職場環境は従業員のストレスやエンゲージメント、満足度に大きく影響する要素です。しかし、職場環境を改善したくとも具体的に何をすればよいかわからない場合あるでしょう。
今回は職場環境を改善する方法や具体的なアイデア、改善の具体的な手順などをご紹介します。
目次
1.職場環境を改善する方法とは?
職場環境は、従業員のパフォーマンスに大きく影響するものです。まずは代表的な職場環境の改善方法をご紹介します。
- ストレスチェックの実施
- 職場環境の整備
- 業務効率化
- コミュニケーションの活性化
- メンタルヘルスの知識をつける
①ストレスチェックの実施
ストレスチェックは、メンタルヘルスの不調を未然に防ぐための一次予防と職場環境改善を目的に実施されています。従業員のストレスが高い状態は業務パフォーマンスだけでなく、職場環境全体の悪化を招きかねません。
2015年2月より、年1回の頻度でストレスチェックの実施が義務化されています。法人・個人問わず労働者が常時50名以上の事業者が対象であり、実施後は労働基準監督署への報告が必要です。
ストレスチェックは年1回の実施にとどまらず、定期的に実施したほうがよいでしょう。なぜなら、日々のストレスの積み重ねから突然の退職起こる可能性も高いからです。
突然の退職を防ぐためにも従業員のストレスに対して迅速にフォローして、定期的に従業員のコンディションを整える必要があります。
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②職場環境の整備
職場は1日のうち多くの時間を過ごす場所であるからこそ、快適な環境でいなければなりません。
オフィスの冷暖房を整えて適切な温度・湿度を保つ、トイレや更衣室を清潔に保つほか、従業員が一息つく休憩室や食事スペースを快適な場所にするのも大切です。
また、仮眠室や自販機、売店や食堂を設けるなど、福利厚生施設を用意することも職場環境の整備にあたります。
③業務効率化
職場環境と聞くと設備面に意識が向きがちです。しかし重要なポイントは、「業務が円滑に進められるかどうか」。
たとえば、データや資料がバラバラに管理されている場合、必要なデータ・資料を見つけるのに時間がかかり、残業が増えてしまったり、スキルが身につけられる業務にかけられる時間が減ってしまったりします。
また、新入社員への教育方法がバラバラで各々のいっていることが違うと業務が円滑に進められず、最悪、新入社員が離職してしまうかもしれません。
こうしたケースにはマニュアル化や教育システムの確立により、教える側の業務効率化を図りながら新入社員の教育を最適化する方法が有効です。そのほか、チャットツールといったITシステムを導入し、DX化を図るのも職場環境の改善につながります。
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④コミュニケーションの活性化
話しやすい雰囲気の職場は、従業員の心理的安全性を高められます。反対に、話しにくい・相談しにくい職場ですと課題や悩みの解決の手立てが見つけられず、離職が有効な解決手段になってしまう場合もあるのです。
そうなると、離職の悪循環が発生し、従業員が定着しない環境になってしまいます。
コミュニケーションを活性化させるために、チャットツールで相談や意見交換しやすい環境を整えるとよいでしょう。上司と部下が定期的に面談して良好な関係を構築するのもひとつです。
また、飲み会手当や研修機会の提供など、職場のコミュニケーションを活性化させる機会を提供するのも有効な手法といえます。
⑤メンタルヘルスの知識をつける
メンタルヘルス問題は自分でしか解決できないこともあります。よって従業員がセルフケアできる知識を整備するのも重要です。
また、従業員のメンタルヘルス問題が放置されないよう、社内に相談窓口を設置する方法もあります。相談窓口には、必要な訓練を受けた担当者を配置しましょう。
そのほか、キャリア相談ができる環境や資格取得支援のような制度を整えるのも、メンタルヘルスのサポートに有効です。
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2.職場環境改善の前に知っておきたい3つの要素
職場環境を構成する要素は主に3つです。各要素の重要性を理解したうえで、適切な職場環境改善を実施しましょう。
- 作業環境
- 業務環境
- 人間関係
①作業環境
