【一覧】リスキリングでは何を学ぶべき? 領域、スキル、資格

リスキリングで何を学ぶべきか、については企業の戦略や課題などによってさまざまです。一般的に学ぶべきといわれている領域やスキル、取得したい資格、業界別の傾向などを解説します。

1.リスキリングでは何を学ぶべき?

リスキリングで何を学ぶべきかは、企業が抱えている課題によって異なります。

そもそもリスキリングの目的は、従業員に新たな手段や領域への理解を深めさせ、業務の効率化や事業の発展を狙うこと。そのため自社の企業戦略にもとづいて、学ぶべき内容を決める必要があります。

ただしDXが本格化している現在、人材の補完や新たなビジネスモデルの創出に、デジタル関連のスキルは欠かせません。デジタル関連のリスキリングは、業界を問わず行うべきでしょう。

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2.リスキリングで学ぶべき領域は?

どの業界においてもリスキリングで学ぶべき領域とは、なんでしょうか。ここでは6つの領域を説明します。

  1. ITリテラシー
  2. 英語
  3. マーケティング
  4. データ分析
  5. 情報セキュリティ
  6. プログラミング

①ITリテラシー

コンピューターや通信、情報やネットワーク、セキュリティについて適切に理解し、使いこなす能力のこと。パソコンやアプリケーションの操作、正しい情報の見極め方、SNSへの理解など、幅広い知識やスキルが含まれます。

デジタル化やオンライン化が急速に進む現在、IT技術者を目指さない従業員でも、基本のITリテラシーは必要です。ITリテラシー分野のリスキリングを行えば、ITの利活用による業務効率の向上や、安全なデータ管理が可能になります。

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②英語

近年、グローバル化の流れに伴い、英語はますます重要視されています。海外進出を果たし、販路や事業を拡大していくには、世界の公用語といわれる英語のスキルが欠かせないからです。

また少子高齢化が進む日本では近い将来、外国人労働者の増加が予想されています。外国人労働者の雇入れや教育に英語が必要となるため、リスキングで学ぶべきスキルのひとつです。

③マーケティング

自社の商品やサービスを顧客に届け、利益を生み出し続ける仕組みを確立すること。商品開発や宣伝、市場分析など幅広い活動が含まれます。とくにデジタル関連のマーケティングに関しては、今後ますますの需要の高まりが予想されているのです。

価値観の多様化が進んでいる現在、顧客を獲得し利益を生み出し続けるには、マーケティングの知識やスキルが欠かせません。

また顧客獲得やブランディングは長期的に継続する戦略です。よって定期的にマーケティングのリスキリングを行って、従業員の知識をアップデートするとよいでしょう。

④データ分析

大量のデータから必要な情報を抽出し、それを経営や営業、市場などの戦略に生かす能力のこと。

デジタル化によりさまざまなシステムが開発されている昨今、企業には日々膨大なデータが蓄積されています。しかしこうしたデータを充分に活用できている企業は、まだそれほど多くありません。

経営者が学ぶべきなのはもちろん、従業員にデータ分析を学ばせれば、人事データや顧客データなどから課題を発見できるようになるでしょう。

⑤情報セキュリティ

情報漏えいやウイルスからの攻撃、システムトラブルなどから自社を守る対策を講じること。

IT化が進んだ現在、情報は「第4の経営資源」とまでいわれるようになりました。適切なデータの取り扱い方やネットワークにおける情報リスクを知れば、リスクを回避しやすくなります。

情報セキュリティの知識とスキルは、業務内容や配属先にかかわらず全従業員へ優先的に学ばせたい分野の一つです。

⑥プログラミング

コンピューターへの指示書を作成する能力のこと。デジタル化が進む昨今、次々と変化していくニーズに対応するため、企業はアプリやサービスを自社開発する必要に迫られています。

外注という手段もあるものの、それでは開発までに時間がかかりすぎ、チャンスを逃しかねません。また自社にノウハウが溜まらず、外注から抜け出せないという悪循環も生まれてしまいます。

これらの問題を解決し、従業員のデジタル関連事業への配置転換を叶える手段として、リスキリングでのプログラミング学習が有効なのです。

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3.リスキリングで学ぶべきスキルは?

