レクリエーションとは、心身の疲れを癒すための休息や娯楽のこと。福利厚生の一環としてレクリエーションを検討している企業に向けて、レクリエーションの意味や目的、メリット、実施のポイントを解説します。
目次
1.レクリエーションとは?
レクリエーションとは、心身の緊張や疲れを癒すために、休息をとったり娯楽を楽しんだりすること。ビジネスシーンにおいては、社員同士のコミュニケーション促進、ストレス発散などを目的として活用されます。
よく似た言葉として挙げられる「余暇」や「娯楽」の意味は下記のとおりです。
- 余暇:より心身の自由度の高い状態
- 娯楽:楽しみの手段や楽しみそれ自体。レクリエーションのように「心身の緊張や疲れを癒す」という明確な目的を含まない。
2.レクリエーションの意味と目的
社内レクリエーションではお花見や運動会、忘年会や新年会、研修や各種パーティー、社員旅行などさまざまなバリエーションが見られます。
どのようなレクリエーションを行うにしても、重要なのは「何のために行うのか(意味)」や「それを通して何を達成したいのか(目的)」を明確にすることです。ここではレクリエーションの意味や目的としてよく挙げられる下記3つについて、解説します。
- 社員のモチベーションを高める
- 自社への愛着をもってもらう
- 社内のコミュニケーションを円滑にする
①社員のモチベーションを高める
レクリエーションで心身の疲れやストレスが解消されると、仕事に対するモチベーションが向上します。また社員同士のコミュニケーションが活発化するため、部署間の垣根は低くなるでしょう。他部署と連携する仕事でも意欲的に取り組めるようになるのです。
モチベーションが向上した社員は、効率や生産性が向上します。自社への愛着も高まるため、離職リスクも低下。モチベーションの高い社員が多いほど、成果を出しやすい組織になっていきます。
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②自社への愛着をもってもらう
自社のビジョンや経営方針などに沿ったレクリエーションを行えば、社員は自社への愛着が高まります。
同じような仕事を繰り返していると、「この会社で働く意味」や「自分の仕事の位置づけ」は、段々と薄れていくもの。自社への愛着が低い状態は、仕事の質低下にもつながりかねません。
レクリエーションで社員を集めれば、それだけで帰属意識の向上が見込めるでしょう。またレクリエーションを通して会社のビジョンや方向性を伝えれば、社員に「会社で働く意味」や「自分の仕事の位置づけ」を再認識させられます。
③社内のコミュニケーションを円滑にする
レクリエーションは社員同士のコミュニケーションを促進し、その後の社内コミュニケーションを円滑にします。
レクリエーションは、社員同士がお互いをより深く理解する良い機会。お互いの性格や個性を熟知すれば、信頼感や一体感が高まり、その後の仕事にも良い影響が期待できるでしょう。
またレクリエーションの内容によっては、普段関わりのない社員同士をかかわらせるのも可能です。とくに部署を超えた交流は、有意義な情報の共有や新規事業のアイデアなどを生み出します。
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3.レクリエーションのメリット
レクリエーションは、単に「社員が楽しむ催し」ではありません。ここでは企業が得られるレクリエーションのメリットを説明します。
- 離職率低下につながる
- リフレッシュになる
- 社員の隠れた才能に気づける
①離職率低下につながる
レクリエーションは社員同士のコミュニケーションを促し、離職率を低下させる働きがあります。
社内の人間関係は、退職につながる代表的な理由のひとつ。「気兼ねなく質問ができない」「特定の人物に気を使う必要がある」など、コミュニケーションに問題のある環境は、社員に大きなストレスを与えてしまうのです。
レクリエーションを行うと、上司と部下、同僚や同期、異なる部署間などあらゆる社員のコミュニケーションが促進されます。コミュニケーションが盛んな風通しの良い環境が生まれ、結果として離職率の低下が見込めるのです。
②リフレッシュになる
レクリエーションは社員のリフレッシュになり、ストレスの軽減や精神の安定につながります。
仕事のストレスが蓄積した社員は心身の健康を損ないやすく、休職や退職まで追い込まれる場合もしばしば。休職者や退職者が増えるほど、企業は生産性や創造性の低下、医療費の増加など深刻な事態に陥るでしょう。
