在宅勤務とは?【ずるい?】制度、メリット・デメリット

子育てや在宅介護をしながら働いている人が、通勤ができなくなったなどの理由から退職するケースが多くあります。また、通勤距離が長く通勤自体がストレスになっているというケースもあるでしょう。

さまざまなライフスタイルに対応できるよう、国は働き方改革を提唱し、仕事が続けられる環境を整えようとしています。今回はその中から在宅勤務に焦点を当てて見ていきましょう。

1.在宅勤務とは?

在宅勤務とはその名の通り自宅で働くことで、育児や介護などの理由で毎日の出勤が難しい人、自宅が会社から遠い人などが、退職しなくても働き続けられる制度です。

また、フリーランスなど会社に属さず拠点を自宅にしているようなケースも在宅勤務のひとつといえます。インターネットの普及に伴い、在宅勤務を導入する会社も増えました。

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2.テレワークやリモートワークとの違い

会社に出勤しないで働く方法として、テレワークやリモートワークもあります。ここではその違いを見ていきましょう。

テレワークとは?

会社に出勤しないという点では、在宅勤務と同じです。ただし、仕事をする場所は自宅だけでなくコワーキングスペースやサテライトオフィスなども含まれます。広義で「会社以外で働くこと」と理解すると分かりやすいでしょう。

リモートワークとは?

リモートワークは、テレワークとほぼ同じ意味で捉えられており明確な区分けはありません。いずれも、会社以外の場所で仕事をするときに使う言葉です。一方在宅勤務は文字通り自宅を仕事場にし、そこで作業をします。

テレワークとリモートワークは、同じ意味で捉えられており、明確な区分けはなく使われています

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3.在宅勤務が増えた背景

「就業場所に縛られたくない」「自分の都合に合わせて働きたい」など、働く側の意識が変化している昨今、在宅勤務をする人が増えています。ここでは、具体的な背景を見ていきましょう。

インターネットと通信デバイスの普及

在宅勤務が増えている背景には、インターネットや通信デバイスの普及があります。インターネットがない時代、遠隔でリアルタイムに情報共有するのは困難でした。よって、会社に通勤し、直接対話して仕事を進めていたのです。

しかしインターネットが普及した今、メールやSNSなどで会話できるようになり、映像を通じた会議の整備も進みました。業種にもよりますが会社に行かなくても業務に支障を来たさなくなったのです。

また、スマートフォンやタブレット端末といった通信デバイスの普及も背景のひとつでしょう。

災害の増加

2011年3月11日に発生した東日本大震災の経験も、在宅勤務が増えている背景のひとつといえます。当時は今のような働き方改革という考えはなく、震災後に通勤できなくなり、仕事が滞ってしまう事態が起こりました。

そこで、出勤しなくても仕事ができる体制を整え、有事に備えるようになった企業が増えてきたのです。

ワークライフバランス

ワークライフバランスとは、「仕事と生活の調和」と訳される言葉で、子育てや親の介護などライフステージの変化に応じて多様な選択ができることを指しています。

ライフステージの変化と仕事の両立が難しくなった人たちが退職を選択しなくて済むよう、企業は事情に合わせた環境を整える必要が出てきました。そして会社に出勤しなくても働き続けられる方法として、在宅勤務を導入している企業が増えたのです。

在宅勤務が増えている背景には、インターネットやタブレット端末の普及、東日本大震災の経験、従業員がワークライフバランスを希望しているなどが挙げられます

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4.在宅勤務のメリット

在宅勤務は、自宅にいながら仕事を進められるというメリットを持ちます。ここではほかのメリットについても確認してみましょう。

通勤にかかる時間やストレスが減る

在宅勤務は、会社に行かず自宅で仕事をすること。通勤にかかっていた時間がなくなるため、その分ほかのことに時間を割けるでしょう。

自宅にいれば、仕事をしながら洗濯をしたり、食事の準備に時間をかけたりすることも可能です。往復2時間かかっていたとすれば、その分自宅でできることが増えます。また、通勤につきものの満員電車や電車の遅延といったストレスも減るでしょう。

ワークライフバランスの実現

仕事と子育てや介護などとの両立は難しく、退職を余儀なくされるケースがあります。しかし、在宅勤務が可能なら両立の目処が立つでしょう。

また、子育てや介護との両立だけでなく、24時間を自分の裁量で使えるようになるのです。プライベートの時間を充実、余暇時間に資格取得のため勉強するなど、ワークライフバランスの充実が図れるでしょう。

