ユーザー会レポート
「ソーシャルビジネスカンパニー」への挑戦!多様な人材が育つ新人事制度の構想
2023年4月25日
こんにちは!カオナビ カスタマーサクセスグループ ユーザー会担当です。
2022年12月2日(金)、ユーザー会「マナベル」を開催しました。今回は、「多様な人材が活躍できる人事制度」をテーマに、主軸としてきた不動産関連事業のほか、ホテル運営や障がい者グループホーム運営などの新事業も展開するマリモグループさま。
当日は株式会社マリモホールディングス人事部長の髙部 賢一さまより、事業・人材の多様化を背景に、一人ひとりの能力を最大化するための新たな人事制度の構想を中心にお話いただきました。
ご参加できなかった皆さまにもこの知見を取り入れていただけるよう、当日の内容をまとめましたので、ぜひご一読ください!
※掲載内容はすべてユーザー会当日時点の情報です。
「マナベル」とは?
「マナベル」はカオナビを使いこなしているユーザー様をお招きし、実践例を直接お話いただくセミナーです。さまざまな業種のユーザー様にご登壇いただいており、「カオナビ導入の経緯」「カオナビを使ってできたこと」「ぶつかった壁とその乗り越え方」など、赤裸々なトークが必見です。
カオナビではそのほかにも、導入目的別の使い方を解説するセミナーや、ユーザー様同士で活用方法をディスカッションし合う交流イベントも開催。今後、開催予定のセミナーは、以下をチェックしてみてください!
サポートサイト『セミナー・ユーザー会』
ご登壇者紹介
髙部 賢一 様
株式会社マリモホールディングス
人事部 部長
2020年より現職。
外資系ソリューションプロバイダー、株式会社オプト(現デジタルホールディングス)を経て2020年より現職。人事部門の他、広告運用コンサルや新規事業、オペレーションセクションの責任者等歴任。
※ご登壇当時の情報です。
評価の仕組み化を実現!カオナビ導入の背景と活用方法
※ここからは実際に髙部さまにお話しいただいたセミナー内容です!
ご都合により現地での講演内容より一部をカットしています。
はじめまして、株式会社マリモホールディングスの髙部と申します。株式会社デジタルホールティングスなどでデジタルマーケティングや人事を経験し、2年前よりマリモホールディングスに所属しております。
当社は不動産事業を主力に50年以上営んできました。また、2020年以降には新規事業も多数立ち上げてきました。経営理念としては「利他と感謝」を掲げております。
早速ですが本題に入って、カオナビの活用についてお話いたします。
当社では、2016年の7月にカオナビを導入いたしました。
導入した目的の1つは、評価制度を効率的に運用していくことでした。カオナビの導入以前はExcelを使用していて、シートはどんどん増えていくし、評価の項目が増えるにつれてシート内の列も増えていくといった状態でした。それを脱却してExcelからWebに運用を移行したいと考えていました。もう1つの目的が人材情報の一元管理です。こちらはカオナビの機能であるスマートレビューのおかげで、ある程度達成できていると考えています。
これまでは、期を重ねるごとにExcelシートが蓄積されていましたが、カオナビを使い始めてからはスマートレビューの一画面だけで管理ができています。さらに評価結果の管理だけでなく、評価担当者に一斉にリマインドや案内ができたり進捗を一元管理したりもできるようになりました。導入以前の属人的な評価スケジュール運用から、グッと仕組み化を進められたと思います。
続いて、データの管理方法についてお話します。
当社は現在国内だけでも14社のグループ企業があり、なんらかの工夫がないと人事管理がすごく煩雑になってしまいます。そこで命名規則を決めることで、人事管理をよりわかりやすくできるようにしました。
右側に「MAM_2023上期個人評価」というのがあります。これはグループ会社の「マリモ・アセットマネジメント」のことです。会社の名前を入れることで簡単に管理できる形を実現しています。イベントも同様に、概要と対象者と期間がすぐわかるよう命名し管理を行っています。また、これらのイベントをさらにカテゴリー分けしています。2022年上期評価、2022年下期評価といったカテゴリーがあるので、いつの評価か一目でわかります。実際にこのおかげで、私が入社当初どんな会社か知るためにカオナビを開いた際にも、非常にスムーズにインプットができました。
評価のほかにも、人事情報にはさまざまなものがあります。今日はその一例である、研修の受講歴の管理について紹介いたします。
