収入印紙とは? 収入印紙が必要な理由や課税文書に該当する理由、注意点について

収入印紙とは課税文書に対して課せられる印紙税を納める際に使用するものです。収入印紙が必要な理由、金額など詳しく解説します。

1.収入印紙とは?

収入印紙とは、特定の書類に課せられる印紙税を納めるために使われるもので、国が発行しています。印紙税が課せられる書類は課税文書といい、身近なものでは受取金額が5万円以上の領収書です。

収入印紙は1円から10万円まで合計31種類あります。課税文書が発行される際は、金額に応じた収入印紙を貼り、割印または署名をして有効とされるのです。

収入印紙のルーツ

収入印紙の起源は、1873(明治6)年に制定された「受取諸証文印紙貼付心得方規則」だとされています。

同年に地租改正という土地制度改革が起こり、農業と商業から安定した税収確保を得るために印紙税が採用されたといわれているのです。初期は民間で製造していましたが、1876年に大蔵省の印刷工場が誕生してからはすべて印刷局が製造しています。

収入印紙が購入できる場所

収入印紙が購入できる場所は法務局、郵便局など。収入印紙は財務省が発行しており、販売は日本郵政に委託しています。

そのため郵便局以外に、「郵便切手販売所」または「印紙売りさばき所」として登録されているコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの店舗でも扱われているのです。身近な場所で手軽に購入できます。

郵便局以外で購入できる理由

収入印紙は郵便局以外でも購入できます。収入印紙の販売は法律により、日本郵便株式会社が元締めとなり、一部を総務大臣認可基準にしたがって委託して販売しているからです。

郵便局以外に、たばこ屋、コンビニエンスストア、スーパーマーケットなどで販売されています。金券ショップでも販売していますが、その際には消費税が課税されるので覚えておきましょう。

収入印紙は課税文書に対して課せられる印紙税を納める際に使用されるものです。郵便局やコンビニエンスストアなどで購入できます

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2.領収書に収入印紙が必要な理由

収入印紙を添付する必要がある書類を課税文書と呼ぶのです。印紙税法上、課税文書に当たる書類には印紙税が課税されます。そのなか受け取り金額が5万円以上の領収書は、課税文書に該当する書類のため収入印紙の添付が必要となるのです。

割り印かサインが必須

収入印紙を領収書などに添付しただけでは印紙としては無効です。割り印を押してはじめて、印紙税を納税したと認められます。割り印は、印鑑だけでなくサインや署名でも有効とされ、割り印がない領収書は税務調査で指摘を受ける可能性があるのです。

領収書は課税文書に該当するため収入印紙の添付が必要です。収入印紙は割り印を捺してはじめて印紙税を納税したと認められます

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3.課税文書に該当するもの

収入印紙を添付する必要がある書類を課税文書といいます。国税庁が発行する「印紙税額一覧表」には1号から20号まで各書類の詳細と印紙税額、非課税文書が記載されているのです。主な課税文書をいくつか紹介しましょう。

  1. 領収書
  2. 契約書
  3. 約束手形や為替手形
  4. 電子的な書類は課税対象外

①領収書

領収書は「課税文書一覧表」の17号文書に該当し、普段から見聞きするもっともメジャーな印紙税です。

17号文書は、商品などの売上代金にかかわる金銭または有価証券の受取書のことで、領収書はこれにあたります。印紙税額は、受取金額に応じて収入印紙を貼り付ける必要があるのです。

②契約書

契約書にあたる範囲は広く、不動産の譲渡や賃貸、金銭消費貸借、土地の貸借権、運送、投資信託行為、債務保証、業務委託などがあります。

そのほかスポーツ選手や俳優、ミュージシャンなどの契約書などの請負に関する契約書にも収入印紙を貼り付ける必要があるのです。契約金が1万円未満ですと、一部非課税になる場合があります。

③約束手形や為替手形

約束手形や為替手形は、記載されている金額に応じて収入印紙の金額が変わります。収入印紙の税額は、記載されている手形金額が10万円未満であれば非課税となり、10万円以上になると200円や400円など段階によって変わってくるのです。

手形金額の記載のない手形は、振出しの際は非課税ですが、後で金額を補充した際は、補充した人がその手形の作成者とみなされ納税義務者となります。

④電子的な書類は課税対象外

メールやSNSのメッセンジャーなどでの電子的な方法による契約は、印紙税がかかりません。過去の国税庁や税務署からも「電子契約の場合には印紙税が不用」という趣旨の発表がされています。

