ワークフローとは、業務をすすめるための流れのことです。ここでは、ワークフローシステムについても解説します。
1.ワークフローとは?
ワークフローとは、業務を進めるための一連の流れのことです。業務を遂行する際、「誰がどれにどうかかわるのか」「その業務をどう遂行していくのか」などをワークフローとして定義しておくと、スムーズに仕事を進められます。
そのためあらかじめ、業務に関するワークフローを決めておくケースがあるのです。
ワークフローの起源
ワークフローの起源は1880年代後半にさかのぼりますが、実際にワークフローという言葉が誕生したのは1921年発行の「鉄道工学ジャーナル」の中だといわれています。
そんなワークフローの生みの親は、下記の2人です。
- 科学的管理法の提唱者、フレデリック・ウィンズロー・テイラー
- 機械技術者で経営コンサルタントのヘンリー・ガント
オフィスの高度化・近代化とともに、2人が提唱したワークフローは企業の中へ急速に浸透し、拡大していきました。
ワークフローの使い方
ワークフローの使用方法は、企業によって異なります。備品の注文に関するワークフローを例に見てみましょう。
- 担当者が必要な備品を確認
- 担当者が備品購入について稟議書を作成し、上長へ申請
- 決裁権をもつ上長が稟議書を承認
- 財務担当部が稟議書を検討、承認
- 承認された稟議書をもとに総務部が必要備品を発注
ワークフローの実施によって得られるメリット3つ
ワークフローの実施によって得られるメリット3つについて、解説します。
- 仕事のミス防止になる
- 進捗が目に見えて分かる
- 作業の効率化
①仕事のミス防止になる
ワークフローを作成すると、「いつ誰が何にどう取り組むか」という業務の流れが明確になるため、責任の所在や業務の手順がはっきりします。それによって「円滑な業務遂行」「仕事のミスを未然に防止」といった流れが作られるのです。
②進捗が目に見えて分かる
ワークフローを作成すると、「作業工程」「実行者」「責任者」が明白になるため、「業務の進捗状況」「工程の問題発生状況」「責任の所在」などの把握が容易になるのです。
進捗の可視化によって、トラブルが発生した際も迅速に原因究明できるでしょう。
③作業の効率化
ワークフローを作成すると、作業の内容や時間、手順などが次々と可視化されます。作業の可視化をきっかけに「作業内容の簡素化」「作業時間の短縮」「作業手順の簡略化」などを進められれば、作業全体を効率化できるでしょう。
ワークフローと間違えやすい言葉:フローチャート
ワークフローと間違えやすい言葉に、フローチャートがあります。フローチャートとは、プロセス・システム・コンピューターアルゴリズムを示す図のこと。
さまざまな要素が混在し、複雑化したプロセスの記録や計画などを、分かりやすい方法で実現させるためのツールです。フローチャートを作成する際は、以下のような方法によってフローを作成します。
- 四角や丸、ひし形など多様な図形を用いる
- 手順を定義する
- 図形同士を矢印で結ぶ
2.ワークフローシステムとは?
ワークフローシステムとは、経費精算や稟議書の申請といった所定のワークフローを電⼦化して⾏えるようにしたシステムのこと。稟議システムや電子決済システムとも呼ばれ、ワークフローの経路設定のほか、申請 ・承認・ステータス管理を電子化できます。
ワークフローシステムでは、従来、アナログで対応してきたことが電子化できます。「回覧ルートや閲覧権限の設定」「稟議書の保管」などが簡素化できるので、大胆な業務効率改善が実現できるでしょう。
もちろん紙やエクセルは使用しません。システムの申請フォーマットに入力し、上長はシステム上で承認します。ステータスもシステム上で把握できるのです。
ワークフローシステムとは? 種類や機能、導入メリットを簡単に
近年、多くの企業で導入されているワークフローシステム。ここではその種類や特徴、システム導入のメリットとデメリット、導入の手順や注意点などを解説します。
1.ワークフローシステムとは?
ワークフローシ...