このように、一人ひとりがどんな研修を受けたかを管理しています。人材流動を見据えて、持っている能力やこれまで受けてきた研修を次のマネージャーが確認できるようにしています。またこれにより、経営陣に抜擢人事を示唆する場合にも、その人の能力を知ってもらう参考情報として研修履歴を伝えることもできます。
今よく接している人でも、部署が変わるなどして接点がなくなって数年経つと何をしていた人なのか定かではなくなることもあります。その場合にも、こうした積み重ねた人事情報があることで必要なときに必要な情報が手に入る体制を一定は作れてきた、というのが当社の現在のカオナビの活用状況です。
「ソーシャルビジネスカンパニー」への進化を目指し、人事制度改革を構想
続いて、本日のメインである人事制度見直しの背景と構想についてお話いたします。
前段として、当社では2030年までに「ソーシャルビジネスカンパニー」へ進化することを目指しています。これまでは不動産事業を軸にやってきましたが、これからはビジネスである不動産とソーシャルとの割合が50:50で共存する会社を目指しており、人事としてはそれをどのように作り上げていくかが大事になってきます。
当社が今取り組んでいるソーシャルビジネスのひとつが、ホテル・地方創生事業です。たとえばホテル「セトノウツツ」を2022年の8月にオープンしました。この建物はもともと海の家だったのですが、改装してオーベルジュとして運営しております。また、同じく2022年8月より「シトラスパーク瀬戸田」というグランピングができる公園もオープンいたしました。そのほかにも、介護事業として障がい者グループホームを運営したり「タナベ・マリモファーム」を設立して有機農業に取り組んだりもしています。私が入社してからでも7〜8社が設立されており、このようにめまぐるしく変化する状況のなかで制度改革に取り組んでいます。
そのなかで、いくつか課題が出てきました。短期的に課題となっているのは採用です。現在かなりのハイペースで事業が立ち上がっているため、採用のスピードも急速に上がっています。そこで、採用のリードタイムの短縮が大きな課題となっていきました。さらに、会社が設立すると社内規定が必要になります。それを作ることにも工数を割かれていて、課題を感じているところです。
そして長期的な課題としてあるのが制度の問題です。不動産事業のみだったこれまでとは違って複数の事業を運営するようになると、これまでとはまったく違った多様な人材が社内に入ってくるようになります。このように社内が大きく変わっているにもかかわらず、人事制度が従来通りのままではうまく回りません。一人ひとりの能力をどのように最大化するかを考えていくことは、避けては通れない課題だと考えています。こうした背景から、専門性や志向性を問わず適正な評価ができて、長期的な育成もしていける仕組み作りをすることとなりました。
「人が育つ企業へ」会社の実現したい未来を人事の戦略テーマに
私は入社時に、まず人事戦略のロードマップを掲げました。代表がかねてより掲げている実現したい未来として「人が変わる、会社を変える、そして人が育つ企業へ」「ソーシャルビジネスカンパニー」というものがあります。それを踏まえて、人事として取り組むべき「人で勝つ」戦略テーマとして「人が育つ企業」というのがキーなのではないかと考えました。
今も昔も活躍している人はどんな人なのか?50年前よりこの会社で働いている方に話を聞いていくと、キーワードが見えてきました。
弊社は「泥臭く仕事をする」という言葉を気持ちよく、そしてかっこよく使っていて、それがこの会社の強みであると考えました。
また、「会社が人を育てる」ということではなく、能動的に自燃性(じねんせい)のある人たちが結局育っているので、「仕組みで人が育つ」環境にしていきたいと考えました。
2020年から3年後、5年後、7年後と3つに区切りそれぞれテーマを作っています。
2020年~2023年は成長を促進する仕組みとして複線型人事制度、人材流動の仕組みとしてジョブローテーション制度・社内副業制度の導入を進めています。
育成も見据え、職能制と組み合わせたジョブグレード制度を構築
なかでも一丁目一番地で取り組んでいるのが複線型人事制度への改革です。
現在は職能等級制度を採用していますが、改革後はジョブグレード階層での評価を取り入れる予定です。ただ、すべてジョブグレード制にするのではなく、業務の熟練度や経験によって変化させていこうとしています。育成段階にある層は多くの可能性を追求するために職能等級で報酬が変わらず職種を移動できる制度を敷き、ある程度上位層になってから職務給のジョブグレード制に変えるかたちを構想しています。