リスキリングで学ぶべき領域は「ITリテラシー・英語・マーケティング・データ分析・情報セキュリティ・プログラミング」の6つでした。ここでは各領域で学ぶべき具体的なスキルについて、説明します。

  1. プログラミングスキル
  2. マーケティングスキル
  3. 語学スキル
  4. マネジメントスキル
  5. 動画編集スキル
  6. 営業スキル
  7. 財務や経理のスキル
  8. AIやIoTなどの先端ITスキル
  9. ビジネスライティングスキル
  10. コーチングスキル

①プログラミングスキル

プログラミング言語を扱う能力のこと。Webサービスやアプリ、ゲームやシステム、ロボットやAIなどの開発には、複数のプログラミング言語を用います。

またスマホやSNS、ビッグデータやクラウドなどを活用するため、プログラミング言語によるカスタマイズが必要になる場合もあるのです。

Web開発で利用頻度の高いプログラミング言語は、「Python(パイソン)」や「JavaScript(ジャバスクリプト)」など。

これらのプログラミング言語は難易度も低めなので、非エンジニアのリスキリングにも向いています。またプログラミング学習をとおして、論理的思考力を身につけられる点もメリットです。

②マーケティングスキル

マーケティングの成功に必要な知識や能力のこと。たとえば情報収集や分析、企画立案やコミュニケーション、プレゼンテーション、コンテンツ制作およびSEOなどの知識やスキルです。

昨今ではSNSマーケティング、デジタル広告などの効果が高まっているため、デジタルマーケティングの知識も重要視されるようになってきました。マーケティングスキルのリスキリングを学ぶと、より効果的なマーケティング戦略および施策を考案できます。

③語学スキル

ビジネスレベルの外国語能力のこと。一般的には、外国人に対する電話応対や来客対応、外国語書類の読解や作成、通訳なしでの会議出席などが行えるレベルとされます。

とくに世界の公用語ともいわれる英語のスキルは、グローバルな事業展開に欠かせません。部署によって求められるレベルは異なるものの、TOEICスコア730点以上が指標とされています。

④マネジメントスキル

組織を適切にまとめ上げ、目的や成果を達成させる能力のこと。具体的には「目標を設定し伝える力」「進捗を管理する力」「状況を把握する力(ヒューマンスキル)」「業務を遂行する力(テクニカルスキル)」などです。

管理職や経営者などの上層部はもちろん、幹部候補生などの将来を担う人材にも欠かせないスキルといえます。

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⑤動画編集スキル

商品やサービスのPR、広告やブランディング、採用や社内向けなどの動画コンテンツを編集する能力のこと。具体的にはBGMや効果音、テロップやエフェクトの挿入、カットや色調補正、ノイズ除去などの技術を指します。

視覚と聴覚の双方に訴えかけられる動画コンテンツは、視聴者の記憶に残りやすいアピール方法のひとつ。5Gの普及が進むにつれて需要が高まると予想されています。

⑥営業スキル

顧客にかかわる業務全般を円滑に遂行する能力のこと。具体的にはコミュニケーション能力や交渉力、ヒアリング力や課題発見力、論理的思考能力やトラブル対応力、情報分析能力やストレス耐性などです。

一口に営業スキルといっても、「個人か法人か」「国内か海外か」など、相手にする顧客によって戦略はさまざま。そのため営業職へ配置転換する人材には、基礎の営業スキルにくわえて、特定の顧客への対応力を身に付けさせる必要があります。

⑦財務や経理のスキル

経営資源のひとつである「カネ」を管理する能力のこと。具体的には経理や会計の知識、会計ソフトを扱うスキル、事業部ごとに収支を把握する能力や資金を補填する手段の確保力などです。

