集中力を高める方法とは? 続かない原因、維持のコツを簡単に

集中力は、仕事を効率的に進めるために欠かせない能力の一つです。集中力はさまざまな原因で低下しますが、工夫・意識次第で意図的に高めることもできます。

今回は集中力について、高める方法や続かない原因、維持するコツなどを詳しくご紹介します。

1.集中力とは?

集中力とは、瞬間的あるいは持続的に特定の活動に心や注意を向けて取り組む能力のこと。集中力が高い状態では周囲を気にすることがなくなり、通常よりもパフォーマンスを高められます。仕事や勉強において高い集中力が維持できると、知識の定着や問題解決力の向上など、さまざまなメリットが得られます。

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2.集中力を維持できるのはどれくらい?

集中力を継続できるのは、一般的に15分程度といわれています。ただし、15分で集中力が完全に切れるというわけではなく、高いレベルの集中力を保てるのが15分程度であり、その後は集中力が低下して、再度集中できる周期が巡ってきます。

東京大学の池谷裕二教授が行った実験によると「60分」継続して集中するより、「15分×3」のサイクルで途中休憩を入れることで集中力への回復が見られています。つまり、高い集中力を維持できるのは15分程度、さらに続けて集中できる時間は40〜50分ほどです。

出典:朝日新聞デジタル「集中力の維持と長期的な学習効果につながる方法

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3.集中力が続かない原因

集中力が続かない場合、長時間にわたる作業により集中力に限界がきているほか、環境や身体的要因も考えられます。ここでは、集中力が続かない原因を詳しくみていきます。

意識が分散しやすい環境

周囲の環境は、集中力に大きく影響します。人の話し声や周囲の騒音、部屋の明るさや温度・湿度が適正でない、椅子や机の高さが自分に合っていないなど、あらゆる要素が集中力に影響をおよぼします。

またたとえ集中できていてもたびたび声をかけられたり会議で席を外す頻度が多かったりなどすると、注意力が散漫となり集中力が続かなくなってしまいます。

睡眠不足

睡眠不足の状態で集中力を継続するのは難しいもの。脳科学的にいえば、体の不調を補うために脳の重要な部分が使用されているため、眠気によって必要なエネルギーやホルモンが減少すると集中力や判断力の低下を引き起こしやすくなります。

徹夜した状態は、アルコールで酩酊した状態と同じといわれています。またペンシルベニア大学の研究によると、6時間睡眠を2週間続けると、集中力や注意力は2日間徹夜した状態とほぼ同レベルにまで低下することが判明しています。

心身の不調

集中力は体力を要する行為であることからも、体や心の調子は大きく影響します。体調不良や極度の疲労は集中力低下の大きな原因となり、メンタル面の不調や悩み事がある状態でも集中力の低下を引き起こしやすくなります。

また高頻度で心身の不調を感じている場合は、自律神経の乱れや慢性疲労が生じている可能性があり、この場合、集中力の低下だけでなく頭痛や動悸、めまいや倦怠感といった症状がみられることもあるのです。

マルチタスクによる影響

人間の脳は本来一度にひとつのことしか集中できない構造であり、マルチタスクが得意ではありません。マルチタスクできているように見えても、実際には脳が瞬間的にタスクを切り替えているだけで、集中力までは引き継げないのです。

日本のビジネスマナーでは電話やメールに素早い対応が求められるため、マルチタスクの増加により集中力の低下を引き起こしやすい状況が多いといえます。こうした状況が集中力だけでなく業務効率の低下も招き、ミスも増えてしまう負の連鎖につながる恐れもあります。

コミュニケーション不足

コミュニケーションが不足すると新しい考えに触れる機会が減少し、モチベーション低下から業務効率や集中力の低下を招いてしまいます。

また、コミュニケーション不足によって報連相ができていない環境では、ミスを発生する原因にもつながります。ミスが多い職場ではストレスも増大し、集中しにくい環境を作り上げてしまうのです。

業務過多

キャパを超える仕事量は脳が過労状態となり、集中力の低下を引き起こします。集中力はやる気で高めることは難しく、そもそもこなせる量には限界があります。

業務過多によって集中力の低下を引き起こさないためには効率的なスケジュール管理やタスクの優先付け、適度なタスクの割り振りが重要です。すべてを自分でやろうとせず、他の人に仕事を任せることも集中力を維持するために効果的です。

長時間にわたる作業

高い集中力を維持できるのは15分程度であることからも、長時間作業では集中力も切れやすくなります。

高い集中力を維持できるのは15分程度、一般的な集中力は45分、限界が90分であるサイクルをふまえ、短時間で集中し効率よく終わらせることを目標に作業に取り組みましょう。

