新卒採用とは? 中途採用との違い、メリット、スケジュール

新卒採用とは、教育機関を卒業したばかりの学生を採用すること。新卒採用の定義や中途採用との違い、メリットやスケジュール、進め方などを解説します。

1.新卒採用とは?

新卒採用とは、教育機関を卒業したばかりで就業経験のない学生を採用することなかでも卒業予定者に一斉に求人を出し、卒業と同時に正社員採用するスタイルは、「新卒一括採用」や「定期採用」と呼ばれ、広く定着しています。こうした採用スタイルは日本独自のもので、海外ではほとんど見られません。

日本で新卒採用が誕生したのは、戦前に三菱が大卒者の定期採用を始めた点にあります。戦後の高度成長期にはさらに大卒者の大量採用が定着しました。2021年の就活ルール導入で変化しながらも、現在も採用の主流であり続いているのです。

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2.新卒採用のメリット

企業が将来にわたって発展を続けるには、社員を安定的に採用し、育成していかなければなりません。しかし現在の日本では、少子高齢化の進行にともない、労働人口の減少が加速しています。

そのようななか、新卒採用には以下のような独自のメリットが期待されているのです。

  1. 社内の雰囲気の活性化
  2. 将来の幹部候補生として採用可能
  3. 企業の知名度向上

それぞれについて解説しましょう。

①社内の雰囲気の活性化

社員構成の変わらない状態が続くと、仕事の進め方や考え方の固定化が進み、刷新や革新はなかなか起こりません。しかし新卒採用により組織の年齢構成が若返れば、これまでになかった新しい視点が持ち込まれ、刷新や確信が生まれる可能性も高まるのです。

業務成果の向上につながるのはもちろん既存社員の育成に対する意識向上も見込めるでしょう。

②将来の幹部候補生として採用可能

新卒採用者は多くの企業から、理念に共感できる所を選ぶ傾向にあり、愛着心や忠誠心を抱きやすいといわれています。

さらに中途採用者と異なり、前職の経験から来る固定観念がありません。企業独自の理念や風土を素直に受け入れやすく、将来を担う人材として高い教育効果が見込めます。

定着率も高いため、ジョブローテションを使った長期的、計画的な育成も進めやすいでしょう。

③企業の知名度向上

採用活動を通して多くの学生にアピールできるため、採用と同時に若者の間での知名度向上も見込めます。

新卒採用の過程において、多くの企業は学生に広く自社をアピールし、学生もまた企業情報を積極的に収集します。学生間での知名度向上につながるのはもちろん、その後の好意的なイメージにもつながりやすいでしょう。

とくに話題性のある採用活動を行った企業に対しては、メディアの取材が入るのも少なくありません。そうなれば採用活動の活性化や効率化とともに、若者を中心とした幅広い年代へのプロモーション効果も見込めるでしょう。

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3.新卒採用のデメリット

新卒採用には独自のメリットがある一方、独自のデメリットもあります。新卒採用を行う際は、デメリットにも注意を払わなければなりません。ここでは新卒採用のデメリットについて説明します。

  1. 採用までに長い時間と多くのコストが必要
  2. 戦力になるまで長い時間と多くのコストが必要

①採用までに長い時間と多くのコストが必要

新卒採用は過程が多く、採用までに多くの時間とコストをかけなければなりません。新卒採用は以下さまざまな過程を経て、約1年という長期にわたって続きます。

  • 目標やターゲットの設定
  • 採用スケジュールの立案
  • 採用方法の選定
  • 運用体制の検討
  • 採用活動の実施
  • 内定式や研修
  • 振り返りと改善

採用活動の実施は採用広報や会社説明会、面接などさらに細かい過程にわかれます。内定から入社までは半年程度の期間が空くため、内定後のフォローにも力を入れなければなりません。

対して中途採用の過程は、応募があったら選考、そして内定と非常にシンプル。内定から入社までの期間も、平均で2か月程度しか空きません。新卒採用に挑む際は、中途採用の何倍もの時間とコストを覚悟しておく必要があります。

②戦力になるまで長い時間と多くのコストが必要

新卒者は就業経験を持たないため、戦力になるまでに多くの時間とコストを要します。

新卒者は中途採用者と異なり、仕事の参考となる過去の経験や知識をほとんど持っていません。業務に慣れて独り立ちするまで、ゼロから時間をかけて、教育を積み上げていく必要があります。

