テキストコミュニケーションとは、文字をメインとしたコミュニケーションのこと。テキストコミュニケーションが重要視される理由、メリット、デメリット、コツなどを解説します。
目次
1.テキストコミュニケーションとは?
テキストコミュニケーションとは、対面や音声を伴わない、文字をメインとしたコミュニケーションのこと。メールやチャットなど、主にオンラインでのやり取りに利用されます。
テキストコミュニケーションでは、相手の感情を読み解くのに、表情や声のトーンといった反応を頼れません。そのため特有の配慮や工夫が必要です。
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2.テキストコミュニケーション能力が重視される理由
社会の変化とともにコミュニケーションのあり方も変わり、テキストコミュニケーション能力がより重視されています。ここでは、その理由や背景を説明しましょう。
テレワークの導入拡大
テレワークの浸透とともに、メールなどのテキストコミュニケーションが重視されています。
自宅やコワーキングスペース、サテライトオフィスなどでも働けるようになり、社内外でテキストコミュニケーションを使う機会が増加。そのためテキストコミュニケーション能力は、対面でのコミュニケーション能力と同様に需要が高まっているのです。
チャット使用の増加
ビジネスにおいてもチャットの使用が一般化し、テキストコミュニケーション能力がより重視されるようになりました。
チャットでは、テンポのよいやり取りが求められます。そのためとくに短く・早く・正確に伝達するテキストコミュニケーション能力が必要とされるのです。
認識のズレや誤解の防止
記録が残る文字でのやり取りは、認識のズレや誤解の防止策としても注目されています。これによりテキストコミュニケーション能力も、より重視されるようになりました。
対面や音声でのやり取りは記録が残らないため「言った」「言わない」のトラブルにも発展しかねません。一方テキストコミュニケーションならば、誰がいつどう伝えたか、第三者にもわかる形で記録に残せます。
3.テキストコミュニケーション能力がない人の特徴
テキストコミュニケーション能力がない人には、以下のような特徴があります。
- 返信が遅くなると苛立ちやすい
- ノンバーバルコミュニケーションが得意
- ネガティブにとらえやすい
テキストコミュニケーションは、その場で返信が来るとは限りません。またボディランゲージや表情などによる情報伝達が使えないうえ、文字のみの連絡からは「冷たくされた」「怒られている」などの印象を受ける場合もあります。
そのため社員のなかにも「対面コミュニケーションは得意だが、テキストコミュニケーションは苦手」という人がいるかもしれません。
4.テキストコミュニケーションが苦手なことによる悪影響
テキストコミュニケーションが苦手な社員は、チャットやメールの使用についていけず、仕事に支障を来たす恐れがあります。
働き方改革や感染症の流行といった社会情勢を受け、多くの企業はテレワークの導入を進めきました。それにともないチャットやメールなどの使用機会が増え、テキストコミュニケーションの重要性も増しています。
テキストコミュニケーションの苦手な社員が多いと、テレワークの導入を進めたくても進められないかもしれません。またこのような社員がテキストコミュニケーションを利用する際は、認識のズレや連絡漏れなどのトラブルが懸念されます。
5.テキストコミュニケーションのメリット
テキストコミュニケーションのメリットとして、下記の3つが挙げられます。それぞれについて解説しましょう。
- 情報の明文化
- 時間や都合の心配が不要
- 複数人に一斉送信が可能
①情報の明文化
テキストコミュニケーションでは情報を明文化できるため、内容の理解や共有がしやすくなります。
メールやチャットには誰がいつどのような内容を発信したかが自動的に記録されるため、双方が指示や連絡などを正確に把握できるのです。
記録を残せるため、誤解やトラブルの予防にも役立ちます。対面や音声でのやり取りで起きやすい「言った」「言わない」のトラブルを防げるでしょう。
②時間や都合の心配が不要
テキストコミュニケーションには、時間や場所などの配慮が必要ありません。受信者は自分の都合のよいタイミングで、確認や返信を行えるからです。
