ユーザー会レポート

組織変革のプロが徹底解説!人事視点でのエニアグラム活用方法とは?

2024年6月13日

マナベル

ユーザー会

こんにちは!カオナビ カスタマーサクセスグループ ユーザー会担当です。

2023年12月18日(月)、ユーザー会「プロからマナベル」を開催しました。今回は、「エニアグラム活用」をテーマに、1on1コミュニケーションの専門家である、世古詞一さまにご登壇いただきました。

ご参加できなかった皆さまにも知見を取り入れていただけるよう、当日の内容をまとめましたので、ぜひご一読ください!

※掲載内容はすべてユーザー会当日時点の情報です。

「プロからマナベル」とは?

「プロからマナベル」はある分野の専門家をお招きし、人事業務の最新トピックやカオナビの実践例を解説していただくセミナーです。

カオナビではそのほかにも、導入目的別の使い方を解説するセミナーや、ユーザー様同士で活用方法をディスカッションし合う交流イベントも開催。今後、開催予定のセミナーは、以下をチェックしてみてください!
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本セミナーのアーカイブ動画や資料はカオナビキャンパスオンラインでご確認いただけます。
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ご登壇者紹介

世古 詞一 様

株式会社サーバントコーチ 代表取締役
一般社団法人1on1コミュニケーション協会 代表理事

コーチング、エニアグラム、NLP、MBTI、EQ、成人発達理論、ストレングスコーチ、アクションラーニング、ポジティブ心理学、マインドフルネス、など、10以上の心理メソッドのマスタリー。個人の意識変革から、組織全体の改革までのサポートを行っている。クライアントは、官公庁・上場企業から五輪・プロ野球選手など一流アスリートまでと幅広く、さまざまな人の人生とキャリアの充実、目標実現をサポートしている。
※ご登壇当時の情報です。

3つの切り口で見るエニアグラムの9タイプ

※ここからは実際に世古さまにお話しいただいたセミナー内容です!

エニアグラムは、人々の行動の背景にある無意識的な動機を9種類に分類したものです。最初にお伝えしたいのは、エニアグラムは人を理解するための1つの方法として活用するものだということ。タイプによる優劣をつけたり、特定のタイプを良しとしたりしないことが大切です。

では早速、「行動エネルギー源」「社会的スタイル」「問題の対処方法」の3つの項目に着目しながら9つのタイプについて説明していきます。

「行動エネルギー源」は、ガッツセンター、ハートセンター・ヘッドセンターと呼ばれる3つのグループに分かれており、物事への対処する際のエネルギー源を表しています。

タイプ8、9、1が属するガッツセンターは、本能的な部分にエネルギー源を持ち、直感的、無意識的に判断する傾向があります。求めているものは「自立」です。

タイプ2、3、4が属するハートセンターは、感情にエネルギー源を持ちます。彼らは周囲からの関心を求めようとします。

タイプ5.6,7が属するヘッドセンターは、思考(頭)にエネルギーが根差しています。このタイプの特徴は、内側に抱えた不安を解消し、安心を得ようとすることです。

続いて、欲しいものを手に入れるためのアプローチを示す「社会的スタイル」の観点でも見ていきましょう。

自己主張型と呼ばれるタイプ3、7、8は、欲しいものを欲しいと言えて、要求できるタイプです。

タイプ1、2、6が所属する義務遂行(追従)型は、欲しいものは自ら努力して手に入れていきます。

タイプ4、5、9から成る遊離型は、欲しいものを内面に引き込むことで手に入れていきます。

最後の観点は、「ハーモニクス」と呼ばれる問題対処方法です。

楽観型のタイプ2、7、9はその名の通り楽観的に対処します。

合理型のタイプ1、3、5は論理的に対処します。

反応型のタイプ4、6、8は、感情を発散することで対処します。

ここまで各タイプについてお話してきましたが、今日のポイントは、エニアグラムの各タイプを独立したものとして個別に覚えるのではなく、先ほど紹介したような欲しいものを得るための「獲得へのアプローチ」や「問題対処方法」を起点に考えることです。これを押さえておくことで、エニアグラムを理解する上での迷いが少なくなるでしょう。

自己理解、他者理解、マネジメント。それぞれのエニアグラムの使い方

ここからは本題でもある、組織としてのエニアグラム活用法をお話します。組織においてエニアグラムは「自己理解」、「他者理解や関係づくり」、「人事やマネジメント」の3つの場面で使うことができます。

1.【自己理解】自分の取扱説明書を作る

まず1つ目の自己理解についてご説明します。

活用法のひとつは、自分の取扱説明書作りです。これを行う上でおすすめなのが、長所だけでなく、短所が業務にどのように反映されているかも考えてもらうことです。

自分の短所が、エニアグラムのタイプゆえに現れやすいものであると理解することで、ある種仕方ないことだと思え、自己受容につながります。そして自分を受け入れることで、次に進んでいくことができるのです。

またチームの人に、自分がどんなタイプなのかをリクエストを含めて伝えるという活用方法もあります。たとえば「自分が進めていることに反応がもらえないと、自分が間違っているのではないかと不安になることがあるので、『いいですね』などの承認をもらえるとありがたいです」などと伝えます。

こうしたことを他の人にもシェアできるようになると、より良いチーム作りにもつながっていくと思います。

ロールモデルとする人に近づくための方法をエニアグラムを通じて考えることもできます。たとえば、「非常に面倒見が良く、リーダーシップがあって頼りがいがあるC部長のようになりたいが、今の自分は自分視点が強くて面倒見が良い方ではない。自分の成長のためにC部長の持つタイプ6の要素を学ぶ必要があると分かった」というように、自分の目指すべき方向性を見出すことができます。

