ワークフローアプリとは、業務の流れを管理できるアプリケーションです。ここでは、ワークフローアプリについて解説します。
目次
1.ワークフローアプリとは?
ワークフローアプリとは、電子的手段を用いた業務の流れを定義し、流れに沿って業務を進め、進捗状況をモニタリングするアプリケーションのこと。従来、紙ベースで書類を管理していました。そこでワークフローアプリを用いると、業務の電子化や効率化を進められます。
ワークフローとは?
ワークフローとは、業務に関する一連のやりとりや流れ、手順のこと。ワークフローは組織におけるさまざまな業務に存在し、「誰が」「いつ」「どのように」「どうやって」「いつまでに」といった要素を含みながら決定されます。
ワークフローの例
ワークフローについて、備品購入を例に解説すると下記のようになります。
- 申請者が備品購入の申請書を記入する
- 上司が申請書の内容を確認した後、承認印を押す
- 管理部門責任者が申請書の内容を確認し、決済印を押す
- 総務担当者が申請書の内容に沿って備品を発注する
業務ワークフローとの違い
業務ワークフローとは、業務に関する一連の流れのこと。業務ワークフローとワークフロー、ともに業務を構成する手続きや工程などを図式化したものです。よって業務ワークフローとワークフローは同異義語ととらえられます。
業務を可視化すれば、ミスが少なく広い視野で業務を進められるでしょう。
2.ワークフローアプリが注目される背景
ワークフローアプリが注目される背景について、見ていきましょう。
- テレワークの推進
- 高まるワークフローアプリの導入率
①テレワークの推進
テレワーク下にて、承認印をもらうのは困難です。しかし承認印をもらうために出社するのは、効率や感染リスクから考えてもマイナスでしょう。そこで遠隔でも業務をスムーズに進められるワークフローアプリに注目が集まりました。
②高まるワークフローアプリの導入率
ワークフロー総研が行った、社員数100名以上の東京都内の企業に勤める会社員321名を対象にしたアンケートによると、下記のような結果になったそうです。
- テレワークを実施している会社の、ワークフローシステム導入率は73.2%
- 「ワークフローの導入は、テレワークの推進に必要」と考える会社員は91.7%
3.ワークフローアプリを導入するメリット
ここでは、ワークフローアプリ導入のメリットについて解説します。
- 内部統制の強化
- 業務の効率化
- コスト削減
- ケアレスミスの防止
- リモートワークに対応
①内部統制の強化
ワークフローアプリには、業務の流れを可視化するため、不確定要素を排除できます。活用すれば、許可なく勝手に物品購入したり、発注や契約が曖昧なまま実行されたりといったトラブルを未然に防ぎます。それにより内部統制の強化が図れるでしょう。
②業務の効率化
ワークフローアプリでは、稟議書や申請書などの作成・申請などがかんたんにできます。決裁権限違反や文書改ざんなどを防ぎながら、書類作成や申請にかかる事務の手間を省いて、業務効率を向上できるのです。
③コスト削減
ワークフローアプリを活用すれば、決められた業務フローを実施しながら、端末ですべての作業を完結させられます。それにより労働時間の短縮や人件費の削減、ペーパーレス化によるコスト削減などが進むでしょう。
④ケアレスミスの防止
ケアレスミスは人間が作業を行う限り、さまざまな場面で発生しうるリスクです。ワークフローアプリを活用すれば、ヒューマンエラーを回避できます。従来、ヒューマンエラーによって差し戻されて発生した作業も必要なくなるのです。
ヒューマンエラーとは?【原因と対策を簡単に】具体例、種類
ヒューマンエラーとは、人為的な事故や不注意です。ここでは、ヒューマンエラーの「意味」「種類」「原因」「事例」「対策」について解説します。
1.ヒューマンエラーとは?
ヒューマンエラーとは、人為的に生...