業務に集中できる

会社にいると、急な来客や会議など、当初想定していなかった予定が入る場合も。今日はここまで進めようと考えていても思った以上に時間を取られ、結局業務が完了しなかったという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

こういった場合、残業や早出で対応する必要が出てくるなど、就業時間以外にも影響を及ぼしてしまいます。在宅勤務であれば、こういったことはありません。業務に集中できるので、予定通り仕事を進められるでしょう。

社員の成長

在宅勤務では自分の裁量で仕事を進めるため、社員にはしっかりした自己管理が求められます。そういった機会を多く持つと、成長しやすくなります。時間の使い方も自然と身に付き、業務効率化も進むでしょう。社員に任せることが、社員の成長につながるのです。

在宅勤務のメリットは、通勤にかかっていた時間の有効活用、ストレスの軽減、業務に集中できる、社員の成長につながるなどです。

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5.在宅勤務のデメリットと課題

自宅で仕事をする在宅勤務にはさまざまなメリットがある一方で、デメリットや課題もあります。ここではいくつか例を挙げてみましょう。

仕事の切り分け

企業では社外に持ち出せない情報が存在します。つまり情報漏洩の面から考えると、自宅ではできない仕事も存在するのです。仕事にはさまざまなステップがありますが、どの仕事を在宅勤務にするかなど事前に話し合っておくことが必要でしょう。

また、在宅勤務を導入した場合、すべての社員に同じ条件で提供できるよう整えておかなければなりません。「あなたは、業務の特性上在宅勤務はできません」となると社員から不平不満が出てきてしまう可能性は高いです。

コミュニケーション

対面でコミュニケーションを取る機会が減ると、思い違いや行き違いが生じることも。メールだと怒っているように伝わってしまうなど、相手を不快に感じさせてしまうケースを経験した方も多いのではないでしょうか。

最近は、メールだけでなくチャットなど会話をしているように意見交換できるツールが発達しました。こういったものを活用して、対面で話しているようにコミュニケーションを図るとデメリットがカバーできるでしょう。

評価

在宅勤務は自宅で行うものなので、上司をはじめ人事などが、

  • どんなふうに仕事をしているのか
  • どのように効率的に取り組んでいるのか

などを直接見ることはできません。そうなると、オフィスで勤務する社員と異なり、仕事の結果や提出する成果物だけで評価をされてしまう可能性があります。

在宅勤務を選択したことで評価が下がってしまっては、働き方は定着しないです。オフィスに勤務する社員と同じ評価ができるよう、会社の評価基準を明確にしておきましょう。

時間などの管理

自宅で働くため、時間の管理や公私の区別は社員に委ねられます。ここで注意しておきたいのが、中には公私混同してしまう社員がいるという点。自宅だとほかの人の目がないため、自己管理ができなければ業務が遅延してしまうでしょう。

また、通勤する人は業務時間の管理がしやすいのに対して、在宅勤務の場合はそれが難しくなります。パソコンを立ち上げたら業務中、シャットダウンしたら終了など、何かしら明確なルールを取り決めたりシステムを導入しておいたりするとよいでしょう。

導入コスト

在宅勤務と通勤の場合は、その勤怠管理は大きく異なります。従来のように、会社に出勤する社員だけでなく、在宅勤務向けの環境整備も考えなくてはなりません。

インフラやネット環境の整備やセキュリティの強化などをそれぞれの自宅に整えたり、パソコンやタブレット端末、スマートフォンなどを各自に持たせることが必要です。

働き方が多様化すれば、それぞれで環境を整える状況になるのでその分コストもかかる、という点は覚えておきましょう。

隠れ残業の危険性

社員が残業をした際、残業代を支払います。しかし、在宅勤務の場合はその実態が把握しにくく、隠れ残業となってしまうケースが考えられるのです。

自宅で働いているから……と遠慮してしまう社員もいるようですが、その状態が長く続くと「なぜ自分ばかり」と考えて不満につながってしまうでしょう。

在宅勤務で気を付けたいのは、考えられるあらゆる調整はしておくという点。通常勤務の社員と差が出ないよう体制を整えることが重要です。

在宅勤務にはデメリットもあります。特に気にしたいのが通常勤務の社員と差が出ないように体制を整えるという点です

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6.在宅勤務に向く職種、向かない職種

在宅勤務には、向いている職種とそうでない職種があります。ここでは、在宅勤務に必要な条件や向く職種などを紹介します。

在宅勤務に必要な条件

在宅勤務に向くのは、セキュリティ面で心配のない業務、そして共同作業ではなく一人でできるものです。

企業はさまざまな情報を保有しており、中には社外秘も。こういった情報をインターネットでやりとりすれば情報漏洩の危険性があります。パソコンなどを盗まれてしまう可能性もあるでしょう。

