定性目標とは? 定量目標との使い分け方、立て方、書き方と例文

多くの企業では人事評価を行う際に、数値にもとづく定量目標にくわえて、数値化しにくい定性目標も用いています。定量目標と定性目標を組み合わせることで、従業員の成果を明確にすることが可能です。では、定性目標とは具体的にどのような目標なのでしょうか。

この記事では、定性目標と定量目標の違いや使い分け方、定性目標の立て方や設定時の注意点について詳しく解説します。定性目標の職種別、役職別、業種別の書き方や例文も紹介しますので、参考にしてみてください。

1.定性目標とは?

定性目標とは、数値化できない目標のことです。これは、成果に至るまでのプロセスに注目し、その行動の価値を測るための目標です。一般的に「行動目標」とも呼ばれ、目標を数値で表すことのできない理想の状態や品質を追求することを意味します。

以下に定性目標の具体例を示します。

  • 顧客満足度の向上:顧客からのフィードバックを基に、サービスの質を向上させ、顧客満足度を高める
  • 社内コミュニケーションの改善:部門間の情報共有を活性化し、社内の連携を強化する
  • 企業文化の強化:意見交換ができる環境を作り、革新的なアイデアを奨励する企業文化を築く
  • リーダーシップ能力の向上:中堅社員を対象にリーダーシップトレーニングを行い、次世代のリーダーを育成する
  • チームの士気向上:従業員のモチベーションを高め、職場の士気を向上させる

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2.定性目標と定量目標の違い

定性目標が数値化できないことを目標として設定する一方で、定量目標は具体的な数値を用いて目標を設定します。具体的には、売上高の増加、生産量の向上、市場シェアの拡大などがあり、達成度を明確に測定しやすいのが定量目標の特徴です。

定性目標と定量目標の違いを表にまとめると、下記のようになります。

定性目標 定量目標
定義 数値化できない要素を目標とする 具体的な数値で表される目標
目的 品質の向上、社内文化の強化、関係性の改善など 明確な数値達成、成果の計測、目標達成の客観的評価
評価方法 主観的な評価、フィードバックに依存 数値データに基づく客観的評価
使う場面 柔軟性が求められる場面、チームや個人の成長を促す場面 測定が容易で、明確な目標達成が求められる場面
メリット 目標達成のための方向性を提供、モチベーションと参加意欲を促進 明確な目標設定により進捗が測定しやすい、成果の追跡が容易
デメリット 客観的な評価が難しい、評価に対する不満が出やすい プロセスの評価が疎かになる、公平性を担保するのが難しい職種がある

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3.定性目標と定量目標の使い分け方

最適な目標管理を行うためには、定量目標と定性目標のバランスを適切に取ることが重要です。両者の目標を組み合わせることで、数値的な成果と質的な成長の両方を促進し、組織全体の発展につながります。

ここでは、定性目標と定量目標を適切に使い分けるために、それぞれの目標がどのような状況で有効かを具体的に説明します。

業務の性質に応じて使い分ける

定量目標は、明確な数値目標が設定可能な業務に適しています。たとえば、売上高や生産性指標、顧客獲得数などです。数値化できることで、進捗を明確に追跡し、容易に評価できます。

一方、定性目標は、数値化が難しい業務に有効です。たとえば、顧客サービスの質や従業員のモチベーション、チームの協力体制などです。定性目標は、目標達成の過程を重視し、質的な改善を促進する場合に設定します。

短期的または長期的な目標で使い分ける

定性目標と定量目標の使い分けについて、短期的または長期的な目標に応じて設定する場合もあります。

短期的な目標には定量目標を用いる

短期的な目標では、具体的な成果が求められるため、数値で明確に測定できる定量目標が適しています。短期的な定量目標の例としては、次のようなものがあります。

  • 1か月以内に新規顧客10社を獲得する
  • 第一四半期での売上目標を前年比20%増加させる
  • 3か月以内に製品不良率を2%以下に削減する

長期的な目標には定性目標を用いる

一方で、長期的な目標には、定性目標がより適しています。特に、発展途上のプロジェクトや質的な成長を重視する場合に有効で、企業のビジョンや文化の形成に関連する目標に使われます。定性目標の具体的な例は以下のとおりです。