ながら作業による意識の分散

「テレビを見ながら」「お菓子を食べながら」「ラジオや音楽を聴きながら」など、ながら状態での作業は本来集中すべき事柄に気持ち・意識を向けにくくなります。

ながら作業はある意味でマルチタスクとなり、注意力が散漫になるため集中力も低下しやすくなるのです。

ただし、それほど集中力を要さない単純作業や歌詞のない聴き流せる音楽を流すなど、ながら作業が問題ない場合もあります。

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4.集中力を高めるトレーニング方法

集中力は工夫次第で意識的に高めることが可能です。ここでは、簡単に始められる集中力向上に効果的なトレーニング方法をご紹介します。

ポモドーロテクニック

ポロモードテクニックとは、時間管理法の一つで、作業と休憩を繰り返すサイクルを使用して効率化を促す手法です。タイマーを用いて作業と休憩を交互に繰り返すことで、高い集中力を維持しやすい状態を作ります。

タイマーは15分や25分、45分など自分の集中力が続きやすい時間で設定しましょう。メリハリをつけて作業に集中でき、「集中できない」「やる気が出ない」といったストレス軽減にも有効です。

集中ルーティン

この方法では、自分が集中している状態をイメージし、集中状態を再現しやすいルーティンを作ります。

スポーツ界で多く取り入れられている手法であり、集中したいときに特定の行動をとるルーティンを作ることで、その行動を起こしたときに集中力スイッチが入る仕組みです。

ルーティンは「コーヒーを入れる」「デスク上を清掃する」「1日のTO DOリストを作成する」など、自由に設定します。作業前に工程や動作を洗い出し、毎回同じ動作を繰り返すことで「集中している自分」をイメージしやすくなります。

瞑想

道具入らずですぐに始められる、集中力向上に効果的なトレーニング方法に「瞑想」があります。リラックスした姿勢で座ったり、横になったりした状態で目を閉じて自然な呼吸を続けるトレーニングです。

瞑想中は頭の中に浮かんだことや周囲の物音に対しても、客観的に観察して受け入れることがポイントです。

瞑想のやり方

ただ目を閉じて、呼吸を続けるだけでは正しい瞑想はできません。下記は、瞑想の手順とポイントです。

  • 背筋を伸ばして浅く座る
  • 軽く目を瞑る
  • 空気が鼻孔から鼻の頂点、気道を抜けてお腹にたどり着くのを感じるようにゆっくり息を吸う
  • お腹に空気が入ってくるのを感じながら膨らませる
  • お腹が縮む感覚から始め、息を吸うのとは逆の流れで10秒かけてゆっくり息を吐く
  • 60〜90秒間、呼吸を意識すること以外は忘れて集中して呼吸を繰り返す

瞑想中は、浮かんできた雑念や周囲の物音を深追いせず、呼吸だけを意識することがポイントです。「長く」「深く」「滑らかな」呼吸を意識してみましょう。

タスク管理

タスク管理は、タスク全体を把握するためにも管理ツールを用いて整理することが効果的です。記憶に頼らず、1か所にタスク書き出すと目の前のタスクに集中できます。下記で、集中力向上に有効な2つのタスク管理法をご紹介します。

GTD(Getting Things Done)

やるべきこととそのための行動を明確にするためのフレームワークです。ツールはデジタルでもアナログでも問題なく、いずれのツールでも以下流れでタスク整理を進めます。

  • 把握:頭の中にあるタスクをリストに書き出す
  • 見極め:タスクに求める結果、取るべき行動とそのタイミングを見極める
  • 整理:タスクをカレンダーに記載、優先度順に並べ替え、他者へ委任するタスクなどを整理する
  • 更新:タスクリストを見直し、必要に応じて更新する
  • 選択:その時の状況やタスクの優先度、所要時間などから実行するタスクを決める

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Doingリスト

マルチタスクに陥らないためのタスク管理法です。Doingリストは、以下手順で進めていきます。

  • 紙を1枚用意し、中心に左右を分ける線を引く
  • 左半分に「今取り組んでいるタスク」と「これから実行するタスク」を記入
  • 右半分に「割り込んできたタスク」を記入
  • 左半分のタスクを上から実行する

左半分のタスクが終わるまでは、割り込んできたタスクに手をつけないのがDoingリストのルールです。また、左半分に記入したタスクは必ず上から順番に、同時にほかのタスクに取り組んだり、作業の順番を変えたりしないことを厳守しましょう。

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5.高い集中力を維持するコツ

高い集中力を維持できれば、仕事の効率も高まります。ここでは、集中力を維持するコツをご紹介します。

環境を整備

長時間座っても疲れない椅子や空間に余裕が出るようデスク環境を整えるのも、集中力向上に有効な方法です。

正しい姿勢になれる椅子や広いデスクスペースは、集中力向上に効果があいます。また圧迫感を避けるためデスク周りに空間を設けることもポイントです。空間的に可能であれば、背後が壁になるようデスクを設置するとなお効果的です。

