SNEP(スネップ)は孤立無業者ともいい、2012年に登場した新しい概念です。NEET(ニート)が社会問題化している中で、SNEPも社会問題として取り上げられるようになっています。SNEPについて、そして大人のひきこもりやNEETとの違いを考えます。
SNEPとは?大人のひきこもりともいわれる孤立無業者
SNEP(スネップ)とは、孤独で(solitary)無職(non-employed)な人達(person)を指す和製英語です。2012年にNEET(ニート)研究でも知られる東京大学の社会科学研究所教授である玄田有史氏が提唱しました。
SNEPは日本語では孤立無業者といい、20 歳から59 歳までの人のうち、学生でなく、未婚であり、無職で、普段一人か、あるいは肉親以外に接点のない人を指しています。肉親と同居している場合は家族型孤立無業者といい、ずっと一人でいる人を一人型孤立無業者といいます。
彼らは1年にわたり、友人との交流がなく、スポーツや旅行、ボランティアといった社交的な活動に参加していません。この傾向は、家族型よりも一人型方孤立無業者に多い傾向があります。
SNEP(=孤立無業者)とNEET、ひきこもりの違い
SNEPとNEET、そしてひきこもりにはどんな違いがあるのでしょうか。
ニート(Not in Education, Employment or Training=NEET)はイギリスで生まれた言葉です。日本での定義は、年齢が15歳~34歳と若年層で、通学や就職しているわけでもなく、家の仕事や家事を手伝ってるわけでもなく、就職活動もしていない人たちのことをいいます。
SNEPが59歳までであるのに対して、NEETは34歳までとなっているため、若年層がNEETで、その延長線上にSNEPがあると考えられますが、ここで気を付けておきたいのが、NEETは就職しているか、またはしたいと思って就職活動をしているかどうかで分類するのに対して、SNEPは未就業者のうち、肉親以外の人たちとの対人関係、社交生活があるかどうか、孤独であるかどうかで判断しているところです。
ひきこもりは長期間にわたって自宅や自室にひきこもり、社会的活動をしない状態が続いている人たちのことをいいます。SNEPは、時に大人のひきこもりとわれることがあります。しかし、ひきこもりは家から外に出ませんが、SNEPの半数は外出をすることから、ひきこもりはSNEPやNEETの一部といえます。
SNEPが社会に与える問題
玄田教授が2013年1月に文部科学省と日本学術振興会の委託事業「近未来の課題解決を目指した実証的社会科学研究推進事業」でまとめた『孤立無業者(SNEP)の現状と課題』によると、総務省統計局『社会生活基本調査』の特別集計からランダムに選んだ連続 2 日間の対人関係での交流状態から、SNEPは 2000 年代から急激に増えはじめ、2011 年には162 万人に上るとみられています。
若年層のNEETに比べ、SNEPは一旦就業経験があるが、リストラや何らかの理由で退職をした場合も多く、配偶者もおらず、肉親以外に親しい相手がいない中、勤労意欲が低く、再就職が難しい状態です。
このまま59歳に近づくと孤独死やホームレスの予備軍になってしまいますし、生活保護受給による社会福祉制度予算の逼迫など、今後社会問題となることは必須であり、SNEPの就労支援などの取り組みが必要です。