産業カウンセラーとは? 仕事内容、導入方法、資格の取得方法

産業カウンセラーとは、職場のカウンセラーのこと。仕事内容や導入のメリット、導入方法や資格の取得方法などについて詳しく解説します。

1.産業カウンセラーとは?

産業カウンセラーとは、職場でカウンセリングを行うカウンセラーのこと。民間企業や学校などの公的機関、医療機関などで働く人たちが抱える悩みや問題に、心理学的手法を用いてサポートするのです。

働き方改革や社会の変動により多様な働き方が導入される近年、産業カウンセラーは労働者や会社全体の健全化を図るキャリアナビゲーターとして活躍しています。一般社団法人日本産業カウンセラー協会が主催・認定している民間の資格です。

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2.産業カウンセラーの役割

産業カウンセラーの役割は、時代により変化してきました。高度成長期の初期は若者の援助者として、高度成長期の最頂期にはメンタルヘルスの推進者として活躍してきたのです。

現在では企業内のキャリア開発支援者として、リストラにて苦しむ多くの人たちの良き理解者・援助者といった役割を果たしています。

職場でストレスを感じている労働者の割合

平成30年度の厚生労働省による労働安全衛生調査の結果、仕事や職業生活に関わる場面にて、強いストレスを感じる事柄がある労働者の割合は58.0%と発表されました。おもな結果は、下記のとおりです。

  • 「仕事の質・量」59.4%
  • 「仕事の失敗、責任の発生等」34.0%
  • 「対人関係」31.3%

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3.産業カウンセラーの仕事内容

産業カウンセラーの仕事内容は、メンタルヘルスの問題の解決やキャリア開発など多岐にわたります。詳しく解説しましょう。

  1. メンタルヘルス対策
  2. キャリア開発の支援
  3. 人間関係の問題への対応
  4. 職場環境の改善

①メンタルヘルス対策

メンタルヘルスの問題に対してアドバイスをします。職場の人間関係、仕事の量・質・適性、会社の将来性など働く人が職場で抱える不安や悩み、ストレスなどに対策するのです。

②キャリア開発の支援

進路や職業の選択、キャリアビジョンなどについて悩む相談者をサポートします。「思い描く将来設計を叶えるためにやること」「必要な能力を身につけるための行動」など、各個人にとっての最適な道に導いていくのです。

③人間関係の問題への対応

人間関係の問題について相談者から話を聞き、アドバイスするのです。職場の問題で最も多い相談は人間関係の悩みという調査結果があります。世代別では特に40代・50代が多く、本人からの相談だけでなく家族や同僚からの相談も多いのです。

④職場環境の改善

職場内でのいじめやパワハラ、セクハラで悩む人の相談、対策を兼ねた新たな組織づくりや職場環境の改善策などを提案します。働きやすい職場を作るため、コミュニケーション能力の改善もサポートするのです。

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4.産業カウンセラーを導入するメリット

産業カウンセラーは公的な機関から民間企業や医療機関まで、さまざまな場で導入されています。そのメリットを説明しましょう。

  1. 離職防止につながる
  2. メンタルのトラブルに素早く対応できる
  3. 組織の体制強化につながる
  4. 企業のイメージアップになる

①離職防止につながる

メンタルヘルス不調によって休業したり退職したりする労働者を出さないよう、支援します。「心の問題で休業している労働者が職場復帰できるようなプログラム策定」「関連規定の整備」など適切な対策を行って離職を防止するのです。

②メンタルのトラブルに素早く対応できる

顔見知りの産業カウンセラーに対応をゆだねると、早期発見と早急な解決につながりやすくなります。なぜならモチベーションの低下や心身の変調、些細なミスなどストレスにより現れるメンタルトラブルをすぐに察知し、対処できるからです。

③組織の体制強化につながる

職場全体のメンタルヘルス対策は、生産性向上につながります。「産業カウンセラーによる生産性向上を目的としたメンタル強化研修」といったメンタル経営支援プログラムを取り入れている企業も、増えているほどです。