睡眠の質を改善

睡眠の質を改善することは、日中の集中力アップに期待できます。睡眠の質を高めるためには、以下ポイントを意識してみましょう。

  • 寝る前のスマホ使用を控える
  • 規則正しい生活を送る

スマホの光はメラトニンの分泌が阻害され、眠りが浅くなってしまいます。また、規則正しい生活を送るためには、適度や運動や栄養のある食事、早い時間に夕食を済ませることで良質な睡眠が促されます。

規則正しい生活は生活習慣病のリスクも低下し、体調不良の改善にも期待できるでしょう。

休憩やストレッチを適度に取り入れる

集中力が続く時間には限度があるため、適度な休憩やストレッチが大切です。軽い運動やストレッチは全身や脳に血液が巡り、デスクワークで凝り固まった体もほぐれて休憩後の効率向上にも期待できます。

必ずしもストレッチや運動だけでなく、アロマをたいたり、ゆっくりと飲み物を飲んだりと自分自身が一番リラックスできる方法で休憩しましょう。

仮眠も有効

休憩として10〜20分の仮眠をとることも集中力の回復に有効です。長時間の仮眠はかえって集中力が途切れてしまうため、横にならず短時間の仮眠に留めることがコツです。仮眠前にカフェインを摂取すると、仮眠後に覚醒しやすくなります。

同じ場所で作業しない

同じ場所で作業し続けると刺激が少なくなり、脳の活動が低下する可能性もあります。場所を変えると気分がリフレッシュされ、同じ場所に停滞するよりも集中力を高めることが可能です。

糖分(ブドウ糖)を摂取

集中力を高めて効率的に仕事を進めるには、脳のエネルギー源となる糖質(ブドウ糖)の摂取も有効な方法です。

また血糖値の上昇が食後の眠気を引き起こす可能性があるため、食後の眠気防止として玄米など血糖値が上がりにくい食事を選ぶこともコツの一つです。

手軽に摂取できる食品

エネルギー源として、手軽に摂取できるブドウ糖がオススメです。ブドウ糖を含む食品は、ガムやチョコ、ラムネなどさまざま。最近では、集中力向上を謳う専用の食品も登場しています。

ただし、血糖値の急激な上昇・下降は体にさまざまな不調をもたらすため、注意が必要です。

カフェインで眠気を抑止

カフェインは眠気抑制や集中力向上、疲労感の解消など仕事の効率アップに有効です。カフェインは脳の興奮を抑制するアデノシンの働きを抑える作用から、眠気を覚ます効果と集中力・注意力を高める効果をもたらします。

音楽や自然音で集中力アップ

なかには、静かすぎる環境ではかえって集中できないという人もいるでしょう。この場合、あえて音楽や自然音を聴きながら作業するのもコツです。

音楽を聴く場合、ボーカルなしの音楽や雨音や波の音、川のせせらぎといった自然音がおすすめです。自然音は脳の覚醒を高めたり、リラックス状態をもたらしたりする効果があります。

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6.集中力を高めるのに役立つツール

集中力を高める方法とあわせて活用できるツールをご紹介します。

タイマー

30分や45分など、タイマーで作業時間のリミットを決めることは集中力維持に効果的です。ゴールが決まっていると目の前の目標に向かって、集中力を高めて取り組みやすくなります。

椅子

良い姿勢を保つことは、集中力維持に重要なポイントです。集中力を高める椅子選びのポイントは、下記のとおりです。

  • 足が床につく深い座り方ができるか
  • S字型の背もたれか
  • 適度な座面の硬さか
  • 肘掛けがあるか

理想的なのは、股関節と膝関節、足関節が90度を保て、かつ座面の硬さが適切な椅子です。

ノイズキャンセリングイヤホン(ヘッドホン)

雑音除去機能であるノイズキャンセリングがあることで、外部の雑音に影響されず集中できます。雑音が除去されて静かな環境で集中力が維持できるほか、周囲の人に対して「今は声をかけないでください」といった意思表示としても役立ちます。

スタンディングデスク

座った状態で眠くなることが多い人にオススメのアイテムが、スタンディングデスクです。立って仕事することで適度な緊張感があり、短時間の集中力が高まります。疲れたら座って仕事もできるため、そのときの状態にあわせて柔軟に体勢を変えられます。

耳栓

耳への負担も軽減でき、かつ周囲の雑音を遮断して集中力を高められるアイテムです。ある程度長い時間耳栓をつけっぱなしにする場合は、耳への負担が少ないシリコン製やウレタン製の耳栓がオススメです。

アイマスク

パソコンやスマホの長時間使用により目が疲れると脳が刺激され、脳の疲労や集中力低下につながります。目の疲れを感じたら情報を遮断すると、適度な休憩をとれるでしょう。このとき、温めたアイマスクを着用することがオススメです。

アイマスクがない場合、温めた手や蒸しタオルを目にのせるのもよいでしょう。