ユーザー会レポート
集めたデータが使えない、を解消!施策につながる人材データの攻略法
2022年2月25日
こんにちは!カオナビ カスタマーサクセス部 ユーザー会担当です。
1/20(木)、ユーザー会「プロからマナベル」を開催しました。今回は「人材データの集め方と活かし方が分かる!成果につながるエンゲージメント戦略」をテーマに、組織開発・データ活用のコンサルティングを手がけるイグニション・ポイント様にご登壇いただきました。ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました!
「プロからマナベル」とは?
「プロからマナベル」ではある分野の専門家をお招きし、人事業務の最新トピックやカオナビの実践例を解説していただくセミナーです。
カオナビではそのほかにも、導入目的別の使い方を解説するセミナーや、ユーザーさま同士で活用方法をディスカッションし合う交流イベントも開催しています。今後、開催予定のセミナーは、以下でチェックしてみてください!
ご登壇者紹介
石橋 誉 様
イグニション・ポイント株式会社
ワークデザイン シニアマネージャー
外資コンサルティング(PwC、デロイト)、国内コンサルティング(NTTデータ経営研究所)、リクルート、パーソル総合研究所を経て現在に至る。IT、事業戦略、組織・人事の異分野のコンサルティングプロジェクトを経験。
人材戦略策定、雇用延長に伴う人事課題解決に向けたジョブ型制度改革・キャリア自律支援、従業員意識調査・改善プログラムの設計・導入、M&A後のカルチャー形成にむけた組織開発、人材育成体系・研修設計・導入、タレントマネジメントなどのプロジェクトに関わる。
ミドル・シニアの逆年功マネジメント 労政時報2020年
労政時報「40~50代ミドル・シニア活性化の条件」2019年
どこまで集める?人事が扱う人材データ
非連続の変化期である昨今においては、データを課題発見・仮説立案、そして意思決定に活用していくことが重要です。
とはいえ、人事領域においてうまくデータを活用できていない方も多いはず。
そこでまずは、よくある人材データとその活用に必要なポイントを解説します。
社員の基本的な情報のほかにも、「社員がどんな心理状況にあるのか?」をエンゲージメントデータとして取っていたり、評価結果や資格情報、採用時点での性格検査、などをお持ちの企業様は多いのではないかと思います。
ここでポイントとなるのは、「社員基本情報」をハブにして、周りのデータと組み合わせて分析できる準備ができているか、です。
最近ダイバーシティが注目されていますが、年齢や性別のデータで傾向を見るだけでは不十分。価値観が違えばエンゲージメントも違ってきますよね。
異なる価値観を持つ社員1人1人と向き合うためにも、性格特性などを含め、さまざまな情報が繋がっている状態にしておくことが欠かせません。では実際にデータを組み合わせるとどんなことが見えるのか、いくつか例をご紹介します。
たとえば「従業員の定着率やエンゲージメントを向上させたい」という場合、エンゲージメントの高低だけを見ていても原因はわかりません。
・エンゲージメントが低い人たちはどんな評価を得ているのか?
・離職した人の1年前のエンゲージメントデータは?(離職につながる傾向が見えるかも)
など、ほかのデータとかけ合わせてみることが必要です。
つまり分析においては、目的やゴールに応じて、感情・労務・性格などさまざまなデータの中から必要なものを見つけ、かけ合わせて考えることが求められます。
データはあるけど分析できない?!データ活用の5段階
「うちにはデータはいろいろあるな・・」と思われた方もいらっしゃるかと思います。
今度はデータ活用の段階について、図を使って解説します。
・あるシステムからレポートはもらっているが、PDFの状態で生のデータは手元にない
・生のデータはあるが、回答者属性のないデータやテキストのデータ
といったLevel 0~1のようなケースは意外と多いです。属性がないと他のデータとかけ合わせて見ることができないので、分析にはやや物足りない印象ですよね。
ここから、Level 2~3、4になると
・データが構造化され、傾向が定量的に把握できるようになる
・基本情報を中心としてそれぞれの情報が繋がっている、つまり名寄せが実行でき分析できる
・分析結果を用いて予測や意思決定ができる
というような状態になります。
実際に、人事周りのシステムを導入されていても、以下のような状態は非常によくお聞きします。
・エンゲージメントに関するデータは定点把握を目的として収集
・評価、採用、育成、報酬などは人事イベントごとにそれぞれ管理
・性格検査を実施したものの、結果はPDFデータのみ
ただ残念ながらこの状態では、タレントマネジメントのシステムは持っていても、評価運用の「効率化」などに留まってしまっています。
ではこの先はというと、評価の「効率化」から「納得感の向上」、そしてさらには「エンゲージメントの向上」につなげていく、というのが理想です。
そのためにまずは、評価を受けた人がどんな気持ちになったのか、その人はどんな仕事を行なっているのか、上司はだれか、などのデータを集め、つなげて見てみる必要があるのです。これがさきほどのデータ活用の段階における、Level 2~3のあたりです。
エンゲージメント調査で陥りやすい落とし穴
エンゲージメントというと、サーベイは実施しているものの、なにか変化があったのかはわからない・・そもそも意味はあるのか・・?と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
エンゲージメント向上における論点は下図の左側にある3つです。
エンゲージメントサーベイを行うというのは、「See」の部分。職種別の結果はどうか、去年と比べて変化したのか、は単純集計でしかありません。
原因分析や戦略的な施策立案といった「Plan」や「Do」が抜けている場合が多く、改善に向けた議論が進まないケースが多いのです。
“項目のかけ合わせ”で課題が見える!
