オリエンテーションとは、特定のテーマに関する説明や講習を目的として行われる会合。オリエンテーションが持つ複数の意味や定義、使用シーンなどについて解説します。
目次
1.オリエンテーションとは?
オリエンテーション(Orientation)とは、もともと「ものごとの方向性を定めること」「環境などに順応すること」を指す英語。たとえば広告業界では、「広告の依頼主が業者へ行う説明」という意味で使われています。
ビジネスにおけるオリエンテーション
ビジネスにおけるオリエンテーションは「オリエン」とも略され「新人向けの講習会や説明会」という意味で使われるのが一般的です。以下のような説明をするときオリエンテーションが行われます。
- 経営理念や方向性など企業にとっての基本事項
- 配属する部署での基本的な業務の内容やルール
- 新規の案件に関する決まりごとや指示
2.オリエンテーションとガイダンスの違い
オリエンテーションと「ガイダンス」は、いずれも「説明会」を意味するため、混同されやすい言葉です。しかし詳細な意味合いにおいて明確な違いがあります。
ガイダンスとは?
初心者向けのごく初歩的な説明を行うこと、あるいはその目的で開かれる説明会そのもの。
何かの機器を操作する際、「ガイダンスにしたがって進めてください」といった指示を聞いたことはないでしょうか。つまりガイダンスの目的は、その場の状況にあった適切な行動を取らせることなのです。
違い
ガイダンスとオリエンテーションの違いは、参加する人の習熟度や理解度。
ガイダンスは、自力で次に起こすべき行動について判断するのが困難な人に向けています。一方、オリエンテーションの目的は基本的な知識を有している人がさらに理解を深めること。そのため参加者にはある程度の習熟度と理解度が求められます。
3.オリエンテーションをやる意味・目的
企業におけるオリエンテーションの主な目的は、新入社員に自社への理解を深めてもらうこと。目的はさらに以下3つに細分化できます。
- 自社への理解
- 社員の意識統一
- 人間関係の構築
①自社への理解
自社への理解を深めてもらうため、新入社員オリエンテーションを実施します。目的は、「自社の体制」「基本的なルール」「企業としての価値観」などを伝え、日々の業務に役立ててもらうことです。
そのため実際の業務に携わる前の入社直後に実施されるのが一般的で、新卒の入社式当日にオリエンテーションを行う企業も多く見られます。
②社員の意識統一
新入社員と企業の意識を統一するのもオリエンテーションの目的です。自社の理念や方針、今後の研修に対する方向づけなどを、オリエンテーションで共有し、自社の一員としての意識を持たせます。
そのため新入社員を対象として行われるのが一般的です。しかし企業の方針や経営戦略などに大きな変化が生じたときは、全社員を対象に行います。
③人間関係の構築
オリエンテーションには、人間関係の構築という狙いもあります。同期や上司も参加すれば、これから一緒に働く新入社員といち早くコミュニケーションを取れるからです。
オリエンテーションで面識を作っておくと、その後の研修や業務を円滑に進められるでしょう。入社日に行われるオリエンテーションに新入社員の自己紹介やアイスブレイクを含める企業も、少なくありません。
4.オリエンテーションの内容例
一般的にオリエンテーションは配属前に行われます。しかし内容によっては配属後に行うこともあるのです。ここでは配属前のオリエンテーションについて、内容例を説明します。
- ビジネスマナー
- 会社概要や社内制度、規則などの説明
- コンプライアンス
①ビジネスマナー
ビジネスマナーを学ぶ場として、オリエンテーションを活用できます。たとえば挨拶や敬語、電話対応やビジネス文書などを学ぶ基礎的なビジネスマナー研修です。
またビジネスマナーを通じて、時間管理や報連相(報告、連絡、相談)といった仕事そのものに対する姿勢を学ばせるのも目的になります。よってビジネスマナーを学ぶオリエンテーションは配属前に実施されるのです。
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②会社概要や社内制度、規則などの説明
企業そのものに関する基本事項は多くの場合、以下の3点です。
- 企業の概要:企業としての「文化や価値」「歴史」「チーム構造」など。知ることで企業そのものに対する理解度を深めてもらう
- 社内制度:「勤務時間」「休暇日」「保険」「キャリア形成のためのサポート」など。社内制度を設けている企業では、その詳細についても説明
- 規則:「安全性」や「セキュリティ対策」など。就業時に順守すべき規則について説明
③コンプライアンス
昨今、社員個人の軽率な言動がもとで、自社の信頼を大きく失うこともあります。
そこで企業の一員として、また一社会人としても順守すべきコンプライアンスを周知する目的で「法令順守」「違反リスク」「情報の取り扱いに関するルール」「企業価値との関連」などを学ぶのです。
具体的なコンプライアンス違反事例を用いたケーススタディを実施する場合もあります。
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企業内では、
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業務マニュアル
など規則や決まりごとを守り経済活動を行うことを含...
