プレゼンテーションとは、売り込みたい企画を相手に説明するための技法のこと。ここではプレゼンテーションの目的や手法、成功するためのコツについて説明します。
目次
1.プレゼンテーションとは?
プレゼンテーションとは、売り込みたい企画やテーマを効果的に説明するための技法で、実施の際は、ディスプレーやプロジェクターを使って資料をスクリーンに映し出しながら説明するといった方法を取ります。
用いるスライドや資料作りには、専用の「プレゼンテーションソフト」が使用される場合が多いのも特徴のひとつ。少人数での打ち合わせや商談の場合、ノートパソコン上で資料を展開する場合もあります。
2.プレゼンテーションの定義とは?
プレゼンテーションの定義は、聞き手の立場に立ちながら要望を認識し、聞き手が知りたい情報を伝えて具体的行動を促すこと。つまり自分が伝えたいことを主張するだけでは、本来のプレゼンテーションの意味合いとは異なるのです。
語源
プレゼンテーションの語源は英語の「present(プレゼント)」で、動詞としては、「提示する」「示す」「進呈する」という意味を持ちます。
プレゼンテーションの語源には相手への贈り物という意味が含まれているため、実際にプレゼンテーションする際には聞き手の立場に立って、分かりやすく伝えることが重要となるのです。
誰のためにあるのか?
プレゼンテーションの主体は、伝える側ではなく「聞き手」。つまり、自分が話したいことを聞き手へ一方的に伝えるのは、理想的なプレゼンテーションだとはいえません。
「聞き手の要望をしっかりと認識し、予定されている時間内で伝えたい内容を分かりやすく説明する」「聞き手に自分が望む意思決定を行ってもらうためにも、それに見合った明確な提案」などが重要です。
「発表」との違い
「プレゼンテーション」と「発表」は同義とイメージされやすいですが、実は意味が異なります。プレゼンテーションは、聞き手に情報を理解してもらうことが狙いなのではなく、その内容を理解した上で実際に行動に移してもらうことが目的なのです。
一方で発表は自分のアイデアや意見を伝え、聞き手側に説明して理解を促すことが目的。よって発表の際には聞き手が分かりやすく理解できるよう、補足資料の準備も重要でしょう。
3.プレゼンテーションの目的
プレゼンテーションの目的は、聞き手に行動を起こさせることですので、聞き手へ一方的に説明するだけでは行動につながりません。説明や情報に共感してもらうためにも、資料作成の準備を万全に行わなくてはならないのです。
相手に行動してもらう
伝える側が聞き手へ一方的に提案や解決方法を提示するだけでは、プレゼンテーションの最終的な目的である「聞き手が意思決定などの行動を示す」ことは実現できません。
伝える側は常に聞き手の立場に立って、聞き手が求める解決方法や提案を明確に提示するのです。ここでは、プレゼンテーションを成功させるために必要となる、3つの手順を説明しましょう。
- 聞き手の要望・悩みを知る
- 状況を分析・把握する
- 解決策を提示する
①聞き手の要望・悩みを知る
まず伝える側が聞き手の要望や悩みを明確に汲み取ります。そこでまず、聞き手にヒアリングをして、現状を把握するのです。
また伝える側が聞き手の立場になって話を丁寧に聴くと、「どうすれば具体的に行動してもらえるか」というアイデアを見出せるようになります。それにより、問題点や悩みをより掘り出しやすくなるでしょう。
②状況を分析・把握する
聞き手の話から得た情報をもとに聞き手の現状を分析したり、抱えている問題点を把握したりします。そしてその状況に合わせて、聞き手の要望を解決するための具体的な手段を洗い出しましょう。
③解決策を提示する
解決方法を聞き手へ提案する場合、ただ単純に方法を伝えるだけでは相手に理解されにくいです。プレゼンテーションを行う際は、和やかかつ話を受け入れてもらいやすい雰囲気づくりを心掛けましょう。
たとえば、時事問題や人気のスポーツ、天気の話題などを取り入れながら話を進めると、プレゼンテーションが成功しやすいです。また説明をする際は、聞き手から共感が得られるよう分かりやすくゆっくり丁寧に伝えましょう。
4.プレゼンテーションの手法
プレゼンテーションの手法にはどんなものがあるのでしょうか。プレゼンテーションを成功させるためにも、必要となる手順について知っておきましょう。
- プレゼンテーションには「型」がある
- 情報・アイデアをアウトプットする
