人材育成や人材配置、業績向上に欠かせないクラウドスキル管理システムの導入メリットや、スキルマップなどについて詳しく解説します。
目次
1.クラウドのスキル管理システムとは?
クラウドスキル管理システムとは、社員一人ひとりのスキルを一元管理する「スキル管理システム」をクラウドで運用するもの。会社の業績向上に欠かせない、人材育成に重要なスキルを管理する際に役立つシステムです。
スキル管理をサポートするシステム
クラウドのスキル管理システムは、社員一人ひとりが持つスキルや資格を可視化できます。数値化が難しいとされる能力や知識やノウハウ、経験による習熟度を可視化する機能を持つのです。
「人材育成」「人材の適材適所の配置」「経営戦略」「人事評価」「人事異動の参考」などに役立つため、多種多様な業種や業務で導入されています。
クラウドを活用している
スキル管理システムを運用しているクラウドサービスとは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピューター(サーバー)が提供するサービスを、利用者がネットワーク経由で手元のパソコンやスマートフォンで使用できるというものです。

スキル管理とは? 目的と方法、メリットやスキルマップを解説
スキル管理とは、従業員が持つスキルや知識、能力を可視化し、組織全体で効果的に活用するために一元的に管理する仕組みです。従業員の強みや弱みを可視化することで、適材適所の人材配置や、スキルギャップを埋める...
2.クラウドでも可能なスキル管理とは?
スキル管理とは、社員のもっているスキルを可視化する仕組みのこと。公的資格や技術力、数値化できない能力や経験値などのスキルを可視化し、データとして社内で共有して管理します。
そもそも「スキル」とは何か?ビジネスに関連したスキルを紹介
「スキル」とは、能力・技能・資格などを指す言葉です。ビジネスに関連したスキルは、基本スキル・ ジョブスキル・マネジメントスキルの3つに分類されます。
ビジネスでいうスキルとは発揮能力、つまりただ能力を保有するのではなく、能力を使いこなし、行動できることを指します。そんなビジネスの3つのスキルを紹介しましょう。
ビジネススキルとは?
ビジネススキルとは、仕事に必要な知識や技術の体系のこと。社会人が従事する仕事において高いパフォーマンスを発揮するために必要なもので、下記の3つに分類されます。
- テクニカルスキル
- ヒューマンスキル
- コンセプチュアルスキル
①テクニカルスキルとは?
テクニカルスキルとは、業務を行う上で必要となる専門的知識・技術・業務遂行能力などのことで、内容は業務内容により異なります。
- 営業職…コミュニケーション能力、マーケティング技術など
- 企画職…情報収集力、分析力など
- 事務職…事務処理能力、PCスキル、資料作成能力など
- 販売・接客業…接客技術、説明力、商品知識、観察力など

テクニカルスキル(業務遂行能力)とは?【簡単に】具体例
テクニカルスキルとは、与えられた業務を適切に遂行するために欠かせない知識や技術、能力のことです。ビジネスパーソンに欠かせないとされるテクニカルスキルについて、見ていきましょう。
1.テクニカルスキル...
②ヒューマンスキルとは?
ヒューマンスキルとは、他者との良好な人間関係を築き、円滑なコミュニケーションを可能にするスキルのこと。
「他者の考えを正確に引き出す技術」「自分の考えを他者に正確に伝える技術」「対立する意見の調整」「ネゴシエーション」「プレゼンテーション」「スタッフのモチベーションを上げる能力」などが含まれます。

ヒューマンスキル(対人関係能力)とは? 種類一覧と高め方
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③コンセプチュアルスキルとは?
コンセプチュアルスキルとは、物事を理論的・創造的に考えて、個人や組織の可能性を最大限まで高める能力のこと。
コンセプチュアルスキルでは、あいまいな問題を理論的に考えます。それにより「ほかのメンバーが納得できる答えを導き出す」「問題の解決後に何をすべきか計画を立てる」などが可能になるのです。

コンセプチュアルスキル(概念化能力)とは? 要素と具体例一覧
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スキル管理の方法
スキル管理の方法に、社員のスキルを一覧表にしたスキルマップの作成があります。スキルマップの作成には、次の準備が必要です。
- スキル体系の作成…スキルの内容を明確に分類
- スキル評価方法の決定…社員のスキルを誰がどのような方法で評価するのか、決める
- 社員への周知…スキルマップ導入の目的、期待される効果、評価基準などについて社員に周知

