証憑とは? 読み方や領収書との違い、書類の具体例、保存方法

証憑とは、主に取引や経済活動における事実や内容を証明するための書類や記録の総称。種類、具体例、保存方法、法律上の注意点について解説します。

1.証憑とは?

証憑(しょうひょう)とは、社内外における取引、契約、業務の正当性を証明する書類や資料のことです。証憑書類と呼ばれる場合もあります。

証憑の代表例は、「契約書」「請求書」「領収書」「支払証明書」など。法律で一定期間の保存が定められているほか、会計監査や内部監査、税務調査などで提示を求められる場合があります。

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2.証憑と領収書との違い

領収書は証憑の一部に分類され、それぞれの範囲と具体的な内容に多少の違いがあります。

領収書は、代金の支払いが行われたことを証明する書類の名称。たとえばレシート、クレジットカードの請求明細、振込証明書などが挙げられます。

対して証憑は、社内外の取引、契約、業務の事実と正当性を証明する書類の総称。領収書のほかにも雇用契約書、誓約書、各種伝票、各種帳簿など、バックオフィスで扱う書類のほとんどが該当します。

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3.証憑が必要になるケース

証憑は企業の取引や業務の正当性を証明する書類。そのため双方の認識違いで起こるトラブル解決にも役立ちます。また税務調査の際には、申告内容に誤りがないことを示す重要な書類でもあるのです。

取引などでトラブルが起きたとき

対外との取引においてトラブルが発生した場合、証憑に記載された事実や根拠をもとに解決を図れます。

たとえば「企業間取引で代金が支払われない」「顧客からの商品不良やサービスに対するクレームがあった」といったトラブルでは、領収書や納品書から取引内容の確認が可能。これらの証憑を提示してこちらの正当性を示せます。

調停や裁判といった法的措置が必要になった際も、証憑は客観性の高い証拠として重要な役割を果たすのです。

税務調査が行われるとき

税務調査は、税務当局が企業の税務申告の正確性を確認するために行う調査を指し、申告した収入や経費の内容が正しいかどうかを確認されます。

申告内容の根拠となるのが、売上に関する証憑(請求書や領収書)、経費に関する証憑(支払証明書や領収書)などです。これらの証憑で正しい申告だと証明できれば、不適切な申告による追加税額や罰金のリスクを回避できます。

自社の税務における信頼性を高めるためにも、適切な証憑の管理が重要です。

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4.証憑書類の種類・具体例

証憑の種類は広範に渡り、対外的に発行する書類から日常的に扱う書類までさまざま。ここでは証憑書類の主な種類と具体例をご紹介します。

契約に関連する証憑

契約に関する証憑では、次のような書類が挙げられます。

  • 契約書:取引の条件や双方の義務を明確に記した文書
  • 覚書: 契約内容を記した簡易な文書
  • 合意書:双方の同意や合意事項を明記した文書
  • 業務委託契約書:依頼者と委託者のあいだで業務委託の条件を定めた文書
  • 秘密保持契約書:機密情報の取り扱いに関する条件を定めた文書
  • 賃貸借契約書: 土地や建物の賃貸契約内容を記した文書
  • 銀行取引契約書: 金融機関融資との融資取引における条件を定めた文書

売上に関連する証憑

売上に関する証憑では、次のような書類が挙げられます。

  • 見積書:見積もり金額や条件が記載された文書
  • 納品書: 商品やサービスの納入を証明する文書
  • 請求書:代金の請求内容が記載された文書
  • 領収書:代金の支払いが行われたことを証明する文書
  • 売買契約書:商品やサービスの売買契約内容を記した文書

モノのやりとり(仕入等)に関連する証憑

モノのやりとり(仕入など)に関する証憑では、次のような書類が挙げられます。

  • 発注書:仕入れる商品や素材の条件や価格、数量などが記された文書
  • 納期書:商品やサービスの納入を証明する文書
  • 配送伝票:商品の配送状況が記された文書
  • 受領書:商品の受け取りを証明する文書
  • 検収書:仕入れた商品や素材の品質や数量を受け入れたことを記した文書
  • 棚卸表:在庫の数量や金額を記載した文書

労働・雇用に関連する証憑

労働や雇用に関する証憑は、社内で発行する文書のほかに従業員から提出される書類も含まれます。ここでは雇用で生じる書類と給料に関連する書類を解説しましょう。

雇用関連

雇用に関する証憑では、次のような書類が挙げられます。

  • 雇用契約書:雇用条件や業務内容などが記載された文書
  • 履歴書:学歴、職歴などが記載された文書
  • 退職届:従業員が雇用関係を終了する意思を通知する文書
  • 労働者名簿:従業員の基本情報を記録した文書

給料関連

給料に関する証憑では、次のような書類が挙げられます。

  • 給与明細書(給与支払証明書):従業員が受け取る給与や手当の詳細が記載された文書
  • 出勤簿:従業員の勤務日数や出退勤時刻などを記録した文書
  • タイムカード: 従業員の出退勤時刻と労働時間を記録した文書
  • 賃金台帳:従業員の給与支払い記録や手当などの詳細が記載された文書
  • 源泉徴収票:源泉徴収に関する情報や給与所得税の控除額が記載された文書
  • 扶養控除等申告書:納税者が確定申告で扶養控除を受けるために申告する書類
  • 配偶者控除等申告書:納税者が確定申告で配偶者控除を受けるために提出する書類
  • 基礎控除申告書:納税者が確定申告で基礎控除を受けるために提出する書類
  • 保険料控除申告書:納税者が確定申告で保険料控除を受けるために提出する書類

