さとり世代とは?【意味・特徴を簡単に】ゆとり世代との違い

さとり世代とは、堅実で高望みせず、ほどほどに生きるという気質を持った世代のことです。ここではゆとり世代との違いやさとり世代の特徴、指導方法や注意点などについて解説します。

1.さとり世代とは?

さとり世代とは、「夢や希望を持たなくても今が安定していればいい」という考えを持った世代のこと。1980年代後半から1990年中ごろの不景気な時代に生まれ育った彼らは、社会の厳しい現実により悟りを開いているように見えたため、この名で呼ばれるようになりました。

さとり世代とゆとり世代の違い

「ゆとり世代」は「さとり世代」のひとつ前、いわゆる「ゆとり教育」を受けてきた世代のこと。明確な区別はないものの一般的に「脱ゆとり教育」を経験してきた世代を「さとり世代」と呼びます。

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さとり世代とつくし世代の違い

「つくし世代」とは、他人に「尽くす」献身的、自己犠牲的イメージが強い世代のこと。一般的に1980年代後半生まれ以降の世代を指します。自分の心身の安全、将来の安定のために周囲に気を尽くす世代です。

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2.さとり世代が誕生した背景

諸説あるものの、「さとり世代」が生まれたのは1987年から2004年といわれています。この時代、日本には社会全体を揺るがすさまざまな出来事が続きました。

  • 1991年~1993年頃 バブル崩壊
  • 1995年 阪神淡路大震災
  • 2009年 リーマンショック
  • 2011年 東日本大震災

環境的にも経済的にもインパクトのある出来事が続いた時代です。お金やモノだけでなく、国すら信頼できない考えに至ったのには、こうした背景があると考えられています。

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3.さとり世代の傾向

続いてさとり世代の傾向について、見ていきます。さとり世代とはどの年代を指し、どのような特徴を持っているのでしょうか。

さとり世代の年齢

一般的に以下2つの期間に生まれた世代をさとり世代と呼びます。

  • 1990年代生まれ
  • 1996年~2005年生まれ(ゆとり世代後期とも)

ゆとり教育のはじめに義務教育を受けた1987年頃生まれと、ゆとり教育の終わりに義務教育を受けた2004年頃生まれとでは一世代のギャップがあります。一般的に同じゆとり教育でも、後期から終了までの世代を「さとり世代」として区別しているのです。

非ブランド志向

かつてバブル時代では、高級ブランド品や高級外車を持つことがステータスでした。しかしさとり世代はバブル世代のようにブランド品を買い漁るような夢は持っていません。

身分不相応な出費はバカバカしいと考え、実用性を重視し、ノーブランドでもコスパのよいものを選ぶ傾向にあります。つねにコストパフォーマンスを意識してネットで情報収集を行っているのが、さとり世代が持つ消費の特徴です。

デジタルネイティブ

生まれたときからインターネットが身近にある世代を「デジタルネイティブ」といいます。

さとり世代の人々はパソコンや携帯電話、スマートフォンが普及した時代に生まれ育ってきました。彼らは幼いころからインターネットを介してあらゆる情報を取り入れてきた「デジタルネイティブ」です。

ネガティブな評価もあるものの、「あらゆる情報を抵抗なく受け入れられる」「グローバル社会に向いている」といったポジティブな面もあります。

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現実主義

さとり世代は「現実主義」な人が多いといわれています。「手が届かないなら頑張って手に入れようとしなくていい」「過度の物欲や旅行は浪費につながる」と考える傾向にあるのです。

さとり世代が生まれたバブル崩壊後、どれだけ努力してもなかなか経済が回復せず、また自然災害やテロといったどうしようもない障がいも起こりました。夢を抱く前から現実の厳しさを知ってしまったため、堅実な現実主義になったと推測されています。

安定性重視

さとり世代が嫌うのは「大きな夢を追いかけた先の無駄な失敗」。リクルートの調査によれば「成功したといわれる生活を送りたい」「夢を叶える仕事に就きたい」という質問に対して、あてはまると回答したさとり世代の高校生は全体の約6割。

