ユーザー会レポート

スキルの可視化で個人と組織の成長を目指す“スキルマップ”構築のポイント

2021年9月28日

HRセミナー

こんにちは!カオナビ カスタマーサクセスグループ ユーザー会担当です。

7/13(火)、カオナビのユーザー様である三井物産マシンテック株式会社様(以下:三井物産マシンテック様)、そして弊社パートナーの株式会社フィールドマネージメント・ヒューマンリソース様(以下:FMHR様)をお招きし、「スキルの見える化が社員の能力を開花させる⁉ “スキルマップ”の構築と運用のポイントとは」を開催しました。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!

ご登壇者紹介

檀原 存 氏

三井物産マシンテック株式会社
執行役員 管理本部長兼業務本部長

山田 博之 氏

株式会社フィールドマネージメント・ヒューマンリソース
執行役員

福田 智規

株式会社カオナビ
アカウント本部 エンタープライズセールスグループ マネージャー

まずは、三井物産マシンテック様にてスキルマップ構築を通じた社員の能力開発を促進されている檀原様と、同社のスキルマップ構築をサポートされたFMHRの山田様がご登壇。そもそもの導入経緯や、スキルマップ構築のプロセスについてご紹介しました。

スキルマップの導入で目指す、社員全体のレベルアップ

スキルマップとは、「業務遂行に必要なスキルを洗い出し、社員一人ひとりが持つスキルを見える化するためのツール」。

昨今のスキルマップ導入ニーズの高まりの背景

檀原様には、実際にスキルマップの導入を決めた背景をお聞きしました。
「うちは140人中100人ほどが営業、という会社。組織全体のパフォーマンス向上を考えたとき、パフォーマンスの良い社員とそうでない人の差は何だろうと気になったんです。そこで、社員のスキルについて可視化し、データを蓄積していくことが社員全体のレベルアップを測る良い手法なのではと考えました。」

またこの時、社内で人事が営業社員にヒアリングを重ねても吸い上げられる声には限りがあるのでは、との理由から、外部機関であるFMHR様に相談をされたそうです。

「社員同士だと遠慮などから(心理的に)フィルターが掛かってしまったり、ヒアリング時に『これはこういう理由だろう』などの憶測のもと質問してしまうことも考えられるため、利害関係のない外部の方にお任せして良かったと思います。」(檀原様)

設計のポイントは“社員が自分のスキルについて考えるきっかけになるか”


次に、スキルマップ構築をどのように進め、どんな課題や発見があったのかを伺いました。

今回、三井物産マシンテック様では、管理者をのぞく一般社員、なかでも営業職を対象として先行して着手。山田様からは、「企業のバリューチェーンのなかで“付加価値を多く生む職種”を選ぶと成果に結び付きやすい」とのアドバイスも。

次に、運用のカギにもなる、既存の人事制度とのすみ分けについて。
社員のスキルアップを支援する役割として機能させるためには、人事評価などの既存制度とのすみ分けも重要なポイントとなります。

三井物産マシンテック様の場合は、スキルマップが人事考課に直接反映されることはありません。ただし、図のように能力の上に仕事の仕方(プロセス)や成果が伴ってくる、と考えると、評価のベースにはなっているのかもしれない、とのことでした。

たとえば、「1つのスキルがあがったから給与が上がる」とはならないものの、スキルの伸びが行動評価に反映されることは考えられます

続いて、詳細設計について。スキルの定義というと一筋縄ではいかないイメージですが、一体どんな苦労があったのでしょうか。

「現場と人事の間で細かい定義や認識を合わせながら、商談フローに沿ったスキル設計を行なうのは大変でした。」(檀原様)

「10名ほどの社員の方にインタビューしたり、アンケートを取ったり、役員の方々と何度も打合せを重ねたりと、時間をかけて設計しました。」(山田様)

スキルマップはあくまで社員のスキルを底上げするためのツール。社員一人ひとりが自分のスキルについて考えられるような設計になっているか、という視点を大切にされたそうです。

Q&A

Q:人事以外のメンバーをうまく巻き込むにコツは?
A:マネージャー陣やトップに必要性をしっかりと伝え、納得感を持ってもらうことが大切。まずは今回営業職を対象として取り組んだように、部分的に運用し、改善しながら徐々に拡大させていくのが良いのではと思います。なにか手直しが必要なときにパッとできるのは、カオナビを選んだ理由の1つでもあります。