また電子契約をプリントアウトした用紙は、電子データのコピーに当たります。そのため正式な契約書類にはならず課税対象にならないとされているのです。

課税文書には契約書、約束手形や為替手形、金銭や有価証券の受取書などさまざまな種類があります。しかし電子的な契約には課税されません

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4.貼り付けるべき収入印紙の金額

国税庁が発行する「印紙税額一覧表」には1号から20号までの各文書の詳細と、それぞれの印紙税額が記載されています。書類の種類ごとの印紙代について説明しましょう。

  1. 売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書
  2. 売上代金以外の金銭又は有価証券の受領書
  3. 請負に関する契約書
  4. 約束手形又は為替手形
  5. 株券・出資証券・社債券・投資信託・貸付信託・特定目的信託の受益証券

①売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書

売上代金に係る金銭または有価証券の受取書や領収書には、印紙税が課税されます。たとえば、商品販売代金の受取書、不動産の賃貸料の受取書、請負代金の受取書など。税額は次のとおりです。

  • 5万円未満 非課税
  • 5万円以上100万円以下 200円
  • 100万円を超え200万円以下 400円
  • 200万円を超え300万円以下 600円
  • 300万円を超え500万円以下 1,000円
  • 500万円を超え1千万円以下 2,000円

②売上代金以外の金銭又は有価証券の受領書

売上代金以外の金銭または有価証券の受領書とは、借入金の受領書、保険金の受領書、損害賠償金の受領書、保証金の受領書などのこと。税額は次のとおりです。

  • 5万円未満 非課税
  • 5万円以上 200円
  • 受取金額の記載のないもの 200円

非課税文書に該当するのは、営業に関しないもの、有価証券・預貯金証書など特定の文書に追記したものなどです。

請負に関する契約書

請負に関する契約書とは、工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、会計監査契約書、広告契約書、プロ野球選手や映画俳優などの専属契約書などで、税額は次のとおりです。

  • 1万円未満 非課税
  • 1万円以上100万円以下 200円
  • 100万円を超え200万円以下 400円
  • 200万円を超え300万円以下 1千円
  • 300万円を超え500万円以下 2千円

約束手形又は為替手形

手形金額の記載のない手形は、振出しのときは非課税ですが、後で金額を補充したときは、補充した人がその手形の作成者とみなされ納税義務者となります。

また振出人の署名がない手形で引受人やその他の手形当事者の署名があるものは、引受人やその他の手形当事者が手形を作成したことになるのです。税額は次のとおりになっています。

  • 10万円未満 非課税
  • 10万円以上100万円以下 200円
  • 100万円を超え200万円以下 400円
  • 200万円を超え300万円以下 600円
  • 300万円を超え500万円以下 1,000円

株券・出資証券・社債券・投資信託・貸付信託・特定目的信託の受益証券

株券、出資証券、社債券、投資信託、貸付信託、特定目的信託の受益証券についての税額は次のとおりです。

  • 500万円以下 200円
  • 500万円を超え1千万円以下 1,000円
  • 1千万円を超え5千万円以下 2,000円
  • 5千万円を超え1億円以下 10,000円
  • 1億円を超えるもの 20,000円

振込金額がない場合、資本金の額および資本準備金の額の合計額を、発行済株式の総数で割った金額に株数をかけ、その金額を券面金額とします。

一般的に、収入印紙を添付する必要があるのは5万円からと認識されています。しかし課税文書によって、収入印紙の金額も非課税になる金額も異なるのです

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5.収入印紙に関する注意点

収入印紙は、見た目などから切手のような印象を受けますが、収入印紙は税金として扱われる性質上、注意点があるのです。領収書の内訳や消印、購入場所、添付の間違えなど収入印紙に関する注意点を4つ紹介しましょう。

  1. 領収書の内訳
  2. 消印
  3. コンビニでの購入
  4. 印紙を間違えて貼ってしまったら

①領収書の内訳

収入印紙の課税対象は、消費税を除いた額をベースにして算出されます。そのため消費税と印紙税の二重課税を避けるためにも、領収書には必ず内訳を記載するのです。

明記されていなければ5万円を超える受領額と見なされ収入印紙を貼る必要があり、請求書と領収書を兼ねている場合は、受領額に応じた収入印紙を貼り付けます。

②消印

消印とは、収入印紙を領収書や契約書などに貼り付ける際、「収入印紙と文書」「封書やハガキと切手」にまたがって押す印のこと。消印が捺されることで収入印紙が使用済みとなり、再利用防止になります。

消印は作成者だけでなく、代理人、使用人、従業員などの印鑑または署名も可能です。

③コンビニでの購入

収入印紙は、郵便局や市役所、商店やコンビニエンスストアなどで販売しています。

最も手軽に購入できるのはコンビニエンスストアですが、取り扱っている収入印紙の種類が少なく、一般的によく使用される200円の収入印紙のみの取り扱いという店舗も少なくありません。

高額な収入印紙が必要な場合は、最初から郵便局や法務局などで購入するのがよいでしょう。

④印紙を間違えて貼ってしまったら

収入印紙の金額を間違えて貼ってしまった場合、印紙が未使用または課税文書以外に貼り付けた印紙であれば、郵便局で手数料を支払って他の印紙と交換できます。ただし現金との引き換えは、できません。

