ユーザー会レポート

若手社員の離職率低下を実現!「心の変化」を察知する月1定点観測のポイント

2023年6月20日

マナベル

こんにちは!カオナビ カスタマーサクセスグループ ユーザー会担当です。

2022年11月25日(金)、ユーザー会「マナベル」を開催しました。今回は、「『若手の定着・離職防止』のためのカオナビ活用法」をテーマに、愛知県にて自動車販売を行う愛知日産自動車さまにご登壇いただきました。

当日は店舗支援部課長として採用や教育に携わられる寳來 ひと美さまが、若手社員の離職防止や定着率向上のためのカオナビを利用した取り組みをご紹介くださいました。

ご参加できなかった皆さまにもこの知見を取り入れていただけるよう、当日の内容をまとめましたので、ぜひご一読ください!

※掲載内容はすべてユーザー会当日時点の情報です。

「マナベル」とは?

「マナベル」はカオナビを使いこなしているユーザー様をお招きし、実践例を直接お話いただくセミナーです。さまざまな業種のユーザー様にご登壇いただいており、「カオナビ導入の経緯」「カオナビを使ってできたこと」「ぶつかった壁とその乗り越え方」など、赤裸々なトークが必見です。
カオナビではそのほかにも、導入目的別の使い方を解説するセミナーや、ユーザー様同士で活用方法をディスカッションし合う交流イベントも開催。今後、開催予定のセミナーは、以下をチェックしてみてください!
サポートサイト『セミナー・ユーザー会』

ご登壇者紹介

寳來 ひと美 様

愛知日産自動車株式会社
店舗支援部 課長

1993年に愛知日産自動車株式会社に入社。
営業や販売促進、労働組合役員を経て現在のポジションに就く。採用や教育を中心に人事領域に携わる。
※ご登壇当時の情報です。

紙ベースからの転換。評価にかかる時間が約3週間から3日程度に!

※ここからは実際に寳來さまにお話しいただいたセミナー内容です!

当社は、愛知県で日産の車を販売しているカーディーラーです。創業から70年を超えており歴史のある会社ではありますが若い社員も多いです。また自動車整備の部門では、外国籍の社員も増えてきています。こうした背景から社員の成長をしっかりと見ていく必要があると考え、カオナビを導入いたしました。

導入前はExcelやメールを使って人事データを集約しており膨大な工数がかかっていました。また、集約したデータは紙でファイリングしていたので、データベース化ができておらず、情報がブラックボックス化していることも問題でした。また、フィードバックが十分にできておらずせっかく評価をしても行動改善に繋がっていないという問題もありました。評価を可視化することでこれらの問題を解決し、評価やフィードバックをよりよくしていくことがカオナビ導入の目的でした。

この目的のもと、当社では「スマートレビュー」「プロファイルブック」「パルスサーベイ」の3つを中心に活用しています。

スマートレビューは主に人事評価に活用しています。導入以前は紙ベースで評価を行っていたため、評価フォーマットを展開してから情報の集約に10日ほど、集約した情報をExcelで整理するのに2週間程度とすごく時間がかかっていました。しかし、現在は3日程度で評価を終えられるようになっています。

また、研修や講座のレポートもスマートレビューで記入してもらっています。

こちらも以前は紙で集めていましたが、若い社員は特に、紙で文章を書くことに慣れておらず書きづらいようでした。そのため提出に時間がかかりますし、その分だけ研修の内容を忘れてしまいレポートの内容が薄まってしまっていました。しかし、スマートレビューの導入により、スマートフォンやタブレットで入力が可能になり、レポート回収がしやすくなりました。実際に、入社1年目の社員がスマホからとても内容が濃く分量も多いレポートを書いてくれた事例もあります。また、研修の満足度のデータも集めやすく、次年度の研修企画の参考にも活用できています。

続いて、プロファイルブックです。主に異動者や新入社員の情報を事前に知っていただくために活用しています。名前や写真、所属部署などを見ることができ、新入社員についてはこれに履歴書や職務経歴書も追加しています。住所やこれまでの所属部署は上長しか見れませんが、ほかの情報は誰でも閲覧が可能です。

最後にご紹介するのが、本日メインでお話させていただくパルスサーベイです。オプションなので使っていない企業さまもいらっしゃるかと思いますが、当社では、この機能を若手社員のメンタルチェックや育成に活用しています。

