テレプレゼンスとは?【意味を簡単に】ロボット、事例

テレプレゼンスとは、遠隔地のメンバーとその場で対面しているかのような臨場感を味わえる技術のことです。ここではテレプレゼンスとビデオ会議の違い、導入効果やその具体例などについて解説します。

1.テレプレゼンスとは?

テレプレゼンスとは、遠隔を意味する「Tele」と、存在を指す「Presence」を組み合わせた造語です。

遠隔地のメンバーと実際にその場で対面しているかのような臨場感が味わえます。「大きなビデオ会議システム」ともいわれるように、おもに高品質な音声や高解像度の映像などを駆使して会議を催すシステムを指しているのです。

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2.テレプレゼンスの特徴

テレプレゼンスの特徴を説明します。

  1. 遠隔操作による会議
  2. 高解像度の映像
  3. 臨場感の提供
  4. 視覚、音

①遠隔操作による会議

今やWeb会議システムは広く使用されています。そこで新たに誕生したのが労務管理やコミュニケーションに関する問題です。

テレプレゼンスでは、インターネットを経由して遠く離れたところからでも通信や会議に参加できます。移動型ロボットにビデオ会議アプリをインストールした端末をつければ、まるでその場に相手がいるかのようなコミュニケーションが取れるのです。

②高解像度の映像

テレプレゼンスを可能にしたのが、高解像度(解像度が高く、コンピューター画面や印刷物が精緻に見えること)の映像技術。

かつて解像度は640×480が標準でした。これがWindowsの登場以来大幅にアップ。現在では1024×468以上の解像度をハイレゾといいます。高解像度の映像技術が、相手の表情や仕草が鮮明にわかるテレプレゼンスの実現を可能にしました。

③臨場感の提供

テレプレゼンスでは高品質な映像と音声で、より現実味のある臨場感を提供しています。パソコンの画面でオンライン会議をする場合、どれだけ大きなディスプレイ画面を使っても小窓に映る相手の姿が実物と同じになることはありません。

そこで高解像度の映像を活用して巨大スクリーンに等身大サイズの相手を表示し、臨場感を高めるのです。臨場感の高さはコミュニケーションにおける情報量の増加につながります。遠く離れた場所にいる相手を身近に感じられるうえ、心理的距離も縮まります。

④視覚、音

テレプレゼンスには視覚や音にも特徴があります。たとえばデスクにスクリーンを並べてそれぞれが目線を合わせられるような機能があれば、実際に同じ会議室で話をしているかのようなコミュニケーションが実現できるでしょう。

音に関しても、単にパソコンのスピーカーから聞こえる音声は相手の肉声とは程遠い機械的な音声です。これを息遣いまで伝わるほどの高品質な音声にすれば、まるで双方が同じ空間にいるかのような臨場感が味わえます。

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3.テレプレゼンスの特徴とビデオ会議の違い

従来のビデオ会議とテレプレゼンスは何が違うのでしょうか。かんたんにいえば、テレプレゼンスはビデオ会議の進化系です。

ビデオ会議

室内に設置したモニターやカメラ越しに行う会議のこと。ビデオ会議では参加者それぞれの会場に以下の機器を用意する必要があります。

  • カメラやマイク:自分の状況や発言を相手に伝える
  • モニターやスピーカー:相手の状況や発言を確認する
  • LAN回線やISDN回線などのインターネット通信環境

ビデオ会議はある程度広さを備えた部屋と、上記の機器を用意できれば誰でも導入できます。なお会社によってはビデオ会議をテレビ会議と呼ぶでしょう。しかしどちらも同一の会議形式です。

テレプレゼンスとビデオ会議の違い

ビデオ会議の参加者は、会議室のテーブルに座って固定されたカメラの周りにいる必要がありました。よってカメラから離れていた人は相手の映像に映りません。スピーカーから流れる音声も機械的な音声で、臨場感があるとはいえない状態でした。

これらの問題をすべてクリアしたのがテレプレゼンスです。テレプレゼンスでは超高解像度の実物大映像を映し、さらに息遣いまで聞こえるような高品質な音声で、あたかも互いが同じ空間にいるかのような環境を実現しています。

