リストラとは?【意味をわかりやすく】クビとの違い

市況など外部環境の悪化に伴って企業の業績が不振に陥った場合、企業は事業の再構築を図るためにリストラを行う場合があります。違法なリストラを避けるにはどうしたらよいのでしょうか?

  • リストラとは何か
  • 解雇の種類
  • 不当解雇の要件
  • リストラの必要な手続き
  • リストラの具体的な判例

などについて、改めて確認します。

目次

1.リストラとは?

リストラとは、「restructuring」を略した言葉です。本来、リストラは「再構築」を意味しており、企業再編や吸収合併といった、経営に関わる革新のひとつの手法を示した言葉でした。

しかし、時代とともに次第に人員削減という意味合いを強く示すようになっていきます。

現代では不採算事業や部署のダウンサイジングといった企業の経営悪化の影響を受けた従業員の解雇、すなわち「整理解雇」の意味で用いられる言葉として、広く社会に定着しています。

リストラは、経営悪化に伴う従業員の解雇、すなわち整理解雇のみを表す言葉です。日本では広く社会に知られています

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2.企業は簡単にはリストラを実施できない

リストラとは、企業の経営悪化といった使用者側の都合によって従業員を解雇すること。

普通解雇は、使用者側が無条件にできることではありません。普通解雇を行う場合、就業規則に根拠となる規定が定められているなど一定の要件を満たす必要があります。

つまりリストラ、すなわち使用者が整理解雇を実施する際の条件を考えた場合、通常の解雇よりさらに厳しい条件を満たすことが求められるのです。整理解雇が認められるための条件は下記の4つとなります。

  1. 人員整理の必要性
  2. 解雇回避努力義務の履行
  3. 人選の合理性
  4. 労働者への説明、協議

リストラが厳しく制限される理由

リストラが厳しく制限される理由に、解雇権濫用の法理の存在があります。

労働契約法第16条に「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という定めがあるのです。

解雇権の濫用が起これば、使用者の一方的な通告によって生活の基盤である職を失う人が生じるでしょう。

従来日本は終身雇用制、年功序列型賃金制度をベースとした社会構造が前提となっているため、解雇は労働者の人生を大きく狂わせてしまいます。

まして、整理解雇は経営悪化といった使用者側の一方的な都合による解雇であるため、就業規則違反、服務規程違反、その他、悪質な行為といった理由で解雇される場合とは異なり、さらにより厳しく制限を受けることになるのです。

リストラは使用者側の都合による解雇となります。よって、普通解雇よりも厳しい条件が付されているのです

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3.解雇の種類とリストラの位置付け

解雇とは、使用者の一方的な意思表示で労働者との労働契約を解約すること。解雇の種類は3つです。

  1. 普通解雇
  2. 懲戒解雇
  3. 整理解雇

①普通解雇

普通解雇とは、やむを得ない事由がある場合、使用者が労働者に対し一方的に労働契約を解除すること。

労働者が労働契約上の労務を提供しなかったなど、労働契約上の債務を履行しなかった場合などが該当し、客観的に合理的な理由がある場合にのみ可能となるのです。企業によっては、就業規則に普通解雇に該当する事由を規定している場合があります。

②懲戒解雇

懲戒解雇は、行為規範に違反した場合に使用者が労働契約を一方的に解除することで、懲戒処分の中で最も重い処分です。

就業規則や服務規程などで規定がある場合にのみ行うことができるもので、多くの企業は
服務規程にて、懲戒解雇に該当する労働者の行為規範を規定しています。

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③整理解雇

整理解雇は、企業の経営が悪化した場合などでやむを得ない場合に行う人員整理のこと。事業の継続が困難な場合、使用者から労働契約を解除できます。

整理解雇には、

  • 人員整理の必要性
  • 解雇回避努力義務の履行
  • 人選の合理性
  • 労働者への説明、協議

上記4条件のすべてに適合する場合のみ認められます。

解雇とは、使用者の一方的な意思表示で労働契約を解除すること。解雇には、普通解雇、懲戒解雇、整理解雇があります

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4.リストラと整理解雇の違い

リストラと整理解雇という言葉の違いを理解しているでしょうか。本来、リストラという言葉には、「事業の再生」という意味があるのです。

そのためリストラの具体的な手段には、下記のようなものがあります。

  • 希望退職者の募集
  • 有期雇用契約の雇止め
  • 不採算部門の整理
  • 人件費以外の経費の削減

整理解雇は、リストラの中に含まれるひとつの選択肢であるという理解が必要でしょう。

リストラの具体的な手段のひとつが、整理解雇です。整理解雇は、リストラのひとつと認識しておくとよいでしょう

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5.リストラとレイオフの違い

リストラに類似した言葉に、レイオフがあります。レイオフとは、単なる大規模な雇用調整を意味するもの。企業業績の悪化によって、経営に大きな負担となる人件費を削減するため一時的に人員削減を行う雇用調整、と理解しましょう。