パルスサーベイの結果をもとに面談を行うこともあります。ここからは、パルスサーベイを使った若手の定着や離職防止への取り組みをお話しつつ、パルスサーベイという機能自体についてもお伝えできればと思います。

毎月の定点観測から面談までをフロー化。人事と若手社員をつなぐ仕組み

若手社員の離職率をいかに低下させていくか。これは、どこの会社さんも多かれ少なかれ持っている課題ではないでしょうか。

当社でも若手の離職率は課題の1つでした。それを解決するにあたって取り組んだのが、人事が社員の生の声を聞くことです。以前は社員とその上司が面談を行い、そして上司が人事に社員のことを相談するといった流れで社員の声が集まっていました。しかし、人間関係が原因で退職する社員もしばしばいるなかで上司のフィルターを通した声しか集まらない状態だと、本当の課題を解決できないのではないかと考え、人事が社員一人ひとりと直接コミュニケーションを取ることができる仕組みを作っていきました。

そこで利用しているのが、パルスサーベイです。パルスサーベイとは、定期的に配信するアンケートを利用して従業員のコンディションチェックができる機能です。当社では、職場環境やメンタル面も含めてさまざまな角度から、「今元気に仕事できていますか?」という問いに社員に答えてもらっています。

結果を折れ線グラフで表示できるため、一目でコンディションの上がり下がりを把握することができ、気がかりな社員へのフォローも非常にしやすいです。

対象者は入社3年以内の若手社員で、1年目の社員と2年目以降の社員で設問を一部変えつつ、月に一度、毎月15日までに答えていただく形で運用しています。実際に聞いている設問内容は以下の通りです。

Q3まではカオナビのデフォルトになっていますが、さらに最大10問まで質問を追加することが可能です。当社では、人間関係やモチベーション、仕事量からワークライフバランス、ハラスメントまでさまざまなことを尋ねています。また、最後に自由記述欄と人事面談の希望の有無をチェックしていただく仕様です。

3つのポイントから絞り込んでフォロー対象者を選定

現在は、毎月100名程度のデータが集まるため、それを優先順位の高い順に絞り込んで確認しています。もっとも優先順位が高いのは、面談希望のある社員です。アンケートの数値がよかったとしても面談したいということは確実になにか言いたいことを抱えている状態ですので、最優先で対応しています。次に優先度が高いのが、コメントがある方です。自由記述欄を設けていても実際にコメントをするのはひと月に5人程度です。きっとコメントを入れるのにはなにかがあるはずなので、フォローをしていきます。次に確認するのが、前月との乖離が大きい方と平均点が低い方です。例えば、先月はスコアが5だったのに今月は3に落ちている方ですね。

また、ほかの項目は点数が高いのにモチベーションだけが低いといった方も何か言いたいことがあるのかなと考え、フォローの対象としています。ただ、ある程度乖離があったとしても平均点が3点以上であれば原則特別なフォローはしていません。平均点が前月より1点以上落ちているようであれば中身を確認して判断しています。

フォローの仕方は人によって違ってきます。面談希望の方はすぐに1on1をセッティングしています。コメントがあった方も、気になる方には面談の声掛けをしています。それ以外の方は電話でフォローをし、場合によっては面談を行っています。

また、面談を実施した場合は必ずログを残していますが閲覧権限は最低限のメンバーのみにしか付与しません。面談内容についても、上長に知られるとなると話しにくいこともあると思いますので、基本的には上長には知らせません。面談を実施したという事実と差し支えないような話だけを上長たちにも共有する、というかたちで運用をしています。

サーベイのデータと面談の両輪で解消!社員たちのリアルな悩み

ここからは、先ほど紹介した取り組みの結果どういった変化があったかを、具体例とともに紹介します。

1つ目は、営業職の男性の事例です。彼は平均点が3点だったので安定しているように見えたのですが、面談希望にチェックがありました。そこで面談してみると、「実績が上がらず仕事に向いていない。辞めたい」という声が出てきました。1年目はいわゆる雑用が多くて何とかこなせていたけど、担当が増えてキャパオーバーになっている。そして先輩たちともいい関係性が築けていないという悩みを抱えていたんですね。よくよく話を聞いてみると、「先輩にこう思われているだろうな」と自分で壁を作ってしまっていて、行動ができなくなってしまっている状態でした。そこで、「一度気持ちをしっかりリセットして、1年目は雑用ばかりだったのであれば、2年目のプレッシャーを今感じずにまだ1年目だと考えて先輩を思い切り頼っていったらどうですか」とアドバイスをしました。