現状と求めるスキルが明確になり、個人と組織に共通認識が

さらに、三井物産マシンテック様のカオナビ環境を再現したものも公開!檀原様にお話しを伺いながら解説しました。

スマートレビューでのスキルマップシート入力画面の例

年に1回入力するスキルマップシートでは、たとえば「営業に必要な能力」に対し、本人と上司それぞれの視点で能力レベルを入力するようになっています。また、同じシートに業務ごとの経験年数も入力させることで、効率よくスキルの収集が行なえます。

プロファイルブックで管理される人材カルテの例

加えて人材カルテのシートには、スキルマップの概略、人事考課の実績、経験年数など、必要な情報が集約されています。

そして、レーダーチャートでは現時点でのスキルと求めるスキルの差を可視化。

人材カルテ内、レーダーチャートのイメージ

「これまで1on1をしても抽象的だった『自分は今後どこを伸ばせばよいのか?』を、具体的に、共通の認識を持って話せるようになったのではと思いますね。」(檀原様)

スキルマップ構築について、参加者のリアルな質問が殺到!

  • Q:職種ごとにスキルマップを構築する際、粒度の差が出ることがあるかと思いますが、工夫された点はありますか?
    A:
    檀原様:今回は営業職のほかに、事務系総合職を対象にしたものも作りました。両者は全く別のものとして考えましたね。
    山田様:戦略的に考えてのことであれば、粒度は違って問題ないです。だからこそ評価に直接結びつけずにしておくのがよいですね。ただ、粒度が粗すぎると普遍的になりすぎて、評価が難しいこともあるので注意が必要かもしれません。
  • Q:スキルの測定や評価が評価者の主観によるところがあり、難しさを感じています。どのように設定し、評価するのがよいのでしょうか?
    A:
    山田様:評価同様、スキルの定義の難しいところですね。○○の業務を「遂行するにはサポートが必要」「一人で任せられる」「人に教えられる」など、タスクや業務の習熟度で示すのがポイントになるのではと考えています。
  • Q:今回のスキルマップでは、職種や等級ごとに何種類のシートを作成しましたか?
    A:
    山田様:等級ごとではなく、職種ごとに1シートで作成しました。営業職のスキルマップの項目は、20~30項目(各項目5段階)でした。
  • Q:スキルを評価することについて、誤った伝わり方をしてしまうと、反対意見なども出てきてしまうのではと思います。どのようなことに配慮して、どのように進めましたか。
    A:
    檀原様:やはりしっかりヒアリングすることですね。あとは人事評価と同様、上司からの評価に対してよほどの認識違いがあった場合などの救済措置としては、別途窓口を設けるなどしていきたいと思います。

    山田様:経営層に対してだけでなく、現場にも導入時点でスキルマップの必要性をしっかりと説明していくのもポイント。三井物産マシンテック様では、現場視点でも伝えられていたのが成功要因の1つだと感じます。

  • Q:スキルマップを使ったほうがいいのはどんなケースですか?
    A:
    山田様:社員の育成を強化したい場合、育成状況を見える化したい場合におすすめ。人事評価では踏み込めない、もう一歩深い情報を知るためにも有益なのではないかと思います。
    檀原様:同感です。スキルマップは社員の今後の成長を促したいという期待を込めたメッセージでもありますね。

あとがき

「スキルマップの構築」というと、なんとなく難しそう、どこから始めるとよいのかわからない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回のセミナーで檀原様や山田様にご紹介いただいた、対象部署の決定~スキルマップの構築、そして運用体制などの幅広く、深い体験談の数々が、取り組みを一歩進めていただく指針になればと願っています。

また本セミナーでは、スキルマップが評価のためでなく、社員のスキルの把握、そしてさらなるスキルアップを促すものだ、ということが何度も語られていたのが印象的でした。業務に必要なスキルが洗い出され、誰がどのスキルを持っているかもわかるようになるため、よりパフォーマンスを発揮しやすい人材配置を行なう材料にもなりそうです。

カオナビのユーザー会では機能の使い方に限らず、今回の「スキルマップ構築」のように人事の皆さまが知りたい・相談したいと思っていただけるような様々なテーマを扱ってまいります。テーマについては日々模索中ですので、ぜひお気軽にご意見をお寄せくださいませ!

また、カスタマーサクセスチームでは、Twitterも運営中。セミナー情報や最新のリリース情報、カスタマーサクセスの取り組みなどなど、毎日発信中です。ぜひ覗いてみてください!

それでは、今後もカオナビをどうぞよろしくお願いいたします!

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2021.09.28