また、一人で進められるものでないと、在宅勤務のメリットは活かしにくいです。

在宅勤務に向く仕事、職種

在宅勤務に向いている仕事はどのようなものなのでしょう。具体例とともに説明します。

プログラミング

在宅勤務を取り入れている職種を見てみるとIT系が多くなっています。システムエンジニアやプログラマーはパソコンに向かって、一人でプログラムなどを構築していく仕事です。技術や知識があれば誰かと協業する必要はなく、働く場所は問われません。

デザイン

パソコンを使う仕事で在宅勤務がしやすいのは、Webデザインや設計など。これらは自分の技量にかかってくるもので、個人でこなすことが可能な職種です。しかし、それなりの力がないと任せてもらえないという事実もあります。

イラストやマンガ

絵を描くことを仕事にしているイラストレーターやマンガ家も在宅勤務に向いています。これらの職種は会社員というよりフリーランスが多いです。こういった仕事は一人で集中する時間が必要なので、そういった点からも適した環境といえます。

記事作成

ライター、編集者なども在宅勤務がしやすい職種です。ライターは文章を書くのが仕事なので、周りと相談しながら進めるというより、一人パソコンに向かって集中しながら取り組むほうがはかどります。

編集者は、ライターやデザイナーなどに的確に指示を出す、スケジュール管理をする、原稿やデザインチェックをするのが仕事です。円滑にプロジェクトを回せればいいので、遠隔でもその手腕さえあれば問題ありません。

リサーチ

マーケターやリサーチャーも在宅勤務がしやすい職種です。今はさまざまな場面で情報を入手できますし、現地調査を行う際も会社に出向く必要はありません。データ収集後、知識を活かして分析する流れは自宅でも可能です。

営業

営業部署などではよく直行直帰という言葉が聞かれます。これは、自宅から顧客のところへ行き、会社に立ち寄らず自宅に戻るというスタイルのこと。パソコンを持ち歩いていれば、事務作業は移動中や自宅で行えます。

外部に持ち出しても問題ない情報を扱う職種や一人で行える業務、クリエイティブな職種は在宅勤務に向いています

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7.在宅勤務を導入する流れ、ステップ

在宅勤務の導入について、8つのステップから説明します。

  1. 目的や方針の策定
  2. 社員に説明
  3. 導入計画の策定
  4. 各種確認と変更、整備
  5. 小規模にて試験運用
  6. 試験運用の確認
  7. 改善点の洗い出し
  8. 本格導入

①目的や方針の策定

まずは、目的や方針を策定し、今後のステップの方向性がブレないようにします。目的は1つとは限りませんし、会社によっても異なるでしょう。

企業価値の向上ということを大きな目的とし、

  • 働き方改革
  • 生産性の向上
  • コストダウン
  • 事業継続
  • 人材の確保、育成

など、これから目指したいことを洗い出します。在宅勤務でクリアしたいことがあればどんどん挙げ、最後に絞り込むという方法がよいかもしれません。

②社員に説明

在宅勤務の目的や方針が決まったら、社員に説明し理解を得ます。この制度を利用するのはあくまでも社員ですので、うまく伝えられないと、せっかく時間をかけて構築してもほとんど利用されない……ということにもなりかねません。

社内での利用頻度が低ければ浸透もしにくく、ひどい場合は、「そんな制度があるなんて知らなかった」という状況にもなりかねません。伝える際は、目的を列挙するだけでなく、どういった点が改善されるのかなどまで具体的に説明しましょう。

③導入計画の策定

在宅勤務導入前に必要な確認事項、整備事項を今後の計画としてまとめます。組み込みたい項目は下記のようなものです。

  • プロジェクト計画書作成
  • 制度・ルールの確認
  • テレワーク環境構築
  • テレワーク実施者およびその上司、同僚への研修・セミナーの開催
  • テレワーク検証
  • 実証事業終了後の継続計画の策定・報告

④各種確認と変更、整備

就業規則やセキュリティに関するルール、ICT環境などを確認し、必要に応じて変更・整備します。就業規則には在宅勤務の項目を追加し、社外秘データの取り扱いなどセキュリティ面についても整備しましょう。

勤怠管理のための業務管理ツールの開発や Web 会議システムなどのコミュニケーションツールの導入も必要です。「在宅勤務にしたことで仕事がやりにくくなった」という状況がないように、想定できることを整えておきましょう。