面談後、少しずつ実績も上がりはじめていきました。その後も彼からは2回ほど面談希望があったのですが、少しずつ悩みが内向きから外向きのものに変わっていくのを感じました。彼は現在も在籍しており、4年目を迎えています。

2つめは、入社2年目の事務系職種の女性です。
彼女はサーベイで回答している点数も低かったですし、コメントにたくさん不満を書いていたんですね。でもそれとサーベイのデータを見ていると、文句を言いたいというよりもなにか悩んでいるのではと感じました。ただ、それ以上は読み取れなかったので直接話を聞くために電話面談をすることになりました。

そこで話を聞いてみると、上司との関係性がうまく行っておらず、上司の指示に従って行動したことで彼女が別の担当者に叱られてしまうといったことが起きていることがわかりました。その件は双方の勘違いの部分もあったので、同じ部署のスタッフと協力をしてフローを確認して何が起きていたのかを伝えつつ「自分だけで抱え込まず、周りに上手に伝えていくといいよ」とアドバイスをしたところ、すごく納得してくれました。今は彼女の数値も安定しています。

つまづきを経て、辿り着いた成功のキーは「地道な社内周知」

ただ、導入当初はつまづきもありました。若手の回答率が非常によかったこともあり、全社的に運用を開始しようと1ヶ月350人程度を対象に行ったことがありました。すると、回答を確認するだけで精一杯でコメントを注意深く読んだり面談をしたりとかそういったフローがほぼできなくなってしまいました。その結果、若手の回答率も下がり本末転倒でした。その反省を活かし、現在は初心に立ち返って若手だけに絞った運用を行っています。

また、人事と社員だけのやり取りになってしまって、上長から「コソコソされているみたいで嫌だ」といった不満も上がってきてしまいました。そこで、月に一回の打ち合わせでサーベイの状況などをレポートすることにしました。そうした社内への周知を地道に続けた結果、人事部の取り組みではなく全社的な取り組みとして認知されるようになりました。現在では協力的な上長たちも増えてきています。

その甲斐もあって新入社員の100%、若手社員の95%が回答してくれる状態を作ることができました。課題であった離職率も低下しているため、引き続きパルスサーベイを活用していきたいと考えています。

【Q&A】現場社員の上長への対応はどうしてる?…参加者からの質問に回答

参加者からのご質問にも丁寧にお答えいただきました。

Q)面談希望の場合はどんな理由であっても、面談を行っていますか?ただの文句のようなことを言われることはないですか?

A)コメントがあって面談希望の方はどんな内容を話したいのかわかりますが、面談希望だとしてもコメントがないとそもそも内容がわからないので、理由によって区別していることはありません。ただ、若手社員を対象にしているためか、文句を言われることはほとんどありません。

Q)悩みを抱えている社員の上長に、情報を共有すると快く思われないことがあり、その場合の対処が難しいと感じています。なにか行っている工夫はありますか?

A)経営層や上長たちを取りまとめている人たちの協力を仰いでいます。上長の話だけを聞いていると論点がズレてしまうこともあるので、有効な手法だと思います。また、上長たちには新入社員の話を聞くだけのシステムだとは思われないように、すべてを鵜呑みにしていないことは日々伝えていますね。若手社員たちの話をもとに、どうしていくのがみんなが一番仕事がしやすいのかを考えていますと粘り強く伝えつつ、それが本当だと思ってもらえるよう努力しています。

ユーザー会を終えて

今回も、さまざまな企業の人事の方が集っての賑やかなユーザー会でした。若手社員に親身に寄り添う寳來さまならではの、きめ細やかなフォローや社内の巻き込み方には、多くの人事のみなさまに共感したり、ヒントをお持ち帰りいただけたのではないでしょうか。

みなさまも、早速若手社員の離職防止のためにご活用いただけると幸いです。
>パルスサーベイの詳細についてはこちらから

カオナビのユーザー会では機能の使い方に限らず、さまざまなテーマを取り扱っていく予定です。「カオナビに集めたデータを人事施策活かす方法が知りたい!」「いま取り組もうとしている○○について相談」など、ぜひお気軽にご意見をお寄せくださいませ!

また、カスタマーサクセスチームでは、Twitterも運営中。セミナー情報や便利な活用テクニックなどを定期的につぶやいていますので、チェックしていただけると嬉しいです!

それでは、今後もカオナビをどうぞよろしくお願いいたします!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

マナベル

2023.06.20