やりがいとは?【わかりやすく解説】搾取、種類、見つけ方

やりがいとは、ものごとに対する充足感や張り合いのこと。ここでは仕事におけるやりがいの種類や見つけ方、やりがい搾取の問題点などについても解説します。

1.やりがいとは?

やりがいとは、「ものごとを行った際の充足感」や「やってよかった思う気持ち」のこと。やったことに対する効果や価値、手応えなどを示す言葉です。やりがいの「やり(遣り)」は「やること」、「かい(甲斐)」は「あることをする見返り」を意味します。

やりがいはどう言い換える?

「やりがい」は以下のような語と言い換えが可能です。

  • 満足感
  • 充足感
  • 張り合い

しかしビジネスシーンでは、「具体的なニュアンスが伝わる言葉」に言い換える傾向にあります。たとえば「やりがいがある」を言い換えるなら、以下のような言い回しが挙げられるでしょう。

  • 得るところの多い(ポジティブなイメージが伝わる)
  • 挑戦しがいがある(新しいことへの意欲が伝わる)
  • 実りある/手応えがある(具体的な成果をアピールできる)

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2.やりがいのある仕事とは?

「やりがいのある仕事」とは、「この仕事に就いてよかった」と感じられる仕事のこと。

「人から感謝される」「報酬が高い」「社会に必要」など、やりがいを感じるポイントは人それぞれ。一般的には、次のように感じられるなら「やりがいのある仕事」だといえます。

  • 満足感や充足感を得られる仕事
  • 挑戦しがいがあり、自身にとって得るところの多い仕事
  • 手応えがあり、多くの実りを得られる仕事

やりがいのある仕事を見つけた方がよい理由

やりがいのある仕事に就けると、仕事へのモチベーションが上がりやすくなるからです。意欲的に仕事に取り組めるようになり、仕事の質も向上するでしょう。スキルアップや人間性の成長なども実現できます。

仕事で得られる満足感や達成感はさらにモチベーションを上げるため、好循環を作れるのです。

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3.やりがい搾取とは?

雇用主が「やりがいがある仕事」を口実に、従業員を低賃金や無償の時間外労働など過酷な環境で働かせること。2007年ごろ社会学者・本田由紀氏が著書で使いはじめたことで、広く知られるようになりました。

やりがい搾取の問題点

やりがい搾取には、従業員だけでなく業界全体に悪影響をおよぼす問題点がふたつあります。

従業員への悪影響

低賃金で長時間労働を強いられると、従業員は心身ともに疲弊し、健康を損ねる恐れがあります。そのような従業員は休職や退職リスクが高まるのです。

業界全体への悪影響

低賃金や不当な長時間労働が業界の慣例になってしまえば、賃貸相場が下がります。人材が定着しにくくなり、業界全体が人手不足に陥る可能性も高いです。

やりがい搾取が起こる理由

雇用主による「人件費削減」が、やりがい搾取が起こる大きな要因といえます。必要最低限の人材しか確保しない企業では、それぞれの従業員の仕事量が増加し、不当な長時間労働につながるからです。

ただし伝統工芸といった業界では、需要の減少にともない「弟子の給与が確保できない」という現実があります。それによりやむを得ない事情でやりがい搾取が生じる場合もあるのです。

やりがい搾取が起こりやすい業界

以下のような特徴がある業界は、やりがい搾取が起こりやすいといえます。

  • 対人業務
  • 個人事業主が多い
  • 若年労働者が中心

なかでもやりがい搾取が起こりやすい業界をふたつご紹介しましょう。

介護や保育業界

「社会に役立つ仕事」としてやりがいを感じる反面、経営の厳しさを口実に低賃金で雇用されるケースが見られます。慢性的な人手不足のため各職員にかかる負担が大きいのです。

接客業界

人件費が経営に大きな影響を与えるため、残業手当がつかない「店長」といった管理職に長時間働を課すケースが多数見られています。若者を名目上の店長に据えて過酷な労働を強いる企業も少なくありません。

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4.仕事にやりがいを感じない理由

仕事にやりがいを見いだせない人は、以下4つが不足している可能性も高いです。それぞれについて解説しましょう。

  1. 目標やビジョンが不明瞭
  2. 評価に不満がある
  3. 成長しにくい環境である
  4. 自社の将来性に不安がある

①目標やビジョンが不明瞭

自身の将来の目標やビジョンが定まっていないと、何のためのこの仕事をやっているのか分からなくなり、やりがいを感じられません。「なぜこの仕事をしているのか」を見直し、以下のように具体的な将来像をイメージすると仕事をする意味が見えてきます。

  • この仕事を続けて、〇年後にこのスキルを身につける
  • この仕事を極めて、この数値目標を達成する
  • 将来こんな生活をしたい。そのためにこの仕事の報酬で〇〇円貯める

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②評価に不満がある

自身の仕事に対して納得のいく評価を得られなければ、モチベーションを継続できません。人は自分の行動と結果を周囲から認められることで、「また頑張ろう」と感じるからです。