⑤小規模にて試験運用

いきなり全社でスタートというと、問題が生じた場合に収集がつかなくなってしまうことも。まずは、いずれかの部署のみで試験運用をし、問題点などがあれば都度対応し微調整をしていきます。

試験運用は最低でも3カ月は見ておきましょう。不測の事態を想定して6カ月ほど設けておくとより安心です。

実施時には業務の成果を確認することはもちろん、社員の声に耳を傾けましょう。在宅勤務を利用した社員と社内で勤務している社員の双方に意見や感想を聞き、参考にしていくとよいでしょう。

⑥試験運用の確認

試験運用が終わったら、アンケートやグループインタビューなどで社員の意見を聞きます。量的調査、質的調査の両面から意見を集めるのは、重要です。

意見をもとに適正な評価ができれば、在宅勤務を導入すべきか否かの判断や今後の拡大に役立ちます。その際、最初に掲げた目的に対してどのような結果になっているのかまでチェックするとよいでしょう。

⑦改善点の洗い出し

導入後は在宅勤務を選択する社員が増える分、その利用理由も多岐にわたることになるでしょう。多様な要望に対応するためにも、試験運用ではしっかり定期的に検証し、制度をブラッシュアップして、本格導入に向けて再度準備を進めます。

ここでは、試験運用スタート時に検討した内容を見直します。就業規則・セキュリティについてなどのほか、社員から出た意見も参考にしながらルールを決めていきましょう。

⑧本格導入

本格導入時には改めて社員に説明します。その際は、いつから導入するかだけでなく、目的やルールなどをできるだけ具体的に伝えましょう。

会社規模にもよりますが、何回かに分けて少人数で説明会を開くと、社員も当事者として聞き入れやすく質問などもしやすいので効果的です。

試験運用時だけでなく、全社的に導入してからも社員の声を聞くことは大切です。導入したらそれで終わりではありませんので、継続的に続けていきましょう。

在宅勤務はいきなりスタートするのではなく、試験運用を経て課題や改善点などを洗い出すことが大切です

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8.在宅勤務導入時の注意点と検討したい制度

在宅勤務導入時の注意点と検討したい制度について見ていきましょう。

勤怠管理

在宅勤務は、子育てや介護、家事をこなしながら仕事ができる点がメリットである一方で、時間が自由な分、自己管理が重要です。また、通勤している社員に比べると勤怠管理が難しくなります。

たとえ自己管理のできる人が在宅勤務をしたとしても、しっかりルールを決めておかないと通勤している社員の不満が募り、士気が下がってしまう可能性も。勤務時間を明確に定めるなど、適切に時間の管理ができるよう制度を構築しましょう。

セキュリティ

インターネットの普及により手軽に情報共有ができるようになりましたが、その中、ウイルスや情報漏洩など情報に関するリスク事例も多数報告されています。

下記4つのICT環境の構築についてそれぞれの特徴を理解し、検討しましょう。

  1. リモートデスクトップ方式:オフィスのデスクトップ環境を、外で用いるパソコンやタブレット端末などで遠隔利用
  2. 仮想デスクトップ方式:オフィスサーバから提供される仮想デスクトップに、遠隔でログインして利用
  3. クラウド型アプリ方式:Web上からクラウド型アプリにアクセスし、どこからでも同じ環境で作業が可能
  4. 会社パソコンの持ち帰り方式;会社で使用しているパソコンを社外に持ち出し、主にVPN経由で業務を行う方式。十分なセキュリティ確保や、私的利用の制限などをしておく必要がある

賃金や手当

基本給、残業や通勤といった手当についても見直す必要があります。

基本給

通勤から在宅に働き方を変更したことで、仕事の内容が変わったり仕事量が減ったりする可能性も。その場合、基本給を見直すことになりますが、ここで注意が必要です。

「減額されるなら在宅にしなければよかった」などのトラブルに発展しないよう、「在宅勤務になった場合、減額の可能性がある」という旨を周知しておきましょう。

残業手当

就業規則に固定残業手当支給の規定がある場合は、在宅勤務者向けの規定を追加する必要があります。クリエイティブな職種でよく採用されているみなし残業ですが、在宅の場合は残業の線引きが曖昧なので固定残業手当を支給しないというのが合理的です。

通勤手当

就業規則にて一定期間の定期代を支給するという規定になっている場合、在宅勤務はそれに適しません。在宅勤務向けの規定を新たに設ける必要があります。

特に検討したい制度

特に検討しておきたい制度として、裁量労働制・フレックスタイム制・みなし労働時間制について見ていきましょう。

裁量労働制

裁量労働制とは、通常の業務時間は関係なく、毎月一定時間労働したものと見なす制度のこと。対象は専門業務型・企画業務型の業務に限定されています。

専門業務型裁量労働制:
新技術の開発、研究業務、情報処理システムの分析・設計・企画、システムコンサルタント、取材・編集等、衣服デザイナー、インテリアコーディネーター、ゲームソフトの創作、金融商品の開発、大学の研究職、公認会計士、弁護士など19業務に限定