さらに育成期間中は、就業という形こそとっているものの、業績への貢献はあまり期待できません。戦力として仕上がるまで、コストが収益に勝ると覚悟しておきましょう。

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4.新卒採用と中途採用の違い

新卒採用と中途採用、どちらを選ぶべきかを正確に判断するには、それぞれの違いを知っておかねばなりません。ここではいくつかの観点から、新卒採用と中途採用の違いについて説明します。

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目的と背景

中途採用は増員募集と欠員募集の双方で行われますが、新卒採用は主に増員募集でのみ行われます。

  • 増員募集:社員数を増やして企業を発展させるため、人材の募集をかけること
  • 欠員募集:退職した社員を補って現状を維持するため、人材の募集をかけること

増員募集は教育に時間をかけられますが、欠員募集にそのような余裕はありません。

そのため中途採用は、即戦力を含めた幅広い人材確保を目的に、「増員募集」「欠員募集」の双方で行われます。反対に新卒採用は、中長期的に可能性のある人材の採用を目的に、主に増員募集でしか行われません。

こうした明確な目的の違いには、高度成長期に大量の人材を確保するために発展した、新卒採用の歴史がかかわっていると考えられます。

採用の対象

中途採用の対象は社会人経験者ですが、新卒採用の対象は社会人未経験者です。

新卒採用の対象は、アルバイトを除いて就業経験のない、教育機関を卒業したばかりの人材。現在は国の方針にのっとり、卒業後3年以内の人材を対象に含める企業も増えてきました。条件を満たす人材であれば、年齢に制限はありません。

対して中途採用の対象は、アルバイト以外の就業経験を要する人材。卒業後3年以内の就業経験者を「第二新卒」と呼ぶようになった点から、卒業から3年を経過した人材にのみに絞る企業も出てきたのです。

なお第二新卒は「新卒者」と「中途採用者」、双方の面を持ち合わせており、一概にどちらかには振りわけられません。そのため新卒採用と中途採用、どちらの対象になるかは、企業によって異なるのです。

採用のスケジュール

中途採用は需要に応じて随時行われますが、新卒採用は主に入社前年の3月から4月までに行われます。

中途採用は欠員や事業拡大のたびに行われるため、決まった採用時期はほとんどありません。募集があればすぐに選考に移り、求人から内定までは数週間〜1か月程度で終わるのが一般的です。

希望する人材の確保が難しい昨今、つねに中途採用を続ける企業も少なくありません。

対して新卒採用は、4月入社に向けて前年の3月から4月から行われる「新卒一括採用」が主流です。説明会や面接、内定出しなどの日程も教育機関に合わせてある程度決まっており、中途採用ほどの柔軟性はありません。

ただし人材不足や採用ルールの見直しが進む昨今、通年採用や1月から2月からの早期採用も増えています。

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5.新卒採用が向いている企業

学生へのアピールポイントがある企業、または若手社員に幅広い仕事が与えられる企業には、新卒採用が向いています。

たとえ社会人に人気のある企業でも、学生に人気があるとは限りません。これは社会人と学生とで、企業を判断する視点が異なる点に由来します。学生へのアピールポイントが豊富な企業は、中途採用より新卒採用のほうが有利に進めやすいでしょう。

学生へのアピールポイントとは、たとえば以下のような要素です。

  • 知名度の高い個人向け商品がある
  • 商品やサービスが具体的でわかりやすい
  • 事業に明確な意義がある
  • 仕事での成長がイメージしやすい

昨今の学生は、こうしたポイントでもとくに、仕事での成長がイメージしやすい企業に魅力を感じる傾向にあります。そのため若手社員に幅広い仕事が与えられる企業は、それを最大のアピールポイントとして、そのまま学生に強く打ち出せるのです。

またそうした企業は新卒者でも業績に貢献しやすく、育成コストという新卒採用ならではのデメリットも、それほど負担になりません。

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6.新卒採用よりも中途採用が向いている企業

「資金力に乏しい企業」「即戦力が必要な企業」「事業領域の拡大や競争力の向上を狙う企業」には、新卒採用よりも中途採用が向いています。

新卒採用はあくまで、中長期の可能性に対する投資。中途採用と異なり、すぐに業績に変えられるような経験や技術の獲得は見込めません。戦力として育て上げるための時間はもちろん、その間の赤字も覚悟しておく必要があります。

