人事異動とは? 目的や実施時期、決め方と手順、拒否はできる?

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人事異動とは「企業が人事権を行使して、従業員の配置や勤務条件を変更すること」です。ほとんどの場合、配置転換と同じ意味合いで用いられますが、なかには採用や離職も含めて人事異動と呼ばれることもあります。

この記事では、人事異動の目的から実施方法まで、人事担当者が知りたい基本を解説します。

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1.人事異動とは?

人事異動とは、企業が従業員に命じ、その配置や地位を変更することです。主には配置転換(転勤、昇格・降格、役職への任命、出向など)を意味しますが、採用や解雇なども含め、総称して「人事異動」ということもあります。

人事異動は法律上にも定義は存在しませんが、権利濫用や差別の禁止など、いくつか特別な定めがあります。人事権の行使においては細心の注意を要するでしょう。

人事異動の分類

統一的な定義はないものの、人事異動を大別すると「企業内の人事異動」と「企業間の人事異動」のふたつに分けることができます。

  1. 企業内の人事異動:企業内部における職位変化を意味する人事異動
  2. 企業間の人事異動;出向・転籍といったグループ企業間などで実施される人事異動

つまり人事異動には、組織内の小さな異動から、組織を越えた大掛かりな異動まで、目的に応じてさまざまな形態が存在します。

それでは次章にて、どのような目的において異動は実施されるのか、組織が人員構成を見直す背景を確認しましょう。

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2.人事異動の時期

組織ごとに異動の実施傾向には偏りがあるため、実施する時期を一概にいうことはできません。年間を通じて、いつ異動が決定してもおかしくないといえるでしょう。

ただし全国的な傾向として、事業年度を終えたあとの期首に執り行う企業が多く見られます

4月1日付け・10月1日付けが多い理由

日本の企業の多くは、決算期を目処に人事異動を実施する傾向があります。

決算の時期は企業により異なりますが、通例では3月や9月に行います。その場合、決算後の期首である4月1日付け、または10月1日付けで人事異動を執り行うことが多くなります。

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3.人事異動を行う目的

企業には多様な資質の人材が集まり、その人材をいくつかの部門に編成して、経営者は事業活動を行います。人員構成に変化を加える人事異動とは、どのような目的のもとに実施されるのでしょうか。

4つのポイントから解説します。

①組織開発

部署を創設したり廃止したり統合したりなど、企業は経営戦略に合わせて組織図をつねに更新し、人員を配置し直します。

人事異動は、組織内で人的資源を有効活用するための手段のひとつです。ときに採用活動や人材育成もまじえながら、人材を再編成し、組織力を向上します。

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②人材開発・タレントマネジメント

とくにジェネラリストを育成する方針の企業では、人材開発のためにジョブローテーションが盛んに実施されます。人事異動を定期的に行い、さまざまな環境を経験させることで、人材は多面的なスキルを養うことができます。

また、人材の適性を見極めて配置転換することで、これまで成果を出せていなかった人材が、新しい環境で能力を発揮できるようになるケースもあります。適材適所の配置を行うタレントマネジメントの一環として人事異動を効果的に活用する企業も増えています。

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③スキル管理

組織内のスキル・経験のアンバランスを解消することを目的に、異動を実施することもあります。

企業にはさまざまな年齢や性別の人材が入り組んでおり、その配置を定期的に更新することで、組織内のスキルの偏りやばらつきを是正することができます。

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④健全性の維持

同一の職場勤務が長くなると、技術の向上やノウハウの蓄積を期待できる反面、後進の育成が停滞したり、取引先との癒着が問題になったりすることがあります。

組織の新陳代謝をよくするために人事異動を活用し、業務のマンネリ化を防止するなど、組織に新しい風を送り込もうとする企業が増えています。

そのほか、心身に負担をかけやすい業務の担当者を数年ごとに入れ替える目的などで、人事異動を実施している例もあります。

人事異動でこれらの目的を達成するには、組織の人材状況を把握している必要があります。

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4.人事異動の種類

前述のとおり人事異動は「I. 企業内の人事異動」と「II. 企業間の人事異動」という2種類に分けることができます。それぞれ具体的にはどのような種類の異動があるのか、さらに5つの手法に分類し、代表的な例をみていきましょう。