  • 5年以内に業界で最も顧客満足度が高い企業となる
  • 長期にわたり社内のイノベーション文化を育成し、新しいアイデアの提案を促進する
  • 従業員のリーダーシップ能力を向上させ、次世代の管理職を育成する

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4. 定性目標のメリット

定性目標を設定するメリットは主に3つあります。定性目標を設定するメリットを詳しく見てみましょう。

  1. 目指すべき理想の状態が明確になる
  2. 数値化が難しい業務に対する評価ができる
  3. 従業員のモチベーションが向上する

①目指すべき理想の状態が明確になる

定性目標を設定することで、個人や組織が追求すべき理想的な姿や方向性が明確化します。日々の業務においても具体的な目標に向かって努力する方向性が示され、意識的な改善や取り組みが行いやすくなります。

とくに、数値では表現しにくい質の向上や、創造的な成果を目指す場合に有効です。

②数値化が難しい業務に対する評価ができる

定性目標は、具体的な数値に依存しないため、人間関係の改善、チームワークの促進、顧客満足度の向上など、数値化しにくい業務の進捗や成果を評価するのに適しています。

これにより、従業員の潜在能力や隠れた努力が見逃されることなく、適切な評価につなげられます。

③従業員のモチベーションが向上する

定性目標は、評価時に従業員が自らの業務や行動を振り返り、自己評価する機会があります。この過程で自身の成長を感じることができ、仕事への取り組み方や、対人関係の向上など、内発的な動機づけが促され、結果としてモチベーションの向上につながります。

また、これらの目標が達成された際には、個人の成果として明確に認識されやすく、職場の士気向上にも寄与します。

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5.定性目標のデメリット

定性目標を設定することには、デメリットも存在します。定性目標を設定するデメリットを詳しく見てみましょう。

  1. 客観的な評価が難しい
  2. 評価に対する不満が出やすい

①客観的な評価が難しい

定性目標は具体的な数値を伴わないため、個人の成果を客観的に評価することが難しくなる場合があります。評価の基準が主観に左右されやすく、評価者によって評価が異なることもあります。

このため、評価の透明性が低くなり、公正な評価が保障されにくくなる可能性があります。

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②評価に対する不満が出やすい

定性目標の評価基準が曖昧であるため、従業員間で評価に対する不満が生じやすいです。具体的な達成基準が明確でないと、自分の成果が適切に評価されていると感じにくく、不公平感やモチベーションの低下を引き起こす原因となることがあります。

また、目標に対する理解度が個々によって異なるため、期待される成果が不明瞭であることも、評価に対する不満につながります。

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6.定性目標の立て方

定性目標を設定する際には、以下のポイントを考慮すると良いでしょう。

  1. 組織目標と職位目標を決める
  2. 目標の期限を決める
  3. 定期的にフィードバックする

①組織目標と職位目標を決める

定性目標を設定する際には、まず組織全体の目標を明確にします。これにもとづいて、各職位や部門に具体的な目標を割り当てることが重要です。組織目標が明確であればあるほど、個々の職位目標も具体的かつ達成可能なものになります。

たとえば、全社的な顧客満足度の向上を目指す場合、フロントラインのスタッフは顧客接点でのサービス改善を、バックオフィスは顧客サポートプロセスの効率化を目標とします。

②目標の期限を決める

定性目標は、その性質上、達成が数値で測定しにくいため、明確な期限を設定することが不可欠です。明確な期限がない場合、従業員が目標達成に時間を費やしてしまい、結果として目標が遅れてしまうことがあるかもしれません。

また、目標達成を判定することも難しくなります。期限を設けることで、目標に対する取り組みが具体化され、目標達成への意識が高まり、必要な調整がタイムリーに行えるようになります。

③定期的にフィードバックする

定性目標の進捗は定期的なフィードバックを通じて確認することが推奨されます。フィードバックは目標達成の道のりを明確にし、従業員が自己の業務にどのように貢献しているかを把握できるようになります。

また、フィードバックを受けることで従業員は目標に対するコミットメントを新たにし、モチベーションの維持や向上につながります。

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7.定性目標設定時の注意点

定性目標を設定する時は、下記に注意点する必要があります。

  1. 部門間格差を考慮する
  2. 定量目標とのバランスを考慮する

①部門間格差を考慮する

定性目標を設定する際は、異なる部門間での格差を考慮することが重要です。各部門によって業務の性質が異なるため、同一の基準で目標を設定すると公平性が欠ける場合があります。