業績が回復するまでの間の労働契約解除であるため、業績回復後には経験や知識、ノウハウを持っている勤続年数の長い労働者から再雇用されるのが一般的でした。しかし、近年では、再雇用が想定されないケースも多いようです。

レイオフ(雇用調整)とは?

レイオフとは再雇用を条件にした一時的な解雇のこと。経営が悪化したことで雇用調整による人員削減を選択せざるを得ない場合でも、労働者の経験・スキル・ノウハウなどの外部流出を防ぐため、再雇用することが前提になっています。

  • 勤続年数の短い労働者からレイオフされる
  • 勤続年数の長い労働者から再雇用される

のが一般的です。

リストラと類似した言葉、レイオフは、単なる大規模な雇用調整を意味する言葉です。再雇用が前提になっています

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6.リストラとクビの違い

クビは、「クビになる」「クビにする」といった使い方をするもの。一般的に「クビになる」といった場合会社に損害を与えるなどの原因により、懲戒的な意味で労働契約を解除されることを指します。

一方、リストラは、経営悪化のため事業の再構築を目的とした人員削減のこと。リストラとクビ、共に労働契約の解除が行われますが、その意味が異なる点に注意してください。

クビは「クビになる」といった使い方をします。懲戒的な意味合いで使用者が労働契約を解除することをいいます

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7.リストラクチャリングの意味

リストラクチャリング(restructuring)とは外部環境の変化に柔軟に対応する、事業や経営を効果的に再構築していくことを意味します。

リストラクチャリングの具体的な方法は下記の通りです。

  • コア事業や成長分野に対し「ヒト・モノ・カネ」の経営資源の集中投資を行う
  • 収益増加のために経営改革を実行する
  • 事業展開の再編成を通じて組織活性化を図る

リストラクチャリングの具体例

リストラクチャリングの具体的事例をご紹介しましょう。

大型バイクにおける市場で8割近いシェアを有するA社は近年、「高品質」「低価格」を強みとしている複数のバイクメーカーの市場参入によって、急激な業績不振に陥っていました。経営再建が急務になったA社は、経営陣のMBOによって親会社から独立します。

そして、

  • 労働者の約半数を解雇
  • 残った労働者の給与10%カット

といった大規模な人件費の削減を遂行しました。

そのほか、

  • 緻密なマーケティング
  • 熱狂的な固定ファンの獲得
  • 製造手法や製造工程の大幅改善

といった経営コストの削減にも取り組んだのです。結果、売り上げが改善し、順調に業績を伸ばしています。

リストラクチャリング(restructuring)とは、外部環境に柔軟に対応するために、事業や経営を再構築していくことです

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8.社員をリストラする際に確認すべきこと

労働者をリストラする際に、確認しておかなければならないことがあります。

合理的なリストラとは?

労働者をリストラする場合、それが合理的であるかを確認します。そもそも解雇は、合理的な理由が前提になければなりません。

客観的に合理的な事由がない、社会通念上相当と認められない、という場合、労働契約法第16条の規定によってその解雇は解雇権濫用を理由に無効になるのです。

また、リストラを行う際、

  • 会社で人事上の権限を持った責任者から、文書、口頭を問わず解雇通告が行われているか
  • 整理解雇の4要件「人員整理の必要性」「解雇回避努力義務の履行」「人選の合理性」「労働者への説明と協議」に適合しているか

を確認する必要があります。

想定される従業員の行動

手順に従ってリストラを行った場合の従業員の想定される行動について注意点も含めてまとめておきます。

まず、整理解雇を口頭で通告した場合、「聞いた、聞いていない」といった問題が生じる可能性は否定できません。できる限り文書での通告を行いましょう。

また、トラブルを防ぐため通告を行った際、「いつ、誰が、何を話したか」も含めて記録を残すのです。また、一人の労働者との交渉が難しい状況にあれば、同じリストラの対象となっている労働者を集め、一緒に交渉のテーブルにつく方法もあります。
交渉が難航するなど、場合によっては、リストラによる退職条件について話し合う必要があるでしょう。

