企業が人員の削減を進めようとしたとき、従業員の理解を得るために行う「アウトプレースメント(再就職支援)」が注目を集めています。
今回は、人事担当者が押さえておきたい、スムーズな人員削減のために欠かせないアウトプレースメントを紹介します。
「アウトプレースメント」とは?
アウトプレースメントは、人員の削減対象となった社員に対して、再就職先を見つけるための手伝いをすることで、雇い主であった企業が、外部の人材派遣会社などに依頼して就職先を見つける支援を任せることです。
面接の指導やスキルアップ、そしてカウンセリングなどのコンサルティングを行い、再就職先の斡旋をします。
アウトプレースメントを外部委託する際には、人員削減を行う企業がアウトプレースメントに掛かる費用を負担するのが一般的です。
ただし、必ずしも再就職に繋がらないケースもあるので、退職する従業員が過度な期待をしないよう、正しい説明を心がけましょう。
会社の人員削減と再就職支援
アウトプレースメントを利用している企業の多くは大企業であり、安定した企業から離れたくないという希望を持つ従業員も珍しくありません。
そのため、人員削減の対象になった従業員ともめるケースは非常に多くあり、退職金の上積みや再就職支援など、従業員が早期退職に理解を示してくれるような制度の整備が必要不可欠です。
特に日本では、正社員の解雇について厳しく制限をしており、退職を強要するといった違法行為をした企業が社会問題となっています。
つまり、従業員をリストラするためには、再就職支援を行い従業員に納得をしてもらった上で退職手続きを進める必要があるのです。
アウトプレースメントを外注する際の注意
アウトプレースメントは、単なる職業紹介にとどまらず、対象となった従業員のスキルやライフプランから、再就職に必要なスキルを導き出して教育を行います。
もちろん、面接の対策や履歴書・職務経歴書の書き方といった、転職活動に欠かせない支援も行い、その上で再就職先を紹介します。
このような手順を踏むことで、採用のミスマッチをなくし、スムーズな再就職へ繋げるのがアウトプレースメントです。
しかし、人員削減の対象となる従業員は、問題を抱えているケースもあり、再就職先がなかなか決まらないこともあります。
また、会社の人員削減をスムーズに進めるためには、企業側の希望だけではなく従業員がその人員削減を受け入れることが必要です。
アウトプレースメントでは、対象の従業員1人に対し、約1年間の支援に100万円程度のコストが掛かります。割り増しの退職金を支払うよりもコストはかかりませんが、メリットやデメリットをしっかりと考え、対象者となった従業員が納得して離職してくれるよう配慮しましょう。
そのためには、人事担当者は単に選択肢を用意するだけではなく、従業員ひとりひとりに向き合うことも重要なポイントとなっています。