作業環境を構成するのは、従業員の仕事のしやすさや安全面、衛生面や居心地の良さです。作業環境は、さらに下記ふたつに分類されます。
- 物理化学的要素:エアコンの温度や湿度、オフィスの明るさや騒音対策、トイレの清潔さや休養設備など
- 人間工学的要素:作業場所の設備やデスク・イスの質、PCやスマホなど機器の使いやすさ
物理化学的要素は従業員のメンタルに影響し、人間工学的要素は業務パフォーマンスに影響します。従業員が必要とする環境を把握したうえで、自社に必要な作業環境を整えましょう。
②業務環境
厚生労働省が発表した『令和3年労働安全衛生調査』によると、従業員の強いストレスとなる原因は下記3つです。
- 仕事の量
- 仕事の失敗、責任の発生等
- 仕事の質
多すぎる仕事量は残業の常態化によって長時間勤務が強いられるため、ワークライフバランスの崩壊につながります。
また能力に適さないレベルの仕事が振られることで起こる失敗や役割に見合わない重い責任は仕事に恐怖心を生み出し、強いストレスとなって現れるのです。
さらに、適性にマッチしない仕事や能力を生かせない仕事は従業員のモチベーションを低下させるだけでなく、適切な人事評価が行われない原因にもなります。
参考 令和3年労働安全衛生調査厚生労働省③人間関係
職場の人間関係は、大きなストレスの要因になりうるもの。セクハラやパワハラが横行している職場や人間関係が悪い職場は、従業員のメンタルヘルス不調の傾向も強くなります。
職場の人間関係を良好にする有効な方法は、円滑にコミュニケーションが取れる環境を構築すること。気軽に相談できる環境なら従業員も悩みを解決しやすく、モチベーションも向上します。また報連相がしっかり取れる環境なら、業務も円滑に進むでしょう。
一方、飲み会や雑談が多いからといって、コミュニケーションが活性化しているよい職場とは限りません。たとえば、飲み会への参加が強制されている、頻度が多いとかえって人間関係にストレスを抱えてしまう場合もあります。
適度かつ必要なときにコミュニケーションを取れる環境がベストです。
3.職場環境を改善する効果
職場環境を改善すると、次のような効果が期待できます。
- ストレス軽減
- 生産性の向上
- 離職率の低下
- 良好な人間関係の構築
①ストレス軽減
ストレスがある状態だと恐怖心からミスが増えて、正常なパフォーマンスが発揮できなくなります。最悪、心身の不調から出社できない状態になってしまうかもしれません。
職場は1日のうち多くの時間を過ごす場所です。だからこそ、ストレスが少ない快適な場所にすることが大切といえます。
職場環境を改善すると従業員の居心地が良くなり、ストレスが軽減されて本来のパフォーマンスが発揮できるようになるうえ、メンタルヘルス対策にも役立ちます。
②生産性の向上
作業環境がよいと効率的に業務が進み、結果的に組織全体の生産性向上につながります。
実際に職場環境改善のメリット(費用便益)を検討した研究では、職場環境改善の実施にかかる費用が1人当たり7,660円なのに対し、実施の結果から生産性が向上して得られる利益が1人当たり1万5,200円と、費用便益が約2倍になったとの結果が出ています。
生産性の向上は企業利益に直結するもの。よって職場環境改善で取り組むべき重要事項です。
適切に業務分担されているか、従業員が本来のパフォーマンスを発揮できる配置がなされているか、仕事に使う機器に不備・不調がないかなど、業務環境や作業環境を見直してみましょう。
③離職率の低下
労働人口が減少し採用競争が激化している現代では、いかに人材を定着させて離職率を下げるかが重視されています。
職場環境がよいと居心地の良さや働きやすさから、従業員が職場を離れたくないと思うようになるだけでなく、仕事へのやりがいやモチベーションの高さにも関係します。
また、ワークライフバランスを重視できるか、個々の事情に合わせた多様な働き方ができるかも重要です。優秀な人材が定着すれば採用コストや育成コストがおさえられ、企業パフォーマンス向上により企業利益アップにもつながります。
④良好な人間関係の構築
ストレスやメンタルヘルス問題には、人間関係が大きく関係します。
社内のコミュニケーション活性化は、相談しやすい・報連相しやすい・スムーズに情報共有できる良好な人間関係の構築に役立つのです。その結果、メンタルヘルス不調の予防や業務の円滑化、従業員のモチベーションアップなどの効果を生み出します。
また、人間関係の良好な職場なら帰属意識も高まり、エンゲージメント向上も期待できるでしょう。
