ユーザー会レポート

市場価値の高い人事になるためには?CA曽山氏と考える「これからの人事のキャリア」

2024年10月23日

マナベル

ユーザー会

こんにちは!カオナビ カスタマーサクセスグループ ユーザー会担当です。

2024年4月12日(金)、5月17日(金)の2回にわたり、サイバーエージェントCHO曽山哲人さまをお招きし、ユーザー会「プロからマナベル」を開催。「人事の仕事と今後のキャリア」をテーマに、お話いただきました。

ご参加できなかった皆さまにも知見を取り入れていただけるよう、当日の内容をまとめましたので、ぜひご一読ください!

※掲載内容はすべてユーザー会当日時点の情報です。

「プロからマナベル」とは?

「プロからマナベル」はある分野の専門家をお招きし、人事業務の最新トピックやカオナビの実践例を解説していただくセミナーです。

カオナビではそのほかにも、導入目的別の使い方を解説するセミナーや、ユーザーさま同士で活用方法をディスカッションし合う交流イベントも開催。今後、開催予定のセミナーは、以下をチェックしてみてください!
>>今後の開催予定のセミナーを確認する
https://lp-campus.kaonavi.jp/seminar/

ご登壇者紹介

曽山 哲人 様

株式会社サイバーエージェント
常務執行役員 CHO

上智大学文学部英文学科卒。株式会社伊勢丹での就業経験を経て、1999年に当時社員20名程度だった株式会社サイバーエージェントに入社。インターネット広告事業部門の営業統括を経験後、2005年人事本部長に就任。現在は常務執行役員CHOとして人事全般を統括する。ビジネス系YouTuber「人事部長ソヤマン」としてSNSで情報発信するほか、『若手育成の教科書』『クリエイティブ人事』『強みを活かす』など多数の著作も出版。
※ご登壇当時の情報です。

人事が持っておくべきは「経営人事課題は何か」という視点

※ここからは実際に曽山さまにお話しいただいたセミナー内容です!

まず、人事に求められる役割から考えていきたいと思います。

私は「人と組織で、業績を上げること」だと考えています。私自身が人事制度や人事施策を考えるときには、必ず「これはなぜ、どのようにして業績に繋がるのか」を、業績から逆算して検討します。

ここで注意すべきなのが、「良い手段の罠」、他社がやっていて効果が出ているからと施策を実施することです。他社で効果が出ていたとしても、自社の経営課題に合っていなければ効果は薄くなってしまいます。

そして業績を上げる施策を作るために人事が持っておくべきは、「経営人事課題は何か」という視点です。

この経営人事課題は、きちんと役員と合意したものであることが重要です。たとえ人事の考えていることが正しくとも、経営が別のことをやると意思決定したのであれば、まずそれに対して成果を出して、そこから自分のやりたいことをやるのが人事としての筋です。

私自身もそれが理解できずに空回りしたこともありますが、だからこそ、経営の持つ課題意識を理解することはぜひやっていただきたいと思います。

経営に貢献する人事の3つの習慣

経営に貢献する人事の習慣について、私が勧めているのはこの3つです。


1つ目の「OKゴール」は、どうなればOKなのかを定義したもののことを指します。成果定義ができていない場合、これをするだけでかなり成果を出せるはずです。

続いて2つ目、「白けのイメトレ」とは、社員の白けを予想することです。誰がどんなセリフで白けるかを徹底的にイメトレしたうえで、説明のタイミングや方法を工夫しています。

最後に3つ目の「刺さる言葉」は、人を動かす言葉を考えることです。

具体的には、それを聞いた社員が前向きに動くような、磨かれてオリジナリティがある言葉ですね。たとえば当社では、これらの言葉を使っています。

ーインタラクティブな形式で参加者の皆さまにもグループでの会話を発表いただきました

当社ではこの言葉を聞くとワクワクしたり安心したりする社員が多くいるため、この言葉になっていますが、皆さんの会社だとまた違ったものになるでしょう。

感情マネジメントで大切にしたい「3つのe」

現在は、AIの開発が非常に速いスピードで進んでいます。人事の仕事でも、おそらくそう遠くないうちにルーティン業務はAIに任せられるようになるでしょう。そして人事は人の感情に向き合うことに専念できるようになると予想します。それに伴い、相手の感情を想像して、それに対応すること、つまり感情マネジメントの重要性も上がるはずです。

では、感情マネジメントとは一体何をするべきなのか。感情マネジメントにおいて私が提唱しているのが、3つの「e」です。

1つ目は「Exposure」。人事やリーダーが自己開示していくことを指します。「弱みを見せるリーダーがいい」という話はよく聞きますが、さらけ出すことは今、リーダーの付加価値の1つになっています。

2つ目の「esteem needs」は、承認欲求のことです。特に若手は、日々SNSなどで「いいね」と承認されるのが当たり前で生きています。

若者に活躍してほしいのであれば、彼らの生活や感覚に合わせてマネジメントをしていくべきです。抵抗感があったとしても、退職してほしくないのであればそうするしかない、と私は思います。

