企業にとって人は重要な財産。人材を適切に管理することは企業の業績に直結するのです。
- スタッフ管理と呼ばれる人材管理の方法
- 効率的に管理するためのシステムの種類や選び方
について解説しましょう。
目次
1.スタッフ管理とは?
ひと口にスタッフといっても、企業にはさまざまなスタッフが存在します。
- 戦略スタッフ:企業経営にまつわる意思決定を直接的に支援する経営企画・戦略財務を担当するスタッフ
- 管理スタッフ:人事や法務、経理・財務などの専門的なスタッフ
- ラインスタッフ:ライン業務(後述)を担当するスタッフ
スタッフ管理とはこれらの従業員を労務面も含めて管理することです。
人材派遣業では、派遣登録者の管理をスタッフ管理と呼ぶことも。どちらのスタッフ管理も、近年はシステムの導入により効率化が進んでいます。
ラインとスタッフ(ライン&スタッフ)とは?
企業を構成する人員を意味する言葉に、ラインとスタッフがあります。
ラインとは、トップ(社長)から部長、部長から課長、課長から一般従業員といったように、直線的な命令系統に則った組織のこと。企業の主要な業務を直接担当する部門や、そのライン上にいる担当者を意味します。
一方でスタッフとは、ラインに対して助言や勧告を与える部署を指します。たとえば、
- 事実を調査・分析し、必要な資料を提供
- 計画を作成
- 実施に伴う助言や調整
を行うのです。
2.管理職とは?
管理職とは組織の目標を実現するために、労働現場において「人」と「業務」を管理する人材です。具体的には、下記のような業務を行います。
- 部下の管理:部下の業務内容・進捗を把握し、目標を達成するためのサポート、評価、動機付けを行う
- チーム内外の人間関係を管理:上司と部下やチーム内のメンバー同士、チーム外とのコミュニケーションを調整
- チームの目標達成に向けて業務を企画・遂行:チームの目標達成に必要な企画を立案、企画の遂行に向けて部下たちをサポート
- 企業の経営理念・ルールの浸透:組織の目標実現に向けて、経営者の意思を部下に伝えて理解を促すことに努める
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管理監督者とは?
管理職と別に、管理監督者という言葉があります。管理監督者とは残業手当などが支払われない代わりに、特別な権限・待遇が与えられるポジションのこと。管理監督者の条件には、下記の4つがあります。
- 労働時間などの規制を超える重要な職務内容を担っている
- 経営者と一体の立場にある
- 出社・退社・勤務時間に厳しい制限を受けない
- 地位にふさわしい待遇がある
これらの条件を満たしているのが管理監督者ですが、管理職が必ず管理監督者に該当するとは限りません。
名ばかり監督者という問題
現在、日本の企業には管理監督者としての条件を満たしていないにもかかわらず、ポストとしては管理監督者としての立場が与えられており、かつ、残業代は支払われないなどの問題があるのです。
分かりやすくいうと経営層と同様の大きな責任を持たされ、出社・退社・勤務時間などの制限もない状態で労働を強いられているにもかかわらず、相応の待遇が与えられないというケース。
とあるハンバーガーチェーンの店長に、残業代の支払いを命じた訴訟が話題となり、社会問題となったニュースを覚えている人も多いでしょう。
管理監督者となるには、
- 自分の労働時間への裁量権がある
- 他の労働者に比べて給与が高い
など満たすべき項目があります。加えてたとえ管理監督者でも、深夜業務の割増賃金は請求する権利があり、さらに有給休暇も取得できる状態でなくてはなりません。
3.スタッフ管理システムの種類
スタッフ管理にシステムを導入すると、膨大で複雑なスタッフ管理を効率的に実施できます。一方でスタッフ管理システムには、人事労務管理や採用、評価管理などさまざまな種類があります。
スタッフ管理システムの種類
- 人事労務管理システム
- タレントマネジメント等人材マネジメントシステム
- 採用管理システム
- 目標・評価管理システム
①人事労務管理システム
人事労務管理システムは、
- 従業員のシフト
- 出社・退社時間の勤怠管理
- 社会保険・雇用保険