リストラを行う際、客観的に合理的な事由があるか、社会通念上相当と認められるかなど、いくつか確認すべき事項があります

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9.リストラが適法となる4つの要件

リストラが適法となる4要件があります。満たされない場合、不当解雇として扱われるため注意してください。

  1. 経営上の必要性
  2. 解雇回避努力
  3. 被解雇者選定の合理性
  4. 手続きの相当性

①経営上の必要性

会社の維持や存続を図るためには、整理解雇が必要かつ最も有効な方法であることが求められます。

②解雇回避努力

企業が解雇を回避するために、他部門への配転、新規採用の中止、希望退職者の募集、一時帰休の実施、関連会社への出向といった一定の努力がなければ、不当解雇の扱いになります。

③被解雇者選定の合理性

整理解雇の対象者を決定するための基準が、「合理的かつ公平」「対象者決定に関わる運用も合理的」になっていることが必要です。

④手続きの相当性

対象者や組合に対して、整理解雇の必要性、整理解雇の規模、整理解雇の方法、整理基準などについて十分に説明し、協議において労働者に納得してもらうための企業努力をしていることが条件になります。

整理解雇の4要件の適用は大企業に限定される?

現状、整理解雇を行う場合の4要件は、大企業にのみ適用されています。中小企業の中には、整理解雇の4要件のうち1つのみしか該当していなくても、整理解雇が行われているのです。

その理由は、中小企業の事業規模・企業体力が、大企業と比較してそれほど大きくないことにあります。

たとえば、整理解雇をする対象者を選定する場合、配置転換を考えても転換先の職場がない、一時帰休できるほど企業体力がないといったことも考えられるでしょう。中小企業においては、解雇する従業員を選定する判断すら難しいという実情があるのです。

リストラを行う場合、整理解雇の4要件に適合することが必要です。ただし、中小企業では現状、4要件すべてを満たす整理解雇は難しくなっています

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10.「これって不当解雇?」正当なリストラの判断基準

不当解雇に該当するかどうかを判断する場合の基準を説明します。

求人募集があるのに解雇していないか?

整理解雇の4要件の中には、整理解雇回避努力が定められています。仮に整理解雇を行う企業が同時に求人募集をしていた場合、整理解雇回避努力が認められないことになるため、解雇を撤回できる可能性があります。

役員の報酬は変わっているか?

役員の報酬に変動がないにもかかわらず労働者のみ整理解雇が実施された場合、その解雇を撤回できる可能性があります。

解雇予告や解雇予告手当はあるか?

通常、解雇が行われる場合、30日以上前に解雇の予告をする、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払うのどちらかを行わなければなりません。解雇予告や解雇予告手当がないケースは、不当解雇と見なされます。

従業員に整理解雇通達を送っただけではないか?

整理解雇の4要件には、従業員に対しての十分な説明があります。仮に解雇の通達が30日前までにあったとしても、従業員に対して十分な説明がなかった場合、4要件の1つを満たしていないとして不当解雇に該当します。

不当解雇に該当するか否かの判断をする際は、整理解雇の4要件や労働基準法、労働契約法の規定に立ち戻りましょう

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11.一般的なリストラの手順とは?

リストラを実施する場合、手続きに漏れのないよう、手順に従って行うことが重要です。何か不十分な点が1つでもあれば、それは不当解雇に該当しかねません。実際、後日裁判を起こされた結果、敗訴し多額の損害賠償を支払うケースも発生しているのです。

ここでは、そんなリストラの手続きを確認していきます。

  1. 派遣社員や契約社員を削減する
  2. 希望退職者を募集する
  3. 整理解雇の方針を決定する
  4. 従業員や組合と協議する
  5. リストラする

①派遣社員や契約社員を削減する

リストラを行う場合、最初に直接雇用以外の社員や一定期間のみ採用している派遣社員や契約社員の削減から取り掛かります。人件費を整理解雇以外の方法で削減する整理解雇回避努力を行ったか否かは、判例上でも求められているのです。

②希望退職者を募集する

次のステップは、希望退職者を募ること。整理解雇以外で人件費を削減する整理解雇回避努力が判例上でも求められていることから、臨時的に就労していた派遣社員や契約社員の削減だけでなく常時雇用している労働者も対象として希望退職者を募集するのです。

