失業保険の待期期間とは?【2ヶ月? 3ヶ月?】自己都合退職

失業保険の待期期間とは、失業給付の支給対象にならない期間のことです。ここでは、失業保険の待期期間について解説します。

1.失業保険の待期期間とは?

失業保険の待期期間とは、失業給付が受けられない期間のことで、受給資格決定日を合わせた7日間のことを指します。失業保険では、会社都合退職・自己都合退職など離職した理由にかかわらず、失業保険の申請日から7日間、失業給付の支給されない待期期間があるのです。

理由はハローワークが失業を判断するといった事務処理を行うため。

実際に失業手当が支払われるのは、会社都合退職の場合は7日間の待機期間終了後、自己都合退職の場合は、待機期間終了から2~3ヶ月後になります。

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2.失業保険とは?

政府管掌の強制保険である雇用保険で定められた給付制度のひとつ。失業保険は、雇用保険に加入している被保険者が離職し、再就職の意思がある場合に支給されるのです。雇用保険制度で失業保険は、基本手当と呼ばれています。

失業保険の目的は、「一定期間の生活費を補填する」「職業選択の自由を保障する」こと。解雇といった会社都合による離職や介護などの自己都合退職による離職でも、一定要件を満たせば支給されます。

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支給金額の計算方法

支給金額を計算する際、下記のような手順で進めます。

  • 賃金日額を算出する
  • 基本手当日額を算出する
  • 基本手当受給総額を算出する

計算式は、下記のとおりです。

  • 賃金日額=退職前6か月間の給与総額÷180
  • 基本手当日額=賃金日額×45~80%(賃金日額、年齢により率は異なる)
  • 基本手当受給総額=基本手当日額×所定給付日数

支給金額の上限と下限

賃金日額には、支給金額に上限と下限が設けられています。上限は、離職時の年齢区分に応じて下記のように定められているのです。一方、下限は、年齢に関係なく全年齢で2,000円に設定されています。

  • 29歳以下で1万3,630円
  • 30~44 歳で1万5,140円
  • 45~59 歳で1万6,660円
  • 60~64 歳で1万5,890円

なお賃金日額の上限額と下限額は、「毎月勤労統計」の平均定期給与額が増減した場合に変更されます。その際、基本手当日額の算定基準も変わり、支給額も変わるのです。

支給金額のサンプル

支給金額のサンプルとして、「40歳男性」「雇用保険に21年加入」「会社都合で退職」「賃金日額は1万3,000円以下」といったケースを解説します。

  • 基本手当日額は、1万3,000円×50%=6,500円
  • 所定給付日数は、270日
  • 給付日数は、365日間の失業により所定給付日数により270日
  • 失業保険金額は、基本手当日額(6,500円)×給付日数(270日)=179万100円

失業保険金は総額が一括で受給されるわけではありません。4週間ごとの失業日数に応じ、分割して支給されます。

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3.失業保険の待期期間と給付制限の違い

失業保険の待期期間と給付制限には違いがあります。両者の違いや給付制限期間のケースなどについて、見ていきましょう。

給付制限期間とは?

家庭の事情による自己都合や懲戒解雇で退職した場合、失業状態の7日間の待期期間が完了した日の翌日から基本手当が支給されない期間のこと。

従来、「正当な理由がない自己都合による退職」の給付制限期間は3か月でした。しかし令和2年10月1日以降、正当な理由のない自己都合により離職した場合、給付制限期間が5年間のうち2回までは、3か月から2か月に短縮できるようになったのです。

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給付制限期間のケース一覧

基本手当が支給されない給付制限期間のケースは、下記のとおりです。

  • 正当な理由なく自己都合により退職したとき、7日間の待期期間終了後、2か月または3か月間支給されない
  • 重責解雇のとき、7日間の待期期間終了後、3か月間支給されない
  • 再就職促進に必要な職業指導を正当な理由なく拒んだとき、拒んだ日から起算し1か月間支給されない
  • 公共職業安定所からの職業紹介、指示された公共職業訓練等を正当な理由なく拒んだとき、拒んだ日から起算し1か月間支給されない

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4.待期期間を経てすぐ失業保険が給付されるケース

待期期間を経てすぐ失業保険が給付されるケースとは、どのようなケースなのでしょう。4つのケースについて解説します。

  1. 会社都合退職者
  2. 妊娠による自己都合退職者
  3. 定年退職者
  4. 特定理由離職者

①会社都合退職者

会社側の都合により雇用関係が終了した・退職を余儀なくされた労働者のこと。

たとえば「倒産や事業所の廃止」「自己の責めに帰すべき重大な事由にもとづく解雇以外の会社からの解雇」「ハラスメント」「業務の法令違反」「退職手当を除く3分の1以上の賃金不払い」などによる離職です。