一方「将来は大企業や有名企業に入りたい」「会社のなかでえらくなりたい」と回答したのは4割にとどまっています。不安を抱えた不確かな夢よりも、安定した生活を目指して選択していくのがさとり世代の特徴です。

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4.さとり世代の仕事スタイルの特徴

不安のない確実な将来を求めるさとり世代。彼らの仕事に対するスタイルにはどのような特徴があるのでしょうか。

効率重視で処理能力が高い

前述のとおりさとり世代は、インターネットやデジタルデバイスが幼少期から存在していた時代です。電子機器を使った生活が当たり前になっているため、仕事でも効率重視で処理能力が高くなっています。

従来の働き方にとらわれず、より効率的でスマートに業務を進める能力が高い一方、過程で別の可能性に気付きにくいという特徴もあるのです。

指示には忠実

指示を忠実に受け止め、与えられた仕事をきちんとこなそうとするのもさとり世代の特徴といえま。一方「指示以上のことは付けくわえない」「必要以上の仕事はしない」というドライな傾向もあるのです。

これには「自分の判断で勝手に作業しても怒られる」「目立つことで人間関係が複雑になるリスクを避けたい」「必要とされる仕事だけを確実にしたい」という考えが働いているためと考えられています。

プライベート重視

さとり世代はプライベートを重視する世代。公私をはっきりと区別している人が多く、プライベートを詮索されたり侵害されたりするのを嫌います。会社への帰属意識も低いため、同僚との飲み会や忘年会などにもあまり参加しません。

必要最低限のお金さえもらってプライベートの時間を楽しむほうが幸せなのです。

帰属意識が低い

先に触れたとおり会社への帰属意識が低い点も特徴のひとつ。彼らはかつて主流だった終身雇用が崩壊した時代に育ってきたため、一昔前の「滅私奉公してチームのために貢献する」という感覚を持っていません。

会社のために仕事をしているというより、自分のスキルや経験を詰むために働いているという認識が強い傾向にあります。

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5.さとり世代の効果的な指導方法

効率重視で処理能力が高く、指示に忠実なさとり世代。彼らを指導する際は以下4つのポイントを意識する必要があります。

  1. 「命令」ではなく「提案」を心がける
  2. 結果よりもプロセスを褒める
  3. 注意する時はPNP法を使う
  4. マニュアルを準備する

①「命令」ではなく「提案」を心がける

さとり世代に仕事を依頼する際は「強制されている」「やらされている」と感じさせないアプローチが必要です。さとり世代に限らず、人は「強制されている」「やらされている」と感じるとやる気を失いがち。

「なぜこの業務を行う必要があるのか」「どうして別の方法ではなくこの方法なのか」を理論的にしっかり説明して「命令」ではなく「提案」を心がけると、彼らのモチベーションを向上させられます。

②結果よりもプロセスを褒める

さとり世代とコミュニケーションを取る際、結果よりもプロセスを褒めます。成長途中で失敗する状況ももちろんあるでしょう。そこであえて結果ではなく「昨日に比べてできるようになったこと」「努力したこと」に着目し、言葉でそれを伝えるのです。

「この人は失敗した結果ではなく努力した自分を見てくれる」と感じさせられれば、彼らの自己肯定感は高まり、モチベーションや生産性の向上にもつながります。

③注意の際はPNP法を使う

幼い頃からSNSに慣れ親しんできたさとり世代は「いいね!」を集めるのに熱心な一方、受け入れられない相手は「ブロック」する傾向にあります。しかし指導する側にはたとえ拒否されるとわかっていても、伝えなければならないことがたくさんあるのです。

彼らに注意する際は、ほかの世代以上に慎重さが必要といえます。マイナスをプラスで挟むコミュニケーション方法「PNP法」を用いた、相手のやる気を損なわない指導が効果的です。

④マニュアルを準備する

効率を重視するさとり世代は「見て学ぶ」「とりあえずやってみる」などが苦手です。しかしはっきりした指示や合理的なマニュアル、評価基準があれば、しっかりと業務を遂行します。