レクリエーションは多くの社員にとって、リフレッシュする良い機会となります。うまく活用すれば生産性や創造性だけでなく、企業イメージや採用活動の向上にもつながるでしょう。
③社員の隠れた才能に気づける
レクリエーションは仕事とは違う環境を作り出すため、社員の隠れた才能を発見する場にもなります。
たとえば人の話を聞く力や気配りの上手さ、手先の器用さ、見識の広さなどは、業務内容によってはあまり目につきません。レクリエーションという業務外の環境では、普段目にしない一面が露わになり、社員同士がお互いの新たな才能に気づけるのです。
新たに発見された社員の長所を生かせる業務を割り当てれば、「社員は才能が認められてモチベーションが向上」「企業側は業務の質が向上」という2つの効果が期待できます。
4.レクリエーションのデメリット
レクリエーションの開催が、かえって不満を招いてしまう場合もあります。ここではレクリエーションのデメリットを説明しましょう。
- 不満を持つ社員が出てくる可能性も
- 業務に支障が出る場合も
①不満を持つ社員が出てくる可能性も
レクリエーションは仕事の延長という捉え方もできるため、社員が不満を持つ可能性があります。
親睦会や旅行など、退勤後や休日に行われるレクリエーションも少なくありません。参加する社員はプライベートな時間が削られるため、開催自体に不満を持つ可能性もあります。とくにワークライフバランスを重視する社員が多いと、反発が大きくなるでしょう。
不満や反発を軽減させる方法として挙げられるのは、「レクリエーションの目的や重要性を社員と共有する」「研修や視察などと言い換えて抵抗感を薄める」などです。
②業務に支障が出る場合も
レクリエーションではまとまった時間を要するため、導入方法によっては業務に支障を来たします。社員はレクリエーションに参加するため、大なり小なり業務を調整しなければなりません。調整の負荷が大きければ、仕事の質や効率の低下にもつながるでしょう。
レクリエーションの目的は、モチベーションの向上やコミュニケーションの活性化によって、業務効率や個人のパフォーマンスを高めること。業務に支障を来たしては意味がありません。
メリットを最大限に生かすためにも、あらかじめ余裕を持って詳細を伝え、充分な準備期間を与えましょう。
5.レクリエーション実施のポイント
レクリエーションを実施するなら、成功させてよい効果を生みたいものです。ここではレクリエーションを開催するときのポイントを3つ説明します。
- 必要に応じて柔軟な対応をする
- 休日の強制参加は控える
- プロの力を借りる
①必要に応じて柔軟な対応をする
多くの社員が気持ちよくレクリエーションに参加できるよう、開催形態や内容に柔軟性を持たせましょう。たとえばハイフレックス制度(対面かオンラインか、社員が選択できる参加形式)を活用するのもよいでしょう。
レクリエーションへの参加については、「途中から参加したい」「途中で退出したい」など、イレギュラーな要望が出る場合も少なくありません。こうした要望を認めなければ、「参加したいのにできない社員」や「不満を抱えて参加する社員」を生んでしまいます。
このような場合にハイフレックス制度を活用すれば、より多くの社員が参加できるうえレクリエーションの効果を高められるのです。
②休日の強制参加は控える
休日のレクリエーションへの強制参加は、自社への不満やモチベーションの低下につながります。そもそも「休日は好きなように使いたい」と考える社員も少なくありません。
また労働環境に関するルールは年々厳密になり、時間外労働の上限も下がりつつあります。法令違反だと社員から訴えられないためにも、休日の強制参加は避けましょう。
③プロの力を借りる
レクリエーションの知識や経験を十分に持っている企業はさほど多くありません。そのため意味や目的を持って開催しても、思うような効果が得られずに終わりやすいのです。
レクリエーションがうまく機能しないときは、知識や軽減が豊富なプロの業者を頼る方法もオススメです。レクリエーションの方向性や予算、望む介入のレベルなどを明確にしたうえで相談すれば、最適な企画や運営などを提案してもらえるでしょう。
6.レクリエーション実施の注意点
レクリエーションを失敗に終わらせないためには、どうすればよいのでしょう。ここではレクリエーション実施時の注意点を3つ説明します。
- マンネリ化しないように
- 案内文を全員に共有しておく
- 強制参加の場合、有休を充てられない
①マンネリ化しないように
