タスク管理とは、チーム全体ではなく、個々の担当業務を管理すること。プロジェクト管理との違いやタスク管理のメリット、どのような無料ツールがあるのか解説します。
1.タスク管理とは?
タスク管理とは、個々のチームメンバーに割り振られた担当業務を管理すること。プロジェクトを効率的に遂行するためには、欠かせないものといえるでしょう。
英語で「task」は、「仕事」「課題」「作業」という意味で使われており、もともとラテン語の「税」という意味に由来しているのです。
現在、IT業界ではコンピューターが処理をする最小単位として表現されています。それほど「タスク」という言葉は広がりを見せているのです。
2.タスク管理とそのほかの管理の違い
タスク管理と似た言葉に「プロジェクト管理」「ToDo管理」があります。ふたつはタスク管理と何が違うのでしょうか。
プロジェクト管理との違い
プロジェクト管理とは、目標を達成させるために進めるべき計画のこと。それに対してタスク管理は、そのプロジェクトの中に含まれる一つひとつの作業をいいます。
プロジェクト管理では、プロジェクトの管理者がメンバーの進捗状況を把握。一方、タスク管理はプロジェクトメンバーそれぞれが自身の裁量によって業務を管理するのです。
ToDo管理との違い
ToDo管理とタスク管理の違いは「期限の有無」。ToDo管理は、いつか完了しなければならないやるべきことです。一方、タスク管理は特定の期限までにやるべきことをいいます。
たとえばチームでやるべきことは「タスク」、個々は「ToDo」など管理方法が分かれている場合もあるのです。管理している情報が分散するリスクもあるため、一カ所で管理するほうがよいでしょう。
3.タスク管理のメリット
タスク管理をしなくても業務を進められる場合もあります。しかしタスク管理をすればよりプロジェクトを効率よく進められるといったメリットが得られるのです。
- 作業を「見える化」できる
- プロジェクトの全体像が把握できる
- 作業の優先順位がわかる
- 作業を効率化できる
- 作業漏れを防げる
①作業を「見える化」できる
プロジェクトの全体像が見えないまま仕事を進めてしまうと、着地点を見失います。プロジェクトのだれが見ても理解できるよう、作業を「見える化」し、認識の共有を図ることが大切です。手順は次を参考にしてみてください。
- プロジェクトに必要なタスクをリストアップする
- スケジュールと作業工程を組む
- チームのメンバーに作業を割り当てる
これにより、現在プロジェクトが「どのくらい進んでいる」のか、より具体的に把握できるようになるのです。
②プロジェクトの全体像が把握できる
タスクが具体的であれば、「プロジェクトに必要な作業」が把握できます。目標達成のために、どのような工程が必要なのかが見えてくるため、事前にトラブルを回避できるのです。
たとえば「以前、プロジェクトを行ったときに、ここに問題があったから事前に解決しておこう」と考えられます。スピード感をもって作業に取り組めるため、プロジェクトがスムーズに進むでしょう。
③作業の優先順位がわかる
複数のプロジェクトに対し、最優先で対応すべき作業がわかります。タスクには「納期」「緊急度」「重要度」など、さまざまな要素があるもの。
「どの順に作業を進めていくのか」「期限を守るためにはいつ着手するべきなのか」」など、タスク管理すると作業に優先順位をつけられるのです。要素を見極めながら作業を進められるのもタスク管理のメリットといえます。
④作業を効率化できる
タスク管理を行うと、時間を効率的に使えます。タスクは大まかに分けると、「手早く済ませられるもの」「時間がかかるもの」のふたつです。
タスクの取り組み方は、プロジェクトの進行次第。手早く済ませられるタスクを後回しにして、時間をかけたいタスクにじっくり取り組む、という方法も考えられます。作業に優先順位を割り振ると、柔軟に仕事を進められるのです。
⑤作業漏れを防げる
作業工程において忘れがちな小さな確認作業や報告漏れがなくなります。製品開発のプロジェクトにおける確認作業や報告は必須です。それをタスクにいれておけば、「動作確認を忘れていないか」「進捗状況を報告したか」などの項目を把握できます。