5.オリエンテーションのやり方と形式
一般的にオリエンテーションは座学形式で行われます。しかし実施形式に決まりはありません。ここでは一般的なオリエンテーションのやり方と形式について説明します。
実施のタイミング
一般的な新入社員向けオリエンテーションのタイミングは、内定式後か入社式当日。内定式後の場合は日程を決めて内定者を集め、両日における経営層や上司などのスケジュールを調整するといった手間がかかります。
入社当日の場合は基本、入社式に続けて行うため、手配の手間を減らせるでしょう。なおいずれのタイミングでも、オリエンテーションの内容はさほど変わりません。
形式
内容に合わせて参加者が理解を深められる形式を選ぶとよいでしょう。ここでは4つの形式を説明します。
- Off-JT
- ゲーム形式
- ケーススタディ
- 内定者懇親会
①Off-JT
職場から離れて実施される研修のことで、「Off The Job Training」の略です。大きな会議室に新入社員を集め、社内の社員あるいは外部講師などが講習を行います。
多くの参加者に同等の知識やスキルを一括で付与できるため、新人社員だけでなく既存の全社員へ行う一斉研修などにも用いられるのです。
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②ゲーム形式
レクリエーション色のあるゲームを取り入れる形式のこと。参加者の緊張をほぐし、コミュニケーションを活性化できます。とはいえただのお遊びゲームではなく、人間関係やチームワークの構築に役立つものがオススメです。
たとえば「参加者同士が対話を通じてお互いの共通点を探すゲーム」「謎解き脱出ゲーム」「NASAゲーム」などが挙げられます。
③ケーススタディ
実際の業務中あるいは他社で起こった事例を挙げながら、原因や対処法、対策などについて学ぶこと。たとえばトラブルやヒヤリハットなどが挙げられます。オリエンテーションの参加者同士で、最適な対処や対策を話し合うのが一般的です。
論理的な思考力を養えるうえ、実務で同様の問題が発生した際の対応力が身につきます。
④内定者懇親会
懇親会に近い形式で、食事会や交流会、あるいはグループワークなどで実施されます。メリットは、内定者が入社前に社内の雰囲気に直に触れられること。よくある内容は、食事会ならばただの食事会ではなく、コミュニケーションを取りやすいバーベキューです。
交流会ならば既存社員もくわえた座談会やゲーム、グループワークならば新商品や新事業の提案などが相互理解や自社理解に役立ちます。
6.オリエンテーションに参加する際の服装
オリエンテーションは指定された服装で参加するのが基本です。ここではオリエンテーションに適した具体的な服装について説明します。
男性の場合
男性はリクルートスーツを着ていくのがもっとも無難な選択でしょう。黒やネイビーなど落ち着いた色の無地スーツに、白いワイシャツ、シンプルな柄のネクタイ、革靴で臨みましょう。またオリエンテーションで配布されるA4サイズの資料が入るカバンも必要です。
なおオフィスカジュアルを指定されていたとしても、スーツに準じるコーディネートが基本となります。レザーやデニムなどの素材は避け、ジャケットと襟のあるシャツ、スラックスなどの組み合わせが基本です。
女性の場合
女性もリクルートスーツで問題ありません。オフィスカジュアルを指定された場合は、落ち着いた色のジャケットと白ブラウス、ひざ下丈のスカート(あるいはスラックス)、ヒールのパンプスなどの組み合わせがオススメです。
コーディネートに迷ったらパンツスーツを選ぶとよいでしょう。原色といった派手に見える色の使用や肌の露出は極力控えます。アクセサリーをつけるのはNGではありません。しかし派手にならないようデザインや数に注意します。
服装自由の場合
服装自由と規定されていても、基本はスーツを着ていくと考えたほうがよいでしょう。オフィスカジュアルでも問題はないものの、コーディネートを考える手間を踏まえると、やはりスーツが最善の選択といえます。
オフィスカジュアルでは、男女問わず黒やネイビー、ダークブラウンやダークグレーなどベーシックなカラーをベースにまとめるのが基本です。女性は服装に合わせた髪型や小物、靴を選ぶ必要もあります。
7.オリエンテーションの効果を高める方法
せっかくオリエンテーションを行うのなら効果を最大化したいもの。ここではオリエンテーションの効果を高める3つのポイントを説明します。
- オリエンテーションの実施目的を明確化
- 十分な準備
- オリエンテーション後のサポート
①オリエンテーションの実施目的を明確化
形だけのオリエンテーションを避けるためにも、本来の目的を明確にしておきましょう。たとえば「オリエンテーションをとおして新入社員に何を身につけさせるか」といったものです。実施目的が明確になれば、具体的な内容や最適な形式を選べます。
②十分な準備
準備不足で円滑にオリエンテーションを進行できないと、新入社員が「この企業は大丈夫か」と不安を抱いてしまいます。とくに「段取り」「必要な備品の用意」「当日配布する書類の作成」などは早い段階で準備に取り掛かかりましょう。
また当日までに新入社員側が当日までに済ませておくこと(書類の署名や捺印、ツールのアカウント設定など)があれば、こちらも事前に通知しておきます。
③オリエンテーション後のサポート
早く仕事に慣れてもらうためには、オリエンテーション後のサポートも不可欠です。たとえば「バディ制度」や「メンター制度」を導入する方法があります。
- バディ制度:新入社員一人ひとりに専属社員がついて業務内容やルールなどを教育していく制度
- メンター制度:新入社員一人ひとりに専属社員がついてメンタルケアや質疑応答などを行う制度
このようなサポート体制があれば、新入社員は安心して仕事に臨めるでしょう。
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