似たような内容のレクリエーションは、社員にマンネリ化による不満を抱かせやすくなります。レクリエーションの内容を見直し、マンネリ化を防ぎましょう。
「飽きた」「つまらない」と感じるレクリエーションでは、社員が「時間の無駄」「新しい発見がない」と不満に思うでしょう。これではレクリエーションを開催する意味がありません。
レクリエーションの内容は毎回記録に残し、できる限り被らない内容を検討しましょう。日頃から情報収集に努め、社員の興味や関心を引くテーマを知っておくと、社員が毎回新鮮な気持ちで参加できるレクリエーションを開催できます。
②案内文を全員に共有しておく
のちのトラブルを避けるためにもレクリエーションの案内は、必ず全社員に共有しておきましょう。案内を見やすい場所に掲示したからといって、必ず全社員が目にするとは限りません。また、不在だった社員に伝わらない恐れもあります。
案内を見逃して参加できなかった社員は不平等感を持ち、レクリエーションのみならず自社への不満につながりかねません。レクリエーションの案内は詳細を記載したうえで、社内メールでの一斉送信といった確実に全社員へ届けられる方法で周知しましょう。
③強制参加の場合、有休を充てられない
強制参加のレクリエーションは労働扱いとなるため、有給休暇を充ててはなりません。
強制参加にする場合、労働基準法や雇用契約書に則った賃金を支払います。賃金が払われる旨をあらかじめ通知しておけば、社員側も安心してレクリエーションに参加できるうえ、のちの労使トラブルを避けられるのです。
なおレクリエーションに有給休暇を充てたい場合、自由参加にするとよいでしょう。ただし同時に「レクリエーションに不参加者だったとしても、業務や評価などの面で不利益を被らない」と伝えるべきです。
7.レクリエーションの種類
一口にレクリエーションといっても、種類や効果はさまざま。ここではレクリエーションの種類を説明します。
- 体験型レクリエーションで社員の価値観を広める
- 体を動かすレクリエーションで運動不足解消につなげる
- スキルアップのレクリエーションで業務に役立たせる
- 頭を使うレクリエーションで年齢や性別関係なく楽しめる
①体験型レクリエーションで社員の価値観を広める
体験型レクリエーションとは、農業体験や別企業での就労体験のような、普段できない経験を楽しむレクリエーションのこと。社員の見識や価値観が広がるのはもちろん、レクリエーションで得た新鮮な体験は、日々の業務へ活用も見込めます。
体験型レクリエーションのバリエーションは、工場見学や潮干狩り、果物狩りや料理体験、物作り、地域のイベントへの参加など。適度に身体を動かせるため、リフレッシュ効果も期待できるでしょう。
②体を動かすレクリエーションで運動不足解消につなげる
体を動かすレクリエーションとはボーリングや運動会のような、スポーツの要素があるレクリエーションのこと。社員同士のコミュニケーションにつながるのはもちろん、運動不足やストレスの解消も期待できます。
体を動かすレクリエーションのバリエーションは、ウォークラリーやサバイバルゲーム、ビリヤードやダーツ、ドッジボールやバレーボール、ゴルフなど。
若手には人気があるレクリエーションである一方、運動が苦手、あるいは運動を制限されている社員は参加をためらうもの。このような社員にも配慮し、内容や参加形式をよく検討しましょう。また性別や年齢で結果が左右されないようなテーマを選びます。
③スキルアップのレクリエーションで業務に役立たせる
スキルアップのレクリエーションとは研修やセミナー、授業のような、仕事のスキル向上が見込めるレクリエーションのこと。スキルアップした社員は仕事の質が高まり、効率や生産性の向上も期待できます。
スキルアップのレクリエーションのバリエーションは、討論イベントやグループワーク、接客スキル研修やプレゼンテクニック研修、コンプライアンス研修など。
ただし座学は社員の当事者意識を削ぎやすいです。ワークショップやゲーム形式など、参加型で実践的な内容にするとよいでしょう。
④頭を使うレクリエーションで年齢や性別関係なく楽しめる
頭を使うレクリエーションとは、謎解きゲームやクイズ大会のような、体を動かす要素の少ないレクリエーションのこと。年齢や性別に関係なく楽しめるうえ、準備の手間も少ないため社員に負担がかかりません。
頭を使うレクリエーションのバリエーションはマーダーミステリーやワードウルフ、脱出ゲームやボードゲーム、戦略系ゲームや交渉系ゲームなど。体育会系の雰囲気が薄い企業や、激しい運動が苦手な社員の多い企業にオススメです。