たとえば、直接収益に貢献する部門とサポート機能を担う部門では、評価の観点や重視する成果が異なるため、目標設定もそれに合わせて調整する必要があります。

部門間での公平性を保ちつつ、各部門の特性に合わせた定性目標を設定することで、全社的にバランスの取れた評価が可能になります。

②定量目標とのバランスを考慮する

定性目標と定量目標とのバランスを適切に取ることが求められます。どちらかが過剰に評価されると、人事評価に対して従業員から不満が出やすくなります。

両者を適切に組み合わせることで、行動や態度、プロセスの質と数値的な結果のバランスを取っていけます。

とくに、短期的に結果を出すことが難しい業種の場合は、定性目標もしっかり評価することで、従業員のモチベーション維持や職場環境の向上に寄与し、長期的な組織の成果につながります。

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8.定性目標の達成基準・評価方法

定性目標は、しばしば達成基準や評価方法が曖昧になりがちです。ここでは、評価者の価値観によって評価が左右されないような、定性目標の達成基準や評価方法を紹介します。

定性目標の達成基準

最初に、定性目標を設定する時点で、評価の基準となる必達目標と、努力目標を区別して設定することが重要です。その後、目標の重みづけをし、それぞれのレベルに対して下記のように点数を割り当てます。

  • 努力レベル以上の成果を達成:5点
  • 努力レベルに達した:4点
  • 必達レベルを達成:3点
  • 必達レベルには届かなかったが、前回に比べて向上:2点
  • 必達レベルに達せず、前回からの改善が見られない:1点

定性目標の評価方法

定性目標を評価する際は、上記の達成レベルに加えて、下記の観点も考慮することで、客観性を確保できます。

<専門性>

  • 製品知識は十分にあるか
  • 取引先の情報を適切に理解しているか

<責任感>

  • 自分の役割に責任を持って取り組んでいるか
  • 設定された目標に向かって努力しているか

<目標達成までのスピード>

  • 与えられた仕事の処理速度は十分か
  • 通信や報告、相談を素早く実施しているか

<創造性>

  • 業務プロセスを向上させる努力をしているか
  • 職場で新しいアイデアを提案できているか

<主体性>

  • 業務に積極的に取り組んでいるか
  • 行動はポジティブか

<協調性>

  • チームとの関係は円滑か
  • 周りを巻き込んでプロジェクト遂行に努めているか

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9.定性目標の書き方・例文【職種別】

定性目標の書き方を、4つの業種別に例文とともに紹介します。

  1. 営業職や接客業
  2. 事務職
  3. 人事職
  4. 技術職(研究・エンジニア・デザイナーなど)

①営業職や接客業

営業職や接客業における定性目標は、顧客満足度の向上、信頼関係の構築、サービス品質理解などが該当します。ビジネスの持続的な成長と関係性の強化に貢献することを目指します。

定性目標 具体的な書き方・例文
顧客満足度の向上 年内に顧客からのサービス評価を改善する。これを達成するために、毎月顧客満足度調査を行い、得られたフィードバックに基づいてサービス提供方法を見直し、改善策を実施する。
顧客との信頼関係構築 顧客との信頼関係を強化し、リピート率を向上させる。具体的には、顧客ごとの購買履歴と好みを分析し、個別のフォローアップを定期的に行う。
サービスの品質理解 顧客に当社のサービス品質を正しく理解してもらうために、サービス説明会を四半期ごとに実施し、サービスの詳細や利点を明確に伝えられるようになる。
チーム連携の強化 チームの連携を高め、お互いにサポートし合える環境を作る。そのために、毎週のチームミーティングを活用して、各メンバーの進捗状況を共有し、支援が必要な点を明らかにする。また、半年に一度のチームビルディング活動を行う。

②事務職

事務職では、日々の業務効率と精度の向上が重要です。業務処理中のエラーを最小限に抑えるとともに、既存の業務フローを見直し、不要なプロセスを削除または改善することで全体の作業時間を短縮することなどが挙げられます。