希望退職者を募集しても人員削減数を達成できない場合には、最終手段として整理解雇が行われます。

③整理解雇の方針を決定する

整理解雇の実施が決まったら、

  • 整理解雇対象者を決定する基準
  • 整理解雇の時期
  • 整理解雇に伴う退職金やその他金銭面の取り扱い
  • 整理解雇前の話し合いの実施方法

など、整理解雇に関する具体的な方針を決定します。

④従業員や組合と協議する

整理解雇に関する具体的な方針を決定したら、整理解雇の対象となる労働者や組合に対して、経営状況の説明や整理解雇の必要性について十分に説明し、理解を求めます。

整理解雇が実施されれば、対象労働者の生活の基盤が失われるなど労働者に大きな影響を与えるでしょう。整理解雇の進め方や整理解雇対象者を決定する基準については、従業員や組合と協議を行うことが求められています。

⑤リストラする

最終ステップは、整理解雇の実施です。整理解雇の実施にあたって、「30日前に解雇予告行う」「30日分の解雇予告手当を支払う」2つからどちらかを選択して解雇を実施します。

リストラは5つの手順を確認しながら、漏れのないように実施します。そうすれば、不当解雇といったトラブルを回避できるでしょう

12.従業員のリストラ後に必要な手続き一覧

リストラを行った後、対象となった従業員に関して必要となる手続きの項目をまとめておきます。

  • 失業給付が速やかに支給されるための離職票等「ハローワーク」の手続き
  • 健康保険と厚生年金保険の脱退手続き
  • 税務署と解雇した労働者に対して源泉徴収票を交付
  • 住民税の特別徴収を停止するための手続き
  • 解雇した労働者から請求があれば請求日から7日以内に行う最後の給与の支払い手続き
  • 即日解雇した場合の解雇予告手当の支払い手続き
  • 退職金の支払いがある場合の支払い手続き
  • 対象労働者から請求があった場合の解雇理由証明書の交付手続き

これら手続きの中には期限が設定されたものもあります。漏れのないように手続きを完了させてください。

リストラ後の手続きはステップを経るだけでなく多岐にわたります。漏れのないようにチェックしながら手続きを完了させましょう

13.リストラの合理性が認められた判例

ここ最近の裁判事例を見ると、整理解雇の効力に関する判断基準の中で争点になっていることがあります。

それは、使用者が自ら解雇対象者に対して再就職に関する支援を行うといったいわゆる解雇を前提としている不利益軽減措置を行うことをどのように考慮するのか、という点です。

実際にあった裁判所の判決2例から、不利益軽減措置なども含めたリストラの合理性が認められた判決事例を見ていきましょう。

マイラン製薬事件

マイラン製薬事件は、出向先から復帰したところ、従来の担当業務が喪失したことからリストラされた労働者が裁判を起こしたものです。平成30年10月31日の東京地裁の判決では、解雇の4要件が満たされているとして本件のリストラが有効だとされました。

日本航空整理解雇事件

日本航空整理解雇事件は、会社更生手続き中におけるリストラについて労働者が起こした裁判です。争点になったのは人選の合理性ですが、平成28年3月24日の大阪高裁の判決によると、人選基準も合法だと判断され、本件のリストラは有効だとされました。

どのようなケースがリストラとして認められるのか、裁判における具体的な判例を参考にするとよいでしょう

14.違法なリストラの判例

違法なリストラの判例はどうなっているのでしょうか。具体的な裁判の判例を見ていきます。

日本IBM退職強要事件

日本IBM退職強要事件は、リストラ計画に基づき恣意的に低評価をつけられた労働者が退職を強要され損害賠償請求を起こした事件です。高裁判決では、解雇すべき業績不振の状況にあると認められないとして、解雇が無効になりました。

大和証券事件

大和証券事件は、会社が労働者に対し、退職に追い込むことを目的として仕事を取り上げたり配置転換を行ったりした事件です。平成27年4月24日の大阪地裁の判決では、会社に150万円の慰謝料の支払いを命じる判決を下しました。

アイレックス事件

アイレックス事件は、人事考課成績の低い労働者から一定の労働者を除外した者を業績悪化を理由に解雇した事件です。本件では解雇回避努力などが不十分であることなどを理由に、東京高等裁判所から解雇権濫用により解雇の無効の判決が出ました。

リストラが不当解雇に当たると判断されるケースもあります。解雇権濫用と見なされた判例についてもしっかりと読み解いておきましょう