I. 企業内の人事異動

  1. 転勤
  2. 昇格・降格
  3. 職種変更

II. 企業間の人事異動

  1. 出向
  2. 転籍

I. 企業内の人事異動

人事異動によって従業員の職務内容や勤務地などに変更を加えることを「配置転換」といいます(ローテーションや配転とも呼ばれます)。

企業が実施する配置転換には、下記「転勤」「昇格・降格」「職種変更」の主に3つがあります。

①転勤

勤務地に変更がともなう配置転換のことを転勤といいます。

転居を伴う異動のイメージが強いですが、転勤はかならずしも住所変更を求めるものとは限りません。たとえば新宿支店から渋谷支店への異動など、従業員の私生活に影響をあたえにくい規模の転勤も含め、大小さまざまな形態があります。

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②昇格・降格

等級変更も配置転換のひとつに数えられます。

組織の下位職階から上位職階に異動したり、逆に上位職階から下位職階に異動したりすることを指します。

人事異動としてはもっとも頻繁に行われ、等級制度や評価制度に紐付いて運用されます。

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③職種変更

総合職から一般職へ異動したり、研究職から事務職へ異動したりと、仕事内容に変更を加えることも配置転換のひとつです。

ジョブローテーションなどの制度を利用して、職種変更を数年おきに実施している企業もあります。

II. 企業間の人事異動

他社との間に実施される人事異動には、在籍出向と移籍出向のふたつが挙げられます。たとえば子会社の設立やM&Aなどによって会社分割が計画されると、出向や転籍がよく見られるようになります。

①出向(在籍出向)

出向とは、出向元の企業との雇用関係は維持したまま、他社の事業所に勤務することをいいます。

人事異動のひとつとして取り扱われますが、出向先と出向元が出向契約を結んだうえで、従業員は出向先と新たに労働契約を結ぶことになります。

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②転籍(移籍出向)

転籍とは、在籍していた企業を退職し、他社と新たに労働契約を結んで勤務することです。

転籍元との労働契約は消滅するため、実態上は人事異動ではなく転職に近い形となります。

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5.人事異動のメリット

人事異動を効果的に実施すると、適材適所の人員配置で組織が活性化するだけでなく、他にもさまざまな利益を得ることができます。人事異動のメリットを確認しましょう。

人事異動に期待できる効果

人事異動はさまざまな目的のもとに実施されます。たとえば従業員のモチベーションを管理するために、インセンティブの意味をこめて異動を行う場合もあれば、組織の硬直化を防ぐためにポジションを変更することもあります。

人事異動の効果は、そのとき企業がどのような組織課題を抱えているかにより、万能薬のように期待できる効能が変わるものといえます。モチベーション管理にも利用できれば、組織の柔軟性の向上にも役立てることができるのです。

効果を高める方法

人事異動の効果を高めるには、人材データを分析するとよいでしょう。

社内の人材情報をひとところに集約し、まず人材のデータベースを構築します。保有するスキルや経験、配置の変遷、過去の人事評価の情報など、異動の検討段階で用いるデータを効率よく参照できるようにします。

データ分析した結果をもとに人事異動を実施すれば、直感的・主観的な異動を避け、データを土台にしたロジカルな人員配置を行うことができます。従業員からも納得を得られやすく、人事異動の効果を高めることができるはずです。

効果的な人事異動を可能にする人材データベースは、常に最新に保つこと・過去の情報を蓄積できることが重要です。

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6.人事異動のデメリット

人事異動を頻繁に、また広範囲にわたって実施すると、デメリットが噴出する場合もあります。

人事異動は性質上、スペシャリストの育成には不向きといえます。度重なる異動によって従業員の職務期間が短くなると、保有するスキルの専門性は低下していくでしょう。

また、担当人材が頻繁に変わっていては、業務に対する責任の所在が曖昧になる恐れもあります。そのためにコンプライアンスや企業倫理上の問題が発生しやすくなり、事件に発展するケースもあります。

従業員に対する不利益

企業側のデメリットだけでなく、人事異動が従業員にあたえるデメリットも大きいものです。

たとえば勤務地や通勤経路の変更は、従業員のワークライフバランスの維持に支障をきたす可能性があります。大掛かりな転勤ともなれば、配偶者の仕事の調整や子どもの転校なども避けられません。

