Z世代とは、1990年代後半から2000年代前半に生まれた世代のことです。「デジタルに慣れ親しんでいる」という特徴を持ちます。
1.Z世代とは?
Z世代とは、生まれたときからインターネットが普及しているデジタルネイティブ世代のこと。若くこれからの世界を支えていく存在ともいえます。今後は社会の価値観や消費行動の中心となっていくでしょう。そんな彼らの特徴について見ていきます。
Z世代の定義
Z世代は、おおむね1990年代後半から2000年代前半に生まれた世代を指します。何年生まれか厳密な定義はないものの、2010年から2020年代にかけて社会に進出する世代で、ジェネレーションZとも呼ばれているのです。
この世代の前の1980年代後半から1990年代前半生まれをミレニアル世代という点から、「ポストミレニアル世代」と称される場合もあります。
そもそもミレニアル世代とは?
ミレニアル世代とは、1980年前後から1990年代前半生まれのこと。2000年前後に成人したり、社会に出て行ったりした世代で、Y世代とも呼ばれるのです。
それまでの世代とは異なり、物心がついたときにはインターネットをはじめとしたIT技術が当たり前にある環境に育っています。デジタルネイティブの最初の世代といえるでしょう。
Z世代とミレニアル世代の違い
消費の主役はミレニアル世代(Y世代)の次のZ世代に移りつつあります。ミレニアル世代(Y世代)は、IT技術が次々と進化していく様を目の当たりにしてきました。つまり新しいデジタル機器やサービスを取り入れると、より便利な生活になると知っているのです。
一方、Z世代は生まれたときからすでにIT技術が存在しており、まさに生粋のデジタルネイティブ世代であるといえます。
そのほかの世代を表すことば
Z世代以前に生まれた年齢層にも、その世代を表す名前が付けられています。同じ時代に生きていても、世代ごとに時代背景が異なるのはもちろん、考え方や消費志向が異なり、それぞれ特徴があるのです。
ほかの世代について知ると、Z世代についてより深く理解できるでしょう。
- X世代
- Y世代
①X世代
X世代は、おおむね1965年頃から1980年頃に誕生した人々のことで、「団塊ジュニア世代」ともいわれます。成人したり社会に出たりといった購買力がある程度ともなった時期に、携帯電話やインターネット環境が普及していきました。
新しいIT技術のツールについては、必要に応じて取り入れるといった形で適応してきたのです。
②Y世代
Y世代は、1980年前後から1990年代前半生まれで、ミレニアル世代とほぼ同じ世代となります。
「氷河期世代」とも重なる層は、バブル崩壊や就職難を経験しており、多くは生まれたときから消費社会が当たり前となっていて、デジタル機器の普及を身近に感じて成長しました。新しいツールが取り入れられると、より便利な生活に変わると体感しています。
2.Z世代が生まれた背景
今後、社会全体がよい未来を迎えるには、新しく参加してくるZ世代を導き、成長させなくてはなりません。彼らを受け入れてよく理解するためにも、Z世代が生まれた背景について見ていきましょう。
- 教育や家庭環境
- 経済不況による両親世代の財政困難
①教育や家庭環境
Z世代は、生まれたときからインターネットなどが普及しており、24時間いつでも世界のニュースを知っていける環境にて育っています。そのため幼い頃から国際問題に関心を持ち、道徳意識も高くなっているのです。
またリーマンショックによる不況の影響を受けたX世代の親による教育で、堅実な経済観念を持っています。
②経済不況による両親世代の財政困難
リーマンショックによる不況により、2008年以降、各家庭にもさまざまな影響がありました。Z世代も子どもながらに周囲の大人の状況を見ていたため、成長すると現実的で実利を追い求め、将来を重視するという傾向が強くなっています。
その点が「中・上流」といった社会的地位を重視するミレニアル世代との違いです。
3.Z世代の特徴
Z世代の価値観には、ほかの世代と異なる5つの特徴があります。
- ネットリテラシーが高い
- SNSで情報収集する
- 保守的な金銭感覚
- ダイバーシティを重視する
- 自分らしさを重視する
①ネットリテラシーが高い
Z世代はネットリテラシーが高く、とくにプライバシーの取り扱いに関して慎重になっているのです。
SNS利用については、親しい人やフォロワーに通知が行き、共有できるInstagramやSnapchatを好むとされています。ミレニアル世代が多く利用するFacebookでは、情報を知らない人に公開し続けることになるからです。
②SNSで情報収集する
Z世代は、検索エンジンではなくInstagramを用いて情報収集をします。ミレニアル世代がGoogleなどの検索エンジンで行っていた「ググる」に対して、Z世代はInstagramのハッシュタグをたどって情報収集をする「タグる」という行動をしています。
Z世代は、リアルタイムの情報をスマートフォンで探すという習慣になっているのです。
③保守的な金銭感覚
世界的な長期の不況に見舞われるなかでZ世代は成長してきました。そのため浪費は好まず、貯蓄や節約への関心が強く、安定志向を持っています。また商品を購入する際は衝動買いなどはせず、コストパフォーマンスを重視する傾向にあるのです。
一方、自分が真に必要だと思うものにはお金を惜しみません。それは、堅実な経済感覚を持つためでしょう。
④ダイバーシティを重視する
Z世代が生まれたときにはインターネットが普及しており、幼いときから世界のニュースを知り、SNSを利用してきました。そのため世界の情勢について触れる経験が多いため、他者の多様な価値観を尊重し、素直に受け入れられます。
学校でも、一つの解答を求めるだけでなく「考え方や価値観が人と違うのは当たり前」という教育をされているのです。
⑤自分らしさを重視する
