単純接触効果(ザイアンスの法則)とは? 使い方や注意点を解説

単純接触効果とは、繰り返し接触すると印象や好感度が高まる心理的現象のことです。ここでは単純接触効果のメリットやビジネスにおける活用事例、マイナスにならないための注意点や効果を高めるポイントなどについて解説します。

1.単純接触効果とは?

単純接触効果とは、人物や物事に接する回数が増えれば増えるほど好印象を持つようになる心理的現象のことです。ザイアンス効果、あるいはザイアンスの法則と呼ばれることもあります。身近な人間関係にはもちろん、営業やマーケティングなどビジネス活動でも単純接触効果を狙った施策がなされています。

単純接触効果の概要

単純接触効果は1960年代後半、ポーランド出身の心理学者ザイオンス氏によって提唱されたのがはじまりです。ある刺激に触れる回数が増えれば増えるほど警戒心が薄れ、親しみや親近感を感じるという効果を単純接触効果といいます。

メカニズムのすべてが解明されているわけではないものの一説によれば内容を意識的に言葉で表現することができない「潜在記憶」が影響しているといわれています。

また無意識のときほど単純接触効果は強く働き、ある水準を超えると好感度は反対に低下していくとも考えられています。

サブリミナル効果との違い

単純接触効果とよく似た現象に「サブリミナル効果」があります。サブリミナル効果とは人間が知覚可能な最低レベルの強度以下で刺激を提示すること

アメリカでは映画の作中に「コーラを飲め」というメッセージを人間が認識できないほどの短時間映したところ、コーラの売上が急上昇したという実験がありました。

しかしサブリミナル効果は限定的であり、倫理的に好ましいとはいえないため利用が規制されています。

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2.単純接触効果のメリット

単純接触効果はさまざまなシーンで活用できます。ここでは単純接触効果がもたらすメリットについて説明します。

シンプルで初心者でも実践しやすい

単純接触効果の活用方法はとてもシンプルです。相手の目に触れる、接触する頻度が高ければ高いほど効果が生まれやすくなります。

これは日常生活ではもちろん、ビジネスでも活用できる手法です。マーケティングや営業をはじめたばかりの人物でも、営業先と合う回数を増やせば相手に好感、好印象を持たせられるのです。

営業の成約率が上がる

数ある営業方法のなかでもとくに難易度が高いとされている「飛び込み営業」にも単純接触効果は有効です。

たとえば初回の訪問では名刺交換と軽い自己紹介だけで済ませます。2回目にはチラシを渡し、3回目には軽い雑談をくわえ、訪問回数を重ねていきます。すると次第にクライアントは興味を持つようになります。

単純接触効果は第一印象が肝心です。第一印象が悪ければ、その後繰り返し接触を重ねても好感は高まりづらくなります。

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3.単純接触効果のビジネスにおける活用事例

単純接触効果はビジネスのさまざまなシーンで活用することが可能です。ここでは「広告」「営業」「マーケティング」における単純接触効果の事例について説明します。

広告

電車やバスなどの車内広告、動画やテレビなどの広告で繰り返し商品の情報を見て、実際の購入に至ったという経験はないでしょうか。まさにこれが単純接触効果を広告に活用した事例です。具体的には次のような方法があります。

  • リターゲティング広告:過去アクセスしたWebサイトに関連商品やサービスの広告を繰り返し配信する
  • メールマガジンの配信:クーポンの有効期限などを繰り返しアナウンスして購買欲を高める
  • 車内広告:通勤や通学などで繰り返しその広告を見る可能性が高いため、接触回数を担保しやすい

営業

「とにかく客先に行ってこい」という昔ながらの営業手法も、単純接触効果という面からみれば非常に有効な営業手段であるといえます。

定期的に顧客のもとに足を運び、相手の悩みを聞いていると、次第に親近感がわいてきます。顧客の警戒心も薄まり、購入意欲が高まる可能性もあるでしょう。

ただしやみくもに接触回数を増やせばよいというわけではありません。ある実験によれば接触回数は10回がピーク。それ以上は何度接触を重ねても印象に影響をあたえないということが報告されています。

マーケティング

近年ではSNSやメールマガジン、テレビコマーシャルなどのマーケティング活動にも単純接触効果を活用するようになりました。とくにTwitterやInstagramなどのSNSを活用して情報を発信する企業が増えています。

