信用と信頼の違いとは?【わかりやすく解説】ビジネスでは?

「信用」と「信頼」は、どちらも人や団体、あるいは広範な物事を信じるさまを表す語です。ここではこれらの詳細な意味や使い分けなどについて解説します。

1.信用と信頼の意味の違いとは?

  • 信用:主に人や団体が過去に残した実績や成果を評価すること。
  • 信頼:将来的に生じる感情や行動に期待すること

信用が積み重なって安心や安全が確保されると、実績がない分野でも相手を信じるようになって信頼が生まれます。ここからは信用と信頼の詳細を見ていきましょう。

信用とは?

人や団体が過去に達成した実績や成果を評価し、その人や団体を信じること。英語表記は「Trust」「Confidence」「Reliance」などです。ビジネスにおける信用は、業績に対する評価、およびそれを信じるさまを意味します。

人間関係や組織同士のつながりにおいて、最初から無条件に信用することはほとんどありません。お互いを信用するには、実績や行動を確かめる相応の時間とコミュニケーションが必要だからです。

信頼とは?

主観的な立場から特定の人や団体を信じて頼ること。相手を信じるかどうかの基準は自分の感情や考えである点で、信用とは大きく異なります。また信頼の英語表記は、信用と同じく「Trust」「Confidence」「Reliance」と表すのです。

信頼は、今までの実績や行動から相手を信用したうえで、これからも同様の活躍を期待します。たとえば優秀な若手社員に、重要な仕事を新たに任せるのは、信頼した結果から導かれた判断です。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは?

・1on1の進め方がわかる
・部下と何を話せばいいのかわかる
・質の高いフィードバックのコツがわかる

効果的に行うための1on1シート付き解説資料をダウンロード⇒こちらから


【評価業務の「めんどうくさい」「時間がかかる」を一気に解決!】

評価システム「カオナビ」を使って評価業務の時間を1/10以下にした実績多数!!

●評価シートが自在につくれる
●相手によって見えてはいけないところは隠せる
●誰がどこまで進んだか一覧で見れる
●一度流れをつくれば半自動で運用できる
●全体のバランスを見て甘辛調整も可能

カオナビの資料を見てみたい

2.信用と信頼を使いわける重要性

仕事において信用と信頼を混同すると、相手と良好な関係を築きにくくなります。意味合いをよく理解したうえで使いわけましょう。

信用は過去の実績や結果、記録などにもとづいて相手を信じること。よって客観的かつ明確な判断基準が必要です。たとえば取引先の信用を得るには、納期や品質など一定の条件をクリアしければなりません。

一方で信頼は十分に信用を得ている状態であり、無条件で相手を信じていることも少なくありません。そのため明確な判断基準のない場合がほとんどです。

Excel、紙の評価シートを豊富なテンプレートで楽々クラウド化。
人事評価システム「カオナビ」で時間が掛かっていた人事業務を解決!
【公式】https://www.kaonavi.jp にアクセスしてPDFを無料ダウンロード

3.信用と信頼のビジネスシーンでの使いわけ方

ビジネスシーンにおいては、信用と信頼は適切な使いわけが必要です。「相手の実績や成果が信じられるのか」あるいは「その人物と団体自体が信じられるのか」よく考えたうえで、相手を信頼するか信用するか、判断しましょう。

信用

相手が信用に値するかを判断する際は、過去の実績を基準とし、十分に精査する必要があります。とくに過去の実績が本人によって語られたものである場合、客観的あるいは定量的なデータを用いてその信ぴょう性や裏づけを確認すべきです。

このような判断から導かれた信頼は、相手の能力を信じることとも言い換えられます。過去の実績と同等の行動や対応が可能だと考えられるからです。

たとえば「以前このプロジェクトを成功させたのだから、同規模のプロジェクトなら遂行できるだろう」という判断は信用にあたります。

信頼

信頼においては、過去の実績が基準となる場合もあるものの、基本は相手の人柄や振る舞いなど「現在」の様子もふくめて主観的に判断されます。ビジネスシーンにおいて信頼が生じやすいのが、上司と部下の人間関係です。

たとえば十分な実績を挙げていない部下でも、仕事に対する考え方や取り組み方を評価して重要性の高い仕事を任せるケースでは、上司が部下を信頼している状態といえます。このように実績がなくても信頼する場合もあるのです。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

4.アドラー心理学における信用と信頼

アドラー心理学では、信頼に対する考え方を明確にしています。アドラー氏は、共同体感覚(共同体において人とつながっているという感覚)のベースになるのが信頼であり、まずは相手を信じることが重要だと提唱しているのです。

相手を疑っていると信頼関係を築けないため、裏切られる可能性があったとしても無条件に信じるべきだと主張しています。

なお信用については明確に定義していません。しかし無条件で信じることが信頼ならば、条件づきで信じることが信用にあたると考えられるのです。

アドラー心理学の概要

アドラー心理学は、オーストリアの精神科医アルフレッド・アドラーが提唱した心理学理論のこと。

その概念は「自己決定性」「目的論」「全体論」「認知論」「対人間関係論」の5つの理論と、「勇気づけの技法」および「共同体感覚」という価値観で構成されています。

アドラー心理学は人間の行動と心理を対象としており、「個人が自己決定性を持って生きていくこと」や「人生において目的や目標を持つことの重要性」を提唱しているのです。信用や信頼に関しては、対人関係論や共同体感覚に関連づけて言及しています。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