対面や電話でのやり取りのように、双方の時間や場所などを合わせる必要がありません。
③複数人に一斉送信が可能
テキストコミュニケーションならば、複数人に対して一斉に同じ内容が伝えられます。
対面や音声でのやり取りでは、多数の人に対してまったく同じ内容をしかも1回で伝達するのは難しいでしょう。テキストコミュニケーションでは複数人に対して一斉送信ができますし、送るときに内容が変わってしまう心配もありません。
6.テキストコミュニケーションのデメリット
場合によっては、テキストコミュニケーションがトラブルにつながる恐れもあります。ここでは、テキストコミュニケーションのデメリットを説明しましょう。
- 非言語的コミュニケーションが困難
- 緊急時には不相応
①非言語的コミュニケーションが困難
非言語的コミュニケーションとは、表情・視線・姿勢・声のトーン・話すスピード・服装など、言葉に頼らないコミュニケーション要素のこと。
テキストコミュニケーションでは、かえってコミュニケーションを取りにくい場合も。なぜなら、非言語的コミュニケーションによる情報収集が行えないからです。
対面や音声では非言語的コミュニケーションを活用できますが、テキストコミュニケーションでは使えません。お互いの雰囲気や感情などを察するのが難しくなり、誤解や不満、理解不足などを招く恐れもあるのです。
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②緊急時には不相応
テキストコミュニケーションには即時性がないため、緊急時の対応として相応しくありません。受信者の都合で確認できるため、リアルタイムで返信が来ないこともあるからです。緊急時には電話や対面など直接連絡できる手段の方が適しているでしょう。
7.テキストコミュニケーションのコツ
テキストコミュニケーションでは微妙なニュアンスを伝えにくいため、正確な情報伝達が難しい場合もあります。ここでは、テキストコミュニケーションのコツを説明します。
- はじめに結論や目的を明記
- 主語と述語に注意
- 即リアクションを意識
- 5W1Hを活用
- 簡潔で的確な内容
①はじめに結論や目的を明記
テキストコミュニケーションを取るときは、なるべく早めにかつ明確に結論や目的を記載しましょう。
過程や理由が長々と続く文章は必要な情報を整理しにくく、読み手に疲れやストレスを与えやすいからです。早めかつ明確に結論や目的を記載しておけば、書き手の主張が伝わりやすくなり、読み手も短時間で理解できるようになります。
②主語と述語に注意
テキストコミュニケーションを取るときは、対面や音声でのやり取り以上に、主語と述語を明確にしましょう。
テキストコミュニケーションでは、対面でのやり取りのようにその場で確認や補足を行えません。そのため主語と述語を正しく記載した文章を送付し直すといった手間がかかります。
送信前には「誰が主体で」「何をするか」などが書かれているか、チェックしましょう。
③即リアクションを意識
テキストコミュニケーションではその場でリアクションすることを心がけると、相手に好印象を与えられます。
テキストコミュニケーションツールには、既読確認機能がないものも少なくありません。相手を不安にさせないためにも、確認したらその旨をすぐに返信しましょう。
即時の回答や対応が難しい場合は「◯日までに回答(対応)します」など、目安を提示すると好印象を与えられます。
④5W1Hを活用
5W1Hとは、以下6つの要素のこと。5W1Hを意識すれば、より明確で効率的なテキストコミュニケーションを行えます。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(だれが)
- What(なにを)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
これらを意識すれば、事実にもとづいた正確な情報を簡潔に伝えられます。
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⑤簡潔で的確な内容
簡潔で的確なテキストコミュニケーションができると、書き手は作成の手間を、読み手は内容把握や確認の手間を省けます。
箇条書きや括弧、引用機能などを活用して、内容を簡潔かつ的確にまとめましょう。文章があまりにも長くなる場合は、必要に応じて対面や音声のやり取りを併用する、あるいは対面や音声へ完全に切り替える方法もあります。
