パパママ育休プラスとは?【制度をわかりやすく】いつから

パパママ育休プラスとは、育児と仕事を両立するための制度です。ここではパパママ育休プラスについて解説します。

1.パパママ育休プラスとは?

パパママ育休プラスとは、子育てをしながら働き続けられるよう、仕事と家庭が両立できる職場環境を整備する制度のこと。ここでは下記3つについて解説します。

  1. パパママ育休プラスの制度内容
  2. 育児休業の期間
  3. 育児休暇との違い

①パパママ育休プラスの制度内容

両親がともに育児休業を取得する場合、原則、子が1歳までの休業可能期間が、子が1歳2カ月に達するまで延長できるというものです。

それにより「両親が交代で切れ目なく育休を取る」「両親2人で同時期かつできるだけ長い期間、育休を取る」といった希望が実現できます。

②育児休業の期間

育児休業の期間は、子の1歳の誕生日の前日(1歳到達日)までの期間内です。育児休業等取得日数が育児休業取得可能日数を超えた場合、その日にて育児休業が終了します。

育児休業等取得日数は「出生日以後における産前・産後休業期間の日数」「育児休業を取得した日数」を合算した日数です。

③育児休暇との違い

パパママ育休プラスと育児休暇との違いは、取得期間にあります。

  • パパママ育休プラス:両親がともに育児休業をする場合、別途一定の要件を満たせば,育児休業の対象となる子の年齢が、1歳2カ月になるまで延長される
  • 育児休暇:子が1歳に達する(誕生日の前日)まで

パパママ育休プラスとは、両親がともに育児休業を取得する場合、子が1歳2カ月に達するまで延長できる制度です

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2.パパママ育休プラスを利用した際の収入はどうなる?

パパママ育休プラスを利用した際、収入は育児休暇中と同様の扱いになります。ここでは下記3つについて解説します。

  1. もらえる給付金の内容
  2. 具体的な給付率
  3. 所得減少への対応

①もらえる給付金の内容

パパママ育休プラスを利用した際、育児休業の開始日から起算した1カ月ごとの支給単位期間に支給されます。支給対象となる育児休業期間に、産後休業期間である出産日翌日から起算した8週間は含まれません。

男性が配偶者の出産当日より育児休業を開始した場合、育児休業給付金支給の対象となります。

②具体的な給付率

夫婦それぞれにて育児休業開始日から180日目までは、賃金月額の67%となります。たとえばママが6カ月間取得後、パパが6カ月間取得した場合、両親あわせて子が1歳2カ月まで67%の給付金を受け取れるのです。

これは手取り賃金の約8割に相当する金額となります。

③所得減少への対応

パパママ育休プラスを利用している間、所得が減少するでしょう。その対応として、産前産後休業時と同様に保険料が免除されるのです。免除要件は下記のとおりで、保険料負担の全額が免除されます。

  • 被保険者が育児休業等を取得している
  • 育児休業等を開始した日の属する月から、育児休業等が終了する⽇の翌⽇が属する⽉の前月まで

パパママ育休プラス利用中は育児休暇中と同様、賃金月額の67%が給付されます。保険料も全額免除になるのです

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3.パパママ育休プラスのメリット【企業】

パパママ育休プラスは企業側にもメリットがあります。下記3つについて解説しましょう。

  1. 企業イメージの向上
  2. 従業員の意欲向上
  3. 生産性の向上

①企業イメージの向上

パパママ育休プラスを制度として設けていれば、「子育て中の両親を積極的に応援している」というメッセージになります。それによって企業のイメージが向上するのです。

ファミリー・フレンドリー企業

ファミリー・フレンドリー企業とは、「仕事と育児、介護が両立できる制度を備えている」「多様でかつ柔軟な働き方を選択できるような取り組みを行っている」企業を、厚生労働省が表彰するもの