上記にくわえて財務には、財務計画を立案するスキルも欠かせません。とくに総務から財務や会計部門への配置転換を行う際には、習得させるべきスキルです。

⑧AIやIoTなどの先端ITスキル

AIやIoT、データサイエンスやブロックチェーン、UIやUXなどの先進的な専門知識や技術のこと。

自社のDXを推し進めるためには、先端技術の活用が不可欠です。たとえばAIによる業務自動化、IoTなどによるデータの自動収集などは、部署を問わず必要とされます。先端ITスキルに明るい人材を社内で育成できれば、DXの大幅な進行が見込めるでしょう。

⑨ビジネスライティングスキル

考えや着想を文章で明確に伝え、必要に応じて行動を起こさせる能力のこと。具体的には情報収集や構成、編集や文章読解力、時間管理能力などです。

報告書や企画書、依頼書や社交文書、メールやチャットなど、ビジネス書類の種類はさまざま。そのためビジネスライティングスキルも、部門や業界を問わずに求められます。

とくに現場からデスクワークや顧客応対の少ない業務から、事務作業が多い業務へ配置転換させるときに学ばせるべきスキルです。

⑩コーチングスキル

質問や提案を交えながら相手の本音を引き出し、問題解決能力や自主性、モチベーションなどを向上させる能力のこと。実際には、傾聴スキルや質問スキル、承認スキルなどで構築されます。

部下と良い関係を築き、ポテンシャルを最大限に発揮させるためには、コーチングスキルの活用が欠かせません。新しく管理職に就いた人材に習得させるべきスキルです。

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4.リスキリングで学びたい資格・スキルは?

リスキリング手法には、資格取得をとおして知識やスキルを習得する方法もあります。ここではリスキリングで学びたい資格やスキルを説明しましょう。

  1. ITパスポート
  2. 情報セキュリティマネジメント試験
  3. MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
  4. ビジネス統計スペシャリスト
  5. VBA(Visual Basic for Applications)エキスパート
  6. TOEIC
  7. マーケティング検定
  8. Pythonエンジニア認定試験
  9. 日商簿記検定
  10. 中小企業診断士

①ITパスポート

基礎的なIT知識の習得を証明する国家資格のこと。数あるIT系の国家資格のうち、もっとも基礎的な資格という位置づけで、その分難易度も低めです。

試験範囲はコンピューターやネットワーク、プログラミングなどのIT技術にくわえて、経営やマネジメント、法務や戦略なども含みます。そのためすべてのビジネスパーソンに役立つ資格です。

②情報セキュリティマネジメント試験

情報の安全を確保する基本スキルを認定する国家試験のこと。同じく国家試験である「情報処理技術者試験」の一部として、平成28年度から新たに運用が開始されました。

資格の取得をとおして、「情報漏えいのリスクを減らす方法」「万が一のトラブルに際しての適切な対処法」などを身につけられます。上層部から一従業員まで、個人情報や機密情報を扱う人材に取得させたい資格です。

③MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)

エクセルやワード、パワーポイントなど、マイクロソフトオフィス製品を活用するスキルを証明する資格のこと。Microsoft Office Specialistと表記し、頭文字を略してMOSとも呼ばれます。

資格の取得をとおして基本のパソコンスキルを習得できるため、日々の業務が効率化するでしょう。とくにバックオフィスの従業員に取得させたい資格です。

④ビジネス統計スペシャリスト

エクセルを使ったデータ分析、そしてその結果を活用するスキルを証明する資格のこと。基礎レベルの「Excel分析ベーシック」と上級レベルの「Excel分析スペシャリスト」の2科目があります。