企画業務型裁量労働制:本店本社以外で、事業運営の企画などを行う業務。また遂行方法を労働者に委ねる必要があるもの

フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、始業時間・終業時間が自身で決定できるという制度のこと。導入するには、フレックスタイム制について就業規則で規定しなければなりません。

ただし、すべてフリータイムではなく、ほとんどでコアタイムと呼ばれる「必ず会社にいなければならない時間」が設けられています。オフィスに行って仕事をする日、自宅で業務を進める日、それぞれで勤務時間が変わる際に有効な制度でしょう。

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みなし労働時間制

みなし労働時間制とは、実際の労働時間に関係なく、あらかじめ一定の時間働いたとみなして賃金を支給する制度のこと。

在宅勤務では上司や同僚などが近くにいないため、直接指揮監督や勤務時間の把握ができません。中抜けなどをしても明確にチェックできないので、労働時間を正しく算定することが難しくなるのです。

そのときは、事業場外みなし労働時間制を適用すると、残業時間などのカウントも不要となり、在宅勤務者の管理もしやすくなります。

在宅勤務を導入する際に、特に検討したい制度として、裁量労働制、フレックスタイム制、みなし労働時間制が挙げられます

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9.在宅勤務の事例

在宅勤務はさまざまな企業で導入されています。5社の事例から具体的に見ていきましょう。

Chatwork

Androidアプリ開発チームではリモートワークが導入されており、メンバーの所在地は横浜、東京、山口とさまざまです。

Chatworkは会社で仕事をする場合、午前10時の始業となっていますが自宅であればそんな縛りはなく、早朝から働いているという社員も多いようです。本業が早く終われば副業をする時間に宛てて自由に過ごすことができています。

月に数回しか出勤しないという社員がいるため、進捗状況の共有などが気になるところですが、それはChatworkが開発したシステムを用いて補います。朝礼はコミュニケーションを図る場としてうまく活用されているのです。

Yahoo!

Yahoo!ではフレックスタイム制はもちろんのこと、「どこでもオフィス」という制度があります。これは、働く場所は必ずしもオフィスでなくてもよいという制度で、どこでも仕事ができるというもの。場所は自宅でもお気に入りの喫茶店でも問題ありません。

場所で縛るという発想はなく、仕事がやりやすい環境で効率よく仕事を進めることに重きを置いているのです。場所や時間が自由に選べる制度を積極的に取り入れ、常に従来の発想にとらわれない考えを推し進めています。

Evernote

普段から在宅勤務やテレワークを導入しているEvernoteでは、社員のカレンダーを社内で公開し、ミーティングや外出などはもちろんのこと、出張や在宅勤務日なども共有しています。スケジュールを可視化しているため、スケジュール調整もスピーディです。

打ち合わせはWeb会議システムを利用するため、在宅勤務日に打ち合わせが入っても問題ありません。今日は会議があるからどうしても出勤しなければ、という悩みもなくなります。

みずほフィナンシャルグループ

銀行、証券、不動産などさまざまなことに取り組んでいるみずほフィナンシャルグループは、2017年4月に「リモートワーク・トライアル」を実施しました。

その原点は、最も効率的に働くことができる場所や時間帯を社員一人ひとりが自律的に選択して生産性の高さを実現したい、という思いにあります。

2018年度までに「リモートワーク・トライアル」を活用した社員は2,000人以上。在宅勤務日でも、タブレット端末を通して会議に参加できるようになっています。

あずさ監査法人

常に選ばれる存在でいたい。そのためには、個々が十分に力を発揮できる働き方制度を用意することが重要という考えの下、2015年10月に「在宅勤務導入プロジェクト」を発足させました。

ほかにも、ワークライフバランスの向上や事業継続性(BCP)の確保なども掲げ、在宅勤務制度の導入に向けて試験導入などを実施し、さまざまな検討を重ねたのです。

そして2016年8月「在宅勤務制度」が導入され、制度は、在宅勤務を希望する職員、子育て中・介護中の職員、妊婦など、今の自分に適した働き方を望んでいる層が多く利用するようになりました。

社員それぞれが、働く時間帯や場所を自由に選べて、生産性の向上も見込める在宅勤務の導入を進めている企業が多くなっています