コースも複数用意しています。1つ目はもっとも一般的なのが先ほどお話したようなジョブグレード制のコース。2つ目は、より収入を高めたい方のためのコース。3つ目が、数多く立ち上がる新規事業プロジェクトにコミットしていただく方のためのコースです。こちらはMBO評価に応じて、年に一度報酬が変わっていきます。
ソーシャルビジネスカンパニーを目指す上で欠かせない新規事業の人材をいかにして受け入れて育成していくかを念頭に置いた結果、複線型がおそらくフィットするのではないかとの仮説が立ち、現在運用に向けて大詰めを迎えている状態です。
ジョブグレードは、こちらの図のように設定いたしました。ただ完全に職務で決めてしまうと昇給という概念が無くなってしまうので、グレードのなかにレベルを設定して昇給を目指せるかたちを取っています。ただ、グレードを上げるには職務を変えないといけない仕組みになっています。
- ジョブディスクリプションについては以下の項目でそれぞれの内容を作成しています。
- 役割責任(職責シート)
- 期待効果(あるべき姿)
- 業務内容(職務範囲・業務レベル)
- 求められる経験(あるべき姿)
- 求める能力・知識(あるべき姿)
- 期待する行動特性(あるべき姿)
ジョブ型になると、それぞれのジョブディスクリプションを用意する必要もありますし人事としては大変な部分もあります。一方で、期待する成果や目標は非常に明確な状態で運用できます。また、当社の場合はジョブディスクリプションを基本的には公開していくので、一人ひとりがどんな目標を背負って仕事をしているのかを周囲が知ることになり、コミットメントにも繋がるのではと期待を持っています。
評価制度のほかにも、社内副業制度にも取り組みはじめています。社内でも「いろいろな仕事を通じて成長したい」とのニーズが強く、残念ながらほかの仕事をするために退職される方も散見されたために導入を決めました。
社内で募集ポジションを周知し、希望者を人事側でマッチングするかたちで現在は運用しています。人事担当が広報に挑戦したり、グループ会社のWebマーケティングに本社のマーケティング部署ではない方が取り組んだりと少しずつ浸透してきているところです。
役員評価運用・自己申告制度の整備・データ活用。カオナビで実現したい3つのこと
最後に、これから取り組みたいことをお話させていただきます。
まずは何と言っても、評価制度のスムーズな運用開始ですね。そしてその後の改善までをカオナビを使いながら進めていければいいなと思います。また、ほかにもカオナビを使って取り組みたいことが3つあります。
1つ目は役員評価です。役員評価は事実上MBOになっていますが、まだ可視化や仕組み化が不十分な状態です。それをカオナビを使って実現していきたいです。2つ目は自己申告制度の整備で、私がもっとも取り組みたいことです。カオナビを使って「私はこれがしたいです」と自ら手を上げられる仕組みを作り、それを人事が拾い上げて抜擢人事を行ったりジョブローテーションの参考にしたりしていこうと考えています。3つ目は、レポーティングや施策立案のための人材データの活用です。特に足りていないのが相性や適性に関するデータです。人である以上向き不向きは必ずあるので、従業員の同意を得た上で適性データを集めて人のマッチングや配置に活かしていければうれしいです。私からのお話は以上です。ご清聴ありがとうございました。
最後はみんなで記念撮影を行いました!
ユーザー会を終えて
今回も、さまざまな企業の人事の方が集い賑やかなユーザー会でした。髙部さまには40分程度とは思えないほど濃い、人事制度に関するお話をしていただきました!
また、評価制度以外の取り組みについてもお話をいただき、非常に参考となるユーザー会となったのではないでしょうか。みなさまも、さっそく自社の制度改革へ活かしていただけると幸いです。
カオナビのユーザー会では機能の使い方に限らず、さまざまなテーマを取り扱っていく予定です。「カオナビに集めたデータを採用や経営に活かす方法が知りたい!」「いま取り組もうとしている○○の人事施策について相談」など、ぜひお気軽にご意見をお寄せくださいませ!
また、カスタマーサクセスチームでは、Twitterも運営中。セミナー情報や便利な活用テクニックなどを定期的につぶやいていますので、チェックしていただけると嬉しいです!
それでは、今後もカオナビをどうぞよろしくお願いいたします!