すべての人事データ管理を一元化する社員管理の機能や、導入メリットから選び方のポイントまで徹底解説します。
目次
1.社員管理クラウドとは?
社員管理クラウドとは、すべての人事データ管理を一元管理するシステムのこと。「異動情報」「履歴情報」「報酬」「研修」「福利厚生」「勤怠」「経費」「労務」といったさまざまな社員データを一元管理します。
社員データをクラウド上で管理・共有できる
社員管理クラウドでは、複数のシステムにまたがって管理する社員データを、クラウド上で一元管理できるため、他部署とのデータや情報共有が楽に行えます。そのため業務効率化が実現するのです。
大量のファイルデータの送信や保管をする際も、クラウドを使用すると時間をかけずに進められます。
クラウドとは?
クラウドとは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピューター(サーバー)が提供するサービスを、ネットワーク経由で手元のパソコンやスマートフォンで使用できるというもの。代表的な例はWebメールで、以下のような特徴があります。
- サーバーの所在地がどこになるか意識しなくてよい
- メールソフトをインストールしなくてよい
- ブラウザがあれば利用できる
2.社員管理クラウドでスムーズになる「社員管理」とは?
社員管理とは、会社の資源となる「ヒト」に関わる部分を管理すること。会社は外部から、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」といった資源を調達し、製品やサービスに変換して利益を生み出します。そのうち「ヒト」を管理するのが社員管理です。
ここでは社員管理の方法3つについて、説明します。
- 人材管理
- スキル管理
- 評価管理
①人材管理
人材管理とは、人材の確保や配置、育成などを管理するもの。その目的は、下記のとおりです。
- 会社経営に必要な人材を効率良く確保する
- 社員個々がもつ能力を最大限に発揮できるよう、適切に配置する
- 教育によって、人材能力の向上を図る
- 社員のモチベーションをアップし、人材を活性化させる
②スキル管理
スキル管理とは、人材育成に必要となる社員個々のスキルを管理すること。社員が持つ「公的資格」「技術力」「数値化できない専門知識」「能力・経験値」などのスキルを可視化し、データとして管理するのです。
全社員のスキルレベルを個人ごとに把握できるため、「新プロジェクトメンバーに必要な人材」「不足する技術をカバーできる人材」の選定が明確になります。
③評価管理
評価管理とは、社員の能力や目標などを管理するもので、大きく分けて3つあります。
- 成果評価…業績目標を達成できたかなど。数字で成果が明確にならない職種は、実績の観点などから評価する
- 能力評価…社員が業務を行う際に必要な知識や遂行能力、職務の習熟度などを評価する
- 態度(情意)評価…職務にあたる基本姿勢や勤務態度について、評価する
3.社員管理クラウドでできること5つ
社員管理クラウドでは、あちこちに分散して管理していた社員のデータを、一元管理して可視化できます。情報が集約されるため、さまざまな事柄が実現するのです。ここでは、社員管理クラウドでできることを5つ、解説しましょう。
- 社員データの一元管理
- 客観的な社員評価
- 社員のスキル管理
- 採用情報の管理
- モチベーション管理
①社員データの一元管理
社員の人事・労務で必要となる基本情報データを一元管理できます。管理する項目は、「社員コード」「氏名」「住所」「役職名」「所属部署」「生年月日」「入社年月日」「配属者の有無」「保有資格」「異動履歴」「研修の記録」「部署構成員」などです。
これらの情報は、おおむね毎年更新されていきます。もちろん社員管理クラウドでは、この更新日や適用日もあわせて管理するのです。
②客観的な社員評価
人事データの可視化によって、目標や達成度などにもとづいた客観的な評価が行えます。
客観的に評価できるツールとして挙げられるのは、以下のようなものです。
- 社員個々の目標を、経営目標や部門目標と連動させて業績アップを目指す「目標管理制度」
- 上司や同僚、部下などを多角的に評価する「360度評価」
- 目標と主要な結果から、目標の達成度合をスコアで判定する制度
③社員のスキル管理
社員個々が保有するスキル情報を一元管理します。スキルを可視化すると、以下のようなメリットが得られるのです。
- 人材育成や人材活用につなげられる
- スキルマップの活用により、チームに不足しているスキルが明確になるため、強化・補充するスキルが分かる
- スキル取得のための研修会など目標が立てやすくなり、社員のスキルアップ管理がしやすくなる
④採用情報の管理
応募者の情報や面接結果などの採用情報を、一括管理できます。採用情報を一元管理すると、以下のようなメリットが得られるのです。
- 「新卒採用向け」「中途採用向け」「アルバイトや人材派遣社員向け」などに分けて、履歴書などの書類ファイルを一元管理できる