4.職場環境が改善されない企業の特徴
職場環境が改善されない企業には、下記のような特徴が見られます。
- アナログな業務が多い
- コストを優先している
- 残業が減らない
①アナログな業務が多い
紙やファイルが多く、書類が各所に散在している企業はまだまだアナログな環境といえます。
人の手で行う作業が多いと本来時間を割くべき業務ができず、人材の価値を最大限発揮できません。たとえば、書類仕事が多いと新しいアイデアが生み出せない・形にできなくなり、企業成長の停滞を引き起こします。
アナログを脱するためにもシステムやツールの導入で効率化を図り、本来時間を割くべき業務に集中できる環境をつくりましょう。
新たな価値が創出されやすくなるだけでなく、ペーパーレスで無駄なコスト削減につながり、その分を利益創出の費用に回せます。
②コストを優先している
オフィスの改修や新しい設備、ツールの導入など、職場環境の改善にはコストがかかります。
しかし、コストがかかるからと改善を後回しにしては、いつまで経っても職場環境が悪いままです。職場環境を改善しなければ、生産性向上や離職率低下などの効果を発揮できず、企業利益が停滞・減少するリスクも高まります。
職場環境の改善を「コスト」と考えず、企業利益を創出するための「投資」と考えることが大切です。
③残業が減らない
残業が減らない、長時間労働が当たり前の風潮となっている企業は要注意です。
残業があるだけ人件費がかかるだけでなく、従業員のストレスにもつながります。従業員一人ひとりの業務量は適切か、適切な人材配置で本来のパフォーマンスを発揮できているか、チェックしてみましょう。
5.職場環境改善のポイント
職場環境を改善するためにも、次のようなポイントに着目して然るべき改善方法を見つけてみましょう。
- コミュニケーション活性化の環境づくり
- 業務内容の適切化
- 適切なストレスチェックの実施
- 勤務制度や人事評価の整備
①コミュニケーション活性化の環境づくり
業務トラブルやメンタルヘルスの不調、作業効率の低下の要因には、コミュニケーション不足も関係します。
コミュニケーション活性化のため、チャットツールを導入する、1on1を実施するなどして相談しやすい、話しやすい環境をつくりましょう。
ただし、飲み会のようなプライベートな時間を使った施策は注意が必要といえます。従業員の声をしっかり取り入れないと、かえって人間関係のストレスを増大してしまうリスクがあるからです。
②業務内容の適切化
一人当たりの業務量は適切か、適切なレベルの業務が振られているか、低すぎてやりがいやモチベーションを失っていないか、確認しましょう。
従業員のパフォーマンスやキャパシティを把握したうえで、適切な量・質の業務を振りわけることが大切です。繁忙期は特定の部署や人に業務が集中しないよう、リソースの最適化を早くから行いましょう。
③適切なストレスチェックの実施
ストレスチェックをやりっぱなしになっていないか、正しく実施できているか、も注意が必要です。
ストレスチェックは実施してストレス状況を把握するだけでなく、状況に合わせた適切なフォローとセルフケアを促すまでが一連の流れとなります。
年1回の実施にとどまらず、定期的に実施して従業員のコンディションを定点観測し、ストレスの積み重ねによる突然の退職を防ぎましょう。
④勤務制度や人事評価の整備
昨今、従業員の働き方や価値観も多様化。そのため、個々の事情やニーズにあわせた柔軟な働き方ができる制度を整えるのも重要になるのです。
また法定外福利厚生を充実させると、従業員エンゲージメントの向上も期待できます。利用しやすい制度を導入し、企業からも利用を働きかけるとよいでしょう。
さらに人事評価は給与にも響く重要なもの。日々の頑張りが適切に認められていない、見える成果に表れないとモチベーションも低下し、組織としてのパフォーマンスも悪化します。
能力や実績にもとづいた正しい評価がなされ、従業員が納得できる形で受け取れるよう評価制度を整備するのも大切です。
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6.職場環境改善の取り組みアイデア一覧
職場環境改善のためにできる取り組みはさまざまあります。できる限り、自社の課題や従業員の要望に合わせて適切な取り組みを実施しましょう。ここでは、具体的なアイデアを紹介します。
- 従業員アンケートの実施
- フリーアドレス制度