定性目標 具体的な書き方・例文
業務処理のミスを減らす データ入力エラーを減らす。そのために、エラーの原因を分析し、改善策を毎月レビューして実施する。具体的には、入力プロセスのチェックリストを作成し、来年度までに二重確認システムを導入する。
業務フローの効率化 現在の報告書作成プロセスを分析し、不要な手順を削除する。そのために、プロセスマッピングを行い、各ステップの必要性を評価し、自動化可能なタスクはソフトウェアツールを用いて効率化する。
ペーパーレス化に取り組む オフィスの紙の使用量を削減することを目標とする。これを達成するために、紙の使用が必要な例外事項を明確にし、全社員に対してデジタル文書管理システムの使用を義務付ける。

③人事職

人事職では、採用、従業員の満足度、研修プログラムの質に関わる定性目標が重要です。これらの目標は、組織の人材基盤を強化し、全体のパフォーマンスを向上させます。

定性目標 具体的な書き方・例文
採用プロセスの最適化 採用プロセスの所要時間を削減する。これを実現するために、採用プロセスの各ステージの所要時間を把握する。面接をデジタル化し、候補者管理システムを導入して、迅速な応募者評価とフィードバックを可能にする。
従業員の満足度向上 従業員満足度を上げ、離職を防ぐ。具体的な取り組みとして、月1回の従業員との1on1ミーティングを設け、職場の問題や改善提案を直接聞くことで、具体的な解決策を迅速に実施する。
研修の質の向上 新入社員研修の効果測定結果を向上させることを目標とする。来年度末までに、研修内容を最新の業界動向に合わせて更新し、インタラクティブな学習ツールを導入することで、参加者の学習意欲と習得効果を高める。

④技術職(研究・エンジニア・デザイナーなど)

技術職における定性目標は、イノベーションの促進、技術力の向上、チーム内協力の強化などに焦点を当てることが一般的です。

定性目標 具体的な書き方・例文
イノベーションの促進 革新的な機能を提案し、実際の開発計画を立てることを目標とする。このために、毎月のイノベーションミーティングを設け、アイデアを自由に交換できる環境を整える。
技術力の向上 チームメンバー全員が最新のプログラミング言語に精通していることを確実にする。そのために、次の四半期までに全員が関連するオンラインコースを修了し、そのスキルを現在のプロジェクトに活用する。
チーム内協力の強化 コミュニケーションの質を高め、プロジェクトの遅延を減少させる。そのために、チーム内の週次報告会を通じてお互いの進捗を把握できるようにする。また、クロスファンクショナルなチームミーティングを月1で実施し、異なる専門分野間の理解を深める。

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10.定性目標の書き方・例文【役職別】

続いて、役職別の定性目標の書き方を例文とともに紹介します。

  1. 新入社員、
  2. 中堅社員
  3. 管理職・マネージャー職

①新入社員

新入社員の定性目標は、基本的な業務スキルの習得や自己管理能力の向上、職場適応を目指す内容が適切です。

定性目標 具体的な書き方・例文
基本的な業務スキルの習得 入社後3か月以内に、部門で使用しているすべての基本的なソフトウェア操作を習得し、日常の業務を自立して遂行できるようになる。これを達成するために、毎週のスキルトレーニングセッションに参加し、各セッション後に学んだスキルを実際の業務に適用する。
自己管理能力の向上 6か月以内に、毎日のタスクを効率的に管理し、締め切り前日にはすべての業務を完了する自己管理能力を習得する。具体的には、毎日の業務報告を期限内に正確に完成させ、時間管理スキルを身につける。
組織の文化への適応 入社後1年間で、会社のミッション、ビジョン、およびコアバリューを理解し、日々の行動と意思決定に反映させる。具体的には、毎月の全社ミーティングに積極的に参加し、他のチームメンバーとの関係を強化する。

②中堅社員

中堅社員は組織内での重要な役割を担っており、専門性のさらなる向上、リーダーシップの発揮、部署間の協調性の促進などが期待されます。

定性目標 具体的な書き方・例文
専門性の強化 業界の最新技術に関する知識を深める。そのために、来年度中に関連する専門セミナーに参加し、学んだ内容を部門内のワークショップで共有する。また、この知識を活用して、現在の業務プロセスの改善提案行う。
リーダーシップの発揮 次のプロジェクト期間中に、プロジェクトチームを率いて目標達成率を向上させる。プロジェクトの各メンバーの強みを活かし、定期的な進捗確認会とフィードバックを実施し、各メンバーの目標達成をサポートする。
部門間の連携強化 年内までに他の部署との共同プロジェクトを立ち上げ、部署間の連携を通じて新たなビジネス機会を創出する。これを達成するために、他部署のリーダーと月に一度の情報交換会を設け、相互のプロジェクトについて議論し、協力の機会を探る。