また非課税の文書に印紙を貼ってしまった場合は、そのままの状態で税務署に持ち込み、手続きを行うと過剰に貼り付けた分の印紙の金額が返還されます。

収入印紙はコンビニエンスストアで購入できるほど手軽ですが、消印の捺し忘れや金額を間違えて貼り付けるなどミスも少なくありません

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6.収入印紙を貼らなかった場合

収入印紙は印紙税の納入を証明するためのものです。しかし貼る必要がある領収書に貼らなかった場合、発行元に印紙税法違反の過怠税が課せられ、本来納めるべき印紙税の額の3倍に相当する過怠税が徴収されます。

過怠税について

印紙税を納付する課税文書の作成者が、納付すべき印紙税を課税文書の作成時までに納付しなかった場合、ペナルティとして過怠税が課せられます。

もし収入印紙の貼り付けがない領収書を受け取ったとしても、支払い側には問題は生じません。また収入印紙のない領収書に効力がなくなることもないのです。

過怠税の金額

収入印紙の貼り付けは課税文書の作成者側の義務ですが、怠った場合、本来納付すべきだった印紙税の3倍に相当する過怠税が徴収されます。ただし調査を受ける前に自主的に不納付を申し出た場合、1.1倍に軽減されるのです。

また貼り付けた印紙に消印をしなかった場合、消印がされていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収されます。

課税文書の作成者が収入印紙を貼り付けるのは義務です。怠った場合、過怠税として本来納付すべき印紙税の3倍の金額を支払います

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7.収入印紙の貼り付けを含めた印紙税の納付方法

課税文書は原則、収入印紙を貼り付けて納付します。しかし多量の課税文書を作成するなどの場合、印紙を貼らないで印紙税を納める方法もあるのです。収入印紙を貼り付ける方法を含めた印紙税の納付方法をいくつか紹介しましょう。

印紙の貼り付け

最も一般的な印紙税の納付方法です。課税文書の作成者は原則として、印紙税額に相当する金額の印紙をその課税文書に貼り付け、これに消印をして印紙税を納付します。

この方法以外で納付する場合、事前に税務署長に請求したり承認を受けるなどの手続きが必要です。手続きをしなかった場合、多量の課税文書でも印紙を貼り付けて納付しなければなりません。

税印を押す

課税文書が多量に作成される場合など、いちいち印紙を貼り付けていては手間がかかります。その際、課税文書の作成者は印紙の貼り付けに代えて税印を押せるのです。

あらかじめ印紙税を現金で納付すると、特定の税務署に設置された税印押なつ機で税印を押せます。税印は、機械的な圧力で紙面に凹凸の印影がついて表示されるのです。

印紙税納付計器により納付印を押す

さまざまな形態の課税文書を継続的に作成するような場合に、設けられた納税方法です。税務署長の承認を受けて印紙税納付計器を設置し、課税文書に納付印を押せます。

あらかじめ印紙税を現金で納付してその金額を印紙税納付計器にセットし、納付印を自分で押すのです。課税文書には印紙税額が表示されたスタンプが押されます。

書式表示による方法

税務署長の承認を受けて、課税文書に所定の書式を表示すると、現金で印紙税を納付できます。書式表示による納付の方法は、同じ種類の課税文書が継続的に作成されたり多量に作成されたりする際、印紙を貼り付ける手間を省くために設置されました。

課税文書に一定の書式を表示するとともに、1カ月間の作成数量を翌月までにとりまとめて申告して現金を納付します。

書式表示の要件

毎月多量に約束手形や領収書を作成する際、いちいち印紙を貼るのはかなりの手間になりますが、書式表示による納付の方法はその手間を無くしてくれるのです。

書式表示で納付するには、法律上の定められたいくつのか要件に該当し、かつ税務署長の承認を受ける必要があります。詳しい内容について、説明しましょう。

文書の種類

書式表示で納付するには、法律上の定められたいくつかの要件に該当する必要があります。1つめは、下記のような文書の種類です。

  • 毎月継続して作成される課税文書
  • 特定の日に多量に作成される課税文書

1または2の要件に当てはまるものであれば、課税文書の号別による制限はありません。

文書の様式又は形式

2つめは、文書の形式または形式が同一であること。定型化された様式であれば、作成日付、数量、記載金額などを空欄にしておき、課税文書として作成する都度記載するとしているものも、同一の文書として取り扱われるのです。

その作成の事実が後日においても明らかにされること

3つめは、作成の事実が後日においても明らかにされること。書式表示による方法は、課税文書を作成した月の翌月末を納期として印紙税を納付するいわゆる事後納付のため、その作成事実が後日においても明らかにされているものでないと認められません。

印紙税の納付方法はさまざまです。状況に応じて使い分ければ、手間やコストを省けるでしょう