- 多様な勤務形態の導入
- 福利厚生の整備
- 1on1の実施
- ノー残業デー
- タレントマネジメントの導入
①従業員アンケートの実施
職場環境は、現状の不満や課題に合わせて改善しましょう。
そこで有効なのがアンケートの実施です。従業員の生の声を取り入れるため、自社に必要なアイデアが見つかります。また本当に必要な取り組みを実施できるため、職場環境改善にかかるコストの最適化にも役立つのです。
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②フリーアドレス制度
フリーアドレスとは、社員の座席を固定しない制度です。座席が固定されないため部署・職種の垣根を超えた従業員同士のコミュニケーション活性化につながります。また、デスクが固定されていないためオフィスの整理整頓、ペーパーレスにも効果的です。
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③多様な勤務形態の導入
テレワークや短時間勤務など多様な勤務形態を導入すると、個々の事情に伴う離職を防いだり、優秀な人材の流出を防止したりできます。
また、介護休暇や育児休暇などの整備も施策のひとつ。しかし、制度があるだけで利用されないと環境は改善されません。利用しやすい環境づくりも職場環境改善の取り組みに含まれます。
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④福利厚生の整備
福利厚生の充実は、従業員の快適さや居心地の良さにつながるもの。職場環境改善のために企業が取り入れる代表的な福利厚生には、下記のようなものがあります。
- オフィスマッサージ
- 仮眠室
- オフィスチェア等の備品購入補助
- ジム利用の補助
- 飲食ブースや売店の設置
従業員の声を取り入れながら、従業員にとってプラスになる福利厚生を導入しましょう。
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⑤1on1の実施
1on1は、上司と部下が1対1で話す機会のこと。人材育成を目的とした施策ではあるものの、職場環境改善にも効果的です。
1対1で会話する機会があると、上司と良好な関係を構築しやすくなります。また相談しやすい環境ができるため部下のメンタル管理にも役立つのです。
さらに褒める機会やプライベートへの理解を深める機会にもなり、相互理解の向上やモチベーションアップにも効果があります。
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⑥ノー残業デー
ノー残業デーは、残業時間削減に効果的な施策です。
特定の日に残業をしないため予定も入れやすく、ライフワークバランスが重視できます。また、ノー残業デーを基準に日々の業務を調整すれば、定時で帰るための業務効率化も期待できるでしょう。
残業なしで働く状況を体験すると、どう仕事を進めれば定時で帰るかを考えながら働くクセもつけられます。残業時間の目標値を決め、目標に到達するよう業務内容の最適化、作業効率のアップを目指してみてください。
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⑦タレントマネジメントの導入
タレントマネジメントでは、従業員のスキル・経験に合わせた人材配置の最適化が可能です。個々がパフォーマンスを最大化できるため、仕事の質を保ちながら業務効率がアップするだけでなく、適切な人事評価にも役立ちます。
また、戦略的な人材育成がしやすくなり、従業員のモチベーションを高める効果も期待できるのです。組織パフォーマンスを最大化する人材マネジメントをしつつ、生産性も向上するためにもタレントマネジメントは有効な手段といえます。
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7.職場環境を改善する具体的な手順
職場環境を改善するには、PDCAを回すことがポイントです。下記で具体的な手順を解説します。
- 自社の現状・課題の把握
- 具体的な取り組みの立案
- 職場環境改善の実施
- 効果測定
①自社の現状・課題の把握
まずは、職場全体に改善の取り組みを行うと周知し、職場環境改善のメリットや目的の共通認識を得たうえで開始しましょう。この場合、経営者から周知すると効果的です。