また、職種や職場環境の変化は、従業員の心身にも負担をあたえます。新しい上司や同僚との関係構築がうまくいかない場合、メンタルヘルスに影響を及ぼす恐れもあります。

人事異動に関する労使トラブル

もっとも致命的なデメリットは、労使間でトラブルが発生するケースです。

従業員にとってあまりにも不利益が大きい場合、使用者の人事異動命令が適法か否か、裁判所で争われることがあります。判断基準の多くは判例にあるため、いくつか有名な過去のケースを確認しておくとよいでしょう。

同時に、労働契約法や男女雇用機会均等法などの規定を確認し、労使ともに不利益の少ない人事異動の実現について努力しなくてはなりません。以下の章では、人事異動に関連する法規定を解説します。

人事異動で労使トラブルが発生しないよう、従業員を理解した上で適切な異動を決定する必要があります。

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7.人事異動で検討する項目・決め方

どの人材を、どのような目的で、どこに配置すべきか。人事異動が決まるまでの背景にはさまざまな角度からの検討があります。

人事戦略、人材の資質、現場からの要望など、検討要素は多分にあります。この章では、一般的に異動の検討材料にされやすい要素について、項目立てて紹介します。

人材の資質

  • 年齢
  • 在職年数
  • 健康状態
  • 階級・職位
  • 勤務態度を含めた人事評価
  • 賞罰
  • 人間関係
  • 休暇取得状況
  • 保有資格
  • 採用試験の成績
  • 昇任試験の成績

異動の検討段階では、人材の資質について上記項目が検討されやすいでしょう。

従業員の勤務態度、保有する経験やスキル、職場関係など、さまざまな角度から人物を評価し、異動の可否を検討します。

その他の検討要素

  • 経営戦略・人事戦略
  • 異動先の欠員状況や補充要望
  • 従業員の家庭状況
  • 従業員の希望

通常は、従業員から意見を聴取し、プライベートの状況や希望の配置などが加味されます。

ただし最終的に人事権を握るのは使用者であるため、従業員側の事情がどれほど斟酌されるかは、使用者の裁量に委ねられています。

人事異動で検討する要素は、このように多岐にわたります。

膨大な人材情報が散在していては検討に時間がかかってしまうだけでなく、適切な人事異動ができない恐れがあります。

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8.実施前に知っておくべき基本

日本にはいくつか使用者の人事権を規定する法律があります。労使間のトラブルを防ぐためにも事前に確認しておきましょう。

ここでは、知っておくべき主な法規定として下記3つを紹介します。

  • 男女雇用機会均等法 6条
  • 労働契約法 14条
  • 育児・介護休業法 26条

①性別による差別の禁止

男女雇用機会均等法 6条により、従業員の性別によって差別的な異動を行うことは禁止されています。

事業主は、次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならない。

一 労働者の配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)、昇進、降格及び教育訓練
二 住宅資金の貸付けその他これに準ずる福利厚生の措置であって厚生労働省令で定めるもの
三 労働者の職種及び雇用形態の変更
四 退職の勧奨、定年及び解雇並びに労働契約の更新

人員配置、昇進、職種変更などの人事異動について、男性だから、女性だから、という理由で従業員を取り扱ってはいけません。判断基準には細心の注意を払いましょう。

②出向命令権の濫用の禁止

労働契約法 14条には、出向に関する規定があります。

使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。

従業員に対する出向命令は、その命令が使用者の権利濫用にあたる場合、無効とされます。

権利濫用にあたるかどうかの判断は、本当に出向させる必要性があるかどうか、また、従業員の選定が適当であるかどうか、などが考慮されます。

③育児・介護に対する配慮

育児・介護休業法の26条には、人員配置に関して、従業員の育児や介護に配慮することが規定されています。

事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない。

人事異動によって従業員を転勤させる場合、従業員の育児や介護に支障がないかをよく確認しましょう。もし転勤によってプライベートに困難が生じることがわかった場合、状況にあわせて配慮する必要があります。

スムーズな人事異動を検討するためにも、従業員に配慮すべき情報も把握しておくことが必要です。

適切な人材情報管理は、人事異動に伴う労使間トラブルを防ぐためにも欠かせません。
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9.人事異動の手順

