を開始しました。当初は海外での成功に苦戦したため、組織のグローバル化に向けた大規模な改革を実施。
具体的には、英語を社内公用語とする「英語公用語化」や、海外人材の積極的な登用などが挙げられます。東南アジア・豪州事業では、人材育成の強化、少数精鋭の経営体制への変革を進めるとともに、地域の気候に合った商品づくりに力を入れています。
そうすることで、お客様から最も信頼されるNo.1ブランドとなり、グローバルでの飛躍を確かなものにしました。
出典:株式会社ファーストリテイリング「ユニクロの事業戦略」
キリンビール
キリンビールは、ビール市場をリードしてきたものの1994年をピークに市場の縮小が進み、売上が停滞していました。
これを打開するため、布施社長は「新キリン宣言」を発表し、「すべての判断をお客様視点で行う」という新たなマーケティング戦略を掲げ、組織改革に取り組みました。
たとえば、社長がハンズオンで経営人材を育成する「社長塾(布施塾)」を開講し、20代後半~30代前半の若手総合職社員の中から、成長意欲と高いポテンシャルを有する層を選抜し、社長と会社の現状や将来について深く議論する場を設けています。
従来の本社主導のピラミッド型組織を逆転させ、現場や若手社員の声を重視する方針を導入した結果、組織全体の意識が大きく変わり、2020年には過去最高の売上を達成することができました。
出典:キリンビール株式会社「キリンビールの改革~布施改革のこれまでとこれから~」「人材力の強化」
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