ユーザー会レポート

目指すは人材ポートフォリオの可視化!データ活用の歩みと社内浸透の3つの秘訣

2023年10月5日

マナベル

こんにちは!カオナビ カスタマーサクセスグループ ユーザー会担当です。

2023年3月9日(木)、ユーザー会「マナベル」を開催しました。今回は、「カオナビでのデータ一元管理」をテーマに、人材派遣や人材紹介など、企業の人材課題を解決するためのサービスを幅広く展開する株式会社ウィルグループさまにご登壇いただきました。

当日は人事本部 採用戦略部の松原輝さまが、「データ活用への歩み」や「社内浸透のコツ」をお伝えくださいました。

ご参加できなかった皆さまにもこの知見を取り入れていただけるよう、当日の内容をまとめましたので、ぜひご一読ください!

※掲載内容はすべてユーザー会当日時点の情報です。

「マナベル」とは?

「マナベル」はカオナビを使いこなしているユーザー様をお招きし、実践例を直接お話いただくセミナーです。さまざまな業種のユーザー様にご登壇いただいており、「カオナビ導入の経緯」「カオナビを使ってできたこと」「ぶつかった壁とその乗り越え方」など、赤裸々なトークが必見です。
カオナビではそのほかにも、導入目的別の使い方を解説するセミナーや、ユーザー様同士で活用方法をディスカッションし合う交流イベントも開催。今後、開催予定のセミナーは、以下をチェックしてみてください!
サポートサイト『セミナー・ユーザー会』

ご登壇者紹介

松原 輝 様

株式会社ウィルグループ
人事本部 採用戦略部

自動車整備業に就く。その後航空物流業を経て、ウィルグループに転職する。製造業界における組織マネジメントを経験。

中途採用組織の立ち上げを行ったのち、現在は、中途採用領域とタレントマネジメントを担当している。

※ご登壇当時の情報です。

アンバサダー体制で広げる社内でのカオナビ活用

※ここからは実際に松原さまにお話しいただいたセミナー内容です!

まずカオナビの活用状況からお話しします。私たちウィルグループでは、人材派遣や人材紹介などの事業を行っており、グループ全体では約6000名の社員が在籍しています。カオナビは今のところ2000名がアカウントを所持できるようになっており、グループ会社を含めた5社で「ストラテジープラン」を利用しています。当社では「OBIC7(オービック7)」という基幹システムを使用しているため、カオナビはBIシステムとして活用しています。

適正配置を実現することを目標に2021年3月に導入し、準備期間を設けた上で翌年の5月に全社公開しました。現在はアカウントを持つ社員のうち74.2%が顔写真を登録しており、1日に40〜60名のログインがあるなど、社内にも浸透してきているのを感じています。

続いて、活用している機能をご紹介します。

プロファイルブックは1950名超とアカウント数ギリギリまで使っており、シートガレージが93シート、ピックアップリストは200件、そしてボイスノートも200件を超えており、シナプスツリーもグループ5社で約300部門で導入するなど、数多くの機能を活用しています。

一方で、9件に留まっているスマートレビューや、2023年3月に導入したばかりのシャッフルフェイスなどの機能は、まだまだこれから使い方を模索していく段階です。

オプションも活用しており、1月より活用をスタートした退職者管理をはじめ、OBIC7とのAPIの連携やSSOの使用を進めてきました。

その他クリエイティブマップやエニアグラムなども公開に向けてテスト中です。

運用については、弊社はアンバサダー形式を取っています。現在、約10名の各部署の社員にアンバサダーとして参加いただいています。アンバサダーの役割としては、率先してカオナビを活用いただいたり、カオナビ活用について意見をいただいたり、また社員の方との窓口として社内浸透を進めていただく活動をしてもらっています。

元々の目的は、右上にあるデータ活用でした。特に適正配置です。それを目的としつつも、そのほかの人事領域で何か使えるものがないかと考えて、評価や人事情報の精査などにも活用しています。

また、グループ内の事業会社でアンケートを実施したり、社内報の内容に取り入れたりと人事領域以外にも広がってきている状態です。この先もどんどん活用領域を広げていき、研修や労働条件通知書の管理、入社書類の電子化、ピープルアナリティクスにも取り組みたいと考えており、現在テストを進めています。