Z世代は、他者の多様な価値観を尊重することと同等に、自分の個性も大切にします。「人間はみな平等で、個性は尊重されて当然」という教育環境で育っているため、「ありのまま」に「自分らしく」生きることに価値を見出しているのです。
ファッションでもブランド名に固執せず、自分が気に入ったものを選びます。
4.企業が注意すべきZ世代へのマーケティング術
Z世代へのマーケティングでは、下記5つのポイントがあります。
- 実店舗とデジタルマーケティングの接続
- 本物志向を刺激する
- 高級感よりも実用性やコストパフォーマンスを重視する
- 多様性を意識したキャンペーン
- モノより体験を重視
①実店舗とデジタルマーケティングの接続
渋谷パルコとクラウドファンディング運営サイト「CAMPFIRE」が提携したショールームに注目が集まっています。それは「売らない店舗」であるという点。
製品の販売を行わず、利用者の声を収集するという目的を持つのです。利用者は開発者とやり取りしたり製品を支援したりできるため、Z世代の起業家精神に強く働きかける効果もあります。
②本物志向を刺激する
デジタルに慣れ親しんだZ世代は、フェイクされたPR活動に囲まれて育っています。そのため不自然に加工された情報には飽きており、本物志向を持っているのです。また不便なものや歴史あるものにあこがれを持ち、「エモい」が賞賛の言葉となっています。
たとえば「フィルムカメラ」「純喫茶」「レコード」といったアナログなものに魅力を感じるのです。
③高級感よりも実用性やコストパフォーマンスを重視する
Z世代は製品やサービスを選ぶ際、高級感やブランド性をあまり重視しません。それよりも「実用的で使いやすい」「コストパフォーマンスが高い」「環境や健康、社会に配慮されたもの」がよいと考えているのです。
フリマアプリやシェアリングエコノミーサービスなどは、こういった点でZ世代のニーズに合っているといえます。
④多様性を意識したキャンペーン
Z世代は、他人の多様性を認め尊重しあう時代に生きています。従ってダイバーシティへの関心が高いため、ちなんだキャンペーンを行うとZ世代に支持される可能性が高くなるでしょう。
何よりもZ世代は偏見を持った大人から、型にはめられることを嫌います。マーケティングの際には、真にZ世代の多様性を認めていくという姿勢が必須です。
⑤モノより体験を重視
Z世代は限られた費用で、より多くの充実した体験をしたいと考えていますので、要望に合った製品やサービスを考えましょう。
たとえば「Amazon primes」「Netflix」「Spotify」といったサブスクリプションのサービスが流行しています。Netflixは、「金銭的に何度も映画館に行けないが、好きなときに映画を楽しみたい」というZ世代のニーズに合致しました。
5.Z世代が職場に求めるもの
Z世代は成人し、社会で働き始めています。若い世代を迎える際には、Z世代が職場に何を求めているか理解しておきましょう。ここではZ世代が職場に求めるものについて、4つから見ていきます。
- 社会に役立つ仕事
- 安定している
- プライベートの充実
- オープンで平等なコミュニケーション
①社会に役立つ仕事
Z世代は、社会に役立つ仕事がしたいと強く思っています。調査によると「社会に貢献する活動に取り組みたい」という思うZ世代の割合は、年齢が上の世代よりも高くなっているのです。
これは「Z世代が生まれたときからインターネットがある」「世界のニュースや情報が分かる環境で育っている」「つねに社会問題への関心が高い」点にあると思われます。
②安定している
調査によるとZ世代の多くは、就職する企業のポイントとして「安定している」点を挙げています。この割合は「自分のやりたい仕事(職種)ができる」という項目を超えているのです。
このようにZ世代は安定志向を持っている一方、必ずしも大手志向ではないという結果も出ています。自分に合っており、これからの成長が期待できる産業を選ぶ傾向にあるのです。
③プライベートの充実
Z世代は、ワークライフバランスを重視し、プライベートを充実させながら働きたいと考えています。また出世への意欲はそこまで高くありません。
ある程度出世したいと思っているが、「どんな役職につきたいか」には、こだわらない人が過半数です。給与・賞与は、余暇に行う趣味やレジャーの費用にかける分が多くなっています。
④オープンで平等なコミュニケーション
Z世代は、SNSにより自分をオープンにしたり情報収集したりすることに慣れているため、会社や上司ともオープンなコミュニケーションを求める傾向にあるのです。また共働きの家庭で育ったZ世代も多く、男女平等の考え方が浸透しています。
そのため公平性を欠く社内評価や、形式にとらわれた理不尽なルールは受け入れ難いと思っているのです。
6.Z世代が担う未来
これからZ世代が続々と社会に進出し、活躍していきます。消費の主役となり、時代を牽引する存在となるでしょう。最後に2点から、Z世代が担う未来の社会を予想していきましょう。
- 社会組織の在り方
- 多様な生き方が認められる
①社会組織の在り方
Z世代は大きな組織の一員になるよりも「自分らしくありたい」「自分にしかできないことを実現したい」と思っています。能力を伸ばしたいとも思っているので、組織への所属にこだわらず、転職や起業をする人も増えていくでしょう。
また業務の効率化が求められるなか、「上司の承認」などが見直され、昇進や役職といった概念が変化するかもしれません。
②多様な生き方が認められる
Z世代はダイバーシティを重視し、他者の多様性を素直に受け入れ認められます。また「人間は平等である」という点をよく理解しているのです。
Z世代が活躍する新しい時代では、「国籍や人種」「男女の役割やセクシュアリティ」「生き方やライフスタイル」などで、あらゆる人が平等に認められるかもしれません。