使用者からの異動命令を、労働者は原則として拒否できません。そのため人事異動のフロー上には、異動の決定までに打診や面談が多く設定されます。

従業員との間に十分な話し合いの時間をとり、希望や意見を吸い上げながら、現場の要望もふまえて慎重に異動を決定しましょう。人事権があるとはいえども、経営者が異動のすべてをトップダウンで決めようとしないことがトラブル回避の鍵となります。

①最新データを照会する

人事戦略や採用・育成方針に照らし、不足している人材の情報や、優秀人材の情報、現場の要望などを収集し、異動の必要性について検討します。

たとえば部門ごとに、偏りやばらつきが見られる場合には、配置転換を実施して調整する必要があります。最新の人事評価データや、現場の各部門の責任者の意見をもとに、社内の人員配置を見直しましょう。

②異動候補者を決定する

勤務地や職種を変更すべき従業員を割り出したら、まずは異動候補者を管理している上長に打診します。

候補者が志向しているキャリア展開などを直属の上司から聴取し、その意見を聞きましょう。同様に異動先の管理職にも確認をとり、求めているスキルや経験、人物像などをチェックし、異動の可否を判断します。

③異動の合意を得る

異動候補者との面談をセッティングします。在籍している部門の上長から、異動理由や異動先での仕事内容などの説明を行い、必要であれば複数回の面談を通して合意形成を図ります。

もし候補者から承諾を得られない場合、承諾できない理由を丁寧に確認したうえで、経営・人事側に差し戻します。異動拒否について従業員側の意見をどの程度まで斟酌するかは、トップの裁量によって変わります。

④関係者に内示する

正式な辞令を交付する前に、異動について内示しましょう。仕事の引き継ぎや居住地の引っ越しなど、異動をスムーズに執り行うための準備期間をあたえます。
目安として一ヶ月前から一週間前に内示する企業が多いでしょう。

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⑤異動者をフォローする

職場環境に慣れるまで、従業員は能力を発揮しづらくなります。必要であれば研修を手配するなど、人事側からフォローしましょう。

また、人事異動の実施効果の測定も欠かせません。異動後には、事業活動への影響についてデータ収集したり、異動者の人事評価データを参照するなどして、効果検証を行いましょう。

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10.実施における注意点

不本意な人事異動を実施すると、従業員のモチベーションは低下します。とくに合意形成がされないままの異動では、従業員が退職したり、こじれると訴訟に発展したりするケースもあります。

労使トラブルは企業活動に影響をあたえる危険性があるため、注意して避けましょう。

従業員は異動を拒否できない

使用者による人事異動命令を、労働者は原則として拒否できません

就業規則に「業務上の都合により、転勤や配置転換などの人事異動を命じることがある」などと人事異動に関する規定があるかぎり、人事異動は業務命令となります。これを拒否すると業務命令違反に該当し、懲戒の対象となります。

異動命令が無効となる条件

人事異動命令は原則として拒否できませんが、使用者による人事権の濫用にあたる場合や、異動が従業員に対し著しく不利益をあたえる場合には、命令を拒否できる可能性が高まります

たとえば会社側の権利濫用として考えられるのは、以下の例です。

  • 労働条件が著しく低下すると判断される場合
  • 思想・信条、その他の差別的待遇であると認められる場合
  • 技術・技能等が顕著に低下すると判断される場合
  • 社員の私生活に著しく不利益が生じると判断される場合
  • 職種や勤務場所が合理的な予想範囲を著しく超えていると判断される場合
  • 不当労働行為に該当すると認められる場合
  • 業務上の必要性がないと認められる場合

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人事異動のQ&A

人事異動には、数多くの種類があります。主に下記が挙げられます。 I. 企業内の人事異動 ①転勤 ②配置換え ③昇進・昇格、降格・降職 ④職種の変更 ⑤派遣 ⑥長期出張・応援 ⑦休職 II. 企業間の人事異動 ①出向(在籍出向) ②転籍(移籍出向) III. 海外への転勤、出向、派遣、出張など
人事異動は、年間を通じて実施されますが、とくに国内企業では、3月末や事業年度末という節目に実施されるケースが多い様子です。
同一の職場勤務が長くなれば、技術の向上やノウハウの蓄積が見込まれる反面、後進の育成が停滞したり取引先との癒着が問題になることがあります。 このような事態を回避するためにも、定期的に組織に新しい風を送り込むことができる人事異動は欠かせません。