仕事への評価は「言葉による感謝や賞賛」だけでなく、「結果に見合った昇給や昇進」など、待遇面で評価されるのも重要です。精神面と待遇の両方を満たされなければ「自社から必要とされている」と感じられず、やりがいを見いだしにくくなります。

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③成長しにくい環境である

成長できる環境が整っていないと、仕事にやりがいを見いだせなくなる場合もあります。多くの人は、自身の成長を実感するとやりがいを感じるからです。何年も同じ仕事を任されて、作業がマンネリ化しているようでは、成長を実感できません。

また仕事で結果を出しても、社内にキャリアアップする制度が整っていなければ、成長する機会を得られないでしょう。このような環境では「がんばっても意味がない」と考えてしまいがちです。

④自社の将来性に不安がある

業績の悪化や業界全体の低迷が続けば安心して働けず、仕事にやりがいも生まれません。

将来への不安から「どうせいつか倒産する」「この業界も先が長くない」「がんばっても仕方ない」などと考えてしまい、仕事への意欲も低下するでしょう。このような状態ではやりがいを見いだせなくなり、退職につながる可能性もあります。

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5.仕事におけるやりがい

仕事に対するやりがいは人によって異なります。ここでは2018年に大手転職サービスのアンケートで上位にランクインしていた「やりがい」をご紹介しましょう。

  1. 人からの感謝やお礼
  2. 正当な評価
  3. 目標の達成
  4. 責任の重い仕事の完遂
  5. 自身の成長
  6. 自分の興味や関心と一致
  7. 他者や社会への貢献
  8. 尊敬できる人物の存在
  9. チームワークによる一体感
  10. 裁量権の付与

①人からの感謝やお礼

多くの人が「感謝やお礼の言葉をもらうことが、仕事へのやりがいにつながる」と感じています。誰かから「ありがとう」と言われると「自分の仕事は人の役に立っている」という満足感が生まれるからです。

「この仕事をしている自分には価値がある」という喜びや誇りを感じられると、この感情が仕事への意欲を高め、さらに仕事の質を高めるという好循環につながります。

②正当な評価

仕事の成果だけでなく努力した過程を評価されることが、やりがいにつながります。誰かが自分の努力を「見ていてくれた」「認めてくれた」と感じることは満足感を生み、「次もがんばろう」という仕事への意欲を向上させるからです。

成果だけでなく、仕事を成し遂げるまでの過程も認められた場合、「苦労が報われた」と感じてモチベーションがアップしやすくなります。このサイクルが好循環をもたらし、仕事にやりがいを生むのです。

③目標の達成

どのような仕事でも、目標達成を繰り返すとやりがいにつながります。

目標を自分の力で達成すれば、充実感や自己肯定感を得られるうえ、「自分はもっとできる」と、さらに高い目標に挑戦する意欲が生まれるからです。努力と成功体験を繰り返す好循環は仕事へのモチベーションを高めます。

たとえマンネリ化した作業でも、自分自身で目標を決めて達成すると新しい発見が生まれ、やりがいをもたらすのです。

④責任の重い仕事の完遂

多くの人は、重要な仕事を任され、それを成し遂げたときにやりがいを感じます。重要な仕事とは「自分の考えで判断し、自分が決定権を持つ業務」です。このような仕事では、自分が判断ミスをすれば自社やクライアントに損失を与えかねません。

責任が重くつねに緊張感を強いられるものの、このようなプレッシャーを克服して仕事を完遂したときに大きな達成感を得られます。この達成感はやりがいにつながるでしょう。

⑤自身の成長

仕事を通じて自分の成長を実感したとき、「この仕事に就いてよかった」とやりがいを得る場合があります。

業務に必要なスキルの向上だけでなく、精神的な成長もやりがいをもたらす要素。得意分野の実績を重ねて自分の長所に磨きをかける、あるいは真摯に日々の業務に取り組んで短所を克服すると、精神的な成長を実感できて仕事への愛着も深まります。

⑥自分の興味や関心と一致

「好きこそものの上手なれ」という言葉があるとおり、自身が興味や関心を持つ仕事はやりがいが生まれやすくなります。高い熱意や意欲を維持でき、仕事での成果が出やすくなるからです。自主的に取り組むようになるため、成長も早まるでしょう。

一方興味のない仕事には意欲がわかず、ストレスが生じる場合も多いです。このような状態では満足できる成果が上がりにくくなります。

⑦他者や社会への貢献

自分の仕事が「社会に貢献している」「誰かの役に立っている」と実感すると、やりがいが生まれやすくなります。社会貢献といえば医療や教育、福祉などをイメージしがちでしょう。

多くの企業が行っているSDGsやCSRなどの取り組みも社会貢献のひとつ。「自社がどのような社会貢献をしているのか」「自分の仕事が社会にどのように役立っているのか」を知ると、やりがいにつながる場合もあります。

