採用フローとは、採用活動の流れのことです。ここでは採用フローについて、さまざまなポイントから解説します。
目次
1.採用フローとは?
採用フローとは、企業が行う採用活動の流れのこと。一般的な採用フローは、下記のとおりです。
- 求人掲載といった募集活動
- 応募
- 書類選考
- 適性テスト
- 面接
- 内定
- 入社
ただし採用フローは、新卒や中途、採用規模や役職、職種などで異なります。採用フローがあれば、採用の進捗管理が容易になるでしょう。
フローとは?
英語の「flow」をカタカナで表記したものです。主な意味は「流れ」です。使われる場面により、異なる物事の流れを意味します。
2.採用フローの標準パターン
採用フローにある標準パターンとはなんでしょうか。2種類の標準パターンを解説します。
- 標準型採用フロー
- 筆記試験、面接一体型採用フロー
➀標準型採用フロー
従来、日本における新卒採用で用いられてきたフローです。多くの企業は、この標準型採用フローをもとにカスタマイズして活用しています。流れは以下のとおりです。
- 企業情報および求人情報を公開
- プレエントリー
- 会社説明会
- 本エントリー受付
- 選考開始
- 筆記試験
- 面接
- 内定
- 内定者フォロー
- 入社
②筆記試験、面接一体型採用フロー
筆記試験と面接を同日に実施し、両方の結果を加味して判断する採用フローのこと。流れは以下のとおりです。
- 募集
- 会社説明会
- 筆記試験、適性テスト、面接(集団・個別)
- 個別面接
- 最終面接
- 内定
3.新卒採用の採用フロー
新卒採用に特化した採用フローがあります。それぞれについて見ていきましょう。
新卒採用とは? 中途採用との違い、メリット、スケジュール
新卒採用とは、教育機関を卒業したばかりの学生を採用すること。新卒採用の定義や中途採用との違い、メリットやスケジュール、進め方などを解説します。
1.新卒採用とは?
新卒採用とは、教育機関を卒業したば...
新卒採用スケジュール
新卒採用スケジュールは、下記に挙げる日本経済団体連合会の「採用選考に関する指針」で決まります。
- 広報活動開始日:卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
- 選考活動開始日:卒業・修了年度の6月1日以降
新卒採用フローで使用できる代表的な採用フロー
新卒採用フローで使用できる代表的な採用フローとはなんでしょうか。3種類のフローを解説します。
- 説明会・選考一体型採用フロー
- インターンシップ型採用フロー
- テスト先行型採用フローチャート
➀説明会・選考一体型採用フロー
会社説明会と一次選考を同日に行うフローのこと。選考時間を短縮できるメリットを、企業側と応募者側双方が享受できます。説明会・選考一体型採用フローの流れは以下のとおりです。
- プレエントリー
- エントリーと応募書類の提出
- 会社説明会、一次選考会
- 一次面接
- 最終面接
- 内定
②インターンシップ型採用フロー
インターンシップ前に応募者を絞り込むフローのことで、応募者に、採用を強く意識してもらえます。インターンシップ型採用フローの流れは以下のとおりです。
- エントリー
- 書類選考
- 会社説明会(企業説明会)、筆記試験、適性検査
- インターンシップ
- 面接試験
- 内定
③テスト先行型採用フローチャート
選考試験を実施し、結果から候補者をあらかじめ絞って採用を進めるフローのこと。事前スクリーニングができるため、応募者が多い大企業で活用されています。テスト先行型採用フローチャートの流れは以下のとおりです。
- プレエントリー
- 応募書類提出・筆記試験
- 会社説明会
- 面接
- 内定
4.中途採用に特化した採用フロー
中途採用に特化した採用フローとはなんでしょうか。ここでは、中途採用フローについてさまざまな点を解説します。
中途採用とは? 新卒採用との意味の違い
中途採用とは新卒採用以外の不定期に行う人材採用および以前に就業経験のある人材を企業が採用すること。ここでは、以下の内容についてご紹介します。
新卒採用との違い
中途採用のトレンド
採用計画から選考方...
中途採用スケジュール
中途採用スケジュールには決まりがなく、通年採用が一般的です。一般的には、採用コストや人件費などを考慮して、ボーナス支給時期や異動の辞令が出る時期、繁閑期などを見極めて採用します。
中途採用で使用できる代表的な採用フロー
中途採用で使用できる代表的な採用フローは、以下の2つです。
- リクルーター型採用フローチャート
- リファラル型採用フロー
➀リクルーター型採用フローチャート
従業員が卒業した大学の人脈を用いて、同大学出身者を採用するフローのこと。従業員の人脈がベースであり、採用のミスマッチが低減できます。リクルーター型採用フローチャートの流れは以下のとおりです。
- 採用広報開始
- リクルーターによる社外へのコンタクト
- 人材紹介
- 面接試験
- 内定者フォロー
②リファラル型採用フロー
従業員の人脈を生かして行う採用フローのこと。リクルーター型と異なり、出身大学を限定せず、友人や知人といった幅広い人脈から人材を採用します。リファラル型採用フローの流れは以下のとおりです。
- 求人情報および採用要件を社内に周知
- 従業員からの人材紹介
- 面接
- 内定
- 内定者フォロー
- 入社
5.採用フロー図とは?
