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数値で計測可能なものの分析・評価に広く用いられている定量評価。ここでは、
- 定量評価の意味や方法
- メリット
- 注意点
- 人事評価における定量評価の使い方
などについて解説します。
目次
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1.定量評価とは?
定量評価とは、
- 数字に基づいた評価
- 数値で計測できるものを材料として評価を導く手法
- 手法によって導き出された評価結果そのもの
などのこと。
- マーケティング
- 人事評価
- 市場調査
- 満足度調査
- 統計調査
などあらゆる場面で広く用いられ、経営判断や学術研究において重要な役割を果たしています。
読み方と英語表記
「ていりょうひょうか」と読みます。英語表記では「Quantitative Evaluation」です。
定量とは
定量評価についてより詳しく知るには、前提知識として「定量」と「定性」という言葉を知っておく必要があります。
定量とは、物事を数値で表せる状態のこと、またはその数値のことです。例えば「たくさんの商談をする」という目標は定量的ではありませんが、「毎月100商談する」という目標は定量的といえます。
ビジネスにおける売上・顧客数・客単価などはいずれも定量で示せる指標になります。
定性とは
定性とは、定量とは逆で「数値で捉えられない要素・物事」のことです。定量が“量”にフォーカスしており、定性は“質”にフォーカスしているともいえます。
例を挙げると、「論理的思考ができるようになる」という目標は定性的な目標です。
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2.定量評価の使い方、事例
定量評価は、数値を用いて評価する際に使います。
「複数の輸送路線を持つ運送会社で、配達時間の遅延が問題として浮上。遅延によりどの路線からどの程度の損失が出ているかを把握するべく定量評価を使う」というケースを例に考えてみましょう。
まず配達が遅延した際に、顧客が実際に感じ取るインパクトはどの程度かを遅延時間ごとに把握するため、顧客アンケートを用いて数値化。同時に、各路線ごとに何分の遅延がどの程度の確率で発生しているかを計測し、集計します。
2つのデータを蓄積した後に両方のデータを統合すると、どの路線が(遅延により)どの程度のインパクトを生んでいるか数値で把握できます。
配達の遅延によるインパクトを数値で比較できれば、
- どの路線に対策を講じるべきかの的確な判断
- インパクトの小さい路線から人員を引き抜いてインパクトの大きい路線に異動
という判断ができるでしょう。
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3.定量評価と定性評価の違い
定性評価との違いは、数値で計測可能なものしか評価できない、ということ。定性評価は、数値で計測できないもの…たとえば、人間の感覚や情緒を評価できるため、表裏一体の関係ともいえます。
- 定性評価:数字では表すことのできないものに対する評価、またその評価方法のこと
- 定量評価:売上や獲得件数、クレーム対応件数、新規受注件数など数値で計測できる指標をもとに評価する方法
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2つの差と組み合わせ
定量評価と定性評価には、それぞれ強みと弱みがあります。
定量評価は、数値で評価が決まるため、誰が見ても同じ評価が導き出されることになり、分かりやすく客観性を保ちやすいですが、反面、数値化できる範囲に限界があり、すべてを評価できないのです。
一方、定性評価は、プロセスや方針など、数値で計測できないものを評価できますが、評価基準を数値化できないため、客観性を保ちにくくなります。
評価を行う際は定量評価と定性評価を組み合わせて、総合的に評価することが望ましいとされています。両方を組み合わせることで、より正確な評価が可能になるのです。
定量・定性を組み合わせるOKR
定量・定性の両方を取り入れた目標管理手法にOKRがあります。
OKRとはObjective(目標)とKey Results(成果指標)の頭文字をとった略称です。Objectiveで定性的な目標を定め、その進捗を図るための具体的な指標をKey Resultsとして設定します。
OKRのメリットには、従来の目標管理手法に比べて迅速な展開が可能、大胆な目標設定ができる、従業員エンゲージメント向上に役立つなどの点が挙げられます。
GoogleやFacebookなど、シリコンバレーの有名企業が取り入れていることで有名になり、最近では、日系企業でも導入されています。
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4.人事における定量評価と手法
人事評価における定量評価の手法と注意点について解説します。
人事ではどう使うか、人事における定量評価の手法
人事で定量評価を使う場合、結果や業績の評価及び業績考課への活用となります。設定した数値目標を達成したかどうかを定量的に測り、人事考課を行うのです。さらに、業務遂行のプロセスを評価する際にも、定量評価は有効となります。
プロセス評価では、目標を達成するために必要な職務遂行能力やコンピテンシーについて定量的に判断するのですが、人材育成の視点でも定量評価を活用できるのです。
組織が個人に期待する目標を定量的に示し、具体的な段階目標を設定し支援を行うことは、個人のスキルを高めることにもなるでしょう。このように長い目で見た際、業績向上に役立つのです。
定量評価のメリット
定量評価のメリットを見てみましょう。1つ目は評価内容に対してどの立場の人からも納得されやすいという点。数値で計測した指標をもとに評価するため、当然でしょう。
2つ目は部下の支援に役立てることができる点。たとえば、売上目標まであと一歩という部下に、自分の裁量で営業案件を振ったとします。すると、
- 部下の評価を引き上げる
- 仕事に対するモチベーションを上向きに誘導
- 部下からの信頼を得る
ことができるかもしれません。使い方次第では、周囲を助けたりチームを支援したりする手段にもなるのです。
定量評価の注意点
人事評価で定量評価を用いる際には、事前に「基準となる目標数値と達成に要する期間は適正か」を分析した上で設定します。
- 目標が曖昧
- 到底達成できないような厳しすぎる目標が設定されている