こちらは、カオナビを使ったデータ活用を進めるための取り組みイメージです。

まず、機能理解ができているかどうかを確認するところからスタートします。そこからデータの確認方法の決定、シートの構成の検討、データの収集へと進んでいきます。十分なデータを収集できたら、データの加工やインポートを行い、カオナビで確認できる状態にしています。こうしたことはみなさまも行われていると思いますが、こうして図に起こしてみると、困っている点を誰かに説明する時にわかってもらいやすいなと感じています。私自身はデータ加工で詰まってしまうことが多く、課題のひとつでもあります。

カオナビ導入により大きく進んだ異動配置の効率化

弊社のカオナビ活用状況をお伝えしたところで、本題へと入っていきます。先ほどもお伝えした通り、適正配置を目的として私たちはカオナビを導入しました。

当社には、総合職社員と専門職の方やスタッフさんの大きく分けて2種類の従業員がおります。そのため、その2パターンの間で登用や雇用の変更が生じることがあります。また、総合職に関してはそのほかに図にあるような配置の機会があります。新卒社員や中途社員の初期配置、評価会議による昇降格、部長以上を対象としたミドルサクセッション、役員のサクセッション、そして異動配置です。

私が上司と進めてきたのは主にこの異動配置です。年間で200名程度なので、もっと多くの異動に対応していらっしゃる企業様もあるかと思います。しかしそれでも、カオナビを導入する前は非常に大変でした。まずシステムからデータを引き出すための申請をして、目的のデータを引き出して突合して、と丸2日ほどかかっていたんです。にもかかわらずそのデータが使われず、再度データを取得しなければならないこともありました。カオナビを導入したことによって、この異動配置が非常に楽になりましたし、上司がその場で確認できるので、やりとりもスムーズになりました。

異動配置のフローとしてはニーズ発生→人選→面談→配置と複雑でないように見えるものの、この人選のなかに情報収集→比較・発掘→リスト化→見極めというステップになっていました。この4ステップのうち、見極めだけはデータのみでなく勘・コツ・経験も組み合わせつつ行いたいと考えていたので、情報収集からリスト化までを効率化しようと考えました。

導入後の動きと実績がこちらです。

導入して最初の3〜4ヶ月は初期設定を行っていました。適正配置のためのデータの一元化を目指した、情報収集やシート作成です。準備が進んできた段階でグループ会社の間接部門にも公開し、ある程度情報が溜まったタイミングで役員に公開。その後、導入から約1年後に社員へも公開しました。全社公開に先行して、アンバサダーへの公開も行っています。

データの一元化のみにとどまらず、1on1への活用、業務効率化、スキル管理にも取り組んできました。カオナビ活用3年目となる今年は、人的資本開示に向けたデータの利活用へも動いていく予定です。こちらについては、後ほど構想を紹介させていただきます。

社内浸透において大切にしている3つのポイント

続いて、社内浸透についてお話しいたします。

2021年3月にカオナビを導入した際には、基幹システムのOBIC7にたまっていたデータを、カオナビにインポートすることで、見える化しました。そしてそれを使って、データドリブンな配置に取り組んできました。

そこからさらなる拡張を目指して取り組んだのがこの一年でした。全社員に使ってもらい、コミュニケーションや心理的安全性の醸成、リテンションに繋げることのほか、1on1やキャリアサポート、人事業務の効率化などかなり活用の幅を広げようとしてきました。

その結果、見える化によって人事業務の効率化や情報精査が進んだり、1on1と評価の適切な運用がなされるようになり、それをさらに適正配置に活用したり、といったことができるようになってきました。また、集めたデータをもとにピープルアナリティクスの部署が活躍とか定着の分析を行うなど、一定程度の拡張はできたと感じています。一方、コミュニケーションやリテンションにはまだ活かしきれていないので、引き続き挑戦していきたいです。

こうした社内浸透に関するアクションを表にまとめたのがこちらです。

全社員への公開後も、少しずつ公開する情報を増やしたり、ボイスノートのみではなくスマートレビュー、ピックアップリスト、エニアグラムなど使用する機能を増やしたりしながら浸透に向けて動いてきました。新しい機能を使い始めると、社員側も「新たな機能が追加されたんだ」と興味を持ってくれやすいので、このように徐々に機能拡張しながら社内への浸透を進めています。