スキルマップとは? 導入メリット、作り方、項目例を簡単に
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3.スキル管理が必要とされる理由・目的6つ
スキル管理が必要とされる理由は、何でしょうか。下記6つについて見ていきます。
- 組織全体のスキルを把握する
- 現在のスキルを維持する
- 現在のスキル情報を共有する
- スキルがある人材を効率よく探す
- 次の世代へ継承する
- 人材育成の効率化
①組織全体のスキルを把握する
組織全体のスキル把握は、目標の達成に不可欠です。スキル・人材・価値観・スタイルは「ソフトの4S」と呼ばれています。
スキルの定着、人材の育成は労力と時間がかかるため、かんたんに構築・変更できません。組織のスキルとして挙げられるのは、社員員の能力・商品の販売力・営業力・開発力・マーケティング力などです。
②現在のスキルを維持する
国家資格や社内認定作業などのスキルや資格を管理して、有効期限が切れないようにする必要があります。
保有者本人が資格更新を行っている場合、更新漏れによる失効もあり得ます。しかしスキル管理をするとそうしたミスを事前に防げるのです。またスキルを持つ社員がそのスキルを活かせない職務に配置されると、スキルを伸長する機会が失われます。
③現在のスキル情報を共有する
全社員のスキル情報を一元管理し、人事担当者同士でデータを共有すると、最適な人事配置が行えます。また、「社内でスキルをもった人材の検索」「各部署で必要なスキル別の人材抽出」などもかんたんに進められるのです。
人事業務の軽減はもちろん、個人の能力に合った適材適所の配置によって社員のパフォーマンスも向上します。
④スキルがある人材を効率よく探す
新規プロジェクトのメンバー選定などで、スキルから人材を選べるようになります。また今の部署では発揮しきれていない優れたスキルや技術・知識がある隠れた人材を、そのスキルにマッチした部署に配置し直せるのです。
これにより、社員のモチベーションアップにもつながります。人材紹介・派遣企業で求職者と求人情報をマッチングするときにも活用できるでしょう。
⑤次の世代へ継承する
組織で必要とするスキルやノウハウを標準化して全社員が共有すると、次の世代にスキルを継承できます。
スキル管理によって、ベテランの社員が培ってきた技術や知識、経験を全社員で共有し、ノウハウやスキルの継承がスムーズになるからです。蓄積した知識から見落としていた改善点が明らかになって、新しいノウハウも抽出できる場合もあるでしょう。
⑥人材育成の効率化
職業能力評価シートなどを利用して個々のスキルを把握し、強化すべき点などを明確にすると、社員のスキルアップにつながります。
たとえば、業務の成果を生み出すために必要なスキルを業務行動ベースで評価・設計するのです。社員がスキル評価を上げるために努力し、また新たなスキル取得を目指せば、社員の業績アップや人材育成につながるでしょう。
4.クラウドスキル管理システムを導入するメリット
クラウドスキル管理システム導入のメリットを4つ、解説します。
- 最適な人員配置が行える
- 個々に合わせて人材育成できる
- 外出先でもスキル管理が可能
- 初期費用を抑えられる
①最適な人員配置が行える
社員が持つスキルを生かせる適正なポジション・役割・部署などを決定するのに役立ちます。
クラウドのスキル管理システムは、スキルや業務経験・知識・ノウハウなどさまざまな情報を一元管理して分析するので、社員個人に最適な部署をマネジメントできるのです。また現在は活用されていないスキルを見抜いて、適材適所の配置を実現できます。
②個々に合わせて人材育成できる
社員が持つスキルを可視化すると、能力と段階に応じたスキルを効率的に育成できます。
社員が仕事をするうえで不足しているスキルや能力を把握できるので、計画的に能力の向上、スキルの取得支援などを実施できるのです。社員個々に合わせた人材育成によって、個々の才能も伸ばせるでしょう。
③外出先でもスキル管理が可能
インターネットにつながる環境とパソコンがあれば、いつでもどこでもサービスを利用できるので、外出先から人材情報が確認できます。
オフィスに戻らず、「メールの確認や対応」「資料の送付」「事務処理や書類の作成」などを行えるので、無駄な残業なく効率的に業務が行えるのです。またクラウドサービスは、最新のセキュリティシステムを搭載しているため、安心できます。
④初期費用を抑えられる
クラウドサービスは、自社内に設置するサーバーやソフトウェアの購入、システム開発などがないため、初期導入費用が抑えられます。またシステム更新などのメンテナンスを行うスタッフの雇用も、必要ありません。
既存システムに比べて、保守要員の人件費などの管理負荷やコスト削減が期待できるのです。
5.クラウドのスキル管理システムの機能について紹介
クラウドのスキル管理システムは、人材活用やタレントマネジメントなど人事課題の解決をサポートします。そんなシステムの機能を4つ、見ていきましょう。
- 社員情報のデータ管理
- 組織図作成
- スキル管理
- スキルの共有
①社員情報のデータ管理
Excelや紙など、これまで分散していた社員情報をクラウドでデータベース化して一元管理するため、個人情報流出のリスクを軽減できます。
また閲覧者を制限する機能が搭載されたクラウドサービスも多いため、情報へのアクセス制限が可能です。
②組織図作成
会社全体・部門・部署ごとの人員を一目で把握できる、組織図を作成できます。組織図により、組織の構成や人材の顔ぶれが瞬時に把握できるでしょう。また人材の抜擢・適材適所の配置も実現可能です。
「組織図に各メンバーの顔写真が入る機能」「縦と横に表示する指標を決めて人材の配置を検討する機能」などがあります。