③管理職・マネージャー職

管理職やマネージャーは、部下の育成、従業員のモチベーションの向上、および戦略的な意思決定といった重要な役割を担います。

定性目標 具体的な書き方・例文
部下の育成 1年以内に、部下たちがプロジェクト管理スキルを習得し、日常業務に適用できるようにする。そのために、各部下に対して個別キャリアコーチングを行うとともに、専門的な研修を提供することで彼らのプロジェクト管理スキルを向上させる。
社員のモチベーション向上 次の四半期末までに、従業員満足度を向上させる。具体的には、達成報酬制度を導入し、月例の社員表彰制度を設けることで、優れた業績を上げた社員を公に称える。
スピード感のある意思決定 次の半年間で、部門内の意思決定プロセスを見直し、意思決定にかかる時間を短縮する。具体的には、意思決定に必要な情報を事前に集める体制を整える。さらに、意思決定に必要な会議を集約し、その場で決定を下すことを定着させる。

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11.定性目標の書き方・例文【業種別】

最後に、業種別の定性目標の書き方を例文とともに紹介します。

  1. 飲食業
  2. 建設業
  3. 製造業

①飲食業

飲食業では、新しいメニューの開発、顧客対応の質の向上、人材不足の解消といった定性目標が考えられます。これらの目標は顧客満足度を高めると同時に、業務の効率化と安定化を目指します。

定性目標 具体的な書き方・例文
新メニューの開発 次のシーズンまでに地元の食材を活用した新メニューを開発し、顧客の健康志向と地域支援のトレンドに応える。具体的には、シェフと共に試作会を実施し、フィードバックをもとに新メニューを決定する。
顧客対応の質の向上 顧客からの苦情を減少させるために、全スタッフに対して顧客サービス研修を施し、対応スキルを向上させる。研修後は、顧客からのフィードバックを集計し、月次で改善策をレビューする。
人材不足の解消 人材不足の解消するために、セルフレジの導入を検討する。そのために、次の四半期末までに、セルフレジを提供する会社をピックアップし、見積もりを依頼する。導入前にテスト運転を行い、問題なく営業できることを確かめる。

②建設業

建設業では、品質の向上、コストの削減、そして安全性の向上が定性目標の中心となります。

定性目標 具体的な書き方・例文
品質の向上 次のプロジェクトでは、建設材料および施工の品質の向上を目指す。そのために、品質に関する内部基準を再評価し、遵守する。また、品質保証チームを増員し、各工程での厳密な品質チェックを行う体制を整える。
原材料費の削減 来年度内に建設プロジェクトの原材料費を削減することを目標とする。これを実現するために、サプライチェーンの見直しを行い、よりコスト効率の良いサプライヤーとの長期契約を結ぶ。また、材料の無駄遣いを防ぐための従業員向けトレーニングを強化する。
安全性の向上 安全事故の発生をゼロに近づけることを目標に、次のプロジェクトでの安全対策を強化する。具体的には、全従業員に対する定期的な安全研修を月1回実施し、特に高リスク作業に関しては追加の安全ブリーフィングを行う。さらに、現場の安全監督者を追加し、日々の安全巡視を徹底する。

③製造業

製造業における定性目標は、製品の品質向上、生産プロセスの最適化、安全性の向上など、製造効率と従業員の安全を中心に据えた目標設定が重要です。これにより、コスト削減、効率的な生産、そして労働環境の改善が図られます。

定性目標 具体的な書き方・例文
製品の品質向上 来年度までに不良品率を削減する。具体的には、製品検査プロセスを見直し、自動検査装置の導入を検討する。さらに、品質管理チームによる週次レビューを実施し、問題点を速やかに特定し、修正措置を講じる体制を整える。
生産プロセスの最適化 6ヶ月以内に生産ラインの稼働時間を増加させる。この目標を達成するために、リーン生産方式を採用し、無駄なプロセスを排除する。また、生産スタッフを対象に効率的な作業方法のトレーニングを実施する。
安全性の向上 1年間で職場事故を削減する。これを達成するために、全従業員を対象に月1回の安全トレーニングを実施し、特に新規導入機械の操作に関する安全教育を徹底する。また、事故発生時の迅速な報告と対応プロセスを確立する。