- あまりにも簡単にクリアできてしまうような目標が設定されている
上記のような場合、被評価者は評価そのものに意味を見出すことができず、モチベーションは低下し、組織としての生産性も落ちてしまう可能性が高くなるのです。
また、目標達成までのプロセスについても、一定の期間ごとに目標を定めて、遅延なくプロジェクトを進めることが大切です。最終目標だけを示して、途中のプロセスは丸投げというやり方では、目標達成が危ぶまれるだけでなく、部下との信頼関係も築くことはできないでしょう。
評価後はフィードバックを行う
定量評価に限らず評価時に重要なのが被評価者に評価理由などについて適切なフィードバックを行うことです。評価は給与や昇進だけにかかわるものではなく、従業員の成長を促すために行うもの。評価理由を示すことは部下を激励し育成する意味でもとても重要でしょう。
フィードバックは評価者自身の言葉で、面談のように直接かつゆっくり話せる場を設けて実施してください。その際、会社の基準を持ち出して「決まりだから仕方がない」という言い訳は、絶対にしないこと。
それを言われると、被評価者は納得できませんし、むしろ言い逃れだと受け取ります。たとえ評価は高くなかったとしても、被評価者が納得できる理由を示すことが、評価を下した人間の責務です。
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定量評価を利用する業績考課
業績考課は業務の成績に関する評価のこと。目標管理制度(MBO)を用いて、目標達成度と結果までのプロセスの両方を評価する手法です。
目標管理制度(MBO)とは、個人またはチームが自ら目標を策定し、達成度合いを評価する仕組みのことで、
- 個人
- チームやグループ
- 部署
など幅広い単位における業績向上を目指します。上司から一方的に与えられる目標ではなく、組織の目標に向かって個々が果たすべき役割を考えて自ら目標を立てるため、より意欲的に取り組めるのです。
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目標管理制度とは? 意味や目的、メリット・デメリットを簡単に
マネジメントで有名な経営思想家ピーター・ドラッカーが提唱した、組織における目標管理制度(MBO)。この目標管理制度は、組織貢献と自己成長の両方が達成できる個人目標を設定させ、その達成度で評価を行う人事...
業績考課の注意点
業績考課では、次の3点に留意します。
①「目標がすべて」にならないように
目標を重視するあまりに、上司が目標重視の会話ばかりしてはいけません。個々が主体的に目標に取り組むことを妨げます。プロセスの重要性を意識して、達成までの過程で従業員が自主性を持って取り組めるよう支援することが大切なのです。
②能力に合わせた目標を策定
基本、個人やチームに目標の策定は任せますが、上司は目標が無理なくかつ少し頑張らないと難しい目標であるかを確認しなくてはなりません。
- 軽く達成できてしまう目標
- 難しすぎる目標
でないかを見定めるのです。
③中間目標(KPI)と最終目標(KGI)の両方を伴う目標を策定
業績考課ではプロセスも評価対象とします。中間目標(KPI)も策定させ、どのようなプロセスで最終目標(KGI)に到達するのかを明瞭にしておくことが大切です。
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5.定量評価の数字とは何か?
定量評価の数字とは何か、どのように数字を使い、どのように評価を導くのかについて解説します。
定量評価に使われる数字
定量評価では、何らかの単位を付けててカウントできるものを評価対象とします。このとき、
- 売上
- 利益
- 費用
など最終目標(KGI)となる数値の策定だけでなく、中間目標となるKPIも策定するのです。
KPIとは、目標を達成していく過程で、目標達成に大きく影響を与える指標のこと。たとえば、最終目標の売上を達成するためには、見込客の訪問件数や新規受注件数などをKPIとして明確にする必要があるのです。
カオナビなら従業員一人ひとりのKPIや評価情報など、さまざまな情報をデータベースに集約できます。蓄積したデータという根拠をもとに評価を行うことで、評価の効率や質が高まります。結果として、部下のエンゲージメント向上にも繋がります。
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6.定量評価の指標のつくり方
定量的な評価を行おうとしても、数値で計測できるようなものばかりではないことも多々。しかし、直接数値で計測できないからといって、絶対に定量評価ができないわけではありません。
直接、数値で計測できないことを定量的に計測できるよう指標をつくり、定量評価を実施する3つの方法を紹介します。
- 数える(回数や時間)
- アンケートやサーベイ
- 自分が関わった行動の率や数
①数える(回数や時間)
取り組みの回数や、それらにかけた時間を数えることで、定量的な指標とする方法です。
- 研修を受けた回数
- 作業にかけた時間
- アイデアを発案した回数
など。新入社員のように経験の浅い従業員や、人事や総務など間接業務に携わる従業員の業績を定量的に評価したい場合に有効でしょう。たとえば、
- 面接数
- 研修実施数
- 1人当たりの平均研修時間数
- 採用ブログ公開記事数
②アンケートやサーベイ
アンケートやサーベイの結果を、定量的な指標とする方法です。ここでいうサーベイとは従業員サーベイのことで、従業員と組織の関係改善を目的として実施する従業員満足度などのアンケート調査を指します。たとえば、
- 採用者本人の配属後満足度
- 採用者の配属先マネージャーの満足度
- 研修満足度
- OJT満足度
- 配属に関する従業員満足度
- 配属に関するマネージャー満足度
- 配置やOJT等の満足度
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③自分が関わった行動の率や数
何らかのかたちで、自分が間接的に関わった他者の行動の割合や回数を指標とする方法です。マネージャーなどの管理者を定量的に評価する際に、部下の行動率や部下が行動した回数などを指標とする場合がこれに当たります。たとえば、
- 研修参加率
- 資格/スキル保有者数
- OJT計画実行率
- 部門別目標/KPI達成率
- 部門別残業時間数
- 有給休暇取得率
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