ただ改善の施策を実行するのではなく、自社の現状を把握した上で課題を明確にするのがポイント。過去のストレスチェックの結果やアンケート・サーベイの結果から、現状の職場環境を把握しましょう。
残業時間といったさまざまなデータから多角的に課題を分析し、職場環境の要素ごとに現状から見える課題を抽出します。
②具体的な取り組みの立案
課題に合わせて従業員の声も取り入れながら、具体的なアイデアを出していきます。費用や導入にかかる時間も考慮し、ほか企業の事例も参考に自社の課題とマッチした施策を立案しましょう。
③職場環境改善の実施
施策が決まったら周知したうえで実行にうつります。この際「いつ、誰が、何をするのか」を明確にしたうえで実行すると、スムーズに行動可能です。
④効果測定
実施した施策と成果を振り返るのも忘れてはいけません。
再度アンケートを活用して生の声を聞き、数値化できるものはデータとして見える化しましょう。成果は社内全体に共有し、課題があればそこへの共通認識を持った上で次回アクションにつなげることが大切です。
8.職場環境改善に役立つ助成金
職場環境改善のために活用できる助成金もあります。環境改善はコストもかかるため、助成金も活用しながら進めてみてください。
- 両立支援等助成金
- キャリアアップ助成金
- 人材確保等支援助成金
①両立支援等助成金
家庭と仕事の両立を支援することを目的とした助成金です。中小企業事業主を対象に「出生児両立支援コース」「介護離職防止支援コース」「育児休業等支援コース」の3つを設けています。個々の事情に即した多様な働き方を実現するための施策に役立ちます。
参考 両立支援等助成金のご案内厚生労働省②キャリアアップ助成金
非正規雇用者のキャリアアップ促進を目的にした助成金です。正社員化支援と処遇改善支援の2種類があり、それぞれさらに詳細なコースが用意されています。
- 正社員化支援:正社員化コース・障害者正社員化コース
- 処遇改善支援:賃金規定等改定コース・賃金規定等共通化コース・賞与・退職金制度導入コース・短時間労働者労働時間延長コース
とくに、処遇改善は従業員のモチベーションアップに効果的な施策です。助成金を活用し、社内の仕組みを整えてみましょう。
参考 キャリアアップ助成金厚生労働省③人材確保等支援助成金
平成30年4月1日より、職場定着支援助成金から人材確保等支援助成金へと名称が変更されています。2023年3月末時点では全9コースのうち2コースの新規受付休止中。現在、7コースとなっています。
- 雇用管理制度助成コース(新規受付休止中)
- 介護福祉機器助成コース
- 中小企業団体助成コース
- 人事評価改善等助成コース(新規受付休止中)
- 建設キャリアアップシステム等普及促進コース
- 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
- 作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
- 外国人労働者就職環境整備助成コース
- テレワークコース
9.職場環境改善に成功した企業事例
ここでは、職場環境改善に成功した3社の事例をご紹介します。
- ENEOSホールディングス
- NTTテクノクロス
- コニカミノルタ
①ENEOSホールディングス
ENEOSホールディングスでは、オフィスの新たな空間活用を考える『オフィス改革プロジェクト』を推進しています。
その一環として、会議室の余剰スペースを活用してコワーキングスペースを設置。緑や鳥のさえずり、アロマのリラックス効果が感じられる空間をつくり上げ、集中力や創造性の向上に期待できる快適な空間を導入しました。
②NTTテクノクロス
テレワークによる運動不足を解消しつつ、コミュニケーションを活性化させるための取り組みとして健康増進月間を企画しました。
テレワークスタイルは崩さずセミナーや運動イベントはライブ形式で実施し、延べ200名以上が参加しました。出社時にイベントが話題に上がり、コミュニケーションのきっかけづくりにもなったそうです。
③コニカミノルタ社
日本の電機メーカーであるコニカミノルタでは2014年のオフィス移転を機に、社員250名を収容できるオープンオフィスを作りました。
フリーアドレス制で座席に指定がなく、コミュニケーション活性化を図るためにあえて遠回りになる動線に工夫されています。リフレッシュできるカフェスペースや集中したいときに利用できるソロワークスペースも用意するなど、快適な職場環境を実現しました。