3つ目は「emotion reward」感情報酬です。人によって異なり、多様な感情報酬をマネジメントで使うには、まずはどんな仕事だとうれしくてワクワクするのかを一対一で聞くことです。

そしてその全社員の総和が、その会社における感情報酬の中央値になります。まずは社員の感情報酬は何かを知って、それに沿った施策を進めるといいのではないかと思います。

市場価値の高い人事になるための3つの選択肢

続いて、人事のキャリアの選択肢についてです。人と組織で業績を上げることを目指すとすると、次の3つ選択肢があります。

1つ目はテクノロジーを活用して生産性を高められる人です。人×テックのスキルを身に付ければ、市場価値は非常に上がると思います。

2つ目はチームビルディングができる人も、非常に価値が上がるでしょう。副業が増える社会においては、副業人材や業務委託人材など社外の人材とのコラボレーションがますます重要になるからです。

そして3つ目は本音を引き出せるプロです。直属の上司も拾えない社員の声を拾える人は価値が非常に高くなるでしょう。心理カウンセラーなどの専門的な資格を取るのもよいかもしれません。

経営に貢献する人事になるために意識したい8項目

では最後に、人事として身につけたい視点やスキルを紹介させてください。

もっとも重要なのは1番の「成果の定義から始める」です。どうなれば成果が出たと言えるのか、しっかり定義しましょう。そして目指すべき成果が決まったら、ゴールから逆算して計画を立てましょうというのが2つ目です。3つ目は、たとえば開発と営業の要望が食い違っているなどの矛盾が発生した場合、どうにか両方解決できないかを模索すること。4つ目は、まず経営の要望を先に解決すること。5つ目は、基本的には数字で会話しましょうということです。

そして6つ目は経営と同じメディアに触れることです。そうしないと、情報の感度や目線がズレていってしまいます。7つ目、本やセミナーで学んで終わらず、部署の会議などで小さく試してみましょう。

最後の8つ目は、何事もポジティブに伝えることです。人事がポジティブだと、すごく会社が明るくなります。

私からのお話は以上です。ありがとうございました。

【Q&A】数字が出ない施策の賛同を得るためには?

参加者からのご質問にも丁寧にお答えいただきました。

Q)刺さる言葉を作ろうと思っても、教科書的な言葉しか出てこなくなってしまいます。どうしたらよいでしょうか。

A)まず、その会社に合っている言葉であることが何よりも大切です。自社の社員の属性に合った言葉にしましょう。合っていて響くのであれば教科書的でもいいのかもしれません。私たちは、徹底的に強みを洗い出して、その強みから言葉を作っていきました。

Q)すぐに数字が出ない施策の場合、経営陣から施策を続けるための賛同を得るのが難しいです。曽山さんはこの場合、どのように対処していますか。

A)私がよく使うのは、社員のセリフです。たとえばランチ会の場合、ランチの代金を経費精算するときに感想を一緒に提出してもらうなどして、社員の言葉を集めます。
そして経営陣に「この台詞が出るということは、今までなかった風土を生み出していて、つまり業績に貢献しているのではないか」と説明します。こうして社員の声を伝えることで、数字がなくとも説得力のある話ができるのではないかと思います。

交流会パート

ご講演の後は、グループに分かれて交流会を行いました。1回目のグループは企業規模が近しい方との交流、そしてお席を変えて人事歴が近しい方で交流していただきました。

<今回話題に上がっていた内容>
・人事として求められる役割は?
・人事施策を進めるうえで困っていること
・日々、どうやって情報収集してる?

ー登壇者の曽山さんも各テーブルに入っていただき、参加いただいた皆さまと意見交換


参加者の声

曽山さんのお考えを実際に聞けたほか、ワークや交流会を通じて他事業の人事担当とも幅広く交流できたのが大変よい経験となりました。 自社の課題についてもアドバイスいただけて、今後の人事としての組織づくりにとても参考になりました。

悩ましさを感じている部分のツボを押さえた内容になっており、大変勉強になったのと、 なぜうまくいっていないか?が明確になりました。

「人事のキャリアを考える」というのは自分ひとりだけで悩んで試行錯誤してしまうことが多いと思うが、こうやって曽山さんや他社ユーザーとのディスカッション内容を聞いて新たな発見や気付き、学びがたくさんあった。

ー最後はご参加皆さまで記念撮影

ユーザー会を終えて

今回は東京現地・オンラインのハイブリッドで開催をいたしました。ディスカッションパートでは現地はもちろん、オンラインのチャット欄でも多くの意見が飛び交い皆さんの熱量を感じたユーザー会でした。
カオナビのユーザー会では機能の使い方に限らず、さまざまなテーマを取り扱っていく予定です。「カオナビに集めたデータを採用や経営に活かす方法が知りたい!」「いま取り組もうとしている○○の人事施策について相談」など、ぜひお気軽にご意見をお寄せくださいませ!

また、カスタマーサクセスチームでは、X(旧Twitter)も運営中。セミナー情報や便利な活用テクニックなどを定期的につぶやいていますので、チェックしていただけると嬉しいです!

それでは、今後もカオナビをどうぞよろしくお願いいたします!


今回のセミナー資料はカオナビキャンパスオンラインでご確認いただけます。
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