現実を見据え、効率性を好むさとり世代は、業務効率化にも積極的に取り組んでくれるでしょう。この仕事がどんな意味を持っているのか、何を目指しているのかを理解してもらうことが重要です。

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6.さとり世代の指導における注意点

さとり世代を指導する際には、注意点があります。それは下記の2つです。

  1. プライベートに立ち入らない
  2. 精神論を語らない

①プライベートに立ち入らない

先にも触れたとおり、公私をはっきりと区別するさとり世代は、プライベートを過度に詮索されるのを嫌います。上司や教育係にプライベートまで踏み込まれると、彼らは強制されている気持ちになるのです。

さとり世代とうまく付き合うコツは、誘いを断られてもそれ以上詮索せず、必要以上に踏み込まないこと。「せっかく誘ったのに」「遠慮しているのかもしれない」「プライベートに踏み込まないのは失礼かも」などの気遣いは不要です。

②精神論を語らない

さとり世代に精神論や根性論は通用しません。彼らは納得できない精神論で抑え込まれるのを嫌います。「もっと熱く」「俺が若い頃は」と語る指導は、効率や省エネを重視するさとり世代が特に苦手とするタイプです。

アドバイスする際は論理的かつ端的に話しましょう。成功したパターンや方法をロジカルに話すのがポイントです。

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7.さとり世代以外の世代

「さとり世代」「ゆとり世代」以外にも、時代の特徴を反映するさまざまな時代がありました。さとり世代以外の代表的な世代について説明しましょう。

しらけ世代

1950年から1964年生まれの世代は「しらけ世代」と呼ばれました。団塊の世代とバブル世代の間にあった世代です。

「しらけ世代」は日本が豊かになっていくのをテレビなどで見ていた世代。何事にも熱くなっていた「団塊の世代」と比べて物事に熱中する状況が少なく、どこか他人事として無関心であったため「しらけ世代」と呼ばれました。

バブル世代

「バブル世代」とは1965年から1970年頃に生まれた世代のこと。彼らは日本がバブルに沸いた昭和末期頃に就職しました。

彼らが就職を迎えた1980年代後半、バブル景気に突入した日本の人材市場は空前の「超売り手市場」となったのです。そして日本の好景気に育った世代は働くことが美徳とされており、会社の飲み会や接待など勤務時間外の付き合いも積極的に行われていました。

氷河期世代

やがてバブル経済が崩壊し、景気は悪化。有効求人倍率は多くの企業が1を割る時代となりました。「失われた世代」「ロストジェネレーション」とも呼ばれ、就職に苦労した世代を「氷河期世代」といいます。

氷河期世代は1971年から1982年頃に生まれた世代です。近年、年金加入率の低いこの世代に課せられた老後に関する課題が問題視されています。

プレッシャー世代

ゆとり世代と氷河期世代のちょうど真ん中、1982年から1987年頃に生まれた世代を「プレッシャー世代」といいます。「戦後最大の不況」と呼ばれたこの時代は、大手有名企業の倒産、リストラが相次いで起こりました。

政治や経済、生活に大きな変化が起きたプレッシャーの時代を耐えてきた世代です。現実的な夢と考え方を持っており、氷河期世代に比べると物事を明るく前向きにとらえる傾向にあります。

ミレニアル世代

1981年以降に生まれ、「ミレニアム(新千年紀)」の名前に由来するとおり2000年以降に成人を迎えた世代を「ミレニアル世代」と呼びます。「Y世代(ジェネレーションY)」と呼ばれる場合もあるのです。

彼らはインターネットが当たり前の時代に育ったため情報リテラシーが高く、物質的な豊かさよりも精神的な豊かさを求める傾向にあります。

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Z世代

ミレニアルよりあと、1990年後半から2012年頃に生まれた世代を「Z世代」と呼びます。インターネットやデジタル機器が当たり前に使われてきた世代であるため「真のデジタルネイティブ世代」ともいわれます。

SNSネイティブなこの世代はテレビや雑誌で取り上げられる商品より、自分がフォローしているSNS上のインフルエンサーに影響される傾向にあるのです。また自分が「価値のある」と判断したものには支出を惜しみません。

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