④企業のイメージアップになる

メンタルヘルスに取り組んでいる姿勢は、社会でのイメージアップにつながるでしょう。労働者のメンタルヘルス不調が発生して離職者が増えれば、それだけで企業の信頼は低下してしまうからです。労働者の健康管理も企業の大きな役割といえます。

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5.産業カウンセラーを導入する方法

産業カウンセラーを導入するにはどうしたらよいのでしょう。その方法を説明します。

  1. 相談室を設置する
  2. コンサルティングをしてもらう
  3. 人材を派遣してもらう
  4. 人材を育成する

①相談室を設置する

社内に、健康に関する相談窓口を設置している企業があります。ここでは外部の看護師や臨床心理士、保健師に依頼して、メール相談やウェブ予約で対面相談ができるのです。月1回、社外カウンセラーによる相談会を実施している企業もあります。

②コンサルティングをしてもらう

メンタルヘルスケア体制の構築や必要対策方法、効果促進に向けたプランや個別事例への対応法などをコンサルティングしてもらえます。ベテランの産業カウンセラーに、電話やオンラインで相談に乗ってもらえるのです。

③人材を派遣してもらう

EAPサービス(労働者支援プログラム)を展開する企業から、カウンセラーを派遣してもらいます。企業理念や風土、求める人物像に合ったカウンセラーが見つけやすくコストダウンも期待できるでしょう。

④人材を育成する

社内で労働者に研修を受けてもらい産業カウンセラーとして育成します。受講希望者を対象に医師や看護師、臨床心理士やカウンセラーなどが講義や演習、グループワークなどを行います。

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6.産業カウンセラーになる方法

産業カウンセラーは一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定した民間資格です。資格取得の方法を紹介しましょう。

資格の取得方法

産業カウンセラー資格を取得するには、受験資格をクリアしたうえで試験に合格する必要があります。合格して資格を取得したあと、日本産業カウンセラー協会の会員に登録すると、資格登録会員として活動できるのです。

受験資格

産業カウンセラー試験の受験資格は2つあり、いずれかの条件を満たす必要があります。詳しく説明しましょう。

産業カウンセラー養成講座を修了

日本産業カウンセラー協会が主催する産業カウンセリングの学識と技能取得に必要な養成講座を修了すると、産業カウンセラーの受験資格を得られます。受講する条件は成人していること。傾聴の態度と技法、支援活動に必要な知識が学べます。

大学院で心理学関連の所定の専攻を修了

大学院研究科で心理学または心理学隣接諸科学・人間科学・人間関係学、いずれかの名称を有する専攻修了者で、所定科目単位を取得していると受験資格が得られます。条件を満たした修士以上の学位を持つ人が受験する場合、申請が必要です。

試験内容

  • 学科試験:5分野から出題される
  • 実技試験:受験者同士でのロールプレイングや試験官との口述試験が行われる

そして下記のような能力がとわれるのです。

  • 基本的態度
  • 適切な技法
  • 自己理解的側面
  • 社会的貢献

試験の合格率

例年の合格率は60~70%ほど。日本産業カウンセラー協会が発表した2019年度の合格率は、学科試験が69.4%・実技試験が66.5%・総合合格率は62.3%でした。決してかんたんな試験ではないとわかります。

産業カウンセラーを目指すうえでの注意点

産業カウンセラーを目指すうえでの注意点とは何でしょうか。それぞれについて解説します。

  1. 専門業務につけない
  2. 資格の更新に費用がかかる

①専門業務につけない

産業カウンセラーは単なる民間資格にすぎません。ほかに看護師や臨床心理士などの国家資格を持っていなければ、応募できる専門職の求人はほとんどないでしょう。

②資格の更新に費用がかかる

日本産業カウンセラー協会員の登録有効期間は、原則5年間。更新料は1回3,000円で、ほかに年会費1万円が必要です。また登録有効期間中、全国主要都市で開催される1日6時間の資格登録更新研修を受講する必要もあります。