具体的には「両立指標のファミリー・フレンドリー・サイト利用等による活用を推進」「厚生労働大臣賞などの表彰」などを行っています。

②従業員の意欲向上

育児を理由に離職する必要がなくなれば、離職率も低くなるでしょう。「育児と仕事が両立できる働きやすい職場」といった認識が広まれば、下記が期待できます。

  • 会社へのエンゲージメントが高まる
  • 仕事の質や生産性が向上する
  • 組織全体の士気が高まる

③生産性の向上

パパママ育休プラスで法定を上回る育児休業期間を設定すれば、従業員のモチベーションを向上させるとともに、従業員一人当たりの売上高を伸ばす効果も期待できます。制度をほか人事施策と組み合わせながら運用すれば、より高い生産性も実現できるでしょう。

パパママ育休プラスの企業側のメリットは、企業のイメージが向上すること。それにくわえて従業員の意欲も高まり、生産性の向上も期待できます

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4.パパママ育休プラスのメリット【従業員】

パパママ育休プラスは、従業員側にも大きなメリットをもたらします。ここでは下記3つについて解説しましょう。

  1. 産後のママのサポート
  2. ママが職場復帰しやすくなる
  3. ワークライフバランスの向上

①産後のママのサポート

出産、育児は子育てママに大きな負担を強いるもの。パパママ育休プラスでは、育児休業の対象となる子の年齢が1歳2カ月になるまで育児休業を延長できます。これは産後のママの負担軽減に大きく役立つでしょう。

②ママが職場復帰しやすくなる

ママが仕事復帰する際、子の保育問題は大きな壁になりがちです。パパママ育休プラスがあれば、子の年齢が1歳2カ月になるまでパパに子の面倒を見てもらえます。

③ワークライフバランスの向上

育児と仕事との両立は、子を持つ親の最大の悩み。しかしパパママ育休プラスを活用できれば、子育て時間を確保できます。仕事と育児の二者択一ではなく、両方のバランスを保った生活が実現できるのです。

パパママ育休プラスの従業員側のメリットは、「産後のママのサポート」「ママが職場復帰しやすくなる」「ワークライフバランスの向上」の3つとなります

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5.企業がパパママ育休プラスを導入するためのポイント

企業がパパママ育休プラスを導入するためには、何に気をつければよいのでしょう。ここでは3つのポイントについて解説します。

  1. 自社の両立支援制度を整備する
  2. 働き方の見直しをする
  3. 制度が効果的に運用できる環境をつくる

①自社の両立支援制度を整備する

法律で定められているとおり、下記のような両立支援制度が就業規則に明文化されているか、確認しましょう。

  • 育児のために仕事を休める制度
  • 育児期の従業員の転勤に一定の配慮を求める制度
  • 子の看護休暇

②働き方の見直しをする

テレワークの導入といったように、企業の働き方は進化するもの。「勤務時間の短縮」「多様就業型ワークシェアリングの普及」「パートタイム労働者といったライフスタイルに応じた働き方の推進」などの観点から働き方を見直します。

③制度が効果的に運用できる環境をつくる

ただ育児と仕事のための両立制度を設けるだけでなく、「パパママ育休プラス制度の周知」「職場内での意識改革」「相談窓口の設置といった制度利用の促進対策」についてもあわせて取り組みます。

パパママ育休プラスを導入するためのポイントは、「自社の両立支援制度を整備する」「働き方の見直しをする」「制度が効果的に運用できる環境をつくる」の3つです

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6.パパママ育休プラスの申請方法

パパママ育休プラスは、どのように申請すればよいのでしょう。下記4つについて解説します。

  1. 取得条件
  2. 提出する人
  3. 取得に必要な書類
  4. 提出先

①取得条件

パパママ育休プラスを取得するには、以下の条件を満たす必要があります。いずれかが欠けてしまうと取得できないため、注意が必要です。

  • 子が1歳に達するまでにパパママが育児休業を取得している
  • 育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前である
  • 育児休業開始予定日は、パパママがしている育児休業の初日以降である

②提出する人

事業主はあらかじめ申請書類や添付書類を用意し、対象労働者の子が1歳の誕生日の前日を含む支給対象期間までの支給申請時に用意した書類を、ハローワークに提出します。不備があると手続きできなくなる場合もあるため、事前の準備が重要です。