そのため「資金力に乏しい企業」「成長を待つ体力がない企業」には、そもそも向いていません。該当する企業はまず中途採用で基盤を整え、資金に余裕が出てから新卒採用を検討するとよいでしょう。

同様に即戦力が必要な企業も、中途採用のほうがより効率的に需要を満たせます。

また新規事業の立ち上げや競合との差別化には、自社にない専門的なノウハウや技術の獲得が欠かせません。そのため事業領域の拡大や競争力の向上を狙う企業も、専門的な即戦力を探せる中途採用のほうが向いているといえます。

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7.新卒採用を成功させるポイント

学生の需要は変化し続けており、これまでどおりに採用をしても、大きな成果が見込めるとは限りません。企業は新卒採用市場の現状に応じて、とくに以下のような点に力を入れる必要があります。それぞれについて解説しましょう。

  1. 母集団形成
  2. 学生への魅力づけ

①母集団形成

母集団形成とは、採用候補となる学生を集めること。企業は母集団を形成するため、学生に広く自社の魅力をアピールします。

そして新卒採用を成功させるには、自社が求める人材に近い母集団を、採用希望に合わせた規模で形成しなければなりません。

しかし母集団は、多ければ多いほどよいわけではありません。求める人材像と異なる学生では意味がありませんし、多すぎればそのぶん絞り込みの手間がかかります。

まずは自社が求める人物像、そして採用規模に見合った母集団の数を明らかにしましょう。それに沿って動けば、採用効率は自然と向上していきます。

②学生への魅力づけ

適切な魅力づけで学生の志望度を上げなければ、最終的な就職先として選んではもらえません。

魅力づけで何より大切なのは、学生の目線に立って考えること。たとえばベンチャー志向の学生に安定性をアピールしても、魅力づけにはなりません。「独立を目指せるスキルが得られる」といった、興味を引く別のアピールポイントを探す必要があります。

学生の目線に立つためにはまず信頼関係を構築し、本音を聞き出さなければなりません。対等な立場で学生に寄り添い、就職活動の軸や今の考えを引き出しましょう。

それに沿ったポイントをアピールして売上や成長率、先輩社員の事例や顧客からの声などで具体的に補強すれば、就職先として選んでもらえる確率が高まります。

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8.新卒採用に取り組む際の注意点

新卒採用で理想的な人材を確保するには、入念に採用戦略や採用計画を立て、準備を進めておかなければなりません。そのためのポイントとして、以下のような項目が挙げられます。

  1. 目的の明確化
  2. 具体的なスケジュール作成
  3. 内定者のフォロー
  4. 入社後のフォロー

ここでは新卒採用に取り組む際の注意点として、よりよい人材を採用するためのポイントを説明します。

①目的の明確化

新卒採用の目的を明確にし、全社員にあらかじめ共有しておけば、採用活動がよりスムーズに進みます。

新卒採用でよく行われるのが、採用イベントや座談会、インターンシップなど社員を巻き込んだ企画。学生に上手くアピールするためには、あらゆる場面で社員の積極的な協力が欠かせません。まずは目的を明確にし、それを全社員にきちんと共有しましょう。

目的がわかれば重要性や必要性が理解でき、とるべき行動も見えてきます。協力が得やすいのはもちろん、社員発の的を射た行動も増え、採用活動がよりスムーズになるでしょう。

②具体的なスケジュール作成

具体的なスケジュールを練っておけば、採用活動がよりスムーズに進みます。中途採用と異なり、年間の大まかな流れが決まっている新卒採用。採用計画が不確かなままでは、必要な時期に適した行動がとれず、成功も見込めません。

新卒採用ならではの大まかな流れを把握したうえで、それに沿って具体的なスケジュールを練り上げておきましょう。

③内定者のフォロー

内定者を手厚くフォローすれば、内定辞退を予防でき、新卒採用の効果を向上させられます。内定者のフォローとは、企業が内定後の学生に対して行う施策のこと。面談や懇談会、研修や職場見学など、内容はさまざまです。