3.ワークフローシステムの概要4点
ワークフローシステムの概要を正しく理解しておくと、ワークフローシステムを活用しやすくなります。ここでは、ワークフローシステムの概要について、下記4点からポイントを解説しましょう。
- 申請書作成
- 過去に申請した文書の検索・表示
- 申請者・承認者を決める
- メールやチャットでのお知らせ
①申請書作成
ワークフローシステムを利用すれば、新たに作成・申請しなければならない申請書・稟議書をかんたんに作成できます。
従来、「エクセルや紙で作成」といった方法で行われていた申請書を電子化できれば、作成者の手間だけでなくコストカットも実現するのです。また申請書をサーバー上だけで管理できるため、情報漏えいのリスクも軽減します。
②過去に申請した文書の検索・表示
ワークフローシステムを利用すれば、「新たな申請書類の作成」「過去に申請した申請書類データのストック」両方をかんたんに行えます。過去の稟議書が必要な場合でも、ストックデータから簡単に検索・表示・閲覧できるのです。
③申請者・承認者を決める
申請書には、書類ごとに申請者・承認者がいます。ワークフローシステムを利用すれば、両者を細かく設定して効率化を進められるのです。これにより、「承認の迅速化」「書類紛失など人的ミスの軽減」が実現するでしょう。
④メールやチャットでのお知らせ
従来、自分の作成した申請書の回覧状況を把握するには、上司に聞いて回るしかありませんでした。ワークフローシステムを利用すれば、「申請の承認レベル・差し戻し・却下」といった状況がメールやチャットで通知されるため、楽に進捗確認できます。
4.ワークフローシステムの導入手順7つ
ワークフローシステムの導入を検討する合、事前にシステム導入の手順を確認しておくと便利です。ここでは、ワークフローシステムの導入手順を下記7つのステップから解説します。
- 会社の現状把握
- 現状調査したうえで分析する
- 無駄を省き、改善策を検討
- 導入の検討
- 試験的に導入
- 範囲の拡大
- 社内全体で導入
①会社の現状把握
会社の現状把握とは、申請書がどのように申請・承認されているのかを把握すること。これにより、「どのような申請業務があるか」「どう申請・承認が行われているか」「申請後の書類はどのように管理されているか」が明らかになります。
明らかになった情報を使えば、ワークフローシステムを構築していけるでしょう。
②現状調査したうえで分析する
現状調査したうえでの分析とは、把握した現状をポイントごとに細かく分析すること。例として、以下のような分析が挙げられます。
- 計画したフローと乖離した工程で進んでいるフローがあるか
- 申請から承認、決済までどのくらいの時間がかかっているか
- 申請件数の多い申請にはどのようなものがあるのか
分析結果をもとにワークフローをシステム化していくため、数値なども活用してなるべく具体的・客観的に分析を進めます。
③無駄を省き、改善策を検討
ワークフローをシステム化する際、「無駄な工程を省く」「改善策を練る」ことも必要です。現在のワークフロー内で取捨選択する対象や範囲を明確にすれば、下記ができるようになります。
- システムを活用しながら、実施すべき必要のある申請を厳選
- 不要な申請工程を省いて、工程そのものをスリム化
- 現状にとらわれない新しいワークフローの提案
④導入の検討
導入の検討とは、どのようなワークフローシステムを導入するか検討すること。ワークフローシステムには、さまざまな機能があります。そこで各機能について下記のような事柄をひとつひとつチェックし、自社に最適なワークフローシステムを絞り込むのです。
- ワークフローシステムで実現できること
- ほかのシステムと連携ができるか
- 業務が拡充された場合のメンテナンス性
- セキュリティー対策
⑤試験的に導入
試験的な導入とは、ワークフローシステムを仮採用し、お試しで使用してみること。試験的に導入すると、システムの使いやすさや自社にもたらす効果などを確認・検討できます。
⑥範囲の拡大
範囲の拡大とは、試験的に導入したシステムの利用範囲を徐々に拡大していくこと。試験的な導入により、システムの使い勝手が分かります。
自社に適したシステムだと判断できたら、試験導入した範囲よりさらに拡大してシステムを運用しましょう。しかしシステムの拡大で新たな問題点が生じるケースも。範囲を広げる際は、慎重に進めましょう。
⑦社内全体で導入
社内全体での導入とは、試験的な導入から範囲を拡大していったものを会社全体で利用していくこと。その際、全社で使用していた既存システムとの連携を進めると、より効率的・効果的にワークフローシステムを運用できます。
以下のようなほかシステムとの連動性についても、各部門と密に連携を図りながら、システム化を進めましょう。
- ポータル画面から直接起票できるようにする
- データを自動転記する
- 決裁データを別システムに引き継ぐ
5.ワークフローシステムのメリット
ワークフローシステムが持つ6つのメリットについて、解説しましょう。
- 業務の流れを明確化
- 意思決定の効率化
- ペーパーレスによる経費削減
- 社内ルールの強化
- 業務を効率よく改善できる
- 場所や時間に縛られない労働スタイル
①業務の流れを明確化
ワークフローをシステム化できれば、申請書の「申請」「承認」「決裁業務」といったプロセスにおける「人物」「組織の範囲」「情報」「流れ」などが可視化できます。責任の所在や進捗なども把握しやすくなるため、業務の流れがより明確になるでしょう。
②意思決定の効率化
クラウド型のワークフローシステムであれば、いつでもどこでもシステムにアクセスできます。従来、帰社後に承認していた稟議書も外出先から承認できるなど、書類作成から「申請」「承認」「決裁」までの流れを効率化できるのです。
③ペーパーレスによる経費削減
従来、申請書を作成した後、申請書を印刷・コピー・FAXするといったさまざまな工程がありました。ワークフローシステムはそれらをシステム化できるため、「紙の代金」「印刷代金」「FAX通信費や郵送費」などをかけずに済み、経費削減を実現できるのです。
④社内ルールの強化
申請書の申請業務を電子化できれば、申請フォームや承認ルートがシステム上で一元管理できます。管理を一元化すれば、社内ルールとして申請に関する情報が必要な人材に、瞬時に情報を正しく伝えられるでしょう。
⑤業務を効率よく改善できる
これまで「類似する申請書を作成」「ほかシステムからデータを引用して申請書を作成」といったケースが多く見られました。
ワークフローシステムを利用すれば、「過去データの利用」「ほかシステムとのデータ連携」ができるため、無駄な入力の手間が減り業務を効率化できます。
⑥場所や時間に縛られない労働スタイル
クラウド型のワークフローシステムを導入すれば、申請書の作成や承認をするためわざわざ会社に出向くことはありません。いつでもどこでもシステムにアクセスできるため、申請・承認業務に振り回されず自分の仕事に集中できるのです。