こうしたケースでは、7日間の待期期間を経るとすぐに失業保険が給付されます。

②妊娠による自己都合退職者

妊娠は個人的事情であるため、自己都合に当たる退職理由です。そのため本来、3か月の給付制限期間が設けられます。しかし失業保険の受給期間の延長を利用すれば、子育て中に3か月の給付制限期間が経過するのです。

つまり妊娠によって自己都合退職をしても、出産後ならびに求職活動を始めた際には7日間の待期期間が経過しているため、給付制限を受けずに失業給付を受け取れます。

③定年退職者

定年退職は、「就業規則で定年日があらかじめ定められている」「退職後の生活設計を計画できる」といった理由から自己都合退職と同じ扱いとなります。

しかし定年退職者に、一般的な自己都合退職者に適用される3か月間の給付制限期間はありません。定年退職者は7日間の待期期間経過後、原則、28日間ごとの失業認定日に失業保険を受給できます。

給付日数は、自己都合退職と同じ扱いとなるため、基本手当日額の90日分から最長は150日分(被保険者期間が20年以上の場合)です。

④特定理由離職者

自己都合退職のなかでも自らの意思に反する正当な理由がある退職者のこと。特定理由離職者に認定されれば、7日間の待期期間の後、給付制限期間なしに失業保険の支給が開始されます。特定理由離職者に該当するのは下記のような離職です。

  • 有期労働契約更新の希望が認められず離職
  • 親の介護など家庭事情の急変で離職
  • 出産、育児により離職し、受給期間延長措置を受けた
  • 人員整理といった希望退職者募集に応じて離職

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特定理由離職者と認められる方法

ハローワークの担当者によって特定理由離職者と認められるのです。

まずハローワークの担当者は、求職者から、離職した状況や事情をヒアリングします。そして、正当な理由だと認められる事実と事実を証明する公的な書類を確認して、認定するのです。

正当な理由のある自己都合離職であるかどうかの判断基準は、個別具体的事情によって判断されます。該当するか否か、離職者自身は決定できません。

特定受給資格者との違い

特定理由離職者と特定受給資格者には違いがあります。

  • 特定理由離職者:事務所の移転といった、自己都合退職のなかでも自らの意思に反する正当な理由がある退職者や給付制限のない離職者
  • 特定受給資格者:勤務先の倒産や事業所の廃止、事業所内の大量雇用変動や賃金の未払い、職種転換時の無配慮などで再就職準備のための時間がなく、離職を余儀なくされた退職者

新型コロナによる離職も特定理由離職者

新型コロナによる離職も特定理由離職者に該当します。具体的な要件は以下のとおりです。

  • 同居の家族が新型コロナウイルスに感染した、といった理由で看護や介護が必要となり自己都合離職した
  • 本人の職場で感染者が発生、本人もしくは同居の家族が基礎疾患を有する、妊娠中、高齢を理由に、感染拡大防止や重症化防止の観点から自己都合離職した
  • 新型コロナウイルス感染症の影響で特定の子の養育が必要となったため、自己都合離職した

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5.失業保険の待期期間中はアルバイトをしてはいけない

失業保険の待期期間中にアルバイトをすると、待期期間の日数が働いた翌日からリセットされ、失業給付金を受け取れるまでの期間が長引きます。失業保険は、「失業している」「求職活動をしている」点が受給条件になるからです。

アルバイトによって週20時間以上勤務をしたり、雇用保険に加入したりした場合、就業しているとみなされる場合もあります。失業認定が受けられなければ、失業保険は給付されません。

条件を満たせば給付制限期間ならアルバイトが可能

待期期間を過ぎれば、条件を満たした場合に限り給付制限期間中のみアルバイトできます。雇用保険の加入条件は、「週所定労働時間が20時間以上」「31日以上の雇用」両方の要件が見込まれること。

アルバイトが就業と認められないためには、1日4時間以上・週20時間を超えないような労働契約の締結が必要です。またアルバイトが認められる時間数や日数の基準は各ハローワークが把握しています。事前に確認しておきましょう。

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6.失業保険の待期期間中は扶養に入れる

失業保険の待期期間中は扶養に入れるため、受給要件を満たしている場合、失業給付も受給できるのです。ただし失業給付日額によっては、扶養でいるための要件である年収130万円の上限額を超えてしまいますので、注意しましょう。

健康保険についても、組合ごとに加入要件を別途定めている場合があります。健康保険組合ごとの被扶養者の認定基準については、事前に加入を希望する健康保険組合へ問い合わせ、確認しましょう。