規模の大きなプロジェクトでは、タスク管理が重要視されているもの。しかし規模が小さなプロジェクトの場合、「タスク管理する程度ではない」と判断した結果、確認作業や報告漏れが見落とされてしまい、トラブルにつながるケースもあるのです。
プロジェクトの大小にかかわらず、作業工程をリストアップしてタスク管理をすれば、作業の漏れを防げるでしょう。
4.タスク管理の方法
タスク管理の方法は、下記の3点に大きくわかれます。それぞれについて解説しましょう。
- タスク管理ツールを導入する
- エクセル・Googleスプレッドシートを活用する
- 手帳やノートに書き出す
①タスク管理ツールを導入する
ガントチャート機能や検索機能、ファイル共有機能などを用いると効率良くタスク管理できます。スマートフォンやパソコンなどのネット環境があればどこでも共有できるため便利です。
タスク管理ツールは数多くリリースされており、企業でも多く活用されています。そのなかでも無料で利用できる、機能性に優れたツールを厳選して紹介しましょう。
Todoist
タスクすべてに優先順位をつけて整頓できるタスク管理ツールです。作業開始時間を登録すると、アラームでリマインドしてくれるため、タスク漏れの心配もありません。
タスクの進捗状況は、1週間・1カ月ごとにグラフ化されるため、作業効率や生産性向上の分析にも役立ちます。また「プロジェクト」ごとにタスクを登録し、チームメンバーと共有できるため会社のタスク管理にも使いやすいと話題です。
Microsoft To Do
Microsoft社が運営する信頼性の高いタスク管理ツールです。
作成したタスクの「割り当て先」ボタンを押すと、招待リンクが生成され、共有したい担当者へ送れます。さまざまなデバイスに対応しており、Microsoftアカウントを持っている人であればだれでも参加可能です。
また「自分に割り当て済み」画面では、自分が担当しているタスクだけが表示されるため、見逃しを防止できます。
Jooto
気軽に使えるプロジェクト管理ツールとして人気なのが「Jooto」。シンプルな見た目やカラフルな色合いは見やすく、管理しやすいといえます。業種に合わせたテンプレートがあり、タスク管理ツール初心者にも使いやすいでしょう。
タスクのフィルター分けも可能です。プロジェクトごとの「自分の担当タスク」がひと目でわかるため、プロジェクト遅延を防げます。
②エクセル・Googleスプレッドシートを活用する
表計算ソフトは、一覧性の高いタスク管理表の作成が可能です。それぞれのセルにタスクを入れ、作成した「日付」や現在の「進捗状況」「担当者名」などを入れると、オリジナルのタスク管理表ができます。
特徴は予算や実績など数字の管理がしやすいこと。また「Googleスプレッドシート」であれば、招待リンクが生成できるため、複数人でタスクを共有できます。
③手帳やノートに書き出す
やるべき作業を手書きで書き出すことも、有効なタスク管理法のひとつです。手帳やノートに書く以外にも、次のような方法があります。
- ToDoリストを作る
- ホワイトボードに付箋を貼る
優先順位の番号を書いたり、重要度の高いタスクを赤字で書いたりすれば、さらにわかりやすくなるでしょう。タスクが終わったら、「二重線」や「付箋」を剥がして完了します。目で見て確認しやすいだけでなく、書く作業自体が記憶として残りやすいです。
5.タスク管理の手順
タスク管理には、作業工程を細かく分解し構造化する手法があります。これから紹介する手順は即実行しやすく、効果的です。タスクの管理方法のひとつとして確認しておきましょう。
- 作業をすべて書き出す
- 作業を細分化する
- 作業に優先順位をつける
- スケジュールに組み込む
- 進捗を管理する
①作業をすべて書き出す
やるべき作業を漏れなく書き出し、リスト化します。自分が抱えている内容を目で確認することがタスク管理のスタートライン。やみくもに行うのではなく、次のように書き出してみましょう。
- プロジェクト別やタスクの種類別に分けて書く
- 付箋にタスクを書いて貼り、並べてみる
自分の抱えている仕事量が客観的に把握できるだけではなく、仕事にかかる時間も把握できます。
②作業を細分化する