2.【他者理解や関係づくり】相手が自分のタイプに納得しているか注意

続いて、他者理解や関係性作りについてです。

カオナビで社員のエニアグラムを公開するなどしていて、チームメンバーのタイプを把握できていれば「Aさんってタイプ5なんですか。すごい洞察力にいつも驚いてます」などと気軽に話しかけやすく、対話や他者理解のきっかけとなるでしょう。

ただし、相手が自分のタイプに納得しているかには注意しましょう。納得していない場合、褒め言葉のつもりでも逆効果になってしまうことがあります。そのため、相手がタイプをどのように受け入れているかが定かではない場合は、相手がそれをどう思っているのかなどを聞くに徹する方がよいでしょう。

エニアグラムを使う上で大切なのは、タイプでその人を分かった気にならないことです。タイプで決めつけるのではなく、エニアグラムを1つのきっかけとして、より深く対話する機会を作っていただきたいと思います。

また、エニアグラムランチと題し、同じタイプ同士でランチをする機会を作るのも良いでしょう。同じタイプあるあるで盛り上がることで関係が深まったり、組織の横や斜めの繋がりができるという効果があります。

さらに、チームビルディングの一環としてワークショップを実施するのもおすすめです。たとえば、自分や他者の取り扱い説明書をワークショップを通じて作成し、共有します。これにより自己理解と他者理解が進みますし、同じチームの人たちと実施すれば日々の業務ですぐに活かせることができます。

3.【人事やマネジメント】1on1対応の質を上げるツールとして活用

最後に、人事やマネジメント視点の活用方法を紹介します。

この視点でまず有効なのが、1on1での対応の質を上げるツールとして活用することです。

エニアグラムを考慮しながら1on1で対話することで、上司と部下の相互理解も進みます。また上司からのネガティブフィードバックの際にも、「タイプ〇ゆえか、〜なところがあるかも」などと伝えることで、その人自身ではなく、ある種タイプのせいにできます。これにより本人も自分を客観視でき、解決策を導き出しやすくなります。

また、社内で問題が起こった時の分析ツールとしてもエニアグラムは有効です。人間関係における問題の場合は、特に効果を発揮するでしょう。タイプを知っていることで、双方のタイプの動機を考慮した上で解決への道を模索できます。

たとえエニアグラムだけでは問題解決まで持っていけなくとも、マネジメントや人事が社員のタイプとその傾向を把握することで、日々の言葉選びや声掛けから配置まで、多くのことに活かすことができるはずです。

エニアグラムのような性格診断タイプを確認して終わりがちですが、今回紹介したようにさまざまな観点から、継続的に使っていくことが大切です。

改めて注意点をお伝えしておきます。エニアグラムを使う上でとにかく重要なのは「タイプによってレッテル張りをしないこと」です。つまり、「この人はタイプ〇だからこうだよね」と決めつけてしまってはいけません。その人はタイプではなく、その人自身なのです。

また、組織としてエニアグラムを推奨する意図を伝えるのも大切です。かつ診断を受けたくない人への配慮も必要です。任意にしたり、受検結果を他の人には開示しないようにしたりといった配慮をしながら、少しずつ活用を進めていくのがよいでしょう。

【Q&A】オンボーディングへの活用は?

参加者からの質問にも、丁寧にご回答いただきました。

Q)環境の変化や年を重ねることにより、タイプが変わることはありますか?

A)タイプは先天的なものなので、基本的には変わりません。

ただタイプ自体は一生変わらないものの、実はみんな全タイプの要素を自分の中に持っています。そのなかでも、自分のタイプだけにすごく執着があるのです。

ここで紹介したいのが、健全度を表す「レベル」という概念です。エニアグラムでは、タイプごとに健全な状態、通常の状態、不健全な状態があるとされており、同じタイプでも、健全な状態で成熟度が高い人と、不健全な状態で良くない印象を与える人が存在します。

そして健全な状態になると、自分のタイプへの固執や執着が減ると言われています。すると、1から9までのすべてのタイプの要素が柔軟に発動できるようになります。つまり、タイプ自体は変わらないものの、健全度が高まっていくことでタイプに関係なく、いろいろな自分の側面が出せるようになります。これはエニアグラムにおいて、最終的に目指したい到達点でもあります。

Q)オンボーディングにエニアグラムを活用したいと考えています。同じタイプでグループを固めた方が仲良くなりやすいのでしょうか。

A)タイプが同じだと、空気感やテンションが近いので話しやすい傾向はあると思います。オンボーディングだと、同じタイプで固めるのはいい手段かもしれません。感じ方は人それぞれなので、必ずしも仲良くなりやすいとは言えませんが、いいアイデアだと思います。ぜひやっていただいて、結果を聞いてみたいですね。もし、これをお聞きの方ですでに試した方がいらっしゃれば、カオナビキャンパスオンラインのエニアグラムのスレッドに投稿していただければと思います。

ユーザー会を終えて

今回は組織変革のプロである世古さまを迎えてのユーザー会でした。ユーザーの皆さまより、「エニアグラムの活用方法を知りたい」というご要望を多くいただき、実現した本セミナー。自社での活用イメージを少しでも持っていただければ幸いでございます!

カオナビのユーザー会では機能の使い方に限らず、さまざまなテーマを取り扱っていく予定です。「カオナビに集めたデータを採用や経営に活かす方法が知りたい!」「いま取り組もうとしている○○の人事施策について相談」など、ぜひお気軽にご意見をお寄せくださいませ!

>アイデア相談はこちらから!

また、カスタマーサクセスチームでは、X(旧Twitter)も運営中。セミナー情報や便利な活用テクニックなどを定期的につぶやいていますので、チェックしていただけると嬉しいです!

それでは、今後もカオナビをどうぞよろしくお願いいたします!


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