⑧尊敬できる人物の存在

社内に尊敬できる上司や先輩がいると、仕事にやりがいを感じやすくなります。身近に理想的な人物が存在すると「あの人に認められたい」「あの人みたいになりたい」という意識が芽生え、仕事へのモチベーションが向上するからです。

社内に尊敬できる人物が見つからなければ、芸能人や有名人でもかまいません。その人物をロールモデルとして「あの人ならこの仕事にどのように取り組むだろう」と想像すれば、理想の人物像を作れます。

⑨チームワークによる一体感

複数のメンバーと共同で目標を達成すると、仕事にやりがいを感じやすくなります。業務過程の苦楽をチームで共有することで連帯感が生まれ、達成した喜びや満足感が増幅するからです。

とくに複数のメンバーで行うチームプロジェクトは、「意見交換により視野の広がり」「他者へのフォローによる自身のスキルアップ」など成長の機会が多く、やりがいが生じやすい環境といえます。

⑩裁量権の付与

自分で意思決定ができる裁量権の範囲が広い仕事ほど、やりがいが生まれやすくなります。裁量権を与えられると「上司から認められている」という自信や満足感を得られるうえ、自分の判断で新しいテーマや手法にチャレンジできるからです。

自分で判断した仕事に成功すれば、達成感や自己肯定感を高め、さらに新しいことに挑戦する意欲を得るという好循環が生まれ、やりがいを持ちやすくなります。

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6.仕事のやりがいを見つける方法

やりがいは自分自身で見つけるもの。まずは「自分がどのような状況なると意欲が高まるか」分析しましょう。ここではやりがいを見つける5つの方法を解説します。

  1. 自分の軸や価値観を把握
  2. 達成可能な目標を設定
  3. 希望の部署や業務を志願
  4. 成長機会の創出
  5. 仲間との協力体制を構築

①自分の軸や価値観を把握

自分はどのようなときにやりがいを感じるのかを見つけるため、次の手順で自分の軸や価値観を具体的に把握します。

  • 仕事やプライベートで充実感や達成感を覚えた場面を、思いつくままに書き出す
  • それぞれの場面で「なぜそう感じたのか」を書き出す

数多く書き出すと、「自分が大切にしていること(価値観)」が浮かび上がり、これらが自分の「やりがい」につながる要素です。この要素を仕事で得られないか、考えてみましょう。

過去の経験からやりがいを見つける方法

過去の経験を見つめなおすと、やりがいが見つかる場合もあります。ここでは「高校時代に、数学が苦手な親友から勉強を教えて欲しいと頼まれた男性がやりがいを見つけた例」を解説しましょう。

  • 【自分の行動】:定期テストまでの数週間、休み時間と放課後を利用して親友の苦手分野を分析し、できるだけわかりやすく説明した。根気よく続けた結果、親友はテストで80点台を取れた
  • 【感情の動き】:最初は思うようにいかず、イライラする場面があった。しかし親友が苦手を克服し、スラスラと問題を解く姿にうれしくなった。テストのあとで86点の答案を誇らしげに掲げて「君のおかげだ」と微笑む親友が誇らしく、達成感を覚えた
  • 【やりがい】:「自分は誰かの成長を助けて、感謝されることにやりがいを感じる」と知った

②達成可能な目標を設定

やりがいを見つけるために「あと少しがんばれば達成できそうな目標」を設定しましょう。目標を達成すると、満足感や自己肯定感を得られ、仕事への意欲が高まるからです。

中長期的な目標ではマイルストーンを設定し、小刻みな中間目標を定めます。小さな目標達成を繰り返すと、達成感や自信を得るタイミングが増え、やりがいも生まれやすくなるのです。

③希望の部署や業務を志願

「現在の部署では自分が望むキャリアにつながらない」「今の仕事では自分の強みが生かせない」などの理由でやりがいを見いだせないなら、異動願いや職種変更を希望してみるのもひとつです。

スキルや資格、得意分野があるのなら、生かせる部署や業務へ移るとやりがいが見つかるかもしれません。異動を志願する際は、「自社のために自分の強みを最大限に生かしたい」のように「自社のための異動」をアピールすると効果的です。

④成長機会の創出

今の仕事を「つまらない」「やっても仕方がない」と決めつけず「効率や質を向上するにはどうしたらよいか」などを考え、成長の機会を自分で作ってみましょう。

多角的な視点で分析するスキルが身につくだけでなく、自分のアイディアで作業効率が改善すれば成功体験を得られます。つまらないと感じていた仕事でも、自身の取り組み方次第で成長の機会を創出でき、やりがいを見いだせるかもしれません。

⑤仲間との協力体制を構築

チームで目標を達成すると仕事へのやりがいを実感できます。

たとえひとりで進める仕事でも、同じ目標をもつ同僚はいるはずです。正式なチームでなくても、積極的にコミュニケーションを取り、仲間を増やして協力体制を構築すれば、お互いに切磋琢磨し合い、刺激を与え合う仲間になれるでしょう。

仲間と仕事を成し遂げたときの達成感がモチベーションを上げ、やりがいをもたらすのです。