メンバーの選出や分類方法としてさまざまなシチュエーションで用いられるのが輪番制です。東日本大震災では休日に輪番制を取り入れる企業が相次ぎ、注目されました。今回は人事部としても知っておきたい輪番制を取り入れた企業やメリット・デメリットについて解説します。
輪番制とは
輪番制とは、複数の人が順番を決めてかわるがわる担当になる制度です。メンバーが固定される当番制やメンバーの積極的な協力が必要な立候補制に対し、持ち回りルールを設けてメンバーが入れ替わるのが輪番制の特徴と言えます。
会社組織だけではなく、マンションの管理組合や地域の自治会などでの役員選出でもよく使われる方法です。
また、病院は休日や夜間の対応を地域ごとに輪番制にすることがあり、電力会社も電力不足の際に各事業者が操業と停止を交代で繰り返す輪番制をとることがあります。
企業における輪番制の事例
いくつかの企業では、従業員の交代について輪番制を導入したことがあります。例えば2011年の東日本大震災の後、7~9月の節電を行うために輪番制を取る企業が現れました。
小松製作所では東京本社のビルの階ごとに従業員を分けて、月曜日から金曜日にかけて交代で休ませるという方法を取りました。土日はそのまま休日なので、一時的に週休3日制となったわけです。
トヨタ自動車をはじめとする自動車業界も、7月1日以降は土日に操業して木曜・金曜を振替休日とする体制でした。また、さきほど述べたように電力会社でも、東京電力・東北電力などにおいて輪番休日を設けていました。
輪番制のメリット・デメリット
輪番制は特定のメンバーへ負担が集中することを避け、分担が公平になるというメリットがあります。立候補制と違ってメンバーを決める時間的な負担も少なくて済みます。
輪番制のルールを一度決めてしまえば、組織の流れがスムーズになります。特に、素早い対応が求められる緊急事態では、輪番制はとても有効な制度と言えるでしょう。
一方で休日などにおいて輪番制を導入すると、労働条件が変更されたり見直されたりするので、従業員の生活を大きく変えることになります。
生活のリズムやペースを崩しやすくなり、中には家庭生活に困難をきたす社員も発生するため、人事からも負担を軽くするようなフォローを行うことが欠かせません。
輪番制の影響で、小さな子供や要介護者のいる家庭の社員には特に負担がかかります。ベビーシッターやデイケア施設などの使用料を補助するなどの制度を取り入れたりするサポートが必要でしょう。
実際に日立グループでは、2011年の震災後に事業所内に保育士やベビーシッターを集めて臨時で託児所を設置して、小さな子供のいる社員をサポートしました。