- 説明会や応募者の面接など、採用スケジュールを進行管理できる
- 選考時の評価、結果などを登録するため、次の選考担当者に情報を引き継げる
⑤モチベーション管理
社員のストレス度チェックや社員アンケートなどを通じて、社員のモチベーションやコンディションを管理できます。モチベーション管理システムに備わっているのは、次のような機能です。
- アンケートや質問の設定
- アンケート結果から、課題や傾向を多角的に分析
- チャットにより、匿名で人事部にメッセージを送信できるコミュニケーション機能
4.社員管理クラウドを導入したときのメリット7つ
社員管理クラウドを導入すると、7つのメリットが得られます。
- 公平性・透明性を確保した評価が実施できる
- ミスや工数の削減
- 離職率の軽減
- 人材育成
- 目標・進捗の管理
- 不足スキルの発見
- 会社のビジョンやミッションに合った人材を採用
①公平性・透明性を担保した評価が実施できる
人事評価では、個人の主観や感情が入りやすいもの。しかし評価基準を詳細に設定し、その評価結果を人事部で共有し確認すると、公平性・透明性を担保できるのです。それにより、社員のモチベーションアップにつながるでしょう。
②ミスや工数の削減
人事部門は、「残業時間や出勤退社時間」「社員の怠慢管理や過度な残業」などを正確に把握・管理して、コンプライアンスの厳守の明示や精神面も含めた健康管理などを行います。
つまり精密さを求められる業務が多いのです。社員管理クラウドでの一括管理によって、こうした日常業務のミスや工数が減るため、業務が効率良く進みます。
③離職率の軽減
社員管理クラウドを用いると、「人事評価制度の見直し」「社員個々で目標を設定」などが可能になります。それにより、「昇格・昇給・賞与・基本給・諸手当」の見直しなども進むため、離職率の軽減につながるのです。
④人材育成
社員管理クラウドでは、社員個々の「能力」「実績」などの人事情報をひとつに集積します。それによりデータを確認したうえで、必要な人材育成が実現できるのです。社員個々から部署単位まで、効率良く人材育成できる点は大きなメリットでしょう。
⑤目標・進捗の管理
スキルを可視化すると、保有スキルや社員個々のスキルレベルが分かるため、「社員に必要な研修の設定」「社員個々の目標設定」「人材育成の進捗状況」などを一元管理できます。また進捗状況を踏まえたうえで評価できるため、社員に安心感を与えるのです。
⑥不足スキルの発見
「将来的に不足するスキル」「今後喪失するおそれがあるスキル」などを予測できるため、次世代へスキルを継承する計画が立案・実行できるようになるのです。
「優先的に教育すべきスキル」「教育が遅れている部署」などの課題も明確になるため、数年後を見据えた動きが可能になるでしょう。
⑦会社のビジョンやミッションに合った人材を採用
社員の人事情報をデータ化して可視化するため、さまざまな観点から社員個々のスキルや特性を確認できます。
つまりプロジェクトに社員をアサインする際、会社のビジョンやミッションに合った人材を採用したり、適切な部署に配置できたりするのです。
5.社員管理クラウドの選び方、そのポイント4つ
社員管理クラウドの選び方、そのポイントは4つです。
- 導入の目的と機能がマッチしているか
- 操作性はどうか
- セキュリティはどうなっているか
- 既存データやシステムとの連携はどうか
①導入の目的と機能がマッチしているか
システムによって、何を実現したいのでしょうか。その目的と機能がマッチしているかを確認しましょう。そのうえで、機能の必要性に優先順位をつけて比較し、コストとのバランスを含めて選定するのです。
②操作性はどうか
操作性はどうでしょうか。下記についてチェックしてみましょう。
- 情報は見やすいか
- マニュアルを見なくともある程度直感的に操作できるインターフェースか
社員管理クラウドは、一部の社員だけでなく、社内全体で使う場合も多々あります。そのため誰でも情報を把握でき、使っていけるシステムを選ぶ必要があるのです。サポート体制が充実しているかどうかについても、チェックしておくとよいでしょう。
③セキュリティはどうなっているか
社員管理クラウドでは、全社員の個人情報を管理します。そのため個人情報の漏えいやシステム内の情報の不正改ざんを防ぐ、万全なセキュリティー体制が必要です。
- サーバーそのもののセキュリティはどうなっているか
- 外部からのサイバー攻撃に対する防御機能を備えているか
- システムへの不正アクセス防止はどうなっているか
などについてチェックしておきましょう。
④既存データやシステムとの連携はどうか
「雇用条件や役職、人事評価や給与情報など既存データの取り込み」「既存システムとの連携」などについてもチェックしておきましょう。勤怠管理・給与計算・労務管理などの人事データや給与計算システムと連携できれば、人事労務の負担が軽減します。