5.信頼されるために必要なこと

人から信頼されると「人間関係が円滑になる」「本音での対話ができるようになる」「発言の説得力を高められる」などのメリットを得られます。ここではビジネスシーンで信頼される人間になるために必要なことについて説明しましょう。

  1. 責任のある言動
  2. 他者への気遣いや配慮
  3. 感情のコントロール
  4. 相手への興味関心
  5. 実績やスキルの保有
  6. 態度や意見の一貫性
  7. 報連相の徹底

①責任のある言動

相手の信頼を得るためには自分の言動に責任を持ち、つねに誠実な対応を心がけましょう。とくに重要なのが約束を守ること。些細な約束であっても必ず守るべきです。約束を守ると相手に安心感を与えるため、約束を守り続けていくと信頼関係を構築できます。

ただし信頼関係は簡単かつ短期間で構築できるものではありません。相手の信頼を得るためにも、日々自分の言動に責任を持ち、最後までやり遂げる必要があります。

②他者への気遣いや配慮

相手の状況や感情に注意を払って話し方や行動を調整し、適切な配慮を積み重ねると、信頼関係の構築および維持がしやすくなります。

たとえば慌ただしい部下に仕事を依頼する場合、単に「やっておいて」と指示するのではなく「慌ただしいなか申し訳ありません。この仕事をお願いできますか」といった相手の状況や感情に配慮した言葉を選びましょう。

部下は「自分の様子をよく見てくれている」と感じて、上司に対する信頼が高まる可能性もあるからです。信頼関係の構築は業務の円滑化にもつながります。

③感情のコントロール

感情をコントロールするのも信頼を得るうえで重要です。怒りや不満があってもあらわにせず、冷静に相手の立場や状況を考慮した行動をとりましょう。

感情のままに叱責したり怒鳴ったりするだけでは、相手の信頼を損ねる可能性があります。感情的にまかせて誤った意思決定をしてしまうと、相手の信頼を失うだけでなく業務の遂行に支障をきたすかもしれません。

感情のコントロールが苦手な社員には、アンガーマネジメント研修の実施がオススメです。

④相手への興味関心

興味や関心を持って相手へ接すると、相手からの好感を得やすくなり、信頼関係の構築を促進できます。

たとえば部下との信頼関係を構築する場合、上司は部下の話を積極的に聞き、部下の話題に興味や共感を示すのがポイントです。部下も上司に対する興味や関心が高まり、好感が積み重なっていきます。この好感が多いほど信頼を得やすくなるのです。

取引では、相手のニーズや要望に見合った商品やサービスを提供するため、相手への興味関心を持った対応が不可欠といえます。

⑤実績やスキルの保有

豊富な実績や高いスキルを保有していると、信用が高じて信頼を得られます。たとえば企業内で特定の業務を遂行するうえで有益な情報を自分だけが知っている場合、それを提供すると自身に対する信頼が高まるでしょう。

この方法で信頼を得るためには、情報収集や自身のスキルを絶えず磨き続けることが大切です。長年にわたり情報収集に努め、自身のスキルを磨き続けて専門性を高めると、社内だけでなく社外からも信頼を得やすくなります。

⑥態度や意見の一貫性

信頼を得るためには、相手に関わらず自分の態度や意見を一貫させるのも重要です。相手の地位や肩書によって態度を変えず一貫した判断や対応を行うと、その公平性が評価されて信頼につながります。

また時間の経過で意見を変えたり、他人の意見に左右されて指示を変えたりせず、一貫性を保つよう心がけましょう。そして上司は、部下に対する好き嫌いが行動に現れないよう注意が必要です。

扱いに差があると気づいた部下は、上司への信頼を大きく損ねるかもしれません。

⑦報連相の徹底

信頼を得るためには、基本的なビジネスマナーである「報連相(報告・連絡・相談)」の徹底が欠かせません。報連相を怠ると周囲の人々は不信感や不安を抱き、信頼関係を構築しにくくなります。

また報連相が適切に行われていない職場では仕事がうまく進まず、信頼関係の喪失と同時に業務の停滞も招きかねません。自社における報連相のルールを今一度確認し、日々遵守していけば信頼を高められるでしょう。

報連相とは?【できない原因】おひたし、重要性、本当の意味
報連相とは「報告」「連絡」「相談」の1文字目をとったビジネス用語です。 30年以上前に誕生し、企業に属する社員が場面や用途に合わせて相手に伝える方法として広まっています。 1.報連相とは? 報連相と...

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

6.信用と信頼の類義語・対義語

混同されやすい信用と信頼の違いが明確になりました。しかしさらに似た語が存在します。それぞれの類義語と対義語について説明しましょう。

類義語(同義語)

信用と信頼はどちらも人や物事に対して「信じる」という意味を持ち、類義語として互いに関連しています。

そのほかの類義語としては、職務を任せる際に相手を信用することを意味する「信任」や、自分の考え方や信じるものに対する強い信仰心を表す「信念」などがあるのです。

また英語の「Credit」に由来する「クレジット」も、信用と信頼を意味する語。社会的信用という意味で使用される傾向にあり、金融業界では買手や借手を信用した金融取引などを指します。

対義語

信用と信頼の対義語には、次のような「疑う」という意味合いの強い言葉が挙げられます。

  • 懐疑:見解を疑うこと
  • 疑惑:真実かどうか疑うこと
  • 疑心:疑わしく思うこと

また次のように、信用や信頼しない行動を意味する言葉も対義語です。

  • 警戒:不測の事態に備えた態勢を整えること
  • 裏切り:約束を破ること
  • 管理:他者を自分の支配下に置き、指示や命令に従わせること