その他

証憑には上記に該当しない経営、資産、業務に関する書類も含まれます。ここでは4種類にわけて解説しましょう。

固定資産に関連する証憑

固定資産に関する証憑では、次のような書類が挙げられます。

  • 固定資産売買契約書:固定資産の購入や売却における契約内容が記載された文書
  • 固定資産除却・廃棄報告書:資産を処分する際に作成する書類
  • 減価償却計算書:固定資産の減価償却費を計算した文書
  • 資産評価証明書:固定資産の評価額や状態を評価した報告書
  • 修繕や改修の記録:固定資産の修繕や改修の履歴を記録した文書

借入金・社債に関連する証憑

借入金や社債に関する証憑では、次のような書類が挙げられます。

  • 借用証書:借入金の金額、利率、返済期限などが記載された文書
  • 返済予定表:借入金の返済計画やスケジュール、返済金額が記載された文書
  • 社債申込書:社債の申し込み内容が記入された文書

有価証券に関連する証憑

有価証券に関する証憑では、次のような書類が挙げられます。

  • 売買報告書:有価証券の売買内容を記載した書類
  • 有価証券受渡計算書:有価証券の受渡に関する取引内容が記載された文書
  • 有価証券預り証:金融機関が有価証券を預かったことを証明する渡す文書

その他の証憑

前述までの分類に該当しない証憑では、次のような書類が挙げられます。

  • 事業報告の謄本:会計年度の終了後に提出する事業報告書の写し
  • 監査報告の謄本:内部または外部が行った監査の結果を記載した報告書の写し
  • 株主総会議事録・取締役会議事録:経営や業務執行に関する重要会議の内容を記録した文書
  • 納税証明書:その年の納付額や納付済み額などが記載された文書
  • 議事録:会議の内容、議決事項、出席者、発言内容などを記載した文書
  • 稟議書: 案件について関係者の承認や決裁を得るための書類
  • 小切手帳:小切手の振り出し記録が残る冊子
  • 内容証明郵便:書類や郵便物の内容や送付日時を証明する郵便サービス
  • メールやメモ書き:取引内容が記載された電子記録

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5.証憑の保存期間

証憑の保存期間は、税法、会社法、電子帳簿保存法といった法律で定められています。

  • 10年間保存:会計帳簿、財務諸表、労働契約書など
  • 7年間保存:税務書類、取引に関する帳簿など
  • 5年間保存:議事録の謄本、事業報告書、医療記録など
  • 3年間保存:労働基準関連書類(労働者名簿、賃金台帳など)

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6.証憑管理の方法

証憑の保存期間は法律で定められているため、保存期間中に紛失すると罰則の対象となります。そのため紛失しないための適切な保存方法と管理の仕方を理解しておくことが重要です。

証憑の保存方法では、紙媒体と電子媒体が挙げられます。それぞれについて解説しましょう。

紙媒体

書類を印刷し、ファイルや書類整理ケースに保管する伝統的な手法です。この方法では書類が物理的な形で存在し、直感的かつスムーズに管理できるため、業務負担が少ない利点があります。また紙には一定の耐久性があり、適切に保管されれば長期保存が可能です。

ただし大量の書類を保管する場合は、相応のスペースを確保しなければなりません。さらに適切な分類や整理がなされていないと、特定の書類を探し出すのが難しくなります。

電子データ

主に挙げられる方法は、「書類を電子データ化する」と「電子データをそのまま保存する」のふたつです。

電子データ化して保存する場合は、物理的な書類をスキャンやデジタル化して電子ファイルとして保存。電子データをそのまま保存する場合は、電子メールやデジタルフォーマットで受け取った書類をその形式のまま保管します。

いずれも物理的なスペースを節約しつつ、データベースやクラウドで効率的に管理できるのがメリットです。ただしデータ消去に備えるバックアップ、情報漏洩を防ぐセキュリティ管理を行う必要があります。また電子帳簿保存法で定めるルールにも従わなければなりません。

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7.証憑を保存する際の注意点

証憑の保存を怠ったり、紛失したりした場合は、税法と会社法に違反したとして罰則が適用される点に注意が必要です。

税法上の罰則

税法では、帳簿書類の作成、記録、保管、および税務調査に対する提出が義務付けられています。そのため適切に作成や保存をしていない、あるいは提示を拒否したときに罰則が科される可能性があるのです。

罰則の一例として挙げられるのが、青色申告の承認の取り消し。取消しを受けると1年間は青色申告の再申請ができず、その間は白色申告を行うことになります。白色申告は青色申告と比べて適用される控除額が減少するため、結果的に納税額が増えてしまうのです。

このような税務リスクを避けるためにも、企業は日常的に証憑を適切に管理し、必要に応じて提示できる状態にしておくことが重要です。

会社法上の罰則

会社法第976条では、書類や電子データの適切な記録、保管、提示を怠った場合に100万円以下の過料が規定されています。

くわえて電子データで保存する場合は、電子帳簿保存法の厳密な規定を満たさなければなりません。つまり電子帳簿保存法の規定を満たしていない場合、会社法第976条に抵触することを意味します。

また電子帳簿保存法の違反も、青色申告の承認取消し理由となりえる点に注意が必要です。