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4.テレプレゼンスの導入効果

テレプレゼンスの導入には労務管理問題の解決や非常時のリスクマネジメントなどの効果が期待されています。

労務管理上の課題解決

テレワークの導入が進まない理由として挙げられるのが、「見えないところでさぼっているのではないか」「長時間労働が常態化しているのではないか」という懸念。

テレプレゼンスの導入により、この問題を解決できます。実際にその場に存在するかのような環境を作り出して、場所の制約を受けず就労の実態を把握できるのです。

コロナ禍前のコミュニケーションの再現

コロナウイルスの感染拡大によって、かつて当たり前だった「同一の場所に複数の参加者が集まる」というコミュニケーションに制限がかかりました。現代ではコミュニケーションの活性化に向け、どのような対策を講じるか、各社とも大きな課題となっています。

そこで注目されているのが、テレプレゼンスを活用した新しいコミュニケーション。決まった時間にネット上で集合するオンライン会議ではなく、モビリティ機能を実装したテレプレゼンスロボットを配置すれば、コロナ禍前に当たり前だったコミュニケーションを再現できるのです。

コスト削減

テレプレゼンスの導入にはコスト削減の効果もあります。同一会場に集合する従来の会議スタイルには、どうしても移動に費用や時間がかかるという問題がありました。

しかしテレプレゼンスでは会議開始までに機材の準備をするだけでよいため、これらのコストを削減可能です。あらかじめ作成した資料を郵送したり、大人数が入れる会場を手配したりする必要もありません。

非常時のリスクマネジメント

テレプレゼンスは災害をはじめとする非常時のリスクマネジメントとしても有効です。テレプレゼンスなら災害や渋滞、電車遅延などの理由で会場にたどり着けず会議に参加できないといった状況になりません。

また携帯電話網や公衆電話網にストップ、あるいは制限がかかってしまっても、インターネット回線が残っていれば十分にコミュニケーションを取っていけます。

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臨場感ある遠隔コミュニケーション

映像や音響のクオリティを追求して臨場感を高めることこそ、テレプレゼンスの強み。

これまでのテレビ会議のように相手の顔や発言などを一方的に流すのではなく、人間がどのように人や空間を認識しているのかという認知心理学の知見を応用したテクノロジーで、相手が実際に同じ空間にいるかのような感覚を作り出します。

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5.テレプレゼンスロボットとは?

テレプレゼンスをサポートするロボットのこと。通信機器を内蔵したテレプレゼンスロボットは、テレビ会議の装置として活躍したり、遠隔操作でコントロールしたりできます。

テレプレゼンスロボットは遠隔操作によってロボット本体を移動させたり、カメラやモニターの動きを変えたりできるのです。より人間に近い動きができるため、そこに相手の分身がいるかのような感覚でコミュニケーションを取っていけます。

テレプレゼンスロボットが秘める可能性

決まった時間に決まった場所で集合する従来のオンライン会議では、どうしても偶発的な出会いが生まれにくくなります。偶発的な出会いの場は何気ない会話を生み出し、そこからイノベーションにつながる可能性も高いです。

しかし決まったテーマについて論じるオンライン会議ではどうしてもテーマ以外の雑談がしにくいもの。必然的にイノベーションにつながる可能性も下がるでしょう。

その点、自分の代理となって動いてくれるテレプレゼンスロボットなら偶発的なコミュニケーションを実現し、イノベーションを起こすきっかけを生み出せます。

テレプレゼンスロボットの市場規模予測

2016年にシード・プランニング社が実施した調査によると、2024年のテレプレゼンスロボット市場規模の予測は473億円。これは2015年に比べて25倍強の規模です。

製品価格の廉価化が医療や家庭など、幅広い分野でのテレプレゼンスロボット活用につながると予測しています。また世界のテレプレゼンス機器市場は2027年に24億米ドルに達するという見込みもあり、テレプレゼンスロボットは今後ますます普及していくでしょう。

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6.テレプレゼンスロボットの具体例と価格比較

ここではすでに市場に出回っているテレプレゼンスロボットの具体例と、それぞれの価格について説明します。

Double 2

遠隔操作できるテレプレゼンスロボット。ショックアブソーバーのメカニズムを搭載した本モデルでは、段差やケーブルの乗り超えも可能です。

さらに人が室内で歩く速度とほぼ同じ時速2.5kmで走行できるため、より相手が隣にいるかのような臨場感が味わえます。

カメラには視野角150度の広角オプションを追加。これにより一人対複数人のコミュニケーションを可能にしています。標準付属のACアダプタでは充電中の使用はできないものの、オプションの充電ドックを使用すれば24時間いつでも利用できます。

