ハイテク機器の取り扱いが苦手な人に対して行われる「テクハラ」は、上司と部下や同僚などの間だけではなく、部下から上司に行われることもあるパワハラの一種です。
人事担当者が知っておきたいテクハラの対策と対処法を紹介します。
「テクハラ(テクノロジーハラスメント/テクニカルハラスメント)」とは?
「テクハラ」とは、「テクニカルハラスメント」もしくは「テクノロジーハラスメント」の略称です。
ITの取り扱いに疎くて、PCなどのハイテク機器を苦手にしている人へのハラスメント(嫌がらせ)行為を指します。テクハラは上司から部下へだけではなく、一緒に働く同僚や先輩、部下から上司に対して行われることもあります。
例えば、パソコンが苦手で自分で操作ができない上司に対して、日報をメールで送るのがテクハラに当たることもあります。テクハラはパワハラの一種であり、度を超えたケースでは違法行為に認定されることもあります。
テクハラの対策
テクハラを防ぐためには、パソコン等の業務上必要なハイテク機器の取り扱い研修や教育を行い、従業員全員のスキルアップを目指します。スキルの習得中には、分からないことはいつでも聞ける体制を構築し、指導する人員を配置するだけではなく、マニュアルの整備も行いましょう。
指導期間を一定の期間で勝手に区切らず、習得できるまでしっかりと教えることが大切なポイントです。ただし職務上必要であるにもかかわらず、苦手だからと言って習得を怠った場合には、業務を円滑に進めることが困難になってしまいます。
その場合、ハイテク機器の取り扱いスキルが、人事査定に響くケースもあると周知する必要があります。また、テクハラの対策には、被害者を作り出さないようにスキルを習得させるだけではなく、加害者にならないように教育を行うことも大切です。
テクハラはパワハラの一種であり、誰でも加害者になり得る重要な問題だという認識を社員全員で共有し、嫌がらせ行為を行わないように徹底しましょう。
テクハラの訴えに対する対処法
前述のとおり、被害者本人がハイテク機器の操作を習得し、スキルを上げることでテクハラを防ぐことができます。とはいえ、ハイテク機器の習得は短期間で行えるものではありません。
長期にわたって必要な対策を取らず、被害者に心理的な負担が掛かりすぎてしまうと、「職場環境配慮義務」を怠ったとして、雇用者の責任を問われ、加害者だけではなく企業も損害賠償の対象になることがあります。
人事担当者がテクハラの訴えを受けたら、テクハラの状況を調査し、環境が改善するように加害者・被害者ともに適切な指導を行いましょう。
被害者に対する教育・訓練だけではなく、メンタル面のケアや、加害者に対する「違法性」の警告を行い、行為をやめない場合には違法行為となり解雇事由になり得ることを伝えます。
万が一被害が深刻化してから発覚した場合には、自己判断せずに弁護士に相談し、配置転換などを行って社内環境を改善しつつ、加害者の処分などの対策を検討し、被害者が安心して仕事に取り組めるように配慮をしましょう。