③取得に必要な書類

パパママ育休プラス取得に必要な書類は、下記のとおりです。

  • 育児休業手当金請求書
  • 住民票の写しといった、支給対象者の配偶者を確認する書類
  • 配偶者の育児休業取扱通知書の写し、または配偶者の疎明書等配偶者が育児休業取得の確認書類(配偶者が雇用保険の育児休業給付金を受給していない場合、または支給申請書に配偶者の雇用保険被保険者番号の記載がない場合に限る)

④提出先

パパママ育休プラス取得の書類を提出する先は、事業所の所在地を管轄するハローワークです。申請書類だけでなく、添付書類もあわせて提出します。

提出期限ギリギリにならないよう、余裕を持ったスケジュールで行いましょう。そのためにも制度を利用する従業員に、事前に準備する書類について早めに連絡します。

パパママ育休プラスには、申請方法があります。取得条件や申請書類などを事前に確認し、早めに手続きを行いましょう

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7.パパママ育休プラス取得の具体例

続いてパパママ育休プラス取得の具体例を、見ていきます。

  1. パパとママが交互に育休を取得する例
  2. パパとママが同時にできるだけ長く育休を取得する例
  3. 子が9カ月から1歳5カ月までパパが育児休業を取得する例

①パパとママが交互に育休を取得する例

  • ママが8週間の産休をとった後、産休と育児休業合わせて1年間の育休を取得する
  • ママの育児休業が終了した直後、今度はパパが2カ月の育休を取得する

このように両親が交代で切れ目なく育休を取る場合、子が1歳~1歳2カ月まで取得できます。

②パパとママが同時にできるだけ長く育休を取得する例

  • ママが8週間の産休を取ったあと、産休と育児休業あわせて1年間の育休を取得する
  • ママの育児休業が終了しないうちにパパが育児休業を開始し、ママの育児休業が終了後も2カ月間、育児休業を継続する

このように、両親一緒に長期間の育休を取るのも可能です。

③子どもが9か月から1歳5か月までパパが育児休業を取得する例

  • ママが8週間の産休後育児休業を取得していたが、産休と合わせて1年経たないうちに職場復帰
  • パパはママが職場復帰したあと、少し間を空けて子が1歳2カ月になるまで育児休業を取得

ママとパパの育児休業が連続していなくても、パパママ育休プラスを取得できます。

パパママ育休プラスには、いくつかの取得方法があるのです。具体例からどのようなケースが認められるのか確認しておきましょう

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8.パパママ育休プラスに関する疑問

パパママ育休プラスは、比較的新しい制度であるため、制度内容が浸透しておらず、さまざまな疑問が生じるでしょう。ここでは下記3つの疑問について解説します。

  1. パパかママが専業主婦(夫)だと取得できない?
  2. 会社に育児休業制度がない場合はどうなる?
  3. 何歳までなら延長可能?

①パパかママが専業主婦(夫)だと取得できない?

どちらかが専業主婦あるいは専業主夫の場合、パパママ育休プラスは取得できません。それはパパママ育休プラスが、「パパママのどちらも会社に所属している」「パパママのどちらも育休を取得する」点が前提となる制度だからです。

②会社に育児休業制度がない場合はどうなる?

育児休業制度がなくても、適用除外者以外は制度を利用できます。育児休業制度は、平成7(1995)年4月1日から就業規則規定の有無にかかわらず、全事業所を対象として義務化されているのです。

よって事業主は、対象となる労働者から育児休業の申し出があったとき、これを拒めません。

③何歳までなら延長可能?

最大2歳までです。パパママ育休プラスでは、子が1歳2カ月まで休業できます。しかし保育所に入所の申込を行っていたり、当面入所できない旨が通知されたりする場合、最長で子が2歳まで延長できるのです。

別途要件が定められているので、延長を希望する場合はしっかり確認しましょう。

比較的新しい制度であるパパママ育休プラス。制度概要をしっかりと理解して、適切に運用しましょう