2016年時の価格は約38万円です。

PadBot T1

162mm×131mm×36mm、重さ480gとコンパクトなサイズが魅力のテレプレゼンスロボット。iPhoneやAndroidなどのスマートフォンにアプリをダウンロードして遠隔制御するシステムです。

かばんにすっと入るコンパクトサイズのロボットは、持ち運びでの運用を想定しています。価格は約2万円です。

Ava

歩行者や障害物などを回避してあらかじめ指定した行き先に自動で到着できるテレプレゼンスロボット。ロボット掃除機でおなじみ、ルンバのスピンオフ企業が作成しました。もちろんルンバの自動運転技術が活用されています。

前身モデルは約750万円という高価格で販売されていましたが、こちらの価格は月額10万円ほど。こうした低価格モデルの登場により、テレプレゼンスロボットが大手企業だけでなく一般家庭に出回る可能性も高くなってきています。

OriHime

子育てや単身赴任、入院や身体障がいなどによる移動の制約を克服して、行きたいところに行けない人の「もうひとつのからだ」になるべく開発されたテレプレゼンスロボット。

つるりとしたインターフェースに感情を表現する豊かなモーションを乗せ、あたかもその場に本人がいるかのようなコミュニケーションを実現しています。料金は利用期間や通信機器の有無などにより異なるものの、単独動作型なら月額4万円から利用可能です。

Kubi

特徴は導入、設置が簡単に行えること。高画質なパネルや高音質なスピーカーを使用するテレプレゼンスは、どうしても導入にあたって機器を揃えるコスト、接続などの手間がかかるため敬遠されがちです。

Kubiは手持ちのタブレットがそのまま使えるため、新たに何十万円もするような専用機器を用意する必要はありません。またかんたんな操作だけで利用できるため、分厚いマニュアルを読む必要もないのです。

cisco

世界最大級のコンピューターネットワーク機器開発会社「Cisco(シスコ)」が手がけるテレプレゼンスロボット。世界的にも高品質なことで知られるソニーの音響システムを活用して、質の高いコミュニケーションを実現しています。

搭載されている「顔認識システム」では顔認識のテクノロジーを利用して参加人数をカウント。発言者や参加者を自動で認識し、適切なレイアウトに自動調整します。

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7.テレプレゼンスの導入事例

テレプレゼンスはオンライン会議をはじめ、医療や教育などさまざまな分野で活用されています。

医療分野

医療分野におけるテレプレゼンスは以前から注目されていました。コロナウイルスの感染拡大がそれに拍車をかけたといわれています。医療機関はテレプレゼンスロボットを導入して患者と接触せずに治療や診察ができます。

医療界でのテレプレゼンス活用は今後ますます増加し、市場規模は2027年に1億2,900万米ドルに達すると予測されているのです。

教育分野

島根県の養護学校ではテレプレゼンスロボットを活用して水族館見学を実行。生徒たちはシロイルカを一方的に見学するだけでなく、画面越しにサインを送ってバブルリングを出現させたのです。

ほかにも緊急入院を余儀なくされた生徒がベッドサイドから授業に参加できる取り組みや、アバターロボットを使って友達との雑談を楽しむシーンなどにもテレプレゼンスが活用されています。

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社内研修

オンライン会議だけでなく、社内研修にテレプレゼンスを活用している事例もあります。

研修の講師を遠隔化したWOWOWコミュニケーションズでは、受講者から「今までのテレビ会議研修とはまったく違う」「グループワーク中も講師がすぐ近くにいるように感じられた」などの声が挙がったそうです。

また講師からも「従来のテレビ会議では聞き取れなかったグループワーク時の議論内容まで聞き取れた」という声が挙がっています。

人材採用

テレプレゼンスを活用した面接はより深いコミュニケーションを実現させ、相互に親近感を与えます。これから一緒に仕事をするかもしれない相手からより多くの情報を得たい、よりよい印象を与えたいと思うのは人事担当者も応募者も同じでしょう。

テレプレゼンスを活用した面談なら、応募者も遠く離れたオフィスに出向く必要がありません。そのため今後は地方企業の人材確保などにも積極的な導入が期待されています。