組織図とは? 種類と特徴、作り方、メリットをわかりやすく
組織図は組織の内部構造を社内外に見える化するほか、さまざまなメリットをもたらしてくれます。ただし組織図にもいくつか種類があるため、目的に合わせて最適な形式を選ぶとよいでしょう。
ここでは組織図とは何か...
③スキル管理
社員の能力やスキルを可視化して一覧表にするスキルマップが作成できます。スキルマップを活用すると、組織に不足するスキルが明確になるため、強化し補充すべきスキルが明らかになるのです。
社員もスキル取得など目標を立てやすくなり、モチベーション向上にもつながります。
④スキルの共有
収集したスキル情報を、PowerPointやPDFなどの資料、サイト情報として公開できます。
社員は自分に不足しているスキルや能力を把握できるため、自ら学習しやすくなり、計画的にスキルの向上に取り組めるのです。スキル情報を共有すれば、社員個々のモチベーションを喚起し、仕事への意欲を引き出せるでしょう。
6.クラウドのスキル管理システムでも作れる「スキルマップ」とは?
スキルマップとは、在籍中の全社員の能力やスキルを可視化し、一覧にしたツールのことで、技能マップやスキルマトリックスとも呼ばれるのです。一般的に、横軸に社員の名前、縦軸に業務のプロセスや必要なスキルがリストアップされています。
スキルマップを使用する理由
計画的な人材育成、またプロジェクトメンバーの選出をする際の参考にするためです。通常業務に必要なスキルの有無がスキルマップで可視化されれば、社員個々のスキルにあった業務を割り振れます。
全社員のスキルや実力を把握できれば、プロジェクトのメンバー選出や業務内容とのスキルのミスマッチを事前に防げるでしょう。
スキルマップが生み出す効果
スキルマップは、個人・グループ・部門単位で現在のスキルがどのレベルにあるのかが一目瞭然なので、能力開発に役立ちます。社員の教育計画も立てやすくなるうえ、社員自身も目標が設定しやすくなるでしょう。
またスキルや技術力などを評価項目にすると、公正な能力評価が可能になります。
スキルマップ作成方法
スキルマップは、3つの工程で作成します。
- 組織に必要なスキル体系を作る…業務上、必要なスキルを洗い出し、分類する
- スキル基準を決める…記号による評価(◎○△×、12345)や、「できた」「できない」など、単純に分ける方法がある
- スキルを評価する…感情が入らないよう、公平性に気を付けながら評価する
スキルマップ作成時の注意点
スキルマップを作成する際の注意は、最初から完璧なものを作ろうとしないこと。社員のスキルを漏らさず評価しようとしてスキル項目を細かく分類し過ぎると、管理や評価が困難になります。
目的はあくまでも自社内でのスキル把握。各部署の業務内容や社員の状況などに合わせてその都度作成するなど、臨機応変に進めましょう。
スキルマップ作成後の活用方法
スキルマップ作成後の活用方法として挙げられるのは、各社員と個別面談し、現状の確認と目標を決めていくこと。
社員と会社側が、現時点でのスキルレベルや今後の目標について、認識と意識の共有を行うことが大切です。個人面談で目標を設定したら、目標の達成度の確認を行うためにも、半期~1年ごとなど、定期的な面談を実施しましょう。
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