ではここからは実際に、データを組み合わせてエンゲージメントの課題に取り組んだ事例をご紹介します。
たとえば、左側のクロス分析の事例のように、セグメントを分けて見てみるのも1つです。
役割を横軸、年齢を縦軸に取ると、
・管理職以上は非常にエンゲージメントが高い
・一方、25〜29歳の入社5年目あたりの年代と、中高年の係長以下の層のエンゲージメントが低い
といった、少し踏み込んだ課題が見つかります。
そこでこちらの会社では、2つの施策を行ないました。
入社5年目の社員向け
課題:早期離職につながるのではないか?
施策:若手のための異動配置の制度を整備。さらに5年目時点での異動希望調査をもとに積極的に抜擢。
中高年の係長以下の社員向け
課題:生産性が低下し、いわゆるぶら下がりのような状態になってしまうのでは?
施策:キャリア自律支援制度を確立し、仕事の意味づけにつなげるプログラムを提供開始。
このように1つのサーベイだけでも、属性やそのほかの項目を組み合わせていくことで、課題を深掘り対策を打つことができます。
さらに、ワークエンゲージメントというのは個人の感情に基づくものですので、「社員の性格」も1つの大きな影響因子です。価値観を知るための設問はエンゲージメント調査などには入っていない場合が多いので、性格検査の結果なども活用すると、また違ったことが見えてくるはずです。
1on1も手段の1つ!足りないデータの集め方
もう一つ、カオナビユーザーさまの事例もご紹介します。
とある企業様では、顔と名前の一致・スマートレビューを使った評価運用の効率化はできたものの、
どの社員が優秀な社員なのか、といったハイパフォーマーの発掘や育成・配置に活用できていないようでした。
つまり、「社員情報をハブにして情報が繋がっていない」状態だったんですね。
では何をしたのか、というのがこちらの3つです。
2.会社が持っていないデータ(資格やスキル)を社員から集めるための制度を導入・運用
3.属性と紐づけたいエンゲージメント調査は、属性を取らないハラスメント系のアンケートと分けて実施
2つ目の「社員から情報を集める」、というのは、結構ハードルが高いですよね。
そこで、“社員のことをよりしっかり知るため”に1on1を実施し、引き出した情報を蓄積する。つまり、必要な情報を集めるために、新しく制度を設計・運用する、という方法をとりました。
これだけ情報が整うと、データを意思決定に使えるようになってきます。意識調査やその他のデータを組み合わせることで、組織力向上につながる施策を考え実行した、という事例でした。
ゴールからの逆算が成功への近道
タレントマネジメントは、「まず溜めればなんとかなるだろう」ではなく、「こういう結果を得たい」といったゴールから逆算して考えることが大事なポイントです。
ツールを入れたからといって、「データ主導の人事」が実現するかというとそうではありません。
「データを一元化」の次は、いかに「社員基本情報」をハブにしてデータを使える状態にできるか、を目指してみてください。
データの中身をどう作り、どう使うのか、の部分に関しては、イグニション・ポイントでご支援できるのではと思います。お手伝いできることがありましたらぜひお声がけくださいませ。
イグニション・ポイント株式会社について
自社で早速取り入れたい!との声が続々(参加者アンケート)
参加者からのご感想を、一部抜粋してお届けします!
- 人材データの分析方法についてかなり具体的に学ぶことが出来た。継続的に実施してほしい。
- ワークエンゲージメントは感情や性格が大きな要因となること、またワークエンゲージメント分析の切り口などの具体的な事例を交えたご説明は大変有益でした。
- 自社が今カオナビ上で何をしなければならないのか、またデータを集めるだけでなく目的を持って集める大切さが良く理解できた。
- 人材データの分析をしたいと思っていたが、どのような角度から分析し、どのような資料作成をすればよいか悩んでいたため、大変参考になった。
- スキル等の登録を促すために1on1システムを活用する(よく個人を理解した上で面談を行いたい、と社員へのメリットを提示したうえで入力を促す)というのも良い方法だと思いました。すぐに実践したいです。
ユーザーさま限定!セミナー動画を公開しました
下記より当日のセミナー講演内容をご覧いただけます。
※カオナビキャンパスオンラインのアカウントが必要です(アカウント発行はこちらから)
【セミナー動画】<プロからマナベル>人材データの集め方と活かし方が分かる!成果につながるエンゲージメント戦略
あとがき
「データを集めているものの、どうすれば上手く活用できるのか・・?」「分析は難しそうで手を付けられていない」そんなお悩みを抱える人事の方は多いのではないでしょうか。
今回のセミナーでは身近な人材データを例に、課題を深掘り、施策を考えるまでの流れをご紹介しました。データを集め、整理して…と、一朝一夕で完成する仕組みではありませんが、皆さまの取り組みを一歩進めていただくきっかけになれば幸いです。
また、最後には「ゴールからの逆算がカギ」というお話もありました。そもそもどこから始めよう…と迷われた方は、ぜひ弊社のカスタマーサクセス担当にもご相談ください。
カオナビのユーザー会では機能の使い方に限らず、人事の皆さまが知りたい・相談したいと思っていただけるようなさまざまなテーマを扱ってまいります。「こんな話が聞いてみたい」などありましたら、ぜひお気軽にご意見をお寄せくださいませ!
カスタマーサクセスチームでは、Twitterも運営中。セミナー情報や最新のリリース情報、カスタマーサクセスの取り組みなどなど、毎日発信中です。ぜひ覗いてみてください!
それでは、今後もカオナビをどうぞよろしくお願いいたします。