アンバサダーの方々に対しても、公開と同時に使っていただいてきましたが、その際には利便性を追求するというよりも楽に使ってもらうことを意識しました。そのほか、社内報でもカオナビに関する取り組みを紹介し、浸透に繋げています。また、アカウント発行の自動化や入社書類および労働条件通知書の電子化に向けても動いているところです。

私が社内浸透で大切にしていることを3つご紹介します。

①少し物足りなさを演出する
その物足りなさが愚痴になってしまうこともあるのですが、それをきっかけとして社員の声をヒアリングすることができます。その声をもとに情報開示の量を増やしたり運用方法を改善したり、より快適に使ってもらえる環境作りに繋げています。

②アンバサダーからの声を反映する
当社のカオナビ運用で重要な役割を担うアンバサダーの方々からの「この機能を使って業務効率化したい」だったり「この機能ってこんな風に使えないですか?」といった声を大切にして、そうした声が上がったら真っ先に支援するようにしています。

これにより、カオナビの認知も高まりますし、カオナビの秘めたポテンシャルを知ってもらうことを狙っています。また、アンバサダーたちからの管理者側への質問に対してオープンな場で回答することで、ナレッジ共有にも繋げております。

③抵抗感をなくす
社員の皆さんがカオナビを利用することへの抵抗をなるべく感じないように工夫しています。具体的な施策は、社内報を利用したカオナビ活用方法や未来像の周知です。活用についてはマニュアルも用意していますが、残念ながら何もしなければマニュアルはほとんど見られません。そこでラフにワクワク感を持ってもらいながら、利便性や使い方を伝えています。そこから、マニュアルの閲覧や質問に繋がることを意識しながらコンテンツ作成に取り組んでいます。

こうした取り組みにより社内認知が進んできました。これにより、データを入れておくことで自分もデータを活用できるなど、自らにも良い影響があることを理解してもらえるようになったと感じています。

もくもく会での知見を活かして歩んだデータ活用の道

続いて、弊社が収集・活用しているデータについてご紹介させていただきます。

カオナビを導入した2021年3月以降、データを自動インポートできる仕組みを構築してきました。一方で、まだまだ手動インポートが必要な場面の方が多いのが現状です。自動化できているのは 基幹システムと、ワークフローシステム、アカウント管理システムとほんの一部となっています。

カオナビで管理しているデータとしては、適性検査やWell-Beingサーベイ、360度評価にエニアグラムなどから集めたこれまでの経験やキャリア未来像のほか、選考時の情報、勤怠データ、実績、財務データなどがあります。

カオナビを活用し始めた最初の年は、「入れられるものをとにかく入れていこう」とただデータを入れていただけでした。入れることにばかり目がいっていてデータの整理ができておらず、何のデータが入っていて、どんな状況なのか把握できていないこともありました。これは一年目の反省点のひとつです。

それだけでなく、カオナビの機能をまだ理解しきれていなかったり、どんなデータが必要なのか整理できていなかったりという状況でした。それを改善すべく、カオナビの機能理解はもちろん、データを一元化して現状や他のシステムとの連携状況を把握できるよう、自分なりに試行錯誤してきました。

試行錯誤する上で、すごく力になったのが主催していたもくもく会の存在です。もくもく会とは、私が「カオナビを使いたいからこそ仲間集めをしたい!」と思ったことがきっかけで、ユーザー同士でつながれる会を企画し、現在は月に1度開催しています。
もくもく会でカオナビユーザーの方と交流することで、必要なデータやそれをカオナビ上で活かす方法を理解できました。また、どんな情報がどこに眠ってるかが理解できると、次のアクションに進みやすいと知ることもできました。

実際に行っている業務についてまとめたのがこちらの表です。

カオナビ導入以前は、社員の基本情報がOBIC7に蓄積される仕組みになっていました。ただこのデータは5回ほど更新しないと完璧なものにはならず、社内で使用するツールのアカウント発行や評価との紐づけにも時間と工数がかかっており、問題が多かったんです。