- アウトプットを型に当てはめる
- 資料作りはシンプルかつ分かりやすく
①プレゼンテーションには「型」がある
理想的なプレゼンテーションの内容は「聞き手の思考」をなぞるように組み立てること。「現状分析」「課題発見」「原因解明」「解決案」という4つの型に沿って明確に説明すると、プレゼンテーションの構成が一段と優れたものになると考えられています。
一方で、上記の4つの型が1つでも省かれてしまうと、聞き手が理解するまでに時間がかかるだけでなく、分かりにくくなってしまいます。
②情報・アイデアをアウトプットする
プレゼンテーションに盛り込む内容は、徹底的にアウトプットしましょう。アウトプットを行う際、プレゼンテーションで説明したい、強調したい、聞き手に知ってもらいたいと思う内容を付箋やメモなどに書き上げていきます。
つまり、思い浮かんだアイデアをどんどん吐き出すことが大切なのです。付箋やメモ、録音などアウトプットの手段は自分が最もやりやすいと感じた方法で進めていくとよいでしょう。
③アウトプットを型に当てはめる
アウトプットを行い、さまざまな情報やアイデアを洗い出した後は、「型」に当てはめます。この作業ではアウトプットで探り出した情報を「現状分析」「課題発見」「原因解明」「解決案」の順番になるように整理していくのです。
この順番で組み立てると、プレゼンテーションを行う際、聞き手へ重要な情報や強調したいポイントが伝わりやすくなり、意思決定などの行動を促しやすくなるのです。
④資料はシンプルかつ分かりやすく
プレゼンテーションで使用する資料は「分かりやすさ」が何よりも大切。内容は短めに、文章はシンプルに、といった点を心掛けましょう。聞き手に伝えたい事柄が多くても、必要以上の文字や余計な装飾があると、本来伝えたい情報の邪魔になってしまう可能性も。
1ページにつき1つのメッセージのみを記載、というシンプルな形式にすると、聞き手により一層響きやすくなります。
5.プレゼンテーションを成功させるには?
プレゼンテーションを成功させるには、どのようなことを行えばよいのでしょう。プレゼンテーションを成功させるための具体的な方法や、重要なポイントについて紹介します。
聞き手の立場で考える
「聞き手の立場」を意識する、これは基本中の基本です。つまり「自分が何を伝えたいか」ではなく、「聞き手が何を聞きたいのか」という点を押さえたプレゼンテーションが重要となります。
「聞き手を一方的に丸め込ませよう」「うまく説明しよう」などに意識を傾けず、「聞き手の感情を動かす」ということに焦点を絞りましょう。
「なぜ?」を語る
プレゼンテーションを成功させるポイントは、聞き手の期待感を高めること。この期待感を高める方法としては「なぜ?」を語ることが効果的だと考えられています。
つまり聞き手に「なぜ、このプレゼンを聞く必要があるのか?」と感じてもらうことが必要なのです。プレゼンテーションの冒頭でこの「なぜ?」を語ると、聞き手が「この提案を聞いてみたい」「もっと具体的に知りたい」と感じやすくなります。
ベネフィットが大事
プレゼンテーションの最大の目的は、受け手側にとってのメリット、つまり「ベネフィット」を伝えることといっても過言ではないでしょう。
人間は基本的に自分自身に最も関心を寄せるもの。つまり行われるプレゼンテーションが「自分にとってどのようなメリットがあるのか」に対して大きな興味を持っているのです。
聞き手側のベネフィットを効果的に伝えるタイミングは、プレゼンテーションの冒頭が理想的でしょう。
ストーリーテリングを使う
聞き手の感情を動かすための手法のひとつに、体験談や事例などを詳しく伝えてストーリーを語るストーリーテリングがあります。ストーリーテリングは伝える側のプロフィールや体験談だけでなく、他人や著名人、偉人のものでも有効とされているのです。
また、具体的なノウハウとともにストーリーを紹介すると提案の価値がぐっと上がるため、聞き手側の感情も動きやすいとされています。
解決策の先まで提示する
プレゼンテーションでは単に解決策を聞き手に提示するだけでなく、解決したその後についての詳しい説明も必要でしょう。
つまり「解決先の提示」をより一層高めるような「特典」や「付録」を提示したり、受け手側が想像していなかった価値のある情報を準備できたりすれば、より効果が高まると考えられます。
「聞き手が解決先を具体的にイメージできるように提示する」これもプレゼンテーションを成功させる秘訣です。