- マイナンバー
などを扱います。システムは人事労務の担当者が扱いますが、勤怠の打刻などは全従業員が行います。人事労務管理システムを用いると以下のような業務の効率化・自動化及び一括管理が可能となるのです。
- 労働者名簿(基本情報、扶養家族、住所、緊急連絡先含む)
- 勤怠打刻、保存
- シフト作成
- 入退社手続き
- 社会保険・雇用保険関連手続き
- マイナンバー管理
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②タレントマネジメント等人材マネジメントシステム
タレントマネジメントシステム等を含む人材マネジメントシステムは人材確保や能力開発を戦略的に行うために、
- 従業員の育成
- タレントプール
など人材情報を扱うシステムです。
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主に、経営層やマネージャー、人事に携わる従業員が利用します。よく利用されるのは、下記のような機能を備えているシステムです。(一例)
- 共有利用すべき人材情報の見える化(データベース化)
- 人材データの分析
- 異動や配置転換の検討、要員計画の作成
- 従業員を育成する計画の検討
- タレントプールの作成や抜擢
- 個人や組織ごとの目標管理や評価管理
- 新卒・中途を問わない採用管理
他の人材管理システムの機能の全体または一部を兼ね備えていることが特徴です。
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③採用管理システム
スタッフ管理システムには、採用のための選考や求人管理を扱う採用管理システムもあります。採用担当者やマネージャーが主に利用し、以下のような採用プロセスの全行程を管理できます。
- 求人ポジション管理
- 応募者情報管理
- 選考プロセス管理
- 内定者管理
具体的には、
- 応募者のデータ管理、面接、適正試験、筆記試験などの選考過程の管理
- 内定者が入社するまでのフォロー
- 採用活動の分析
などです。採用人数が多く、選考プロセスが複雑な企業にとって特に使いやすいシステムでしょう。
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④目標・評価管理システム
目標・評価管理システムは人事考課の際、従業員の評価を適正かつ効率的に行うために利用されることが多く、スタッフ管理システムの中でも特に重視されています。年功序列ではなく成果主義の企業が増えてきた昨今。経営層のみならず、一般従業員からも関心を集めているのです。
目標・評価管理システムでは、
- 評価過程と結果の可視化(ワークフローの再現、出力)
- 人事評価面談のための評価シート作成
- 評価後の集計
といった業務を実施できます。一人ひとりの従業員の評価が集約されるため、タレントマネジメントとして活用することも可能です。
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4.スタッフ管理システムを使うメリット
スタッフ管理システムを導入すると、さまざまなメリットが期待できます。
生産性の向上
システムを導入することで、人材管理担当者が抱えている入力業務の一部をシステム化できます。それによって、その担当者は今まで入力業務に割いていた時間を他の業務に充てることができるのです。
情報を見える化
システムの導入により、人事評価などの情報が見える化できます。結果、さまざまな分析が可能になりますし、結果をもとにした施策を行えば、企業目標へのアプローチも可能です。
満足度と生産性の向上
業務への取り組みが適正な評価と配置につながるため、人事管理の担当者や経営層だけでなく、従業員の満足度も向上します。従業員のモチベーションが上がれば、もちろん企業全体の生産性も向上するでしょう。
5.スタッフ管理システムはどう選ぶか?
スタッフ管理システムにはさまざまな種類があります。
- Excelなどのテンプレートを活用する方法
- クラウドを活用したスタッフ管理システム
さまざまな種類のツールと特徴について解説しましょう。
システムの種類には何がある?