そこで自動化に際して、アカウント発行をすぐできるように、まず氏名・メールアドレス・社員番号が自動でカオナビに反映されるようにしました。これがフェーズ1です。続いて、フェーズ2として月初の処理を自動化しました。そしてフェーズ3として2〜3ヶ月後までに行う業務の自動化を行いました。

データを活かして人材ポートフォリオを可視化する

では最後に、今後の取り組みを紹介させていただきます。

これまでただ入れていたデータを細分化および数値化すること、そしてシャッフルフェイスなどを活用しながら人材ポートフォリオの可視化することが今後の目標です。

人材をグルーピングする手法は役職ごと、エリア、所属など数えきれないほどパターンありますが、それを見える化していきたいと考えています。

その上でマトリクス分析にも取り組み、配置に活かしていきたいと考えています。たとえば、「所属×職種×人件費」で人件費を見ながら配置シミュレーションを行うなどです。そのほか、「評価結果×残業時間」で分析して生産性を可視化することもできます。

最後に先ほど少しお話しした人的資本開示に向けたデータ利活用について。

カオナビのダッシュボードやガジェットを使っていく予定なのですが、そうすると総合職と準社員のデータしか入れられないという問題があります。

弊社は人材ビジネスを行っているため、派遣スタッフや専門職社員も在籍しており、そうした方々を合わせると2万人を超える社員データがあります。それをすべてカオナビで管理することは、現在のところ難しいです。そこでBIシステムでを併用し、実績や行動データを溜め込んでいます。これからはBIシステム内で見える化したものを、改めてカオナビに入れて、総合職社員や準社員のキャリア支援にも繋げていければと考えています。

【Q&A】連携するシステムの選定ポイントが知りたい!参加者からの質問に回答

Q)連携させるシステムを選ぶ際にカオナビと連携できるかを考えて選定されていますか?

A)入れたいデータがどこにあるかをベースに考えています。
API連携をするかどうか、自動化までする必要があるのか?を考える必要がある。
日時や週次で数が多いところは自動化した方が自分の手間も省けますが、半年に一度のデータを自動化すると費用が見合わないので、何のデータをどれくらいの頻度で入れなければいけないのかを考えてシステムを導入しています。

Q)ボイスノートを通年活用されているとのことですが、どのような使い方をされていますか?
カオナビへデータを取りこむためのデータソースとして活用されていたのでしょうか?

A)基本的には研修などのフィードバックに活用していたり、社内報の回答、キックオフなどの催し物の事前アンケートなどに活用しています。
自身での活用以外にも、アンバサダーの皆さんが様々な使い方をしてくれています。
人材開発部では新卒研修や振り返り研修、コンプライアンス研修などアンケートとして、管理部では事業会社に対して細かいアンケートなどに活用してもらっています。
集めたものはデータ分析や次の人員配置、抜擢に使えるようにデータをためている状況です。

Q)エニアグラムを使う目的を社内にどのように説明していますか?
忙しい社内の皆さんに「やってみて」と言いづらく利用をためらっています・・

A)年末年始に自分自身の振り返りとして使ってみてくださいとお伝えし、対象2000名に対して550名が回答してくれています。
データの閲覧は現状は本人のみにしていますが、来年度以降データを活用していく予定です。

ユーザー会を終えて

今回は、オンラインにて全国のカオナビユーザーさまにご参加いただいてのユーザー会でした。データ活用に向けて試行錯誤されてきた担当者の目線で、苦労された点も含めてデータ活用に向けたリアルな取り組みを紹介していただきました!また、カオナビ浸透施策についてもご紹介いただき、運営側としても勉強になりました。

みなさまも、早速自社でのデータ活用やカオナビ浸透へ活かしていただけると幸いです。

カオナビのユーザー会では機能の使い方に限らず、さまざまなテーマを取り扱っていく予定です。「カオナビに集めたデータを採用や経営に活かす方法が知りたい!」「いま取り組もうとしている○○の人事施策について相談」など、ぜひお気軽にご意見をお寄せくださいませ!

また、カスタマーサクセスチームでは、X(旧Twitter)も運営中。セミナー情報や便利な活用テクニックなどを定期的につぶやいていますので、チェックしていただけると嬉しいです!

それでは、今後もカオナビをどうぞよろしくお願いいたします!

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マナベル

2023.10.05