⑤リモートワークに対応
テレワークやリモートワークでは、オンライン上での業務対応が求められます。ワークフローアプリを導入すれば、さまざまなデバイスを使い、在宅でも業務を滞りなく進められるのです。今後はさらにワークフローアプリの重要性が増すでしょう。
4.ワークフローアプリを導入するデメリット
ここでは、ワークフローアプリ導入のデメリットについて解説します。
- 導入コストの問題
- 外部サービスとの連携が難しい
- 業務フローに合わない場合がある
①導入コストの問題
一般的なクラウド型ワークフローアプリの料金目安は、1ユーザー当たり300〜500円。さらに、申請フォーマット作成料や承認ルート設定料など、初期費用が必要になります。事前の導入コストにいくらかかるか、確認が必要でしょう。
②外部サービスとの連携が難しい
すでに社内で別のシステムを導入している場合、新たに導入するワークフローアプリと連携するか、課題になります。既存システムやCSVファイル出力との連携など、外部サービスとの間のシステム障壁を確認しましょう。
③業務フローに合わない場合がある
アプリを設定する際、カスタマイズした業務フローをシステムに落とし込みます。しかし、「落とし込んだ業務フローが現状にマッチしない」「途中で業務フローが変わりアプリとの整合性が保たれなくなった」場合、ほかシステムの混乱を招きます。
5.ワークフローアプリの種類
ワークフローアプリは、2つにわかれます。
- クラウド型
- オンプレミス型
①クラウド型
クラウドベンダーが提供するワークフローアプリをネットワーク経由で利用します。特徴は、下記のとおりです。
- サーバーの用意が不要で初期費用を抑制できる
- 運用やメンテナンスにかかる手間やコストを削減できる
- カスタマイズやほかソフトとの連携が自在にできないケースもある
②オンプレミス型
サーバーといったITリソースを自社内で用意し、ワークフローアプリを自社で管理、運用するもの。特徴は、下記のとおりです。
- サーバー設置などの初期費用やメンテナンスに手間とコストがかかる
- セキュリティ対策も自社で行う必要がある
- アプリを自由にカスタマイズできる
- ほかシステムとの連携もスムーズ
6.ワークフローアプリの機能
ワークフローアプリには、さまざまな機能があります。ここでは、ワークフローアプリの便利な機能を5点あげて解説します。
- 申請書の作成
- 申請書の承認と決裁
- 申請書の管理や設定
- 集計
- システム連携
①申請書の作成
テンプレートを使った申請書やExcelを使ったフォーマットなどの書類を柔軟に作成できます。また添付ファイルや補足コメント、代理申請書の起票機能など、さまざまな機能を追加できるワークフローアプリもあるのです。
②申請書の承認と決裁
申請者が申請すると、承認者にメールやチャットで通知します。そして承認者は決済もしくは却下を選択するのです。
ワークフローアプリには差し戻しや合議、根回し機能などが充実しているため、承認と決済を可視化してスムーズに進められます。
③申請書の管理や設定
あらかじめユーザー情報を登録すると、承認ルートやステップを設定できます。また金額や案件による条件分岐を設定して承認ルートを柔軟に変更するのも可能です。もちろん承認記録のデータ管理も、かんたんにできます。
④集計
ワークフローアプリでは業務区分ごとに、集計項目や方法を設定できます。集計方法も下記のようなさまざまな方法を活用できるのです。
- 集計対象項目の一覧がわかる一覧表示
- 行集計グループごとに列項目を集計するサマリ集計
- 行項目と列項目をかけ合わせて集計するクロス集計
⑤システム連携
システム連携には、「ほかシステムからワークフローアプリへ」「ワークフローアプリからほかシステムへ」といった流れがあります。
アプリによっては、ほかシステムへ連携できなかったり、ほかシステムへの混乱を生んでしまったりする場合もあります。事前に確認しておきましょう。
7.ワークフローアプリを導入する手順
ここでは、ワークフローアプリを導入する際の手順について解説します。
- 現状の確認と分析
- 目標の設定
- ワークフローアプリの選定
- 試験的な導入と教育
- 本格導入
①現状の確認と分析
現状の確認は、稟議規程や組織図の確認、聞き取り調査などを集めて行います。また確認した現状の分析では、規定と現状の乖離や申請書・稟議書の数、申請書や稟議書が提出されてから承認されるまでの期間や人的コストなどを分析するのです。
②目標の設定
まず導入の目的や実現したいことなどを定めます。アプリ側も検討ポイントを設定しているため、事前に確認しておきましょう。決定したこととポイントを参考にしながら、できる限り定量的な目標値を設定していきます。
③ワークフローアプリの選定
「操作のしやすさ」「端末への対応」「セキュリティ」「柔軟な設定」「料金」といったポイントについて検討します。コストを下げつつ業務効率が向上する、自社に最適なアプリを賢く選択しましょう。
④試験的な導入と教育
アプリを本格始動させる前に社員に対して操作方法を指導します。その際、マニュアルがあればスムーズに理解が進むでしょう。本格始動後に改善点が出てくる可能性を考え、トライアル期間を設けて操作性や利便性などをチェックします。
⑤本格導入
試験的な導入時に改善点が出たら、アプリの設定を修正します。そして最終チェックを経て、ワークフローアプリを本格始動するのです。
本格始動してもすぐ社内に浸透しないかもしれません。半年くらいはアプリと並行して、決済後の申請書類を紙で保管しておくと安心でしょう。
8.ワークフローアプリ導入時のポイント
最後にワークフローアプリ導入時、おさえておきたい4つのポイントについて解説します。
- 必要機能の搭載
- 操作性
- 外部システム連携
- セキュリティ
①必要機能の搭載
ワークフローアプリを選ぶ際、「機能が多ければ多いほどいい」「コストにこだわって選択」といった基準を用いるのは危険です。導入後に後悔しないためにも無料トライアルを利用して機能の様子を見ながら選びましょう。
②操作性
ワークフローアプリは多くの社員が利用しますし、一度導入すれば中長期的な利用が基本になります。誰にとっても使いやすいアプリがよいでしょう。
③外部システム連携
「申請フォームを外部システムへ埋め込める」「申請書承認時に外部APIを呼び出せる」「外部マスタを使用して入力補助チェックができる」など外部システムと連携ができるかどうか見極めましょう。
④セキュリティ
ワークフローアプリには、社内のさまざまな情報が集積されます。セキュリティに不安があると、情報漏えいといったリスクを抱えることにもなりかねません。セキュリティ対策が万全なワークフローアプリを選びましょう。