求人倍率が高く売り手市場といわれる現在、内定者がほかの企業に流れるのも珍しくありません。内定後の手厚いフォローは、入社前の不安や疑問の解消、企業理念の理解につながるため、内定辞退のリスクを軽減させられます。

④入社後のフォロー

入社後もフォローを怠らなければ、早期退職を予防でき、新卒採用者の定着率を向上させられます。

厚生労働省の調べによれば就職後3年以内の離職者は、新規高卒就職者で約4割、新規大卒就職者で約3割。ただ入社する人材を確保するだけでは、新卒採用が成功したとはいえません。早期離職の原因として、以下の3点がよく知られています。

  • 期待と現実のギャップ
  • 直属の上司との関係
  • 業務過多または業務過少

これらの原因を早期に発見、フォローするのはもちろん、新卒者を孤独にさせないような工夫を講じましょう。

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9.新卒採用のスケジュールと進め方

経団連は新卒採用のスケジュールについて、3月に広報活動、6月に選考活動、10月に内定出しを解禁すると定めています。

しかしそのとおりに活動する企業は、実はそれほど多くありません。他社に先んじて人材を確保するため、多くの企業が6月頃からサマーインターンシップ、Webサイトでの情報提供などを開始します。

また広報活動の解禁に先駆けた秋冬インターンシップ、説明会に近しいイベントなどの開催も一般化。広報活動の解禁後に面談という名目で面接し、選考活動の解禁後すぐに内々定を出すといったように、一段階早く動く企業も少なくありません。

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10.新卒採用の主な手法

新卒採用は主に、以下のような手法で行われます。

  1. ダイレクトリクルーティング
  2. SNS採用
  3. リファラル採用
  4. 人材紹介
  5. 就活ナビサイト

それぞれ違った特徴を持つさまざまな手法があり、ひとつに絞るのが最良とは限りません。状況に応じて、複数の手法を併用するのがよいでしょう。ここでは、新卒採用の主な手法を説明します。

①ダイレクトリクルーティング

企業が直接声を掛け、学生をスカウトする手法のこと。具体的な手段としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 過去の応募者に連絡する
  • SNSできっかけを作り連絡する
  • ダイレクトリクルーティングサービスを経由して希望の人材をスカウトする

直接連絡を取り合うため、お互いの理解を深めやすく、双方にとって満足度の高い採用を目指せます。

ただし求人票やスカウトメールの作成、候補者の選定や面接の日程調整まで、採用過程をすべて自社でこなさねばなりません。採用の負担増加は、あらかじめ覚悟しておきましょう。

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②SNS採用

企業の公式SNSアカウントを採用に活用する手法のこと。若年層に対するSNSの普及を背景に近年、急速に注目を集め始めました。

SNS採用によく使われるSNSは、「Twitter」「Facebook」「Instagram」の3つ。そのほか、「LINE」や「YouTube」が使われる場合もあります。

アカウントは基本、無料で作成できるため、ほかの手法のように費用もかかりません。いずれ採用候補となる潜在層にもアピールできるほか、広報や宣伝も兼ねられます。

ただし効果を上げるには、「露出を増やすため投稿数を上げる」「拡散してもらうためフォロワーを増やす」など、SNS特有の工夫も必要です。SNSについて理解を深めるのはもちろん、一定の時間を費やす覚悟をしておきましょう。

③リファラル採用

自社の社員に採用候補者を紹介してもらう手法のこと。リファラルリクルーティングとも呼ばれ、ダイレクトリクルーティングの一種と位置づけられています。

もともと中途採用で用いられる手法でした。しかし近年、新卒採用に取り入れる企業も増えています。自社の社員に紹介してもらうため、ほか手法のように費用や時間もかかりません。ミスマッチも起こりにくく、定着率の向上も期待できます。

ただしこれらはあくまで、自社の社員が理想の人材像を理解していることが前提です。理解が不十分なままでは、ミスマッチやそれによる早期退職、紹介した社員の意欲低下などにもつながりかねません。