Excelの無料テンプレートなどを活用したものは、比較的利用しやすいでしょう。テンプレートの種類は、
- 基本情報変更などの届出書類
- 住所台帳
- 能力評価を記した人材目録
- 職務権限や福利厚生などの人事・労務一般にまつわる書類
などさまざま。インターネット上で、スタッフ管理用のテンプレートをまとめているサイトもあります。こうした手頃なものを大変便利です。
ツール
専用のツールを活用すれば、より効率的な人材管理が可能になります。たとえばクラウド人材管理ツール「カオナビ」は、顔写真を用いて操作・閲覧できるユーザーインターフェースを備えているため、従業員の顔を確認しながら、
- 名前
- 能力
- 資格
- 評価
などの情報を参照できます。これにより直感的な人材の把握・管理が可能となるのです。
給与計算や勤怠管理などの労務管理だけでなく、抜擢・評価といった人材マネジメント業務にも活用できます。有能な従業員の発掘・抜擢もスムーズになりますし、顔と名前が一致することでコミュニケーションも活性化するでしょう。
- 低コストで柔軟な評価フォームの設計
- 覧化により評価の調整がしやすい
- 組織図モードで顔写真を並べて人材配置のシミュレーション
- アンケートで生の声を集める
といった機能も搭載されています。
選ぶ際のポイント
スタッフ管理システムは、
- 形態
- 規模
- コスト
- 導入期間
- ユーザーインターフェース
- 連携
- サポート
などのポイントを見ながら、自社と最も合致するシステムを選びましょう。
システム形態
スタッフ管理システムは、多くの個人情報を扱うため、メーカーの提供するソフトウェアをインストールして使用するパッケージ型システムにこだわる企業も多いです。しかし、パッケージ型システムには、
- 運用コストが高い
- メンテナンスに手間がかかる
といったデメリットがあります。
インターネットを経由して利用するクラウド型のシステムでも、近年は強固なセキュリティを謳うサービスも増えています。災害や事故に際しては、自社管理よりもむしろ安全…といったケースもあり得るでしょう。
従業員全員が人事管理システムにアクセスすることを考えると、ソフトウェアをインストールしたPCでしか使用できないパッケージ型よりインターネットを経由してどんなデバイスからも使用できるクラウド型のほうが向いていることも多いです。
規模
人材管理システムは、企業規模に応じて設計されているため、自社の規模に合わせたものを選ぶ必要があります。
一般的に、小規模事業者向けのサービスほどシンプルで価格が低く、大企業向けのものほど複雑な機能が備えられている代わりに、コストが高くなるのです。
たとえば、大企業がコスト面だけを考えて小規模企業向けのパッケージを選ぶと、「痒いところに手が届かない」という事態を招くでしょう。反対に中小企業が複雑なシステムを導入すると、無駄な投資になってしまう可能性が高いです。
自社の従業員数や実施規模に合ったシステムかを検討した上で、適切な製品を選ぶとよいでしょう。
コスト
各商品のコストを考える際、初期の導入費用だけではなく、長期的なランニングコストを見越した試算が必要です。
クラウド型のシステムは、初期費用はリーズナブルである一方、月額や年額で支払わなければならないランニングコストが発生するケースも多々。一方パッケージ型のシステムは、初期費用は高額なものの、ランニングコストは安い、もしくは無料といったケースが多いです。
- 利用期間はどのくらいか
- メンテナンスやアップデートのサービスはどうか
を鑑みて長期的な視点からコストを比較しましょう。
導入期間
人材管理システムは、形態や商品によって導入期間に差があります。
たとえば、ソフトウェアを購入し、インストールするだけで使い始められる商品は導入期間が短いです。しかしサーバーの用意やシステムのカスタマイズが必要な製品もあります。
利用できるまでに長い時間がかかるようでは、業務に支障をきたす可能性も。システム導入前にあらかじめ、
- 申し込み
- 導入
- 構築
- 運用開始
それぞれどれくらいの時間がかかるのか確認しておきましょう。
ユーザーインターフェース
人事担当者だけでなく、経営陣や一般従業員など多くの人がシステムを利用する場合、ユーザーインターフェースの分かりやすさが重要になります。
- 事前に操作性を確認できるトライアル利用期間はあるか
- 体験会など操作性を確認できる機会があるか
など確認しておきましょう。もちろん、管理者が管理しやすいシステムかどうかも重要です。管理担当者は積極的に導入の主導を握り、システムの管理画面や方法について検討していきましょう。
連携
さまざまな情報を扱う人材管理システムですが、情報データ一つ一つを手入力するとなると、担当者に負担が残ってしまいます。本来の意味で効率化を実現するためにも、
- 他のシステムやファイルからデータをインポートできるか
- APIによってデータの連携ができるか
- 人材管理システムから他のシステムにデータを出力できるか
- 自社で利用するシステムとデータ連携は可能か
など各種連携についてチェックしておきましょう。
サポート
人材管理システムの多くには、さまざまなサポートが用意されています。導入時だけでなく、
- 運用中のサポートの有無
- 具体的なサポート内容
- 評判の良し悪し
- サポートに伴うコスト
などを比較しながら、よりサポートの充実した製品を選びましょう。
人材管理システムは、デリケートな情報を取り扱うシステムですので、慎重な操作が求められます。導入やトラブル時に伴うサポートの充実度を見比べながら、自社に合った運用を手助けしてくれるサービス事業者を選ぶとよいでしょう。