SNSでユーザーにフォローしてもらえれば、企業は自社の情報を繰り返しタイムラインに流して宣伝することができます。ユーザーにとっては新しい情報やお得な情報が入手しやすくなり、結果として商品やサービスへの関心、購買意欲が高まるというわけです。

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4.職場での単純接触効果

単純接触効果を職場に活用すれば、組織内の人間関係を良好にすることもできます。ここからモチベーションや業務効率のアップ、生産性向上につなげるのも可能です。

職場でのコミュニケーションに単純接触効果を生かす方法

職場ではさまざまなシーンで単純接触効果を活用できます。

たとえば同じフロアや同じ部署で働いている社員に対しては、実際接する機会が少なくても意識に入れながら働いています。そこで出社、退社のタイミングであいさつを交わすことからはじめて、業務上の相談や雑談につなげるのもよいでしょう。

別部署の社員とかかわる際、そのたびに軽い雑談を交えて少しずつ親近感を高めるという方法にも単純接触効果が活用されています。

職場で期待できる効果

職場で単純接触効果を活用すれば、社員同士の信頼関係が築けます。単純接触効果で互いの好感度を高めておくと、相手の立場に立ちながら会話に耳を傾けられるようになります。

さらに仕事を通して意見交換したり、互いに信頼しながら課題を乗り越えたりする効果も期待できます。はじめのうちは近づきがたいと感じていても、何度か顔を合わせているうちに親近感が芽生えてきます。

気軽に相談できる土壌が築けるため、悩みごとを抱えたときにも問題が大きくなる前に対処することができるのです。

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5.単純接触効果がマイナスにならないための注意点

シンプルな手法ながらもさまざまなメリットが得られる単純接触効果。その効果を無駄にしないよう、以下の点に注意する必要があります。

回数を増やし過ぎない

先に触れたとおり、単に接触回数を増やせば増やすほどプラスの効果が高まるというわけではありません。単純接触効果の接触効果は10回までといわれています。接触回数を増やし過ぎるとかえって相手を不快にさせ、マイナスの印象を抱かせる原因となります。

たとえばユーザーが「しつこい」「配信が多すぎる」と思うほどメールマガジンを発信していたらどうなるでしょうか。購買意欲が高まるどころかかえってイメージダウンし、配信解除に踏み切るユーザーが出てくるかもしれません。

間隔を的確にする

単純接触効果ではその接触間隔にも注意が必要です。たとえば1か月に1回のSNS投稿ではユーザーの印象に残りません。1週間のうち月曜と木曜、1日のうち朝の時間帯だけ、など接触間隔をあけすぎないことが重要です。

ただし前述した「回数の増やしすぎ」には注意しなければなりません。顧客やユーザーの反応を見ながら適宜調節していきましょう。

つねに好印象を与える

単純接触効果では毎回好印象を与えることも重要です。一度でも嫌悪感を抱かせてしまった場合、それを取り除くのは難しくなります。接触の回数が増えれば増えるほど悪い印象が強くなり、単純接触効果が逆効果になる可能性があります。

つねに良質な情報を発信し、好印象の接触が続くよう意識しなければなりません。単純接触効果はさまざまなシーンで活用できますが、相手の感じ方によって接触そのものを控えることもあります。

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6.単純接触効果を高めるポイント

単純接触効果を高めるには時間と工夫が必要です。適切な回数と頻度で、良質な情報を提供し続けることが単純接触効果を高めるポイントになります。

良質な情報を提供する

まずは「相手が本当に必要としている情報は何か」「何について知りたいと思っているのか」をしっかりと分析することが重要です。相手にとって価値の低い情報を発信しても、望むような効果を得られません。

また単に関連性のある情報を届けるのではなく、相手が「自分や商品、サービスについてもっと知りたい」と思えるような情報を発信しなければなりません。

機械的に情報を発信するのではなく、時間をかけて相手の共感を得られるようなコンテンツを作り上げていきましょう。

接触方法、回数や頻度を適切に

これまで述べてきたように、単純接触効果を高めるには適切な接触方法と回数、頻度が重要になります。たとえば過去に人事情報を収集した顧客に対してファッション系の広告を配信しても、購買意欲は高まりません。

かえって「不適切だ」「信頼できない相手だ」とマイナスの印象を抱かせる恐れすらあります。相手がその情報に対して興味を持っているか的確に判断したうえで、効果的な接触を重ねましょう。