採用フローをチャートや図におこして可視化したものです。
6.採用フロー図を描くメリット
採用フロー図を描くとどのようなメリットを得られるのでしょう。ここでは採用フロー図を利用するメリットについて、解説します。
- 関係者全員に共通認識が生まれる
- 進捗の可視化
- 採用戦略の立案が容易に
- 採用の精度が安定する
- 採用活動の改善に活用
- 対象者による採用フローの使いわけ
①関係者全員に共通認識が生まれる
採用活動には、経営層や人事、現場の各部署などさまざまな人がかかわるもの。採用フローを活用すれば、関係者全員に採用に関する共通認識が生まれ、選考もスムーズに進むでしょう。
②進捗の可視化
可視化された進捗を採用にかかわる関係者が共有できれば、関係各所への進捗確認の手間が省けるうえ、フロー途中のトラブル処理もスムーズになります。
③採用戦略の立案が容易に
採用フローがあれば、採用戦略の立案が容易になります。採用フローを見れば、自社が必要とする人材を採用できる採用プロセスであるかの検証が可能です。採用フローと経営目標を照らし合わせれば、戦略的な採用計画を立案できます。
④採用の精度が安定する
まず採用フローを人事担当者や各部署の担当者、経営陣などで共有します。すると採用プロセスごとで目的や手段、課題が明確になるのです。
それにより自社の目的に合った一貫した採用プロセスが設計でき、各採用段階で一貫したメッセージを候補者に伝えられるため、自社に最適な人材を採用しやすくなります。
⑤採用活動の改善に活用
採用フローがあれば、採用活動中にトラブルが発生しても、原因や対処方法を見つけやすくなるため、迅速に改善できます。採用フローは進捗状況も把握できるので、進捗に応じた追加策を講じるのも可能です。
⑥対象者による採用フローの使いわけ
採用フローは、対象職種や新卒・中途、正社員・アルバイトなどターゲットによって変更するとよいでしょう。また採用フローの分析を重ねると、ターゲットに最適な採用フローがわかります。
7.採用フロー図の作り方
採用フロー図はどのように作るのでしょう。3段階から解説します。
- 採用計画の立案
- 工程の設定
- フロー図の作成とアクションの具現化
➀採用計画の立案
採用目的や部署ごとの採用人数、部署や職種に応じた採用したい人物像やスケジュールなどをおおまかに検討し、立案します。採用計画は、経営目標や経営方針などをブレイクダウンさせながら決めていくとよいでしょう。
②工程の設定
採用活動解禁から実際に採用した人物が入社するまでの工程を決めます。具体的な工程として挙げられるのは、下記のとおりです。なおこの段階では、まだこれ以上フローを細分化する必要はありません。
- 採用広報解禁
- 募集要項公開
- 書類選考
- 面接選考
- 内定
- 入社
③フロー図の作成とアクションの具現化
工程を細分化してフロー図を作成し、各段階で実施するアクションを決めていきます。たとえば「広報開始」では、広告媒体の選定や自社ホームページに採用ページを構築していくのです。
8.採用フロー図を作成する際の注意点
採用フロー図を作成する際、何に注意すればよいのでしょう。それぞれについて見ていきます。
- 会社のビジョン、採用したい人材を明確にする
- 応募者の目線で作成
- 自社の採用課題にマッチしたフローを作成
- 記号や図を用いて時系列でわかりやすく並べる
- 実際に運用可能かを確認する
- 採用フローの改編をデータで蓄積
- テンプレートを活用
①会社のビジョン、採用したい人材を明確にする
まずは社内にて、会社のビジョンや採用したい人材を明確にします。それにより選定時に正しい判断が可能になるのです。
明確にすればするほど、自社のビジョンに共感を持った人材の採用チャンスが増えたり、採用後の内定辞退や早期退職などの低減が期待できたりします。
②応募者の目線で作成
採用フローを考える際、どのようなターゲットを採用したいのか、応募者目線で考えます。たとえば下記のような工夫を行うとよいでしょう。
- コミュニケーション能力を高く評価したい場合:面接の回数を多くし、集団面接などの面接パターンを導入する
- 知識重視の採用を希望する場合:筆記試験の中身を充実させる
③自社の採用課題にマッチしたフローを作成
たとえば応募を待つ採用フローでは、より専門知識や技術を持った人物の採用は困難です。その場合企業から専門知識を持った人材へダイレクトアプローチするといった、応募から始まる標準的な採用フロー図を改定しなければなりません。
自社にマッチしたフロー図へのカスタマイズは優秀な人材の獲得に欠かせません。
④記号や図を用いて時系列でわかりやすく並べる
たとえば下記を意識して作成すると、多くの人に伝わりやすい採用フロー図を作成できます。
- タスクを意味する長方形、判断を意味するひし形といった記号を使いわける
- 矢印で流れを可視化する
- フローは左上を開始点として、時系列に並べる
- フロー図をExcelで作成する場合は、コネクタをつなげる
⑤実際に運用可能かを確認する
決定した採用フロー図を見て、採用目的との整合性やコスト、人的リソースや時間的制限、ほか業務への圧迫度などから問題が生じないかを確認します。仮に、コスト過多といった問題が予想される場合、採用フロー図を再検討しなければなりません。
⑥採用フローの改編をデータで蓄積
過去から学べることは多いので、採用フローを改編した際はデータを蓄積しましょう。データを振り返ると、自社を取り巻く環境や他社、改良前と改良後などから分析できます。
⑦テンプレートを活用
作成は、テンプレートのダウンロードも利用できます。採用フロー図を最初から作成するのはかなりの負担です。テンプレートをダウンロードして利用すれば、かんたんに作成できるだけでなく、プロセスに漏れも出ません。