作業を複数のプロセスに分解します。その「プロセス」として挙げられるものは次の3種類です。
- チームタスク=複数人がまとまって行う作業。個人の遅延がチームの遅れにつながるため、最優先されるべきタスクといえる
- 個人タスク=個人として達成したい目標を実現するためのタスクで
- ToDo=プロジェクトとして扱うほどのものではないスケジュール。たとえば「掃除」「メールチェック」など
作業を細分化すると、細かなタスクは隙間時間に取り組めます。
③作業に優先順位をつける
重要度や期限、作業時間などから優先順位を判断しましょう。自分にとっての優先順位は何か、基準を明確にするのが大切です。
- 緊急性の高いタスクはどれか
- いつまでに完了しなければならないのか
- 作業時間はどのくらいかかるか
頭でタスクを管理しても、漏れは出てくるもの。文字に起こして把握すると、優先順位が見えてきます。
④スケジュールに組み込む
作業時間や優先順位にもとづいて、スケジュールに組み込んでいきましょう。「ガンチャート」や「カレンダー」を利用し、プロジェクトにどのくらいの時間と人員が必要なのか、全体像を把握します。
専門的なスキルが必要であれば、「スキルマップ」「担当表」も併行して管理していくのがおすすめです。作業に偏りや無理が生じていないか確認しながら、スケジュールを組むとよいでしょう。
⑤進捗を管理する
スケジュールを決めて終わりではなく、進捗状況に合わせてタスクの追加や変更も必要です。納期に対して、タスクが完了できているか定期的に確認しましょう。たとえば次のようなものをチェックします。
- スケジュールどおりに進行している→問題なし
- タスクに遅れがでている→スケジュールを組み直す
チーム全体に遅れが生じている場合、状況に応じてフォローを考えます。割り振りについても検討するとよいでしょう。
6.タスク管理のポイント
タスク管理を行うとき、何に注意するべきでしょうか。ここではタスク管理のコツを紹介します。
- バッファを設ける
- 習慣化する
- 情報を共有する
- 担当者を決める
- マルチタスクを避ける
①バッファを設ける
予期せぬ事態に対応できるようスケジュールには必ずバッファ(余白)を設けておきましょう。完璧にスケジュールを決めていても、「予定外の仕事が入った」「供給が遅れている」など予期せぬ事態が起きる可能性は十分考えられます。
②習慣化する
タスク管理を継続して行うために、習慣化する仕組みを作りましょう。せっかくのプロジェクトも「長続きしない」のでは、成功へ導けません。
たとえば「毎朝、自分へリマインドのメールを送る」「スケジュールに合わせてアラームをセットしておく」などのほか、「メンバーがタスクを忘れないよう指示する」といった対策も必要です。
チームで取り組む場合は、朝礼や定例会議でタスク管理表を振り返る時間を作りましょう。
③情報を共有する
効率的なタスク管理を行うためにもチーム内での情報共有は不可欠です。しかしチームのプロジェクトは人数が多くなるほど管理も難しくなるため、下記のような情報共有が大切です。
- 情報共有に特化した機能付きのタスク管理ツールを使う
- 週1回の「進捗状況の報告日」を設定するなど、共有のルールを作る
チームでのコミュニケーションはプロジェクト達成のために必要です。積極的に情報を共有していきましょう。
④担当者を決める
細かいタスクになると、担当者が決められていない場合も多いため、漏れも発生しやすくなります。たとえば「だれかがやってくれるはず」と放置した結果、「だれも作業をしていなかった」というケースです。
複数人で行うタスクは必ず担当者を決めて、「だれ」が「いつまでに」という点を明確にしましょう。時間を効率よく使えます。
⑤マルチタスクを避ける
複数のタスクを同時にこなす「マルチタスク」は一見効率的に見えるものの、そうでない場合もあります。たとえば「Aタスク」の途中に「Bタスク」を開始し、再び「Aタスク」にもどる場合、どこまで作業していたか思い出すところから始めなければなりません。
タスクの寄り道をしてしまうと、集中力が欠けてしまい、時間をかけてしまう可能性もあります。ひとつのタスクに集中して取り組み、完了してから次のタスクに移行しましょう。