リファラル採用を行う場合は、日頃から社員に正しい理解を促しておく必要があります。

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④人材紹介

プロのエージェントに依頼して、希望にあう学生を紹介してもらう手法のこと。中途採用向けのサービスが主流であるものの、なかには新卒採用向けのものもあります。

人材紹介サービスでも、「リクナビ就職エージェント」や「マイナビ新卒紹介」などは特に有名でしょう。紹介費用は成功報酬型が多く、サービスによって異なります。

希望にあう学生と効率的に出会えるため、採用に無駄な時間がかかりません。ただし紹介費用の平均は、1人当たり約100万円と高額。費用がかさみやすく、大量採用には向いていません。また出会える学生の幅が限られると、あえて避ける企業もあります。

⑤就活ナビサイト

就活に関する情報が幅広く掲載された、就活特化型の情報サイトのこと。企業情報の効率的な収集、Webエントリーなどを目的に、多くの学生に利用されています。

数ある就活ナビサイトでも、「リクナビ」や「マイナビ」などは特に有名です。費用や特徴はサイトごとに異なるため、比較検討したうえで自社にあうところを選びましょう。

就活ナビサイトを利用すれば、簡易的な新卒採用サイトが作成できるうえ、多くの学生に幅広くアピールできます。しかし掲載される企業が多いぶん、知名度が低い企業は相当な努力をしなければなりません。

あくまで間口を広げる手法と捉え、必要に応じてほかの手法も併用しましょう。

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11.新卒採用の成功事例

日本独自の採用スタイルであり、特有のメリットも多い新卒採用。ここでは、実際に新卒採用に成功した企業の事例を説明します。

  1. 富士通
  2. クラレ
  3. LINE
  4. オープンエイト

①富士通

富士通はリファラル採用を行い、企業と新卒者のマッチングを高めています。

同社はリファラル採用の方式として、社員から話を聞いた求職者が、自らホームページ上で応募できるシステムを導入。その後の選考は通常と同じ流れで進むため、あくまで採用担当者が主導でき、紹介する社員にも余計な負担がかかりません。

「マッチングを高める」というメリットをそのままに、「紹介者の採用意識に左右される」「紹介者に負担をかける」というデメリットを軽減させました。

またそのほかにも、育児や介護などを理由に退職した社員を再雇用する、カムバック採用も導入。正社員として勤続1年以上、退職から5年以内の元社員を、採用の対象にしています。

②クラレ

クラレはダイレクトリクルーティングやリファラル採用に乗り出し、自社が求めるチャレンジ精神旺盛な人材との出会いを積極的に作り出しています。

同社はもともと「化けろ、思いのままに」をコンセプトに、文理とわず50名から70名を新卒採用していました。

これまで就活ナビサイトを中心に採用活動を行なってきたものの、理想とする人材にあまり出会えない現実に直面したのです。より攻めた採用活動にシフトするため、ダイレクトリクルーティングに乗り出しました。

現在はリファラル採用も導入し、内定者から次の応募者を紹介するという連鎖を構築しています。

③LINE

LINEは複数ポジションを比較したうえで選考に進む制度を導入し、適材適所な新卒採用を実現しました。しかし就業経験のない学生には、自らを生かせるポジションがなかなか見極められません。

そこで同社では、複数ポジションを比較できる「ポジションリサーチ」制度を導入。採用担当者が能力や特性に適したポジションを提示し、学生が比較検討したうえで希望する選考に進めるようにしたのです。

適材適所が実現できるのはもちろん、応募に対する心理的ハードルを下げる効果も見込めます。

同社はそのほかにも「社員の紹介によるリファラル採用」「将来的な採用を望む人材のキャリア登録」などを導入。複数の採用手法を活用して、自社が望む人材の確保に努めています。

④オープンエイト

オープンエイトはダイレクトリクルーティングにシフトし、採用コストの削減と目標人数の確保を両立しました。

「会社のカルチャーは生え抜きの新卒に作ってほしい」という思いのもと、創業から新卒採用を続けてきた同社。しかし会社の成長にともない採用の目標人数も増え、コスト削減が課題としてあがるようになりました。

そこで思い切って、従来の採用方法からダイレクトリクルーティングへとシフトチェンジ。スカウトメール数に制限のないサービスを活用して、学生との接点を積極的に増やしていきました。

「返信しやすいスカウトメール」「カジュアルな面談」などが功を奏し、2020年はダイレクトリクルーティングだけで6名、総勢9名の新卒者が入社。コスト削減と目標人数の確保、双方の達成に成功しています。