試験範囲は、基礎レベルでも平均値や標準偏差などを出題。上級レベルでは確率分布や標本分布、仮説検定や推定、相関分析や回帰分析などの知識も問われるのです。

資格の取得をとおしてデータの分析や加工、集計方法が身につきます。マーケティングや人事、営業などデータ分析が欠かせない人材にオススメの資格です。

⑤VBA(Visual Basic for Applications)エキスパート

VBAというプログラミング言語のスキルを証明する資格のこと。主にマイクロソフトオフィスの機能拡張に使われており、試験はExcelとAccessが用意されています。

VBAでできることは作業の自動化や社内システムの開発、データの一括処理など。複雑な処理を要する定型業務でも、VBAで自動化すれば数回のボタン押下で完了させるのも可能です。

そのため業務の効率化やITに強い人材の増強を目的に、取得を推奨する企業も増えています。

⑥TOEIC

英語力を判定する世界共通の基準テストのこと。世界160ヵ国で行われており、日本でも高い人気を誇っています。テストの種類は、以下の5つです。

  • TOEIC Listening & Reading
  • TOEIC Speaking & Writing
  • TOEIC Speaking
  • TOEIC Bridge Test Listening & Reading
  • TOEIC Bridge Test Speaking & Writing

資格の取得をとおして英語力を身につければ、グローバル化に伴う海外進出や外国人の雇い入れなどの戦略を実現しやすくなるでしょう。

⑦マーケティング検定

マーケティングスキルを測定する試験のこと。内閣府が認定し、マーケティングの専門家が、最新情報を取り入れて運営しています。試験は1級から3級にわかれ、数字が小さいほど上位の資格になるのです。

資格の取得をとおして、マーケティング手法や市場環境の分析、マーケティングにおけるマネジメントなど、現代社会に必要なマーケティングスキルが身につきます。

2級では製品開発や資源配分と製品ポートフォリオ管理なども出題。マーケティング部門はもとより、経営層も学んでおきたい資格です。

⑧Pythonエンジニア認定試験

プログラミング言語であるPythonの基礎文法や知識を認定する試験のこと。Pythonは海外で主流を成すプログラミング言語で、将来性の高さから、日本でも注目が高まりつつあります。

初心者にも挑戦しやすいといわれており、実際に受験者の4割近くが非エンジニアです。SEはもちろんWebアプリやサービス、AIやWebマーケティングの利活用にかかわる人材にオススメの資格といえます。

⑨日商簿記検定

企業で日々生じる収支を正しく記録する能力を証明する資格のこと。毎年50万人以上もが挑戦する、国内最大規模の検定試験です。

資格の取得をとおして、会計知識や財務諸表の見方、基礎的な経営管理や分析力、コスト感覚などが身につきます。もっとも下位の3級を取得するだけでも、幅広い業務へ応用できるでしょう。たとえば営業なら見積書の判断や自社のコスト計算に役立ちます。

⑩中小企業診断士

企業に対して適切な診断、助言を行う能力を証明する、経営コンサルタント唯一の国家資格です。活用できる場面が多く働きながら取得を目指せるため、日経新聞の「取得したいビジネス関連資格」では1位にも選出されました。

資格の取得をとおして、経済学や経済政策、財務や会計、経営法務など、企業経営にかかわる幅広い知識が身につきます。独立やキャリアアップを目指す人材はもちろん、マネジメントへの挑戦を望む人材にもオススメの資格です。

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5.リスキリングで学ぶスキルの傾向(業界別)

オンライン動画学習サービス「Udemy Business」の受講傾向から、2022年における業界別のリスキリング傾向が明らかになりました。

  • SIer、ソフトウェア開発:クラウド技術
  • 自動車、輸送用機器:AIなどの先端技術
  • 輸送、ロジスティック(物流):AIやPython関連
  • コンサルティング:データ分析
  • 銀行、証券:若手のITリテラシー育成
  • 広告、放送、新聞:IT関連やデジタルマーケティングやWebデザイン
  • 不動産:ITリテラシー

自社のリスキリングで学ばせる内容を検討する際、これらの傾向を参考にするとよいでしょう。