8.テキストコミュニケーションで冷たいと思われないための工夫
簡潔で的確なテキストコミュニケーションを意識すると、感情の要素が少なくなり、意図せず冷たい印象を与えかねません。ここでは、テキストコミュニケーションで冷たいと思われないための工夫を説明します。
- 絵文字の利用
- 柔らかい言い回し
- 「かも」の語尾
- 具体的な感謝
①絵文字の利用
キャラクターやアイコンの絵文字を混ぜると、文章だけでは伝えられない喜怒哀楽を補強できます。
ただし目上の相手ややり取りを始めたばかりの相手に対して、安易な絵文字の利用は避けましょう。相手によっては不謹慎や失礼といった印象を与えかねません。まずはやり取りに慣れた同僚や部下に対して使ってみることをオススメします。
②柔らかい言い回し
語尾や言い回しを工夫すれば、冷たい印象を与える恐れを減らせます。
たとえばミスを指摘する場合「〇〇が間違っています」とだけ書くと、必要以上に突き放した印象を与えかねません。あえて婉曲に「〇〇が間違っているかと思うのですが、もう一度確認していただけますか?」などと表現すれば、相手にも気遣いが伝わります。
そのほか「念のため」「確認ですが」などとワンクッション入れたり、語尾の「!」でやる気をアピールしたりするのもオススメです。
③「かも」の語尾
ミスを指摘する場合、語尾に「かも」をつけると、柔らかい印象を与えられます。
たとえば数値の間違いを指摘するとき「数値が間違っている」と言い切らず、あえて「数値が間違っているかも」と曖昧にしてみましょう。
突き放した印象を避けられるだけでなく、こちらの気遣いが伝わる可能性もあります。相手も端的に言い切られるより、指摘内容を受け入れやすくなるでしょう。
④具体的な感謝
お礼に対して具体的な内容を添えると、社交辞令に留まらない、心からの感謝の気持ちが伝えられます。
お礼はビジネスでもよく使われるものの、ただ「ありがとう」と書くだけでは単なる社交辞令ともとらえられかねません。何に対してのお礼なのかを具体的に添えると、感謝の気持ちがより的確に伝えられます。
たとえば、単に「ありがとうございます」とだけ書くのではなく、「〇〇さんが〜というアドバイスをくださったので、上手く商談をまとめられました」と添えるものです。
9.テキストコミュニケーションの注意点
円滑なテキストコミュニケーションのため、ほかにも気をつけたい点があります。ここでは、テキストコミュニケーションの注意点を4つ説明しましょう。
- 緊急時の連絡
- 不明瞭な表現
- 言葉の認識
- 指摘時の配慮
①緊急時の連絡
テキストコミュニケーションは、相手がその場で確認するとは限りません。よって緊急時の連絡には向いていないのです。
トラブルといった迅速な対応を要する場面では、対面や音声でのやり取りを優先しましょう。また深い議論が必要な場面も、相手の反応が即時に返ってくるコミュニケーション手段がおすすめです。
②不明瞭な表現
不明瞭なテキストコミュニケーションは、受信者に疲れやストレスを与えます。
テキストコミュニケーションを取るときは簡潔で的確な表現になるよう、一文一義(ひとつの文章にひとつの意味)を心がけましょう。不必要につながれた長い文章は、伝えたい内容がわかりにくくなるからです。
また「かもしれない」といった曖昧な表現も避けるべきです。ただし柔らかい印象を与えるための婉曲的な表現は、そのかぎりではありません。
③言葉の認識
社員間で言葉の認識が異なると、誤解やミスが生じやすくなります。関係者だけが使う隠語や業界用語、社内でよく使われる言葉などには、外部とは異なる意味合いが含まれている場合もあるからです。
社内特有の言葉やよく使われる言葉は、誤解を生まないよう認識を統一しておきましょう。たとえば言葉の定義をマニュアル化して、あらかじめ共有しておく方法があります。とくに新入社員、異動したての社員がいるときは、充分な配慮が必要でしょう。
④指摘時の配慮
特別な配慮をせずにテキストコミュニケーションでの指摘を重ねると、相手を必要以上に萎縮させてしまうかもしれません。
指摘時は冷たい印象や突き放した印象を与えないよう、肯定的な表現や柔らかい表現を心がけましょう。たとえば「マナー違反はやめてください」と書くより、「マナーを心がけてください」と書きます。